桜の名所「三春滝桜」観光ガイド!
日本には桜の名所が数多くありますが、中でも福島県にある三春滝桜は圧巻の見応えで毎年多くの観光客が訪れる人気スポットです。今回は、三春滝桜観光の前にチェックしておきたい三春滝桜の開花時期や見頃に加え、ライトアップ期間やアクセス方法などの情報をたっぷりお伝えします。また、三春滝桜とあわせて楽しみたい三春滝桜の子孫桜もご紹介します。
「三春滝桜」とはどんな桜?
三春滝桜(みはるたきざくら)は、福島県田村郡の里山に立つ桜の木です。品種はエドヒガンザクラの一種であるベニシダレザクラで、高さ13.5m、根回り11.3mというどっしりとした巨木。枝張りも立派で、幹を中心として北側は5.5m、東側は11.0m、南側は14.5m、西側は14.0mと、近くで見るとその大きさに圧倒されます。
三春滝桜の周囲には柵があるため枝の真下まで行くことはできませんが、近くから三春滝桜を見上げるとまるで上から桜の滝が落ちて来るようです。三春滝桜の樹齢は1000年から1200年と推定されており、気が遠くなるほど長い年月をかけて成長を続けていたことが分かります。
三春滝桜はその美しさから、絵画のモデルにも起用されています。例えば、赤坂サカスBizタワーのエスカレーターの壁一面に描かれている陶板絵「四季樹木図」は、夜空に浮かび上がる満開の三春滝桜が描かれています。手掛けたのは千住博画伯。そして、皇居宮殿の正殿松の間に描かれている杉戸絵「櫻」は橋本明治画伯の手によるものです。
三春滝桜は日本三大桜の一つ
三春滝桜は日本三大桜の一つに数えられています。日本三大桜とは、大正時代に国の天然記念物に指定された3本の桜の銘木のことを指します。福島県の三春滝桜の他には、岐阜県本巣市の「根尾谷淡墨桜」、そして山梨県北杜市の「山高神代桜」です。
よくあるお花見スポットのように桜並木や桜の群生ではなく、1本の桜の木が圧倒的な存在感で人々を魅了している日本三大桜。3本いずれの桜も、見頃にはその美しい姿を一目見ようと遠方からたくさんの観光客が訪れています。
開花につれて色が変化する「根尾谷淡墨桜」
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)は開花から散り際までの間に花の色を変えるエドヒガンザクラです。つぼみの時は淡いピンク色で、開花が進むにつれて次第に白く変化していきます。そして散り際にはその名の通り薄墨色へと変化し、毎日でも眺めたくなる不思議な魅力のある桜です。
根尾谷淡墨桜の樹齢は推定1500年余りと言われています。樹高は16.0m、幹囲は9.9m、枝の張りは東西27.6m、南北25.0mにも及ぶ堂々たる姿は見応え十分。桜の開花シーズンはもちろん、冬に雪をまとった根尾谷淡墨桜の姿も趣があり、こちらも見頃の一つと言えます。
日本最古の桜「山高神代桜」
山高神代桜(やまたかじんだいざくら)は、山梨県北杜市の実相寺にある桜です。こちらも品種はエドヒガンザクラで、推定樹齢は1800年から2000年と言われる日本最古の桜です。国の天然記念物に指定された当時の大きさは、樹高13.6m、根回り13.5m、枝の張りは東西27.0m、南北30.6mでしたが、一時は病気や盛り土による樹勢の衰えを見せたこともありました。
山高神代桜と言えば、2008年から2009年にかけて国際宇宙ステーションで無重力状態での植物の発育実験が行われた際、山高神代桜の種がサンプルに使用されたそうです。地球に帰還後その種は無事に発芽し、発芽からわずか2年という異例の速さで開花しました。この桜は「宇宙神代桜」と呼ばれ、山高神代桜と同じ実相寺で公開されています。
三春滝桜の開花時期と見頃
日本三大桜の一つである三春滝桜を見に訪れる観光客にとって、三春滝桜の開花や満開となる見頃の時期は気になるものです。桜の開花と見頃の時期は、前シーズンの気候も関係しているため正確に予想することは難しいですが、2018年から過去9年の三春滝桜の開花日および満開となった日のデータが公開されているのでチェックしてみましょう。
2010年から2018年までの9年間で最も開花が早かったのは2018年の4月2日。次いで開花が早かったのは2015年と2016年の4月4日です。最も開花が遅かった年は2012年で、4月23日でした。開花が宣言される頃の桜の状態は、枝の大部分で濃いピンク色のつぼみがふくらみ、遠くから見るとまるで小さな桜が咲いているかのようにも見えます。
2010年から2018年までの9年間では、三春滝桜は開花後2日から4日経って五分咲きとなり見頃を迎えています。そして、五分咲きとなってから1日から3日後に満開が宣言されて本格的な見頃に。満開から3日から5日経つと散り始めとなります。五分咲きから散り始めまでを見頃とすると、見頃はおよそ1週間前後続くといえます。
三春滝桜の開花情報は、三春まちづくり公社のホームページにアップされます。桜の開花前から葉桜となるまでほぼ毎日更新されるので、観光で訪れる予定の人はチェックしておくのがおすすめです。また、日本気象協会のホームページでは日本全国の主要な桜の名所の開花予想や見頃の情報が公開されています。
三春滝桜のライトアップは必見!
