アイスクリームの種類を調べよう
アイスクリームと言えば、夏はもちろん、年中食べたいスイーツの一つです。最近では季節限定の味なども出ていて、新しい味を見つけることを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、アイスクリームの種類や、どんな特徴があるのかということについて紹介します。
そもそもアイスクリームとは?
ところで、そもそも「アイスクリーム」とはどのような食べ物なのでしょうか。アイスクリームというのは、牛乳などを原料とし、凍らせて作った食べ物です。しかし、牛乳などをただ凍らせてもアイスクリームはできません。アイスクリームを作るためには「撹拌」という作業が必須なのです。
アイスクリームを作るためには、牛乳などを冷やしながら「撹拌」します。撹拌することで空気が含まれ、クリーム状になります。これを凍らせることで、いわゆる「アイスクリーム」ができるのです。ちなみに「ソフトクリーム」はアイスクリームの柔らかいものを言います。
なぜソフトクリームは柔らかくなるのかというと、アイスクリームは原料を混ぜたミックスと空気を混ぜたものをいったんフリーザーで凍らせます。この状態で出すとソフトクリームになります。さらにこのフリーザーで凍らせたものをマイナス20度以下に冷却して固めるとアイスクリームになるのです。
アイスクリームの歴史
ちなみにアイスクリームはいつごろから食べられていたのかというと、その起源はなんと紀元前にさかのぼるのだそうです。有名なユリウス・カエサルやアレクサンドロス大王が乳や蜜に氷や雪を加えて飲んでいたという説もあるのだそうです。しかしこのころのアイスクリームは疲れた体を元気にする「健康食品」として食べられていたようです。
しかし、アイスクリームに必須の「食べ物を凍らせる」という技術が生み出されたのは、それからだいぶ後の16世紀初頭になります。そして16世紀中ごろになると、これまた有名なメディチ家のためにアイスクリームの原形と言われるセミフレッドのズコットが作られたそうです。さらに1720年にはパリのカフェでグラス・ア・ラ・シャンティが売り出され、これが商業的に最初に生まれたアイスクリームとされています。
日本で初めてアイスクリームを食べた人は、1860年に咸臨丸に乗ってアメリカを訪れた使節団(遣米使節団)の人々だと言われます。この使節団のメンバーだった町田房蔵が、出島松蔵という人物から製法を教わって、1869年に横浜馬車道通りに「氷水屋」で「あいすくりん」を製造・販売しました。これが日本初のアイスクリームということになります。
アイスクリームのおいしさの秘密
牛乳などをただ凍らせるのではなく、撹拌して空気を含ませること、これこそがアイスクリームのおいしさに大きくかかわります。アイスクリームは凍っているにもかかわらず、なめらかな味わいです。それはアイスクリームに含まれた空気や脂肪が泡や粒子のような状態になっていて、これが独特の口当たりを生みだすのです。
この空気や乳脂肪分の泡や粒子が、アイスクリームの中には均一に含まれています。アイスクリームを口に入れると、なめらかな口当たりとともにすうっと溶けていくのはこのアイスクリームの組成によります。この含まれる空気の量は、アイスクリームの口当たりの違いにつながるので、どんな味の商品を作るのかによって空気の量を変えることで、その味にあったおいしいアイスクリームを作り出しているのだそうです。
アイスクリームの種類1:アイスクリーム
アイスクリームの作り方について確認したところで、それではアイスクリームの種類の違いについて紹介していきましょう。実は一口に「アイスクリーム」と言っても、日本ではアイスクリームは大きく分けて3つの種類に分けられています。その基準は含まれる乳脂肪分の量に関係しています。
日本の場合、食品衛生法にもとづく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」と「食品、添加物等の規格基準」の2つの法律があり、これによって基準が決められています。乳脂肪分の量によって「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」に分けられ、これが広い意味での「アイスクリーム」となります。製品区分では「アイスクリーム類乳製品」に分類されます。
日本の基準では、「アイスクリーム」は「乳固形分15.0パーセント以上 うち乳脂肪分8.0パーセント以上」のものと定められています。乳脂肪分というのは生クリームや無塩バターなど、乳固形分というのは脱脂粉乳や脱脂練乳などの形で加えられています。アイスクリームには乳脂肪以外の脂肪分は添加できないきまりとなっています。
