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南仏の特徴
地中海性気候の南仏は、暖かい太陽がいっぱいに降り注ぐロゼや赤ワイン、オリーブの産地。目の前には赤煉瓦の屋根に歴史的遺産や沿岸が広がり、食べる事の好きな人や独特の風景、独自のアクセントが多く、そこではゆったりとした時間が流れています。郷土料理もカッスーレに始まり、鴨のコンフィやブイヤベース、鳥のバスク風など、美味しいグルメ料理を堪能できる観光地でもあります。
南仏はどこを指す?
南フランスとは、大西洋岸の湿地よりさらに南。スペイン、地中海、イタリアと接する地域のことをいいます。フランス語ではル・ミディ(le Midi)として知られていて、日本語では南仏(なんふつ)とよばれ省略されています。しかし南といえど、フランス南半分の地域全てをこう呼ぶわけではないのです。
南仏とはアキテーヌ、コルシカ、ラングドック(ルシヨン地域)、ミディー(ピレネー地域)、ポワトゥー(シャラント地域)、プロヴァンス(コートダジュール地域)、ローヌ(アルプ地域)など、これらの限られた範囲の地方を指して言いますが、オーヴェルニュ地域とリムーザン地域は南フランスに含まれていません。
南仏で使用されている言語は?
Notre conseiller régional de l'#Aude Christophe Barthès est présent aux côtés des vignerons rassemblés à #Carcassonne #Occitanie pic.twitter.com/zju2tDbUMy
— FN RBM Occitanie (@FN_Occitanie) October 18, 2017
ここの住民のおよそ40%がラテン語を起源とするロマンス語のうちの1つ「オック語」という言語を母国語としています。南仏を中心とした一帯のうち、このオック語が話されているロワーヌ川よりも南の地域を「オクシタニア」と呼びます。Midiとは、古いフランス語であるmi(真ん中)とdi(日)に由来する言葉で、太陽は正午になると南に位置することから正午=南の方角と同じような意味で使われています。
南仏プロヴァンス地方で使われている方言は、標準のフランス語とは大分異なる地方言語です。それもそのはずパリ周辺はゲルマン系により確立した地域。一方プロヴァンスはローヌ川の河口にあって、ギリシャやローマ文化の影響を大きく受けた場所でもあるからです。この地方は15世紀になるまで、言語的にも政治的にも独立性をずっと保ち、独自の伝統文化や言語を大切にしてきました。
南仏で使用されていたプロヴァンサル
エクサンプロヴァンス旧市街「カルメル会修道士小路」の道路表記は仏語とプロヴァンス語のバイリンガル。「小さい」という意味のプロヴァンス語「ピッチュゥン」は、日本語話者の語感でも小さくて可愛らしい感じがするね。 pic.twitter.com/Jj0Ntfi5Tr
— Bonn Jour (@bonnjour) July 13, 2016
「ロマンス語」のうち、現在のフランスで使用されている主な言語は「オイル語」系の標準フランス語。2つ目は東部の「フランコプロヴァンス語」そして3つ目の「南部オック語」の3系統に分類されています。そしてさらに、プロヴァンサルであるオック語系の方言にもリモージュ、オーヴェルニュ、ドフィーヌ、ラングドック、ガスコーニュなどの種類が存在します。
関西古フランス語研究会の折、関学の伊藤先生から、古プロヴァンス語の辞書と文法書を譲り受けた! 勉強します! pic.twitter.com/UWEHvYrd41
— Riche Arizière :fr: (@yutakarita) October 16, 2016
当初は標準フランス語と、プロヴァンサルのバイリンガルが多かったようですが現在では、標準フランス語化政策によって次第に標準フランス語が単一言語となっていったそうです。今となってはプロヴァンス語だけを話す人はほとんどいなくなり、話者の大多数が50歳以上になっています。プロヴァンサルとは、イタリアやカタルーニャなどのラテン語系に近い中間的言語とも言えるでしょう。
南仏のおすすめワイン
そんな南仏プロヴァンスは、フランスで初めてワインが造られた土地。日照時間が長く、完熟した葡萄が生産され日常的に飲める手頃なテーブルワインが多く生み出されていることでも有名です。プロヴァンスのさんさんと降り注ぐ太陽に育てられた力強いワインは、新鮮な南仏料理との相性も抜群。赤も白もとても美味しいですが、暑い日には爽やかできりっとしたロゼワインがおすすめです。
プロヴァンスのロゼワインは甘くない。食事にも合わせられるすっきりドライなワインです。フランス料理がどんどん軽くなっているから、ワインも当然軽く。軽くて安いプロヴァンスワインが仏で人気急上昇なのには理由があるのです pic.twitter.com/0kz88wxkMi
— Villa Montrose 町田陽子 (@yoko_machida) April 20, 2015
フルーティーで口当たりも良く、ワインを飲み慣れていない人もきっと美味しくいただけるでしょう。食前のアペリティフとして飲むのもおすすめ。マスカットで造られた甘みワイン「ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ」も、この地方のおすすめワインの1つ。プロヴァンスワインのおつまみとして必ず出てくる、オリーブのペースト「タプナード」もアペリティフのスナックや魚、肉にもあう万能のソースです。
