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見逃せない!ウフィツィ美術館珠玉のコレクション
かつてここはフィレンツェを支配し栄華を極めたメディチ家の事務所、行政区オフィスが置かれていたためこの名前がつきました。ufficiとはイタリア、トスカーナの言語でオフィスを表しています。あの代表的な絵画ボッティチェリの「春」(イタリア語でプリマヴェーラ)もここで皆さんを待っているので、イタリア観光に必要な予約や美術館で人気のおすすめ珠玉絵画の見どころを見ていきましょう。
ウフィツィ美術館観光のアクセスと予約情報
イタリア、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅からは約1.2キロ、徒歩15分です。ドゥオモから南へ400メートルほど進み、ヴァッケレッチャ通りを曲がり「ヴェッキオ宮」の右横の狭い道を曲がるとウフィツィ美術館に到着します。入り口は3箇所あり、1番が予約者用入り口。2番が予約なし入り口、3番が予約チケット受け取り窓口です。
ウフィツィ美術館は何日も前から焦って予約をする必要はなく、観光で当日訪れても予約なしで並んで入館する事が可能ですが時間のロスを防ぎたい場合や6月から8月の繁盛期や日曜の混雑時に予約者が多かった場合を心配される方は、美術館の予約窓口を先に訪れてチケットを購入しておくか公式ウェブサイトから英語で予約をする、もしくは旅行会社の予約代行を利用するのがおすすめです。
観光の途中ペットボトルは館内へ持ち込みができないため、先に観光地周辺で水分を補給しておくのがおすすめ。ウフィツィ美術館1Fの貸出カウンターで日本語オーディオガイドを借りる場合はデポジットとしてパスポートを預けることが必要になります。ここの入場料は大人8ユーロですが、18歳未満は無料、8時15分から18時50分まで開いていて、休館日は月曜日。毎月第1日曜日なら国立美術館は無料です。
ウフィツィ美術館に優先入場できるカード
観光名所として人気のイタリア、フィレンツェ市内の美術館・博物館・教会に予約なしで優先入場が3日間可能な「フィレンツェカード」も現地で購入可能です。これはオンラインで購入しても結局現地で引き換えをする事になるので先に予約で買っても観光の途中現地で買っても同じです。観光のハイシーズンは中央駅正面にあるカード受付窓口も混雑が予想されます。
このカードは72ユーロと高額なので、フィレンツェに2日から3日の観光で滞在し特に文化遺産のみ観光したい方におすすめです。礼拝堂やアカデミア美術館、ヴェッキオやピッティ宮をふくめ市内67か所の観光施設が無料で優先的に入れるのでおすすめです。プラス5ユーロで、市内のバス・トラムの乗車、Wi-Fiも無料で利用できるカードです。
日本から予約してフィレンツェに着いて一番に取りに行ったフィレンツェカードを今日から使います。 pic.twitter.com/3vxIaz61GP
— むちゃこ (@mucha_mucha_ko) December 29, 2016
住所:Piazzale degli Uffizi 50122 Firenze 電話番号:055-238-8651
ウフィツィ美術館の展示室
元オフィスであるこのウフィツィ美術館には、2500もの展示品が並んでいます。館内は駆け足でまわれば2時間、見学には少なくとも4時間から半日、国宝級の絵画全てをじっくり見るとすれば1週間はかかると言われています。美術館は2階と3階に分かれ、2階はダ・ヴィンチ、ミケランジェロなどのデッサンと版画の部屋。
3階が絵画館となり、3つの廊下を挟み45の展示室が続いています。ここから川の向こうにあるピッティ宮までを結ぶヴァサーリの回廊もさらに続いていて、巨匠画家たちの自画像ギャラリーとなっています。今回ここイタリアで時間の限られたフィレンツェ観光をする方のために、見落とせない厳選のおすすめ人気名画コレクションをお見せしていきます。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画1:聖母子と二天使
第8室に所蔵されている「聖母子と二天使」は修道士であったフィリッポ・リッピによって描かれました。この美しくて魅惑的なマリアを描いた彼は大変スキャンダラスな修道士でこの教会で働いていた美しい修道女に恋をしてしまいます。後に彼らは駆け落ちをし結婚をしますが当時は死刑同然の罪でした。
宗教に人間性を与えた模範的人気作品
そんな勇気ある彼らの息子は立派な画家となり、父と同じ第8室に彼の作品も所蔵されています。この絵画の見どころは父のフィリッポ・リッピがボッティチェリの先生でもあったことから、マリアの表情がどことなくボッティチェリの描くものと良く似ているところです。この作品の風景もまた後にダ・ヴィンチに影響を与えました。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画2:ウルビーノ公爵夫妻の肖像
A double portrait could still be an excellent San Valentine's day gift.The Dukes of Urbino by Piero della Francesca pic.twitter.com/er2clgzCww
