初心者でも簡単にできる?!ヒラメの締め方を徹底解説
せっかくヒラメを釣り上げたのに、家に帰って食べてみたら何か美味しくないという経験をしたことがありませんか。ヒラメを美味しく食べるには、釣りあげた後に適切な締め方を実践する必要があるのです。この記事では、初心者でも簡単にできるようなヒラメの正しい締め方をご紹介します。
ヒラメを締める2つのメリット
釣りをしていると釣りに慣れた方が釣りあげた魚を適切に締めているのを目にします。魚を締めるというのは、簡単に言うと魚を即死させるという意味で、残酷なように聞こえますが、せっかく釣った魚を美味しく食べるためには不可欠な手段なのです。
メリット①:鮮度が保てる
ヒラメを締める一番のメリットは鮮度が保てることです。魚は釣りあげられたとき、なんとかして逃れようと必死に抵抗をします。もちろんヒラメも例外ではなく、体をひねって暴れます。
このときにヒラメを暴れるに任せておくと、さまざまなところに体をぶつけるので傷がついてしまったり、うっ血してしまいます。そこで適切な締め方をするとヒラメが暴れなくなるので、傷が最小限に留められるのです。
ヒラメなどの魚は生で食べることが多いですが、腐りやすいのが難点です。そんな腐りやすいヒラメなのに、暴れて体に傷がついてしまったらそこから微生物が入り、腐敗の原因になってしまいかねません。
また、死んでしまったヒラメは、もともとヒラメの体内にいた微生物が血液を通じて身にも入り込んでしまい、腐敗を進めます。これらを防ぐために、正しい締め方をしたり、血抜きをしたりするのが大変有効になるというわけです。
メリット②:味や歯ごたえの質が上がる
ヒラメを正しい締め方で締めるメリットは、その鮮度だけではありません。実はヒラメをはじめとする魚は、ストレスを感じると味が落ちてしまうのです。
魚の身には、運動に必要なアデノシン三リン酸という物質があります。これは、魚が呼吸をする際に作られ、筋肉を動かすためなどに不可欠な物資です。そしてこのアデノシン三リン酸は、魚の旨みの元にもなっています。
しかし、アデノシン三リン酸は、魚が暴れたり、ストレスを感じるとどんどん減少してしまうのです。釣りあげられたヒラメが長くストレスを感じれば感じるほど、旨みが減ってしまうのはこのためです。
特にヒラメはその繊細な白身が美味しい魚ですが、白身は少しの味の違いも感じやすいです。ほかの魚よりもさらに正しい締め方が求められるのはこのような理由があるのです。
ヒラメの締め方は大きく分けて3種類!
ヒラメを美味しく食べるには、とにかく正しい締め方をし、ストレスをかけずに即死させる必要があり、ヒラメをどこで釣っているのか、自宅までどれぐらいの時間がかかるかによってどのような締め方をするか選ぶのが一般的です。
ここからは一般的に行われているヒラメの締め方を3種類ご紹介しましょう。どの締め方もヒラメ用の特別な用具は必要ありませんので、ぜひ色んな締め方を試してみてください。
ヒラメの締め方①:氷締め
ヒラメに限らず、多くの魚に使える締め方が氷締めです。氷締めは最もシンプルで簡単な締め方で、釣れた魚を氷を入れた水に入れて凍死させるという締め方です。
氷締めはナイフやハサミを必要としないので周囲が汚れることもありませんし、処理に時間もかからないので、初心者にも挑戦しやすい締め方です。
また、イワシやキスなどの小さい魚を釣る場合は、一匹ずつ処理すると時間がかかってしまいますので、この締め方を採用することも多いです。
ヒラメの締め方②:活け締め
ヒラメの締め方として次にご紹介するのは活け締めです。活け締めは、ナイフやハサミなどを使ってヒラメを即死させる締め方で、場合によっては血抜きするところまでを含めて活け締めと呼びます。
ヒラメの活け締めの手順は後でご紹介しますが、魚によって締め方が異なりますので、狙っている魚がある場合は事前にナイフやハサミを入れる順序を調べておくと慌てなくてすみます。
ヒラメの締め方③:神経締め
最後にご紹介する方法は、神経締めと呼ばれる締め方です。これは、ヒラメの脊髄を壊すことで仮死状態にするという締め方です。
この締め方をするとヒラメは仮死状態になりますので、心臓はまだ動いていますが体は動きません。暴れて体を傷つける心配もいりませんし、ストレスも感じないのです。