南仏旅行でシャトーに宿泊
そんな美味しいワインを生んだフランス南仏にはホテルの他に、宿泊先としてシャトーと呼ばれる館が点在します。「シャトー」とはフランス語で城を意味しますが、ワインに関して使われる時は、葡萄を栽培し醸造からワインの製造まで一貫して行われている格付けされた生産者のことを表します。
それ以外では、田舎に建てられた王族や貴族の大きくて美しい館のことを指します。生活の拠点ではありませんが、ある一定の期間彼らが過ごす館。宮殿とは一風変わったユニークな場所です。近年ではそこが改装され、有名芸術家や音楽家の隠居城として使用されていたり、観光客が宿泊できる施設やイベントの会場となっているものがあり、南仏文化を満喫するのであれば一度は訪れたい場所です。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光1:ラベンダー畑
小さくて可愛らしい街並み、色とりどりの花に覆われた大地や山の絶景を満喫したい方はフランス中南部のリュベロン地方がおすすめです。中央のアヴィニョンやモンペリエまでは高速鉄道で約3時間です。ここで見られる絶景は、セナンク聖母マリア大修道院一面に広がるラベンダー畑です。
丘上都市ゴルドから北西へ3キロ。山地に囲まれた深い谷間に佇んでいます。この谷にはオークの木や、真っ直ぐに伸びた多くの針葉樹林が見られ、その緑と空の青、地中海沿岸原産のラベンダーの深い青紫色のコントラストが美しく雄大です。このラベンダーのじゅうたんが見られるのは6月末から7月初めの限られた2週間という間のみです。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光2:ゴルド
リュベロンでも特に人気の観光地、街全体がアートのような空間のゴルドはピーター・メイル原作の映画「プロヴァンスの贈り物」の舞台にもなった街。主人公が恋に落ちた女性ファニーが働いていたのが、この村の広場にあるレストラン。丘の上には16世紀ルネッサンス時代の城が佇み、山の斜面にはそれを取り囲みながら階段状に石造りの家々が連なっています。
Gordes: incantevole borgo nel cuore della Provenza https://t.co/c7Xp5EMnxm pic.twitter.com/0xOVzSV8l2
— Riccardo Franchini (@luccafoodwine) October 12, 2017
実際にプロヴァンスに葡萄農園を所有しているリドリー・スコット監督が友人の作家であるピーターに話をし、その話が基となって小説が書かれ映画化が決定したそうです。外側から眺める村の幻想的な姿も素敵ですが、高い位置にそびえ立つ村から見下ろすリュベロンの山並みの絶景に圧倒されます!
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光3:ボニュー
ゴルドからも近いボニューでは石造りの家が帯状に連なり、丘の頂には中世の教会が村を見守るように佇んでいます。この村もまた芸術家、映画俳優など有名人が別荘を持つ避暑地として知られ、周辺の樹木の良い香りが風に乗ってこちらに運ばれてきます。ここの小さな製パン博物館ではパン作りの歴史を見る事ができます。
その博物館前にあるサロン・ド・テではプロヴァンス風ガレットを試してみることも出来、有名な観光地でありスターの別荘も沢山ありますがお店が軒を連ねているわけではないので素朴な村の人たちの生活が伝わってきます。蜂蜜色や薄ピンクなどの淡い色の壁に囲まれたアンティークショップや陶器のお店が点在しています。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光4:カマルグ
【カマルグ種の馬】
— :rooster:伝説の生き物たち:rooster: (@legend_animal) October 20, 2017
世界最古の品種の馬。
フランス南部のカマルグ地方にいる馬で、海水を含む広大な湿地帯に放牧されています。
その姿から「海の白い馬」とも呼ばれています。 pic.twitter.com/l06IYTNTDi
アルルもしくは、マリアの伝説が残るサント・マリー・ド・ラ・メールを旅行の起点にすれば、バスでカマルグ湿地帯のハイキングコースまで向かう事ができ、サイクリングや乗馬で大自然にたっぷり浸ることも可能です。アルルと地中海に挟まれた一帯は、自然保護地域に指定された湿地帯になっています。
通常科学者や調査の目的を持った人でなければ立ち入る事ができませんが外側からバードウォッチングなどができるようハイキングコースが設けられています。カマルグの白馬は海の泡から生まれたと言い伝えられているほどで、野生の楽園を疾走している姿は本当に美しいです。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光5:法王庁宮殿
アヴィニョン歴史地区:法王庁宮殿、司教関連建造物群及びアヴィニョン橋の画像 (フランス) pic.twitter.com/J9qu4Iwjcm
— 生きている間に一度は観ておきたい風景 (@grobalseason) September 28, 2016
中世の城壁に守られた古都、アヴィニョン。ゆったりと流れるローヌ川のほとりに佇む姿はまさに絵画のような風景。法王庁がこの町に置かれていた時代の名残である法王庁宮殿やサン・ベネゼ橋など小さな町の中にも貴重な見どころが詰まっています。夏の演劇祭の時期には街全体が劇場と化し賑わいます!
