長町武家屋敷は金沢のおすすめ観光スポット！所要時間や料金は？

金沢の街の中心からほど近いところに位置する長町武家屋敷は、加賀藩時代の上・中流以上の武士の屋敷跡が残る地区。保存状態よく残された武家屋敷の数々が軒を連ねる通りは観光のみならずちょっとした散策にももってこいです。今回はそんな長町武家屋敷を散策する際のおすすめから料金、所要時間まで気になる情報をまとめてお伝えします。

江戸時代、金沢に居城を構えた加賀藩の城下町として栄えた金沢は、現在でも街のところどころに城下町の面影を残しています。そんな金沢の中でも石畳と土塀が続く路地に武家屋敷が立ち並ぶ長町武家屋敷地区は、かつての風情ある城下町の雰囲気を今も伝えているとして、観光地として高い人気を誇る場所となっています。

長町武家屋敷は、その名の通り細長く伸びているのも特徴です。金沢市内には全長150キロにも及ぶという用水路が敷かれており、その中の大野庄用水路と鞍月用水路との間に位置している長町武家屋敷を散策する際には、用水路沿いに散策されてみても心地よくおすすめです。

それでは早速長町武家屋敷散策へ行ってみましょう。現在でも個人が使用している屋敷が多い長町武家屋敷の中で、唯一屋敷内を見学できるようになっているのがここ「武家屋敷跡野村家」。野村家は加賀藩の藩祖であり、豊臣政権の五大老でもあった戦国大名、前田利家の直臣であった野村伝兵衛信貞の屋敷となっています。

野村家は明治維新により、建物の一部が壊されるといった苦難の時期をも経ました。しかしその後、豪商として名を馳せた久保彦兵衛の邸宅より、藩主を招く部屋として利用された「上段の間」と「謁見の間」を移築。現在の野村家では武家屋敷として当主が暮らしていた時代よりも豪華な姿を見ることが出来るようになっています。

野村家の屋内では山水画の描かれた襖やギャマンと呼ばれたガラス入りの障子など、文化財として価値ある装飾の数々を目にすることが出来ます。しかし野村家の見どころといえばなんといっても庭園。落石や曲水、雪見灯篭など伝統的な日本式庭園にみられる様式をふんだんに盛り込んでおり、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」で3位を獲得するなど、海外からも高く評価されています。

野村家ではそんな美しい庭園を見下ろしつつ、2階の抹茶室でお抹茶とお干菓子をいただくことも出来てこちらもおすすめ。歴史ある本物の武家屋敷で風情ある庭園を眺めながらいただくお抹茶とお干菓子は格別です。料金はお抹茶とお干菓子も付いて300円、また野村家入場にかかる料金は大人が550円、高校生が400円、小中生が250円となっています。

こちらの「足軽資料館」では、足軽の末裔によって1990年代まで実際に住居として使用されていた2軒の屋敷を見学できるようになっています。野村家の当主、野村伝兵衛信貞のような上流武士と比較すると、足軽はいわば下流武士。こちらの屋敷も野村家などと比較すると質素なものとなっていますが、他の街では足軽は共同住宅などで生活していたとのことで、足軽の住宅としては豪華な造りになっています。

こちらの足軽の屋敷内には人が住んでいた当時と変わらぬ設備が今も残されており、それぞれの設備には詳細な解説も添えられています。また足軽資料館では設備のみならず、当時の足軽の暮らしぶりなどについても詳細な解説が加えられており、歴史好きな方にとってはたまらないはず。入場料金も無料となっているので、ぜひ足を運んでおきたいところです。

当時の加賀藩士がどのような生活を送っていたのか暮らしぶりを知りたい、という方におすすめなのがこちらの「旧加賀藩士高田家跡」。武士らしい威厳あふれる門が特徴的なこちらでは、一部ではありますが庭園などの敷地内を見学することが出来るようになっています。ちなみにこちらでは入場料金等かからないため、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