また、ヒラメは死んでしまうと死後硬直が始まりますが、この締め方だと体は柔らかい状態を長く保てますので、血抜きがやりやすくなるというメリットがある締め方でもあります。
ただし、気を付けたいのがヒラメを数時間後食べる場合には、この締め方はおすすめできないという点です。魚の旨み成分は熟成されていくものですが、この旨み成分は死後硬直が始まってから生成されるのです。
神経締めしたヒラメは、約24時間以降に死後硬直が始まりますので、食べるのがそれ以降の場合におすすめの締め方と言えるでしょう。
神経締めには、ヒラメの脊髄まで届くようなワイヤー状の器具が必要となります。簡単ですから自作もできますし、釣具店でも広く扱われています。魚の神経に沿ってワイヤーを差し込む必要がある締め方ですので、狙う魚によってワイヤーの長さが異なります。
ヒラメを締める・血を抜くのに欠かせない道具
次にご紹介するのは、ヒラメを締めるのに欠かせない道具です。ヒラメ専用の道具というのは特になく、ナイフもハサミもどの魚にも使えるような一般的な道具を使用すれば適切な締め方ができます。
しかし、ヒラメは体がかなり大きめの魚ですので、どの締め方を採用するにせよ、なるべく大きくて丈夫な道具を使用しましょう。
道具①:ナイフ
ヒラメを正しい締め方で締めるのに欠かせないのはナイフです。氷締めをするのであれば必要ありませんが、釣りの際には1本携帯しておくと便利に使えます。
ナイフは、家庭用の一般的な包丁やナイフを使う方もいらっしゃいますが、釣り専用の丈夫なナイフを準備しておくのがおすすめです。足場の悪いところで使用しても安全なように刃が収納できるように設計されているためです。丸洗いできるナイフだと、衛生的にも安心です。
道具②:ハサミ
船の上など、揺れるところでヒラメを締めるのであれば、怪我の恐れが低いハサミを使うのもおすすめです。ハサミはナイフよりも細かい作業がしやすいですし、釣りの初心者でも慣れるのが早く、どんな締め方でもスムーズに行えます。
家庭用のキッチンバサミもありますがあまりおすすめはできません。釣り用具店などで売っている水産加工用のハサミを準備しておきましょう。
固い骨や皮などを切ることを想定されて設計されているので、段違いにパワーがあるほか、海水などでハサミが濡れても耐久性が高いためです。
道具③:クーラーボックス
魚の締め方というと、ハサミやナイフのことばかり考えがちですが、締めた後の持ち運びに関しても考えておかなくてはなりません。ヒラメを正しい締め方で即死させても、その後に適切な温度で保存し、持ち運ぶにはクーラーボックスが不可欠です。
クーラーボックスを選ぶときには、その保冷力が大切です。外気温31度で30時間、外気温35度で40時間などの表示がありますので、どれぐらいの時間持ち運ぶかを想定して選びましょう。ただし、キンキンに冷やせばよいというわけでもありません。冷やしすぎにも注意をしましょう。
また、ヒラメを持ち運ぶときに大切なのがクーラーボックスのサイズです。どの締め方をしても、締めた後の魚は体を折り曲げないように収納しなければなりません。
特にヒラメは大型の魚ですので、最低でも35リットル以上、できればそれより大きなサイズのクーラーボックスにする必要があります。
ヒラメを締める手順
ここからは実際のヒラメの締め方を、氷締め、活け締め、神経締め別にご紹介しましょう。どの締め方を選ぶかは、初心者かどうかや、釣りをしている環境などにも左右されますが、ヒラメの味の好みにも大きく左右されます。
とにかくヒラメの歯ごたえを楽しみたい方には神経締めという締め方がおすすめですし、旨みを十分熟成してからが好きという方には活け締めという締め方がおすすめです。
ヒラメを釣ったらいろんな締め方を試してみて、自分の好みに合った締め方を見つけ出すのも釣りの一つの楽しみです。
氷締めの場合
ヒラメに限らず、魚の締め方で一番簡単なのが氷締めです。魚が小さすぎて血抜きが面倒だったり、魚の数が多いときにおすすめの締め方ですが、ヒラメにも使える締め方です。
用意するのはクーラーボックス、氷、塩水です。水は自宅から持っていく必要はなく、海水を汲めばよいので現地で調達できます。氷締めをする際に気を付けたいのが、クーラーボックスには氷を直接入れないという点です。
