徳島県はお遍路の旅の始まりの地
四国八十八か所をめぐるお遍路の旅をする人にとって、徳島はとても特別な場所です。なぜなら徳島は八十八か所の第1番札所である霊山寺があるからなんです。ここはお遍路のスタート地点ともいわれ、多くのお遍路さんがいるお寺でもあります。
霊山寺が第1番札所になった訳
霊山寺は天平年間(729年から748年)に聖武天皇の勅願寺として行基が開基したと伝えられています。その後に四国を巡っていた弘法大師がここで21日間の修法を行って釈迦如来を感得、その姿を刻んで本尊としました。その際に寺名を竺和山霊山寺と命名して、阿字五転(発心・菩提・涅槃・ 利他)の法則に従って四国霊場第一番の札所と定めたとされています。
遍路の旅は第1番札所霊山寺からスタート
霊山寺では第1番札所としての役割の他、これからお遍路の旅をスタートさせる人のためにお遍路についての基礎知識を教えてくれる場所でもあります。お寺周辺のお店には様々なお遍路グッズが販売されており、あらかじめ準備をしなくてもその場でお遍路の装備を揃えることができます。
遍路の旅は徳島から!遍路の基礎知識
遍路とは弘法大師の足跡をたどる旅のこと
そもそも遍路とはただお寺を巡る旅というわけではなく、弘法大師の足跡をたどる旅を意味します。もともとは修行僧たちが四国全体を修行の場として、大師の足跡を辿ったことが始まりとされています。江戸時代の初期には「四国遍路」という言葉が定着し、民衆にも大師の足跡をたどる旅を行う人が増えて今日に至ったともいわれているのです。
現代の遍路の目的は人それぞれ
お遍路の旅は何か特定の理由がないと始めてはいけないという決まりはありません。目的は人それぞれで、健康祈願や学業成就、自分探しの旅として行う人もいるようです。古くはお遍路は修行の一環だったようですが、現代では何かの祈願や目的をもった長い旅といった風に変化しているのです。
遍路は外国人にも大人気
数々の札所を巡るお遍路は、今や世界的にも有名な文化として知られています。海外のガイドブックでも紹介されているようで、世界中からお遍路の旅に出るために始まりの地である徳島を訪れています。そんな海外からのお遍路さんをもてなすために、四国では日本語だけでなく外国語で案内が表示されていたりガイドマップを用意している場所もあるんですよ。
遍路の旅は徳島から!遍路の服装とアイテム
お遍路さんといえば、その特徴のある服装にも注目したいですよね。最近ではお遍路さんの服装をしない人も増えてきているようですが、ひと目でお遍路をしているとわかる服装も根強い人気です。ここでしかできないファッションのひとつなので、せっかくなら服装もお遍路さんらしく揃えてみましょう。
お遍路さんの服装に必須の3つのアイテム
お遍路さんの服装で必須のアイテムといえば、険しい道のりを歩くために必要な金剛杖。そして日差しをよけることができる菅笠。最後にお遍路さんのマストアイテムともいえる白衣です。その他にも足袋や草履などこだわったお遍路さんルックで足袋をするもよし、白衣の上着だけや金剛杖や菅笠だけといった変則的なスタイルで巡っている人もいます。自分に合ったスタイルでお遍路さんの服装を上手に取り入れてみましょう。
服装以外に持っておきたいアイテム
お遍路の旅には他にも持っておきたい重要なアイテムが沢山あります。巡礼の際の略礼服である半袈裟や輪袈裟、参拝の際や手を合わす際に手にしておきたい数珠などは基本ですよね。他にも黒書・ご朱印を頂くための納経帳や経本、本堂や大師堂の納札箱に収めたりお接待のお礼としてお渡しする納札も必須アイテムです。お遍路の旅が始まる前にこれらを用意しておくのがいいでしょう。
遍路の旅は徳島から!遍路の交通手段と順路
四国八十八か所すべてを巡ると、歩きで約1200kmという途方もない距離だと言われていてすべて徒歩で歩くには相当な時間と労力がかかります。徒歩の場合は札所の順番も考慮しないと、かえって距離が遠くなったりもするので効率的な順路の探索は必須!お遍路マップやホームページを活用して、無駄のない参拝順路を見つけましょう。
電車や路線バスを使って、効率良くお遍路
電車や路線バスが利用できるようになった現代では、徒歩だけでなく公共機関を効率よく利用してお遍路をする人も増えてきています。徒歩で回りきるほどの時間が取れる人は一握りですし、大型連休を使ったとしても回りきれるとは限りません。場所によっては徒歩でも過酷な道がありますので、体力に自信がない人はこういった公共機関を利用して無理のないお遍路をしましょう。
自転車、バイク、車でお遍路
