生駒ケーブル(生駒鋼索線)とは？遊園地まで直行で行ける！料金は？

奈良県の生駒市を走る生駒ケーブル（近鉄生駒鋼索線）は奈良側から生駒山を登るケーブルカーです。鳥居前駅から宝山寺駅を挟み、終点は生駒山上駅。生駒山上遊園地の最寄駅として利用されています。今回は遊園地まで直行で行けるケーブル「生駒ケーブル」について、駐車場や運賃などの情報と共にご紹介いたします。

生駒ケーブルは日本最古の営業用ケーブルです。現在の近鉄生駒鋼索線の宝山寺線にあたる生駒鋼索鉄道は1918年8月29日に開業し、今日に至るまでケーブルカーを運行しています。ちなみに、日本で初のケーブルカーを走らせたといわれているのは京都府の西本願寺別邸です。自家用として二楽荘の施設間を移動するために使われたそうです。

生駒山は、奈良県と大阪府の間にある標高642メートルの山です。奈良側には宝山寺や往馬大社、大阪側には石切劔箭神社などが建立され、民家も多く立ち並びます。ひときわ目を引く塔は奈良や大阪の電波をカバーする電波塔です。山上には、生駒山上遊園地があり、奈良県と大阪府を一望することができます。

ところで、ケーブルカーといえば、観光に利用されることが多いイメージではないでしょうか？生駒ケーブル沿線は大阪府のベッドタウンとして栄え、住宅が多くあります。そのため、生駒ケーブルは通勤通学にも利用される日本でも珍しいケーブル線です。ケーブルカーには珍しく踏切が存在するのも特徴の1つです。

生駒ケーブルの駅は5つあり、2エリアに分かれています。生駒山のふもとから順番に、鳥居前駅、宝山寺駅、梅屋敷駅、霞ヶ丘駅、生駒山上駅となります。鳥居前駅から宝山寺駅は宝山寺線と呼ばれ、昔から宝山寺への参拝の際に親しまれています。宝山寺駅から生駒山上駅を結ぶ山上線は、生駒山上遊園地に訪れる際に利用されています。

鳥居前駅は各私鉄と生駒ケーブルを結ぶ駅です。近鉄奈良線や生駒線、けいはんな線の生駒駅から徒歩数分の場所に位置し、周辺の駐車場としては市営駐車場やコインパーキング等があげられます。終点の生駒山上にある生駒山上遊園地を思わせる賑やかな装飾が特徴的です。

宝山寺駅は、宝山寺線と山上線をつなぐ駅です。この駅より先に行きたいときにはケーブルカーの乗り換えが必要となります。次の駅、梅屋敷駅とこの駅の間には宝山寺というお寺があります。地元では生駒聖天さんと親しまれている宝山寺。周辺は長い石段に囲まれています。

梅屋敷駅は、宝山寺駅より宝山寺に近い駅と参拝客の間で有名な駅です。生駒山の傾斜にそって作られた階段状の駅は無人駅です。1つ下の宝山寺駅周辺と比べてあたりに民家が少なく、生駒山上駅直行のケーブルカーはこの駅には停まりません。宝山寺線と比べても人気が少なく、運行の間隔が広く設定されています。

霞ヶ丘駅は、鉄道ファンの間では秘境と呼ばれている無人駅です。生駒山山頂までのハイキングコースのすぐ横にあり、改札はありません。生駒山上駅行直行のケーブルの場合は梅屋敷駅同様に停車しません。近くに民家は無く横断する人気も少ないため、踏切も遮断機の無い形になっています。

生駒山上駅は、生駒ケーブルの終点駅です。駅から遊園地へ直行できるようなつくりになっているため、ファンシーな雰囲気。遊園地は入園料金がかからないため、駅から出るとすぐに遊園地の敷地内に出ます。行楽シーズンや遊園地のナイター営業の際には終点の山上駅への直行便が運行されています。

生駒ケーブルのケーブルカーは車体が特徴的で人気です。2000年より導入された4台のケーブルカーは動物やファンシーなものがモチーフとなっており、エリアごとに2台ずつが運航しています。行楽シーズンや昼間などは車内のアナウンスも陽気。ケーブルカー同士がすれ違う時にあいさつをする様子など可愛い仕掛けが子どもを中心に人気です。