氷の入った水にヒラメを直接入れると、身に水が入ってしまいますので、食べたときに水臭くなってしまうのです。氷はビニール袋に入れてから海水に浮かせるようにしましょう。ペットボトルに水を入れて凍らしておいたり、保冷剤を使用するのもおすすめです。
海水に袋に入れた氷などを入れ、約30分ほど置いておくと氷締めの準備は完了です。ヒラメが釣れたらどんどん入れていけば、氷締めは完成です。
活け締めの場合
ヒラメは大型の魚ですので、ハサミやナイフを使って活け締めしやすい魚でもあります。初心者でも簡単にできますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ヒラメを釣ったら、まな板などの平らなところに裏返しにしておきましょう。表は砂のような色をしていますが、裏は真っ白ですので見分けは簡単です。
そして、ヒラメのエラの付け根のところをハサミやナイフでしっかり切り込みます。脊髄を断つことで体を動かないようにするのが目的ですので、エラから上に向けてナイフを入れるのがポイントです。この後の血抜きをしやすくするために、尾びれの付け根部分にも切れ込みをいれておきます。
ヒラメを裏返したときぐらいから、ヒラメはかなり暴れますので、しっかりと手で押さえて作業をしましょう。念のために手袋を着用しておくのもおすすめです。
神経締めの場合
ヒラメを神経締めするには、ピックとワイヤーを準備する必要があります。まずは、ピックで脳を狙って目打ちをしましょう。ヒラメの脳は、眉間の奥に位置していますので、ヒラメの表を上にし、目から目の半分後ろの部分にピックを刺します。
そして、目打ちをした穴からワイヤーを差し込みます。背骨に沿って神経があるので、ワイヤーの先端部分が背骨に当たったらそれに沿ってワイヤーを入れていきましょう。
ワイヤーの先が尾まで到達したら神経締めは完了です。ゆっくりとワイヤーを抜き、塩分濃度1パーセント前後の氷水に入れて、芯熱を取ります。
ヒラメを締めた後は血抜きも忘れずに
ヒラメを締めたあとに忘れずにしたいのが血抜きです。ヒラメの体内に残った血は、そのままにしておくと腐敗の原因になってしまいますし、臭みも発生します。
特に白身のヒラメは丁寧な血抜きをするかどうかで味も大きく違ってきますので、まだ心臓が鼓動しているうちに血抜きをするのがおすすめです。
ヒラメの血抜き:手順
ヒラメを締めた後、特に活け締めをした後には血抜きを忘れずにしたいものです。手順も簡単なので、初心者でもそれほど時間をかけずに行えます。
ヒラメを裏返し、エラの付け根にナイフやハサミを入れて動脈を切ります。膜があるのでそれを狙えば簡単で、動脈がしっかりと切れたら血が大量に流れてくるので分かりやすいです。
可能であればヒラメの口からホースを入れ、中に水を流し込むと血抜きのスピードが上がります。そして、海水を入れたバケツやクーラーボックスの中にヒラメの頭を下にして入れ、ヒラメの体を振ったり、曲げたりして血をしっかりと抜きます。
ヒラメの体から流れ出る血が少なくなり、ヒラメのエラの色が真っ赤からピンク色になってきたら血抜きは完成です。
ヒラメの血抜きが終わった後の注意点として、水や氷に直接触れないようにするということが挙げられます。ヒラメの身が水などに触れると、身が痛んでしまったり、ふやけてしまい、味や食感が落ちてしまいます。
ヒラメの釣りの際、現地で血抜きをするのであればクーラーボックスの底にスノコを敷いておき、その下の氷を敷き詰めておくと漫勉なく身を冷やしつつ持ち帰れますのでおすすめです。
また、ヒラメの血抜きと合わせて忘れないようにしたいのが内臓の処理です。ヒラメには、アニサキスやクドアと呼ばれる寄生虫のリスクがあります。放置しておくと内臓にいる寄生虫が身のほうに移動してしまう可能性もあるため、なるべく早く適切に内臓を処理しましょう。
締め方や血抜きをマスターしてヒラメを美味しく食べよう!
もともと大変美味しいヒラメですが、適切な締め方をすることでさらに旨みが増す魚でもあります。締め方にも氷締めや活け締めなどさまざまありますので、食べるまでの時間や食感の好みなどに応じて自分のスタイルに一番合った締め方を選び出し、美味しいヒラメを味わってください。
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