より自分らしくお遍路がしたい人や、家族や友人、ペットと一緒に札所を回りたいという人もいます。そういうの中には自転車やバイク、車を利用してお寺をめぐる手段を取る人もいるようです。これらのメリットは自分で順路や時間配分が決められるところ、公共機関の営業時間外でも旅ができる所です。ペットと一緒にお遍路をしている人は、車なら車中泊をすればペットといつでも一緒にいられるというメリットもあるんですよ。
ツアーバスで団体客として一気に参拝
自分で順路を決めたり、公共機関の時間を調べたりしたくない。そんな人には四国の札所を回ることができるツアーバスがおすすめです。バスに乗っているだけで札所に着きますし、専門の添乗員が参拝の仕方などを教えてくれます。
遍路の旅は徳島から!札所での参拝
お遍路では八十八か所の札所での参拝方法が決まっています。厳密にこれでなくてはいけないというわけではありませんが、基本の手順については知っておきたいですよね。札所に入る前にまず門前で合掌、一礼します。次に両手と口を水で清め鐘を突いたら、本堂にある納札箱に納札をおさめます。本堂でろうそくやお線香、お賽銭をあげてお経を読みます。これを大師堂でも同じように行いましょう。最後に納経帳や掛軸、白衣に黒書やご朱印をいただき、門前で合掌、一礼して参拝は終了です。
遍路の旅は徳島から!お接待について
四国では古くからお遍路さんに食べ物や飲み物をふるまったり、宿や休憩所を提供したりする「お接待」とよばれる風習があります。これはお遍路さんは大師様と同じとされており、お接待をすることで大師様への功徳や巡拝の委託になるという考え方からくるものなのです。このためお接待を受けたら基本的には断ってはいけません。ありがたく頂戴した後、お礼として自分の納札を差し上げるのが習わしとされています。
遍路の旅は徳島から!徳島の札所の数
徳島は第1札所がある場所としても有名ですが、県内に札所が23か所あり全ての札所の約1/4が集まっていることになります。このため徳島にある札所をいかに効率的に回るかが、お遍路の旅をスピードアップさせる秘訣でもあるのです。徳島にある札所はほとんどが内陸にあるので、順路によっては23番札所まで海を見ることはできずひたすら山道を歩くことになります。
遍路の旅は徳島から!徳島の札所の総距離
徳島にある札所を全て回ると、距離にしておよそ230kmあると言われています。これは八十八か所の距離の1/5で、かなり長い道のりだということが分かります。順路によっては引き返すようなこともあるので、実際の距離はこれよりも長くなることもあるでしょう。
遍路の旅は徳島から!遍路ころがしとは?
遍路がころがるような険しい道のこと
徒歩でいくお遍路の道には「遍路ころがし」とよばれる、距離が長く悪路が続く難所と呼ばれる場所があります。名前の通り遍路がころがるような坂道が続いたり、心を打ち砕かれるような長距離を歩くことになります。四国八十八か所の札所の中にはそんな遍路ころがしがいくつもあり、旅の安全のために遍路さんの間で情報共有がされています。
四国最大!12番札所焼山寺への道
徳島にもそんな遍路ころがしと呼ばれる場所が存在し、なんと四国の中でも1番の難所だと言われている場所なのです。そこが12番札所である焼山寺で、11番札所の藤井寺からの距離なんと12.5km!さらにその道は険しく山を3つ超える必要があることから、歩くと5~6時間は覚悟しなければなりません。当然コンビニや売店などはないので、道中の水分や食料の確保も必要があり登山と同じような気分になる道のりでもあります。
遍路ころがしの道中で出会う一本杉大師
過酷だと言われている12番札所焼山寺への遍路ころがしの道のりですが、悪い部分ばかりではありません。天然記念物となっている左右内の一本杉は、弘法大師が焼山寺へ向かう途中で仮眠をし夢で阿弥陀如来が現れたという場所。大きな杉の根本には奉納された大師様が佇んでいます。焼山寺への険しい山を上ってこないと出会えない、大変貴重な場所です。
徳島からお遍路の旅をスタートさせよう
徳島はお遍路を始める人にとっての玄関口のような存在です。何かの願掛けで始める人や、旅行や思い出作りとして友人や家族と始める人もいるでしょう。お遍路は四国では歴史のある神聖な文化なので、旅を始める前にはまずお遍路の知識や作法、マナーを理解しておきましょう。そして自分のスケジュールで順路を決めて、価値のあるお遍路の旅を徳島からスタートさせてみませんか?
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