アヴィニヨン法王庁宮殿は昨年訪れたけど,でっかいんだよねー pic.twitter.com/xPWQmrFkPu
— Kuny3298 (@Kuny3298) August 27, 2016
見どころは、1334年から1952年にかけて建てられたヨーロッパ最大のゴシック宮殿の法王庁。厚さ4mという頑丈な外壁で囲まれた法王庁全体の面積は1万5000㎡ととにかく大きい要塞のようです。聖堂内部はフランス革命により破壊されていますが日本語のオーディオガイドを聞きながら巨大迷路のような部屋を周ることが出来ます。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光6:ニーム
歴史と現代が交差するデザイン都市ニームにはローマの遺跡や闘技場、現代アートギャラリーや庭園、最先端のブティックやカフェが並びます。ニームという町の名前は泉の精ネモーザスに由来していて、泉が湧き出した周辺にできた町です。歴史はアルルよりも古く、フランス最古のローマ都市として知られています。
ニームは中世の頃から織物産業の盛んな町として知られていてジーンズのデニム生地もここで生まれました。コロンブスも自分の船の帆布には評判の高いニーム製の布しか使わなかったと言われています。古代闘技場では現在、演劇やコンサートが行われますが中でも闘牛はかなりの盛り上がりだそうです。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光7:ヴァンス
世界の王侯貴族に愛される土地ニースにある、ロザリオ礼拝堂で知られるヴァンスはコートダジュール独特の中世の村です。ここは、エズやサン・ポールほど観光地化されていなく人々の生活の匂いがほどよく感じられる村でもあります。村はずれには画家マティスの傑作、ステンドグラスが見事なロザリオ教会があります。
:hearts:泊まってみたい『:fr:フランス、田舎の #オーベルジュ #プチホテル:sparkles:』
— ヨーロッパ旅行:airplane:情報部 (@euro_tour) July 18, 2017
:arrow_right:https://t.co/h6aANlMKeb
サン・ポール・ド・ヴァンス「ホテル・ル・サン・ポール」 中世の村に位置する人気の5つ星ホテル。グルメレストランを併設。 pic.twitter.com/R9DFFA4Q8w
迷路のように続く中世の村の細い道の両脇には16世紀の美しい街並みが並び、贅沢な時間が過ぎていきます。実はその多くがアートギャラリーやお土産屋となっていて、並んでいるラベンダー製品や洗練されたテキスタイルの数々に驚かされます!ミロやシャガール、マティスなどの現代アート作品などもマーグ財団美術館を訪れれば、緑豊かな庭園の中で見つけることができます。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光8:トゥレットシュルル
この村はまだ観光地化されていない、穴場ともいえる絶景ポイント。コート・ダジュールにあるスミレで有名なトゥレット・シュル・ルです。南仏ではかつて敵からの侵攻を防ぐために切り立った崖や岩山の上に多く村が築かれていますが、ここも例外ではありません。その外観とは裏腹、ひとたび内部に足を踏み入れれば別世界。絵になる世界が広がっています。
村の地面にはスミレのステッカーが貼られ、古代ローマ時代から塗り薬や頭痛に効果があるお茶として服用されたスミレが村のシンボルになっています。石造りの店内にはスミレをモチーフにした陶器工房やショップ、この村ならではのスイーツであるスミレのアイスクリームが売られています。温暖なコート・ダジュールでは春から夏にかけ花が咲き乱れ、香水の原料としても活躍しています。
南仏旅行で絶景や家・アートな街並み観光9:マルシェ
かつてプロヴァンス伯爵領の首都として栄えたプロヴァンスの首都であるエクス・アン・プロヴァンスは、法と政治と学問の中心地でしたが、現在もこの小さな町は1年じゅう学生で賑わっています。画家のセザンヌはここで生まれ、死の直前まで製作を続けた彼のアトリエも残されている場所です。
エクス・アン・プロヴァンスの町の中心とも言える市庁舎前では、オベリスクの噴水を囲むようにしてフラワーマーケットが開かれ、冬でも色鮮やかな美しい花達やハーブの苗などが並びます。この他にも蚤の市や新鮮食材を扱うマルシェ、石鹸やオリーブオイルなど地元の特産品を販売するマルシェも存在し、生きた鶏も売られるなど活気があり晴れの日は大盛況のようです。
憧れの南仏旅行!大自然の絶景や家・アートな街並みを堪能
冬でも温暖な南仏の数々の名所をご紹介してきましたがいかがでしたか?南仏プロヴァンスにはオリーブや葡萄のほかにも春から夏にかけフジやひなげし、ひまわりなどが一面に咲き乱れ、並木や木陰が夏の強い日差しから守ってくれます。多くの画家たちに愛された南仏田舎の美しい風景や文化に触れ心も体も癒される旅を是非堪能して下さい。
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