夜空に浮かび上がる三春滝桜も必見です。三春滝桜は見頃の時期にライトアップが行われ、たくさんの観光客がその美しさを眺めたり写真に収めたりしています。ライトアップの期間は開花状況に合わせて変わり、2018年は4月14日から22日までの期間ライトアップが実施されていました。ライトアップ点灯の時間は18時から21時までとなっています。
三春滝桜のお花見のポイント
三春滝桜の周囲には柵があるので、桜の木の下にレジャーシートを敷いてお花見、というわけには残念ながらいきません。三春滝桜のある広場には散策路が設けられていて、お花見をする人はその道に沿って三春滝桜の近くまで進んでいきます。
三春滝桜の正面にたどり着くには初詣さながらの行列に並ぶことになりますが、周囲には視界を遮るものがないので並んでいる間も写真撮影などを楽しむことができます。
三春滝桜の根元には三春神明宮という小さなお社があります。これは三春地域の中心にある三春神明宮から勧請されたものと言われています。三春滝桜は江戸時代の三春藩主から大切にされてきたことから、三春藩の総社である三春神明宮を建てて三春滝桜を守る目的があったと考えられています。
また、三春滝桜駐車場の近くには屋台が出店しており、福島のご当地グルメやお土産などを購入できます。広場にはソメイヨシノや菜の花も咲いていて、のんびり散策しながらお花見を楽しむのがおすすめです。
三春滝桜の観桜料金と時間
三春滝桜を鑑賞するには料金がかかります。観桜料は1人300円で、中学生以下は無料となっています。観桜料がかかる期間は開花宣言をした日の翌日から散り終わりの頃までで、例年葉桜の頃には無料となるようです。また、観桜料がかかるのは6時から18時までの間で、ライトアップ期間中は20時30分までに入場するようにしましょう。
住所:福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296番地
三春滝桜へのアクセス方法1:公共交通機関
三春滝桜へ公共交通機関を利用してアクセスする場合は、JR磐越東線「三春駅」からタクシーまたはバスを利用します。JR三春駅へは、郡山駅から2駅、およそ12分で到着します。
三春滝桜の見頃の時期には福島交通バスが臨時直通バス「滝桜号」を運行していてアクセスが便利に。滝桜号は1日何回でも乗り降り自由のフリー乗車券を購入するシステムになっていて、料金は大人1000円、中学生700円、小学生350円となっています。大人料金には観桜料も含まれています。なお、SUICAなどのIC乗車券は利用できません。
三春駅前から運行している臨時バス「滝桜号」は、三春滝桜の開花時期には毎日1時間に1本程度の間隔で運行しています。三春駅から三春滝桜までのアクセスにかかる所要時間は約20分です。
三春滝桜へのアクセス方法2:車
三春滝桜へ車でアクセスする場合に注意しなければならないのは渋滞です。三春滝桜の最寄りのインターは、磐越自動車道郡山東ICもしくは船引三春ICで、いずれも道路が空いている場合の所要時間は20分程度です。しかし、三春滝桜が開花すると道路は一気に混雑し、場合によっては3時間以上かかってしまうこともあるのだとか。
渋滞に巻き込まれずに三春滝桜へアクセスするなら、朝8時頃の到着を目指して出発するのがおすすめです。三春滝桜が混雑してくるのはお昼前からで、午後から来る人はライトアップの時間までゆっくり過ごす人も多いので駐車場が空くチャンスも少なくなります。
三春滝桜では無料の駐車場が利用できます。駐車場の収容台数は850台で広々としていますが、駐車場へアクセスする車が混雑し、スムーズに入場できないこともあるそうです。また、駐車場周辺では渋滞緩和のために交通規制や係員の誘導が行われているので、指示に従って運転するようにしましょう。
