「セララバアド」は予約が取れないほど人気！ミシュラン掲載の実力とは？

食べることの楽しさを五感で感じるとはまさにこういうことなのか、と改めて教えられる、それが代々木上原のレストラン「セララバアド」です。半年先まで予約が取れず、それ以降もキャンセル待ち以外に予約する方法がないといわれています。ミシュランが推するレストラン「セララバアド」、その人気の理由を紹介していきます。

代々木上原の閑静な住宅街の中にあるセララバアドは、シェフズカウンター2席、テーブル席14席の計16席の隠れ家的レストランです。19時きっかりに料理がスタートし、春夏秋冬、四季に合わせたコース料理が出されます。そして、その日限られた16名だけが驚きと感動を持って、五感で感じる代々木上原のレストランに出会います。

オーナーである橋本宏一氏の経歴を見ると、スペインのエルブジ、デンマークのノーマといった世界最高峰のレストランで修行し、前職はマンダリンオリエンタル東京タパスモラキュラーバー料理長、そしてセララバアドでミシュランガイドの三ツ星を獲得と折紙付きの実績が目につきますが、彼が目指すのは料理に対する飽くなき探究心です。

東京カレンダーが主催するレストランオブジイヤー2015が開催され、掲載された1000店舗の中から審査員の満場一致で見事一位に輝いた東京代々木上原のレストラン「セララバアド」。分子ガストロノミーという言葉を初めて耳にする人も多く、またその料理が日本でも食べられるとあって、将来の期待も込めて受け入れられたということです。

橋本シェフに関しては、色々と形容されていますが、彼が評価されるもの、それはモダンガストロノミーを気軽に、をコンセプトにしているというとおり、世界中の美食家だけの領域にあったポストモダン料理を誰もが気軽に食べれる領域まで持ってきたところにあります。そして子供心の感性を持って自然というストーリーを提案しています。

分子ガストロノミーの料理の調理方法を紹介する動画です。ガスバナーに火をつけてスモークを送り込み、容器の中に蓋をしてそのままテーブルに出されます。ゲストが蓋を開けると、まるで魔法の玉手箱のように容器の中からスモークが立ち上がります。味覚だけでなく、視覚と嗅覚に訴える料理です。

セララバアドが提案するのは、スペインのエルブジやデンマークのノーマが作り上げたポストモダン料理に日本文化の感性を取り入れている点にあります。それは、ひとつには懐石料理にもその原点を見ることができ、例えばお寿司は酢飯と魚と醤油がひとつになり口の中で完成する。つまり料理は最終的に口の中で完成するという考察です。

例えば「鯛茶漬け」と題された一口スプーンで出てくる料理は、セララバアド独自の解釈で日本を代表する鯛茶漬けをポストモダン的に表現した作品です。鯛茶漬けも口の中で料理が完成するという代表的な日本の庶民的食べ物ですが、その混ざり合うという大事なコンセプトをワクワクする楽しさで表現した至高の逸品となっています。

料理を楽しむ上では、その場にいる雰囲気というのは非常に大事な要素のひとつです。特に大事なのはそこで流されるBGMとしての音楽です。セララバアドが妥協しない点のひとつ、それが聴覚としての料理です。季節毎、シーン毎、色んな出会いの場面毎それぞれに合った音楽が添えられ、ゲストそれぞれに満ち足りた空間が生まれます。

季節毎のシーンに合った音楽を聴くのは、当たり前の話であって、さらにその場面毎にこだわりを見せるのがセララバアドならではの音の演出です。牛肉に添えられた薪が爆ぜる音を「このパチパチいう音はノイズじゃないんです」と子供のように笑いながら語る橋本シェフ。どれもが絵本の世界を連想させ、誰もが無邪気な大人になります。

決して絢爛豪華で高級感溢れる雰囲気ではなく、それでいて洗練された北欧風のデザインを取り入れているのがセララバアドの造りです。きわめてシンプル、きわめて簡素化され、スタイリッシュな空間に身を置くと、どこかしら友人宅にでも招かれたかのような寛いだ気持ちになり、華やいだディナーになりそうな予感を感じさせます。

飾らない、気取らないデザインで店内統一されたセララバアドは、ドレスコードもありません。思い思いのカジュアルな服装で出掛けましょう。シンプルで落ち着きのある北欧風デザインの店内と家具は、そんな日常の中に溶け込む普段着がよく似合います。普段着で代々木上原でランチをするなら、セララバアドのランチがおすすめです。

セララバアドに出てくる料理には、食材以外の自然の素材を使ったものがふんだんに使われます。時には落ち葉であったり、石ころであったりします。「朝露」と題された作品では、梅昆布茶のカプセルが蓮の葉の上に置いてあり、まさに自然の情景そのままに表現されます。蓮の葉を手に取り触れることで鮮やかな情景が浮かびます。

「イネバナハモン」と題されたこちらの作品。ジュニバーベリーとメイプルシロップ、松の葉を使ったピザ生地にオリーブの実をつけて北海道十勝の生ハムを巻いたものです。巻いてある生ハムやオリーブの実を枝から取って食べると、子供の頃に、野や山へ遊びに行った記憶を呼び戻してくれて、自然と触れ合うことの喜びを教えてくれます。

宮沢賢治の作品「学者アラムハラドの見た着物」にセララバアドが登場します。物語の中の先生と生徒の会話のところで、先生が「鳥が空を飛ぶように、人がその本質でなさずにいられないことは何か」と聞くと、生徒であるセララバアドは「人は本当のいいことが何だかを考えないでいられないと思います」と答えます。

橋本シェフがエルブジで学んだもの、それは料理の技術ではなく「Honesty」だと言います。人がその本質でなさずにいられないこと、人は本当のいいことが何だかを考えないではいられない、それは人として全てにおいてHonestyであること。そうした考えがこのセララバアドという店名の言葉に込められています。

セララバアドはコース料理のみです。ディナーが主で、土曜のみランチがあります。料理のスタート時間は決められていてランチが13時、ディナーが19時スタートです。ランチはディナーのコースを凝縮されたメニューです。ランチだけでも充分堪能できますが、ランチでは物足りない方にはディナーコースをどうぞ。

ミシュランガイドの三ツ星というのは、どれぐらいの評価なのかというと「それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理」とミシュランガイドに書いてあります。セララバアドがオープン後1年を待たずに、このミシュラン三ツ星レストランに推され得るに足る料理技術と美味しさと料理を味わう楽しさを持っている所以です。

代々木上原にあるレストラン「セララバアド」は、予約を取ることは非常に困難です。まずはキャンセル待ちから始めてみて見ましょう。電話をしてキャンセル待ち希望を伝えると受付してくれます。そしてキャンセルが出次第連絡があります。当日来れますか、とかになる場合が多々です。これは今の人気状態からして仕方のないことです。

ランチメニューの予約も殺到し、さらに予約困難になっているセララバアド。予約を取る一番の方法、それは電話をしてキャンセル待ちをひたすら待ち続ける以外に今のところはない状況です。セララバアドの電話を登録しておいて、キャンセル待ちの電話が来たら何はさておいてまず電話に出ること、そして行きますと答えることです。

ミシュランガイドの三ツ星レストラン代々木上原の「セララバアド」は、気軽にカジュアルに肩肘を張らずに行くことをおすすめします。いまは、ランチメニューも出来て、キャンセル待ちの困難さも徐々に解消されるかも知れません。ここは無邪気な大人達の寛ぎの空間です。さああなたもセララバアドの物語に触れてみませんか。