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歴史的地に聳え立つドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂
ドイツ西部に位置する大きな大聖堂といえば、まずケルン大聖堂を想い浮かべる方が多いですが実はドイツの世界遺産を語るうえで欠かす事のできない最古の大聖堂が、ヴェストファーレン州に位置するアーヘン大聖堂。元々小さな礼拝堂でしたが、この地をこよなく愛したカール大帝によってこの大聖堂は建設されました。一体どんな大聖堂なのでしょう?
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘンの起源
アーヘンはドイツ中央部にあり、べルギーとオランダの国境に隣接した最も西に位置しています。紀元前3世紀からローマ人達がここを温泉地として利用し、その後ゲルマン民族の一派であるフランク族が移動してきてこの地に定住、ドイツ語のAhha(アーハ)という名前に変わりました。アーハはラテン語のアクア(水)に由来します。
古代ローマ帝国時代は、ローマ人達が温泉保養地として発展させてきた場所であり、アーヘンは水と鉱水を意味するラテン語名の「アクアエ・グラン二」と呼ばれていました。この町はその時代から現在でも変わらず温泉保養地として有名。フランク族のカール大帝はアーヘンがとても気に入りここをフランク王国の都にして晩年多くの時間を過ごしたそうです。
790年ごろから800年ごろにかけて建設されたアーヘン大聖堂は北部ヨーロッパでも最古の聖堂。936年から1531年までのおよそ600年の長きにわたり、30人以上もの神聖ローマ帝国の皇帝達がここで戴冠式を執り行いました。さらにカール大帝の墓所もある事から「皇帝の大聖堂」とも呼ばれ、町のシンボルとして当時の誇りを今に伝えています。
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘンとカール大帝
「カール大帝」はヨーロッパの父と謳われたフランク王国の君主。800年にローマ帝国の戴冠を受け西ローマ帝国を継承しました。数々の戦争によりイギリス(ブリテン島)を除く現在のEUにあたる地域のほとんどを勢力下に納めたカロリング朝フランク王国の偉大な王です。彼の征服によりギリシャ・ローマ文化が西欧地域に広まる事になりました。
つまりは、それが現在のヨーロッパを形造るための礎となっていったわけです。トランプの裏に描かれたハートのキングのモデルになった人物が、このカール大帝という説もあります。カール大帝の軍団の要となったのは当時最強の騎馬兵団。それらを率いて、毎年のように彼は各地に遠征を行っていたそうです。
814年にカール大帝が亡くなると、彼は自身の愛した大聖堂に埋葬され特別な神殿に保存されました。アーヘン大聖堂は一千年以上の時を経て現在の装いへと変化を遂げています。この聖堂の中心は宮殿教会、建設当時は古典主義様式、ゲルマン様式、フランク王国様式の要素を備えたアルプス以北でも最大のドーム建築でした。
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘンの町を歩こう
歴史ある観光地アーヘンの見どころは旧市街に集中しているので、歩いて十分回る事が出来ます。旧市街へはバスが走っていますが、アーヘン中央駅から歩いて徒歩15分ほどで到着します。駅を背にして斜め右に延びるバーンホフ通りを進みテアーター通りで左折。突き当たりにそびえる私立劇場を越えて右に進むとインフォメーションセンターがあります。
観光について詳しい情報がもらえるインフォメーションセンターのある場所がフリードリヒ・ヴィルヘルム広場。(ドイツ語ではFriedrich-Wilhelm-Platz)インフォメーションセンター角を曲がると、大聖堂(Dom)の塔が見えてきます。アーヘンの町を観光する際の見どころはこの周辺に固まっていて、飲んで効く温泉の出る建物がいくつかあるのが特徴です。
見どころはカール大帝が礼拝堂として建設した八角形の丸屋根を持つアーヘン大聖堂と、聖堂の西側に位置する宝物館です。ここにはカール大帝の大きな金の胸像など、帝国の栄光が偲ばれる品々が並んでいます。チロル地方の木彫りの聖像、18世紀から19世紀の絵画コレクションがある美術館やロココ時代の家具が置かれる博物館も見逃せません。
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘンまでのアクセス
アーヘン中央駅には、べルギーのブリュッセルとドイツのケルンとを結ぶ特急列車ICEが多く運行していて、パリやブリュッセル方面へ向かう高速国際列車タリスも停車します。ドイツのフランクフルト空港からアーヘンへアクセスする場合列車が早朝から夜9時頃まで34分の間隔で運行しています。アクセスにかかる時間は2時間40分。最短で1時間50分です。
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘンの最寄り空港
成田・羽田からフランクフルトへの飛行時間は直行便のルフトハンザで11時間45分。全日空と日本航空では12時間15分ほどかかります。ヨーロッパ各国の空港から飛行機でフランクフルト空港までアクセスする場合1時間はかかります。アーヘンへはデュッセルドルフやケルン、ボン、ブリュッセル空港などがアクセスする際の最寄り空港になります。
デュッセルドルフ空港からアーヘン中央駅にアクセスする場合は直通の鉄道REが便利でしょう。所要時間は1時間30分で1時間に1本運行しています。料金は22ユーロほどで駅の販売機もしくはDBのホームページからチケットが入手出来ます。デュッセルドルフ空港には駐車場が多数あり空港のウェブサイトから予約が可能、車でのアクセスも便利です。
アーヘン大聖堂のある観光地!アーヘン大聖堂の内部
ヨーロッパの主要な教会は、ゴシック様式で建てられているものが多いですがアーヘン大聖堂の初期の部分はゴシック様式が確立されるよりも前の建造物のため今まで見てきたものとは異なるところも多いでしょう。一般の教会とは異なった独自の建築様式である古典主義・ビザンティン・ゲルマン・フランク様式が楽しめるのがアーヘン大聖堂の魅力です。
大聖堂の内部に足を踏み入れると、天井や壁面を覆う繊細で美しいモザイク画に目を奪われ、黄金色に輝くモザイクの豪華さと細やかさに息を呑みます。中心部に設けられた高さ32メートルもの8角形ドームの眺めは圧巻。この数字にも特別な意味があり、中世キリスト教の世界で8は復活を意味する数です。ガラスの家と呼ばれる礼拝堂も必見です。
住所 | Domhof 1 52062 Aachen |
電話番号 | 0241-477-090 |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光1:エリーゼの泉
ライン河畔の都市ケルンから西へ向かうこと約40キロメートル、鉄道を利用すれば1時間もかからずに行けるのがドイツで最も西に位置する町アーヘンです。アーハ(水)という名前の通りアーヘンの町はローマ人が入植する前から温泉を中心とする集落が存在し、現在もドイツのバーデンバーデンと並ぶ温泉保養地です。
温泉保養地であることを象徴するかのように、アーヘンの広場や街角を散策するとメルヘンな噴水や飲泉所が目に止まります。アーヘンの街角にある泉には名前が付いていてその1つがエリーゼの泉。その他人形の泉を始めとして様々な仕掛けのあるものや可動式のものまで歴史の世界や物語を演出しているかのようです。
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光2:宝物館
アーヘン大聖堂の外へいったん出て、右側のトイレの前に目を向ければ宝物館への道標があります。大聖堂を出て右側にそのまま進みエリアを抜けたところで右に曲がると左手にドムインフォメーション、その向かい側に宝物館が位置しています。このドムインフォメーションのホームページからも宝物館のチケットを購入する事が可能です。
アーヘン大聖堂と宝物館両方を見学する方は、このドムインフォメーションでセットのガイドツアーを申し込む事も可能。大聖堂には地下室を始め普段は見学ができない場所も存在するそうですがツアーでなら足を踏み入れる事の出来る場所もあり、ここの宝物館にはカール大帝の腕の骨や頭蓋骨の収められている黄金の像、キリスト教関連の宝物があります。
住所 | Aachen Cathedral Aachen Germany |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光3:美術館
アーヘン市立ズエルモント・ルートビッヒ美術館へは、アーヘン旧市街を横断していく形で進んでいきます。アーヘン旧市街には歩行者天国も多いため比較的歩きやすく、散策もしやすくなっています。買い物客で賑わい、衣服や靴、おしゃれな雑貨などのお店も多く点在しますが高級品は少ないようです。
ズエルモント・ルートビッヒ美術館ではほぼ全ての荷物をロッカーへ預けます。館内は写真撮影禁止。受付を済ませ中へ入ると新収蔵品・寄託品展などが行われています。ここに展示されているのはブリューゲルの父によって製作されたと言われる「鳥罠のある冬景色」、祭壇画、象牙の作品や木彫りの聖像が並んでいます。