ブルは宝山寺線で運転されている1つ目のケーブルカーです。モチーフは犬。車掌さんの帽子をかぶっていて、優しい顔のブルドッグです。後述のミケとすれ違う時は「わん」と鳴きます。童謡の「ピクニック」をBGMに鳥居前駅から宝山寺駅間を走行します。ケー「ブル」と「ブル」ドッグのダブルミーニングが名前の由来です。

ミケは宝山寺線で運転されている2つ目のケーブルカーです。モチーフは三毛猫。好奇心が旺盛で、目元にあてた青色の双眼鏡であたりを見ているミケ。ケーブルカーから一望することのできる生駒の景色を見ているのでしょうか。ブルとすれ違う時に「ニャー」と鳴くのも愛嬌があります。BGMはもちろん、童謡の「ねこふんじゃった」です。

スイートは、山上線で運転されている1つ目のケーブルカーです。お誕生日会をイメージしたケーブルカーで、ピンクが基調のバースデーケーキがモチーフとなっています。外装はラッパを吹く天使が特徴的ですが、内装もピンクでメルヘンチックな車内。後述のドレミと行き違うときにファンファーレが鳴り、拍手が聞こえてきます。

ドレミは、山上線で運転されている2つ目のケーブルカーです。音楽会をモチーフに五線譜の上を音符や鳥が踊り、リスがオルガンを弾いています。この音楽会で流れるのはドレミの歌ではなく、童謡「山の音楽家」。スイートとすれ違う時は音楽会らしい拍手で出迎えます。

生駒ケーブルでは、上記の4台「ブル」「ミケ」「スイート」「ドレミ」の他にも、めったにお目にかかることのない2台が存在します。名前は「すずらん」と「白樺」。ツートンカラーのシンプルな見た目をしています。この2台は年末年始にかけて宝山寺線で終夜運行が行われる際など特別な時に登場します。

生駒ケーブルに乗る際には生駒山のふもとにある鳥居前駅から出発される方が多いでしょう。ここでは生駒ケーブルに乗る方法についてご紹介いたします。電車をご利用の場合は生駒駅で下車し、どの改札口から出ても左に進みます。次の角を右に曲がると、ケーブルのりばの文字が見えてきます。

車でお越しの際は、市営駐車場がおすすめです。民間の駐車場やコインパーキングもあり、料金もさまざまですが駐車台数が限られてくるので注意が必要です。いずれの駐車場を利用した場合でも、交番やバスのりばの南口が目印になります。交番は鳥居前駅と同じ建物にあり1階が交番、2階が鳥居前駅となっています。

生駒ケーブルの運賃は移動区間数によって変化します。宝山寺線または山上線のどちらか1区間乗車時の運賃は大人290円、子ども料金が150円です。2区間に跨る場合の運賃は大人360円、子ども料金は180円です。片道だけでなく往復切符も販売されており、往復運賃の場合はそれぞれの運賃の2倍の料金となります。

生駒ケーブルは、宝山寺線がおよそ20分間隔、山上線は40分間隔で運行しています。宝山寺線は通勤通学時間帯には本数が増え15分に1本程度になります。鳥居駅前から生駒山上駅まで乗車する場合は、宝山寺駅で山上線に乗り変えることを考慮しなくてはいけません。

生駒ケーブルの終点駅は、生駒山上遊園地と繋がっています。生駒山上遊園地といえば、関西でテーマパークが少なくなっていくなかで復興を遂げた人気の遊園地です。その理由は絶叫マシーンがないこと。生駒山上遊園地では一番スピードの出るアトラクションが急流すべりだといわれています。

絶叫マシーンがあるテーマパークでは身長制限が多く、ちいさな子どもが楽しむのには不向きです。入場料金がいらないのもポイントです。アトラクションに乗る際には別個料金がかかりますが、子ども用には乗り物の運賃を払い、保護者は下から眺めていることができます。そんな家計に優しい仕組みも人気の秘訣です。

生駒山上遊園地は、生駒山の山頂にあるために眺めもバツグン！あまりの絶景に、人力で漕いで動かすサイクルモノレールの張り出した箇所には止まらないでくださいと看板があるほどです。夏には花火が打ち上げられることも少なくありません。小さな子どもも含めて家族3世代がゆっくり過ごせるのも人気の理由です。

最後までご覧いただきありがとうございます。今回は生駒ケーブルについて、料金や駐車場などもご紹介いたしました。ファンシーな見た目のケーブルカーですが、日頃から周辺住民の方たちに利用されている生駒ケーブル。宝山寺や終点の生駒山上遊園地に行ってみたいけど登山はしたくない。そんな方にもうってつけの乗り物です。