アイスクリームの種類2:アイスミルク
アイスミルクは「乳固形分10.0パーセント以上 うち乳脂肪分3.0パーセント以上」のものを言います。アイスクリームに比べると乳固形分も乳脂肪分も少なめです。とはいっても、乳成分の量は牛乳と同じくらい含まれます。乳脂肪分が少ないため、パーム油などの植物性油脂が加えられていることもあります。
アイスクリームの種類3:ラクトアイス
ラクトアイスは「乳固形分3.0パーセント以上」のものを言います。ラクトアイスの「ラクト」というのはラテン語で「乳」を意味する言葉です。乳固形分はアイスミルクよりもさらに少ないため、植物油脂などを使いアイスクリームの風味を出している商品もあります。
アイスクリームの種類4:氷菓
これらに対して、いわゆる「氷菓」は「アイスクリーム類乳製品」ではなく「一般食品」の扱いとなります。定義の面で大きな違いと言えるのは、「アイスクリーム類乳製品」はあくまでも「乳又はこれらを原料と」するものですが、氷菓は「乳」を原料とする規定がありません。糖液や他食品を凍結したものが「氷菓」となるのです。
したがって氷菓には、乳固形分や乳脂肪分が必ずしも含まれるとは限りません。ただし、アイスクリーム類の乳固形分や乳脂肪分の量は、あくまでも「パーセント」なので、実際に使われていても比率が少なければ氷菓になる場合もあります。しかし一般的には乳固形分はほとんど含まれていないことが多いです。
アイスクリームの種類5:シャーベット
アイスクリームや氷菓と同じように親しまれているものにシャーベットがあります。シャーベットは果物などから作ったシロップを水で薄めて、氷を入れた冷たい飲料を意味するアラビア語、もしくはトルコ語を語源に持ちます。したがって種類としては氷菓に入るものが多いでしょう。
アイスクリームの種類による違い1:乳脂肪分
それではそれぞれの種類によりどのような違いが出てくるのかについて紹介します。まずはアイスクリームの種類を決めるポイントである乳脂肪分の違いがどのように影響するのかから見ていきましょう。
前述したように、狭義のアイスクリームの場合、「乳固形分15.0パーセント以上 うち乳脂肪分8.0パーセント以上」のものと決められています。つまり、アイスクリームはアイスミルク、ラクトアイスに比べて乳脂肪分が多いということになります。
この乳脂肪は、アイスクリームのボディを形成する役割があります。乳脂肪分が多いほどミルクの風味やコクが強くなり、まろやかな風味ときめ細かなアイスクリームの食感を作り出すとされています。一方で乳脂肪分が多くなると空気を含みにくくなるために硬い食感になります。
また、無脂乳固形分は空気を含みやすくし、味にコクを与えます。しかしこれも多すぎると含まれた乳糖が結晶化するため、食感がざらっとしてきます。ですから乳脂肪分と無脂乳固形分を上手に組み合わせることで、空気を適度に含んだ、食べやすいアイスクリームができるのです。
アイスクリームの種類による違い2:味
このような乳脂肪分が含まれる比率の違いは、アイスクリームの味に影響を与えます。一般的にアイスクリームに分類される商品はコクがあり、ミルクの風味が強く感じられるタイプのものが多いとされています。また、素材重視の商品が多く、ちょっと贅沢な気分で食べられるアイスクリームとして人気がある商品が多いようです。
それに対して、アイスミルクやラクトアイスなどは乳脂肪分がアイスクリームに比べて少ないため、ややあっさりした味わいの商品が多い傾向にあります。食事の後のデザートにさっぱりしたものが食べたいといった時には、アイスミルクやラクトアイスなどに分類される商品が人気のようです。
さらに氷菓になると、乳脂肪分や乳固形分などがほとんどないため、ミルクのクリーミーさやコクはありません。しかしフルーツなどのジューシーさや氷の食感が感じられることから、アイスクリームよりもさらに冷たさや爽快感が感じられます。夏に特に人気が高くなる商品が多いです。
アイスクリームの種類による違い3:カロリー
アイスクリームは好きだけど、カロリーが気になるという方は多いのではないでしょうか。アイスクリームは冷えた状態で食べるものなので、常温の食品に比べて甘みを感じにくいのです。そのため、糖分の比率が高いのが特徴となります。糖分にはショ糖やブドウ糖、水あめなどさまざまな種類があります。