三春滝桜へのアクセス方法3:シャトルバス
渋滞に巻き込まれずスムーズに三春滝桜へアクセスしたい人には、無料シャトルバスがおすすめです。福島交通が運行する無料シャトルバスは、三春町運動公園と三春滝桜の間を往復運転しています。三春町運動公園の駐車場にマイカーを停めて、無料シャトルバスに乗り換えて三春滝桜へ向かう人も多いです。
無料シャトルバスは三春滝桜の開花中は毎日運行していて、運行間隔は平日30分間隔、土日は15分から20分なので待ち時間も少なくおすすめです。運行時刻は8時から21時過ぎまでなので、ライトアップが終わってもシャトルバスを利用して帰ることができます。
三春滝桜の日帰り観光ツアーもおすすめ
三春滝桜と共に福島の桜の名所巡りを楽しみたい人には、日帰り観光ツアーもおすすめです。見頃のシーズンには各旅行会社が日帰り観光ツアーを企画しているのでチェックしてみましょう。
一例として、郡山駅を出発して上石の不動桜、忠七桜、五斗蒔田桜、紅枝垂地蔵桜を巡った後に三春滝桜を鑑賞。三春滝桜の広場で昼食をとり、その後三春町内散策や温泉などを楽しむツアーなどがあります。
三春滝桜の子孫1:紅枝垂地蔵ザクラ
三春滝桜から枝分けされた三春滝桜の子孫たちも、福島県の各地で美しい姿を誇っています。「三春滝桜の娘」と呼ばれる「紅枝垂地蔵ザクラ」は、三春滝桜の南にある1本桜です。樹齢はおよそ400年で、花は三春滝桜よりも濃いピンク色をしていますが、長く枝垂れた枝ぶりは親譲り。
紅枝垂地蔵ザクラの下には、その名の通り小さな地蔵堂があります。この地蔵堂では、古くから赤ちゃんの短命や夭折を逃れるための願掛けがよく行われていたそうです。紅枝垂地蔵ザクラは郡山市の天然記念物に指定されています。
住所:福島県郡山市中田町木目沢岡ノ内
三春滝桜の子孫2:福田寺の糸桜
福島県二本松市の福田寺には、「福田寺の糸桜」という三春滝桜の子桜があります。樹齢はおよそ300年で、樹高20.0m、幹回り5.0mという立派な姿です。花の色は三春滝桜よりもやや濃いピンク色をしていて、枝が広がり過ぎないスマートな樹形が特徴です。
福田寺の本堂前には大きな桜の木がもう1本ありますが、福田寺の糸桜は駐車場の脇の道路沿いに立っているので間違えないようにしましょう。「福田寺の糸桜」は福島県緑の文化財に指定されています。
住所:福島県二本松市東新殿字大久保174
三春滝桜の子孫3:合戦場のしだれ桜
福田寺の糸桜から小分けされた「合戦場のしだれ桜」は、三春滝桜の孫に当たる桜です。福田寺の糸桜からほど近い国道459号線沿いにあり、八幡太郎義家と安倍貞任、宗任が平安時代に「前九年の役」という合戦を繰り広げた場所であることからその名がつきました。
樹齢はおよそ180年。枝垂れた枝の間から幹をよく見ると桜の木は2本あります。重なるようにして立つ姿は「大林の夫婦桜」とも呼ばれています。
合戦場のしだれ桜はライトアップも楽しめます。市民団体手作りの照明によるライトアップに加え、満開の頃には舞台照明のプロによる豪華なライトアップが行われます。舞台用照明20台が4方向から照らし出す合戦場のしだれ桜は、桜の色もより鮮やかなピンク色に見えて人気があるそうです。
この他にも、三春滝桜から枝分けされた子孫たちはたくさんあります。お花見シーズンには三春滝桜ファミリーを巡るドライブに出掛けるのもおすすめです。
住所:福島県二本松市東新殿字大林地内
三春滝桜を見に福島へ行こう!
日本三大桜の一つ、福島の「三春滝桜」をご紹介しました。樹齢1000年を超えるという荘厳な姿は、遥か昔から見る人を圧倒し、そして魅了し続けてきました。青空に映える三春滝桜も、ライトアップで夜空に浮かび上がる三春滝桜も、写真ではなくぜひ五感で堪能してみてはいかがでしょうか。