今城塚古墳（高槻市）で歴史を勉強！埴輪や継体天皇の謎について調べよう！

今城塚（いましろづか）古墳は、大阪府高槻市にある前方後円墳です。6世紀前半につくられ、継体（けいたい）天皇のお墓だといわれています。2011年に史跡公園として一般開放されました。公園に隣接する歴史館とあわせて、「いましろ 大王の杜」として親しまれています。今回は今城塚古墳の謎からアクセス方法までご紹介いたします。

今城塚古墳の特徴は、なんといっても埴輪祭祀場です。広場にずらりと200体ほどの埴輪が並び、その迫力は日本の兵馬俑といわれるほど。埴輪というと、人形のものを想像するかもしれませんが祭祀場にある埴輪のモチーフはさまざま。家をかたどったものや鳥・馬・牛など、当時の生活を見て取ることができる埴輪が復元されています。

復元されているのは形だけではありません。埴輪は元来、亡くなった者の魂を鎮めるための儀式で使用されたものだといわれています。今城塚古墳公園にある埴輪祭祀場では、約1500年前の儀式の風景が再現されています。鎮魂の儀に即した埴輪の大きさや配置にし、これだけの規模を誇るものは日本では今城塚古墳だけでしょう。

観賞用としても圧巻の祭祀所の埴輪ですが、今城塚古墳公園ではその埴輪とふれあえるのも魅力の1つです。人の形をした埴輪でも、力士の形をしたものや武者の形をしたもの、巫女や鳥飼を象ったものなど近づいて見るとより一層楽しむことができます。そのうえ、触れるのもOK。子どもだけでなく大人も楽しめること間違いなしです。

今城塚古墳公園には、埴輪祭祀場以外にも埴輪が多く並びます。例えば、濠を囲む堤の一部にも円筒型の埴輪が多数並べられています。当時は濠を円筒型の埴輪でぐるりと取り囲んでいたと考えられており、6000点にも及んだとされています。現代より更に多く並べられていたと想像すると感慨深さも一入です。

今城塚古墳は誰でも登ることの出来る古墳です。通常の天皇陵は、宮内庁によって管理されているため立ち入ることができません。しかし、今城塚古墳では前方後円墳の丘に登ることができるようになっています。お墓の上に登るのはどうかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、丘の下に死者を埋葬した石室はありません。

今城塚古墳の石室は、1596年の伏見地震によって崩壊したとされています。地滑りの影響で、石室や中にある3つの石棺などは消滅したと考えられています。雨水に石室が耐えられるように作られた排水溝や、重い石室を支えた基盤など当時の最先端技術による建築がなされていたことがわかっています。

今城塚古墳は、その時代の最先端建築技術を用いながらも当時の伝統的な古墳建築の方法も取り入れられている古墳です。そのことは、造出（つくりだし）という部分に現れています。造出では、供物をささげるなどの儀式が執り行われていたのではないかと考えられています。

造出は、前方と後円の境のくびれの場所に造られています。前方後円墳を思い浮かべる際には鍵穴の形を想起する肩も少なくないのではないでしょうか。今城塚古墳は、よく見るとくびれの部分に四角の突出した部分があります。これが、造出です。造出を取り巻く濠には、壺などの須恵器が発見されています。

今城塚古墳には、石棺が3つありました。しかし、先述の伏見地震によって失われてしましました。そこで、石棺を市民と再生するイベントが執り行われました。石棺はそれぞれ、遠方の地より運んできた石材で作られていました。また、埴輪祭祀場にある柵型の埴輪もイベントによって再現されています。

複製だけでなく、石棺を千人がかりでひっぱるイベントも開催されました。今城塚古墳公園の整備が終わった現在でも、古墳とアートがコラボしたイベントなど数多くのイベントが行われています。眺めるだけではなく、触ったり遊んだり楽しんだりと体験の出来る史跡公園として地元の人に広く愛されています。

古墳とは、有力者のお墓のことをさします。大きければ大きいほど有力者の力をものがたります。今城塚古墳は6世紀前半に作られました。全長181メートル、幅15メートルと当時の日本で最大規模を誇る前方後円墳で、お墓の主の力の大きさがうかがえます。そのため、今城塚古墳は継体天皇陵であるといわれています。