— Georgios_Gou (@Georgios_Gou) February 14, 2015
第8室にある「ウルビーノ公爵夫妻の肖像」はピエロ・デッラ・フランチェスカによって描かれていて、実は裏面にも夫人の追悼作品があります。イタリアでも向き合っている肖像画を目にするのは珍しいと思いますが、見どころは赤い服を着た公爵の肖像画に対して青白い表情の夫人です。生まれつき公爵は右目が見えずそれを隠すために描かせた作品とも言われています。
裏に隠れた追悼絵画も見どころ
イタリアルネッサンス肖像画の傑作、人気の対画肖像作品としても知られ、当時のイタリア特有の形式をとりながらも、モナリザに見られる空気遠近法が用いられています。2人はなかなか子宝に恵まれなかったため1460年代頃から画家であったフランチェスカと親交を深めこの作品では公爵の繁栄を願う気持ちが表現されています。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画3:ヴィーナスの誕生
第10から14室で見ることのできる日本でもお馴染みの「ヴィーナスの誕生」はボッティチェリによる1485年頃の作品で、ウフィツィ美術館観光1番の目玉と言っても過言ではない彼の最高傑作です。ヴィーナスがたった今泡と共にエーゲ海に生まれキプロス島へと到着する瞬間を描いた作品です。
神話の神を蘇らせたフィレンツェの画家
個人のための芸術が流行した15世紀でも芸術のテーマの8割は聖書でした。しかしボッティチェリは、女性描写が完成したギリシャ神話をテーマにした作品を多く残しています。このキリスト教からすると異教的な神話の絵画製作ができたのはメディチ家を筆頭に、パトロンとなる裕福な市民からの注文が多かったためです。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画4:春
第10から14室ヴィーナスの誕生に続いて、ちょうど反対側にあるボッティチェリ作「春」プリマヴェーラはついになっている作品のため2作品共まったく同じくらいの大きさで描かれています。爆撃をさけるため大戦中は城やメディチ家の別荘に置かれていたものですがイタリア、フィレンツェのウフィツィ美術館に無事戻されました。
豊かな色彩や花模様が見どころ
絵画の真ん中に存在しているのが同一人物のヴィーナス、風の神ゼフェロスも右側に登場しています。ゼフェロスが妖精クロリスに花を咲かせる能力を与え、神フローラに生まれ変わるシーンが描かれています。上部にいる目隠しのキューピットによって愛の不確かさなども表現された作品です。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画5:受胎告知
# A Masterpiece a Day. 22/11/2017. Leonardo da Vinci - Annunciazione, 1472/1475 circa - Firenze, Galleria degli Uffizi. pic.twitter.com/dRjShOfu61
— Alessandro Caprari (@CapirexAlex) October 12, 2017
第15室に所蔵されている「受胎告知」は、ダ・ヴィンチが20歳頃から30歳頃までに描いた作品。彼はヴェロッキオの工房にいる間に2点の受胎告知を完成させたといわれています。そのうちの1つがここイタリアのウフィツィ美術館に所蔵されています。修道院のために描かれた絵画ということもあり大天使ガブリエルがマリアのもとを訪れる様子が描かれています。
若々しく品のある見どころ多めの描写
これは、神の子を授かったことを告げているシーンですが聖ルカ伝の記述がモチーフになっています。表情や肉体、小さ過ぎる天使の羽を見るとレオナルド風ではない部分も見られますが、精密な植物、服や技法には彼らしい幾何学的な構図の特徴が見られ、三角形に収められた聖母と天使や画面の左右バランスが見事な作品です。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画6:聖家族
第25室に所蔵されるイタリア人芸術家ミケランジェロの作品「聖家族」は、1507年頃にテンペラで描かれたパネル画で、現存するたった3枚の絵画のうちの1つとして知られています。イタリア、トスカーナでも有力な家庭の娘の結婚を祝して商人の要求によって描かれた作品です。
ダヴィンチの良きライバル
観光名所であるバチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂の天井画製作が開始される以前に描かれたもので、パリのルーブル美術館所蔵でダ・ヴィンチの作品「聖アンナと聖母子」の影響も少なからず受けているとされています。見どころはその作品同様、中央に位置するマリアが最も目立つような画面の構図でしょう。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画7:ひわの聖母
Artwork - Artist> 16C Madonna Reading:The Madonna del cardellino...https://t.co/3HHgw8iSob #artwork pic.twitter.com/ozQkXLRQy6