金沢の伝統工芸品として名高い加賀友禅の美に触れるなら「長町友禅館」もおすすめです。友禅とは布を染める技法のことであり、加賀友禅は花や鳥といった絵画調の自然描写を特徴としたものとなっています。長町友禅館ではそんな加賀友禅の製作工程や歴史などを学べるほか、着装体験やさらには加賀友禅による着物を着て街を散策することが出来たりなどもするため、おすすめとなっています。

長町武家屋敷散策に疲れてちょっと休みたい、なんていう際におすすめなのはここ「長町武家屋敷休憩館」。こちらでは休憩室やお手洗いなどがある他、マップや観光パンフレットももらえるので一休みして再び散策に出かける、という際にはぴったり。さらにボランティアのガイドさんである“まいどさん”も常駐しており、“まいどさん”は手が空いていたら料金不要で長町武家屋敷を案内してくれることもあるようです。

長町武家屋敷の中心にひっそりと佇むこちらの「大屋家」は指定保存建造物にも登録されており、江戸時代の武家屋敷の姿が完全に残る貴重な建築として知られています。現在も人が暮らしているため屋敷の中を見学することは出来ませんが、門をそっとくぐると指定文化財のマークがありお屋敷についての説明等も書かれているため、そっと庭先まで除く分には問題ないようです。

歴史ある城下町の面影を色濃く残す長町武家屋敷では、そんな場所に色を添えるかのように風情溢れる昔ながらの和菓子屋さんも複数存在しています。店先には座ってお菓子をいただけるちょっとした席なども設けられており、散策の合間に立ち寄ってみるのがおすすめです。

長町武家屋敷には古くから残る武家屋敷を改装して造られたカフェもあります。その名も「似故礼」というこちらのカフェは土日祝日でも14時、平日は13時には店じまいをしてしまい、看板等も方付けられてしまうため隠れ家的カフェとしても知られています。料金も抹茶スイーツが400円からとお安くなっているため、お手軽料金で武家屋敷の雰囲気と美味しいスイーツを堪能されたい方にはおすすめです。

長町武家屋敷の近くには城下町の中としては珍しい少々変わったスポットもあります。それがこちらの「聖霊病院聖堂」。こちらは1931年にスイス人建築家によって設計された教会堂となっており、一見するとロマネスク様式のヨーロッパ風の建物となっています。その一方で柱には黒漆塗りを用いるなど、金沢らしさをも取り入れているのが特徴で、金沢市の指定文化財にも登録され、密かに人気のスポットとなっています。

長町武家屋敷を散策する際に気になる所要時間ですが、長町武家屋敷は江戸時代からの武家屋敷が並ぶ地区でありながら、現在も屋敷自体は個人宅として使用されています。そのため地区内全て散策したとしても、長町武家屋敷散策自体にかかる所要時間は1～2時間程度となっています。

長町武家屋敷の散策にかかる所要時間自体は1～2時間程度であったとしても、金沢を訪れる際には他の観光地も併せて見学されることになるかと思います。そんな場合でも、金沢の観光名所はそれぞれが比較的近い距離に位置しており、また観光名所間を運行しているバス等もあるため、全体でもスムーズに見学すれば8時間ほどの所要時間内に所要時間を抑えることが可能です。

長町武家屋敷は金沢駅から徒歩20分ほどのところに位置しておりアクセスも良好です。金沢駅からの行き方は、駅から延びる金沢駅通りを道なりに100メートルほど進み、「高崎屋」という寿司屋が見えてきたらその手前の路地を曲がります。すると長町武家屋敷へはもう一本道となっておりすぐそこです。

江戸時代から加賀藩士の城下町として繁栄してきた金沢は、今も当時の雰囲気を伝える趣ある歴史スポットに恵まれています。中でも多くの武家屋敷が軒を連ねる長町武家屋敷は美しく風情ある景観を楽しめるだけではなく、かつての日本の姿をも想像させてくれる日本人なら一度は訪れておきたい場所。そんな長町屋敷を見に、一度金沢まで足を運んでみてはいかがでしょうか。