継体天皇は第26代天皇で6世紀前半に活躍しました。今城塚古墳の制作年代と合致するため、考古学の面でも現在は今城塚古墳は継体天皇のお墓であるという説が有力です。しかし、宮内庁では継体天皇陵は大阪府茨木市にある「太田茶臼山古墳」（おおだちゃうすやまこふん）だとされています。

太田茶臼山古墳は、今城塚古墳から西に1.5km程の場所にある前方後円墳です。全長は226メートルにもわたり、日本でも有数の巨大さを誇ります。太田茶臼山古墳が継体天皇陵だとされたのは、1700年頃のことです。今も、宮内庁によって「三嶋藍野陵」（みしまのあいののみささぎ）として保護されています。

最近では、太田茶臼山古墳は継体天皇陵ではないとするのが有力な説となっています。太田茶臼山古墳は5世紀中ごろに築造されたと考えられています。継体天皇は6世紀前半に活躍した天皇であるため、歴史的見地からすると符号が合致しません。しかし、これほどの規模の古墳であることから有力な人物のお墓であることは違いないでしょう。

今城塚古墳の近くには、多くの古墳があります。太田茶臼山古墳だけでなく、弁天山古墳や岡本山古墳、番山古墳や郡家車塚古墳、闘鶏山古墳や太田茶臼山古墳、前塚古墳や昼神車塚古墳など大小さまざまな古墳が群財します。上記の古墳だけでなく、高槻市から茨木市にかけて500基以上の古墳はまとめて三島古墳群と呼ばれています。

今城塚古墳についてもっと知りたい方には高槻市立今城塚古代歴史館がおすすめです。歴史館の入場料は無料。特別展や企画展が開催されているときは有料の場合もあるようです。開館時間は午前10時から午後5時までで、入館は4時30分までとなっています。休館日は祝日でない月曜日や祝日後、年末年始となっています。

今城塚古代歴史館では、今城塚古墳のことだけでなく三島古墳群のことを知ることができます。複製物だけでなく、三島古墳群の出土品も展示されています。ワークショップでは勾玉を作ったり、土器片を触ることができたりと歴史を知るだけでなく触れ合える試みが随時開催されている歴史館です。

住所:大阪府高槻市郡家新町48-8 電話番号:072-682-0820

今城塚古墳へのアクセスは、公共交通機関が推奨されています。電車からアクセスする場合はJR摂津富田駅か阪急富田駅が最寄駅。市営バスからアクセスする際には、JR高槻駅からも便利です。JR摂津富田駅や阪急富田駅からは、2種類のアクセス方法があります。奈佐原行きのバスに乗った場合は「今城塚古墳前」で降ります。

関西大学・萩谷・萩谷総合公園行きに乗った場合は「氷室」で降車します。JR高槻駅からのアクセスは、北の6番のりばからJR富田駅経由奈佐原行きのバスに乗車し、「今城塚古墳前」で下車します。今城塚古墳前で降車すると、今城塚古墳はすぐそこ。氷室で降車した場合は、今城塚古墳からは少し離れていて徒歩8分ほどの距離となります。

健康志向の方にはハイキングがおすすめです。JR摂津富田駅より今城塚古墳までは徒歩30分ほどで到着します。距離は1900メートルほど。今城塚古墳公園までの道中8か所には案内板が設置され、高槻市のゆるキャラ「はにたん」と共に地図や距離が記載されています。黄色い案内板を目印に、歴史散歩にくりだしてみるのはいかがでしょう？

今城塚古墳へ車でアクセスする際、駐車場は今城塚古代歴史館の駐車場を利用することができます。35台ほどのキャパシティーで、歴史館開館時のみ開場されています。駐車場は無料で利用することができます。国道171号線今城町の交差点を北へ800メートルほど進み、清福寺の交差点を左に曲がり3つ目の信号を左折すると駐車場があります。

最後までご覧いただきありがとうございます。大阪府高槻市にある今城塚古墳は、古墳と触れ合えるのが魅力の史跡公園です。諸説は有りますが、継体天皇陵説が有力です。実際に触れる埴輪が並ぶ埴輪祭祀場は子どもから大人まで圧巻されること間違いなし。歴史好きもそうでない方も、触れて登れる古墳のロマンに触れてみてください。