— Painting Artwork Mag (@PaintingMag) September 27, 2017
第26室にあるラファエロの作品、「ひわの聖母」の作品の中には、2人の天才を見て学んだとされる彼の均整のとれた構成や力強い人体表現を見ることが出来ます。画面両脇のヨハネとイエスの悪癖やいたずらには本来怒りが伴いますが、マリアの表情は静寂と慈悲の心に満ちています。見どころはこの三角形の構図と絵に表現された調和でしょう。
芸術と科学の調和
15世紀末のイタリア北部と中部にはフランス群が侵入し都が混乱に陥ります。フィレンツェも例外ではなく芸術家たちも舞台をフィレンツェからローマへと移していきました。ローマ再建の野心に燃える皇帝の大聖堂改築事業に、優れた芸術家たちが集められ古典主義芸術が開花していきました。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画8:自画像
АВТОПОРТРЕТ. 1505 pic.twitter.com/zRlBvHKqwf
— Raffaello Santi (@santi_raffaello) September 6, 2016
第26室にあるラファエロの「自画像」は、21歳から23歳頃のラファエロと言われています。すでにこの若い時期には画家としての修行を終え各地の教会からの祭壇画の依頼を受け、順調に大物画家への階段を登り、独立していました。ラファエロの描く天使やマリアの表情や色はどれも最高に美しく均整のとれているもの。
聖母の画家ラファエロ
モデル選びや自身の美に対する執着や意識もかなり高かったもののように思えます。彼の画風のおすすめ見どころは単に時代を先取りしていただけでなく画面の上下で明暗をわけたり、想像力が無限で絵の中の人物たちが自由にほぼ好き勝手に動いたり奇抜な位置にいるところです。この演出効果を狙った作風が、後のマニエリスムにつながっていきました。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画9:ウルビーノのヴィーナス
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ ウルビーノのヴィーナス pic.twitter.com/3UyIjzBA0G
— 世界の名画 (@meiga12345) October 17, 2017
第28室にあるイタリアの巨匠ティッツィアーノの作品「ウルビーノのヴィーナス」も観光の目玉、おすすめの見どころにふさわしい名画です。豪華なルネサンス様式の宮殿を背景に描かれた長椅子によりかかる女性の絵で、ローマ神話に登場するヴィーナスを描いたとされています。
若かりし妻への教育?
この画家もジェルジョーネから影響を受けており、この絵の中ではさらに女性の持つ官能性に焦点があてられています。これはウルビーノ公爵の依頼によって描かれた絵画で、イタリアの伝統として結婚の際に贈られる家具の装飾のためのものという説もあります。挑発的な女神に対し、背景に描かれている家具から衣装を必死に探すメイドがおすすめの見どころです。
ウフィツィ美術館珠玉の人気名画10:長い首の聖母
この絵画は、マニエリスムを代表するパルミジャニーノによって描かれた、聖母マリアの首が長いというのが特徴的な不思議な作品です。他の作品に比べるとマリアの体やキリストの体に躍動感があり大きく描かれ、宗教画としてもかなり異質で変わった作品に仕上がっています。
古典主義への反発?
これは、美の新たな可能性が追求されるようになった時代の極端に強調された遠近法や絵画の中の人物達の独特な人体構造などが特徴的で市民のためのわかりやすい芸術とは違い、宮廷のための芸術は学者や識者好みのものとなっていきました。インテリのみがわかる意味が込められたり官能的な美しさが求められるようになり、宮廷美術のはじまりだともいわれています。
ウフィツィ美術館のミュージアムカフェテラス
数々の名画に刺激を受け、多い部屋数を見て周るころにはほっと一息いれたくなるかもしれません。そんな時におすすめなのが第45室にある、素晴らしい眺めのカフェテラスです!通路の建築や、ふと目にするヴェッキオ橋の光景もおすすめで美しいですがイタリアの雰囲気の中で過ごすカフェの時間は豊かで優美な時間へと変わります。
ウフィツィ美術館の出口付近にはミュージアムショップが併設されていて、イタリアでしか手に入らない美しい絵画がプリントされたメモパッドやボールペンなどアート好きの方やおしゃれ女子におすすめなお土産が用意されています。お手頃なアイテムや掘り出しものも多く、センスがとても光っています。
ウフィツィ美術館を攻略!
巨匠達の名画とルネッサンスに多大な影響を与えたイアリア美術を中心にご紹介してきましたがいかがでしたか?神中心の中世文化から人間中心の文化へと変わる中で職人の技術としか見られていなかった絵画や彫刻が古代の学問によって蘇り、芸術家により自然や文化と共に生きていることを再確認させられます。ルネサンスやラファエロファンの方は是非ピッティ宮やパラティーナ美術館にも足を運んで見てください。
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