住所 | Wilhelmstrasse 18 52070 Aachen |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光4:博物館
アーヘンの町の市庁舎から歩いてほど近い場所に位置しているのが、クーヴェン博物館。ここが開館されたのは1950年、各部屋ごとに18世紀ロココ調の家具や調度品が展示されておりアンティーク好きには必見の博物館。当時のアーヘン市民文化が分かるようになっており、アーヘン出身の建築家ヨハン・ヨゼフ・クーヴェンに由来しています。
それというのも実際にこの博物館で見学できる展示品はクーヴェン兄弟が収集したものだからです。このロココ調シティーハウスの展示室では、ファヤンス焼きや陶器とガラスも組み合わさり、ロココ様式から擬古典主義とナポレオンのアンピール様式、ビーダーマイヤー様式まで広範囲にわたる展示品を見る事が出来ます。
住所 | Huhnermarkt 17 52062 Aachen |
電話番号 | 0241-432-4421 |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光5:大聖堂
歴史あるアーヘン大聖堂の見どころは、高さ25メートル、総面積1000平方メートルを超える壮大で美しいステンドグラス。ほの暗い空間の中でまばゆく輝くステンドグラスはとても緻密で、厳粛な気持ちになります。大きな貴石の数々で飾られた豪華な説教壇も見応えがあり、ビジュアルの伝えるイメージや装飾に目を奪われます。
古代後期から中世に至るまでの聖遺物を始め、ヨーロッパ屈指の教会財宝が保存されている併設の宝物庫も見ておく価値が十分にあります。宗教絵画や美術に興味のある人は是非、宝物庫も訪れて見るのがおすすめ。歴史と美しさを物語るアーヘン大聖堂の真の姿を一度目の当たりにすれば建築的にも特別な大聖堂であり続けてきた事が理解できるでしょう。
住所 | Munsterplatz 52062 Aachen |
電話番号 | 0241-477-090 |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光6:市庁舎
アーヘン大聖堂から広場を挟み正面にアーヘンの市庁舎が存在します。オーディオガイドは残念ながら現在は廃止されているそうですが内部は部屋が見学用に整備され、英語のパンフレットを片手に見て回れるようになっています。1350年、神聖ローマ帝国の皇帝ルートヴィヒ4世と市役所の取り決めにより王宮と市役所2つの機能を持つ建物として完成します。
この市庁舎は帝国自由都市であったアーヘンの行政の場、そして戴冠式の際のセレモニーの会場となったフェストザールの両方を備えていました。火災や戦争による爆弾の被害を受けますが1979年に現在の市庁舎に落ち着いたようです。ここは、800年に居城として計画されたのが始まりのため内部のフレスコ画や白の間、赤の間、議会の間がとても見事です。
住所 | Markt 52062 Aachen |
ドイツの世界遺産!アーヘン大聖堂や町を観光7:ノビス
ドイツの町アーヘンには、スパイスとはちみつをたっぷり使った「プリンテン」という名物の焼き菓子があります。これはヨーロッパのお菓子にありがちなどっしりとした重みと甘さの多いお菓子ではなく、濃い紅茶によく合う素朴な焼き菓子で、ナッツやドライフルーツが入ったものなどバリエーションも豊かなお菓子です。
街の中心地には沢山の専門店が並び様々なプリンテンがショーウィンドウを飾っています。サイズが色々あるのは勿論、形もバラエティーに富んでいるのでお土産を選ぶ間も楽しめるでしょう。その専門店の1つが、ノビス(ミュンスター・プラッツ店)と呼ばれる1858年から続く老舗。アーヘンは馬術競技で有名な事もあり、馬のお菓子も並んでいます。
住所 | Pontstraße 96 52062 Aachen |
電話番号 | 0241-968-000 |
時間がとまったかのような歴史ある中世の町を散策
ケルンから日帰り観光も可能な中世の歴史に彩られた町、アーヘンへのアクセスやローマ時代から続く歴史、カール大帝と大聖堂、日本からのアクセスや歴史と由緒ある観光名所、名所へのアクセス、鉄分やミネラルを含む泉をご紹介しました。最近飲むのは禁止されているようですが、その他温泉施設も利用したい方はカルロス・テルメンへどうぞ。
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