糖分には単に甘みをつけるだけではなく、種類によってさまざまな働きがあります。たとえばブドウ糖を多めにすると清涼感を感じるようになりますし、水あめ以外の糖には凝固点を下げる効果があるため、アイスクリームを凍結しにくくし、ミルクの味わいを強く感じさせる効果があります。これらをうまく組み合わせて、人気の味わいを作り出すのです。
アイスクリームには乳脂肪分が多いためカロリーが高い、氷菓は乳脂肪分が少ないためカロリーが低いと考えがちですが、乳脂肪分の量がそのままカロリーの数値に反映されるわけではありません。例えばラクトアイスでもミルク感を強く感じさせたい場合、植物油脂を多めに入れている場合があり、そういったものは意外と高カロリーだったりすることもあります。
ですから、アイスクリームを食べたいけどカロリーが気になるという場合は、それぞれの商品に書かれている表示を実際に確認して選ぶことをおすすめします。なお、前述したように氷菓には乳脂肪分がほとんど含まれないので、比較的低カロリーなものが多い傾向にあります。商品を選ぶ時に参考にするとよいでしょう。
ちなみに、アイスクリームには乳脂肪分や無脂乳固形分が含まれるため、それに由来してカルシウムが含まれます。「日本人の食品摂取基準」によると、日本人が1日に摂るべきカルシウム量に対し、実際の摂取量は不足していると言われます。アイスクリーム一個を毎日摂ると、この不足分が補える程度の量が摂れると言われるので、カロリーを考えつつ、うまく取り入れるのがおすすめです。
アイスクリームの種類による違い4:値段
それでは、アイスクリームの値段は、種類による違いはあるのでしょうか。スーパーなどで販売されている商品は、人気のものなどが安売りになることもあるので、チラシなどをチェックして安売りになった時に高級な商品を購入しているという方も多いかもしれません。
前述したように、アイスクリームに分類されるものは乳脂肪分のみが加えられ、しかも比率が高いです。また素材にこだわっているものが多いため、ラクトアイスなどに比べると値段は高めの場合が多いようです。高級アイスクリームとして人気の商品はアイスクリームに分類されるものが多い傾向にあります。
一方ラクトアイスは乳脂肪分を含まなくてもよいため、植物油脂などを使っていることが多いです。そのため原料のコストがアイスクリームよりも少なくて済むため、お手頃価格の商品が多い傾向にあります。ラクトアイスの人気の一因には、手軽においしいアイスクリームを楽しめるという点もあるのです。
アイスクリームの種類による違い5:季節
アイスクリームの人気は、季節による違いも大きい要因です。アイスクリームというと夏の食べ物と思いがちですが、あるアイスクリームメーカーが2016年に調査したところ、なんと98パーセント以上の方が「冬にもアイスを食べたい」と答えたとのことです。もはやアイスクリームは四季を問わず人気のスイーツとして定着しつつあると言えるでしょう。
一般的にアイスクリームが最も売れるのは、気温が22度から27度の間くらいだと言われます。暑ければ暑い程アイスクリームは売れると思われがちですが、気温が30度を超えるようになってくると、むしろ冷たい飲み物などが人気となる傾向にあるのだそうです。
したがって、アイスクリームの売れ行きも、気温によって人気の種類に変化が見られます。真夏などで気温が高い時期は体自体を冷やそうと考えるため、さっぱりと食べられる氷菓やシャーベット、ラクトアイスなどの売れ行きが高くなります。前述したように、値段も比較的手頃で、体をクールダウンできるラクトアイスや氷菓は、夏にぴったりの商品と言えるでしょう。
一方、気温が低い時期はアイスクリームが溶けにくく、ゆっくりと味わって食べるのに適した季節と言えます。そんな時期には濃厚な味わいを楽しむことができるアイスクリームの人気がぐんとあがります。暖房の効いた部屋で、アイスクリームをゆっくり味わうのは至福のひとときと言えるのではないでしょうか。
種類を選んでおいしいアイスクリームを楽しもう
今や日本人の生活に欠かせないスイーツであるアイスクリームは、その成分の違いによってアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓などの種類に分かれます。それぞれ味わいや値段などに特徴があり、その時の気分で好みのものを選ぶことができるようになっています。ぜひ適した種類のものを選んで、おいしいアイスクリームを味わいましょう。
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