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「香水の都」グラースで香水を学ぼう
「香水の都」と称されるグラースは、温暖な気候から、香りの原料となる植物(花)であるジャスミン、ミモザ、ラベンダー、ローズマリー、オレンジフラワーなどが自生し、フランス全土の半分、そして世界の10%の香水の原産地です。こちらではそんなグラースの歴史、観光情報などをご紹介していきます。
グラースの香水工場見学&観光情報①:グラースの歴史
グラースの歴史
グラースの歴史は香水産業の歴史といっても過言ではありません。香料はもともとエジプトのミイラづくりのための防腐剤や殺菌などを目的にしたものでした。その後、ローマ時代にバラ風呂が流行し、10世紀ごろに「ハンガリアンウォーター」というアルコールにローズウォーターやローズマリーを入れたものを化粧水のように使うことが流行します。
時を経て17世紀に入るとトイレがなかったフランスで、悪臭対策、また体臭対策として香水が爆発的に流行るようになります。そして時を同じくしてフランス上質な革製品の製造方法を持ち、皮革産業も非常に盛んでした。有名な鞄のブランドなどがフランスに多いのもそんな歴史があるからですね。
グラースでも同じように皮革産業が盛んで、当時は上質な貴族の革手袋を作っていました。でも貴族たちは上質な革手袋ながら、革手袋が発する臭いに困っていました。そこでグラースのとある職人が皮手袋に香水で香りをつけたところ爆発的な人気を博することになりました。その後グラースの革産業は香水産業へとその中心を変えていくことになったのです。
グラースの香水工場見学&観光情報②:香水の製法
香水の製法
グラースでは効率的な現代技術が導入されるまで、当時一般的に使用されていた「水蒸気蒸留法」(水蒸気で蒸留する方法)よりも「冷浸法」が主に採用されていました。簡単に説明すると、生の花を脂に貼り付けるようにして花の香りを移し、さらに油に移った香り成分をエタノールで分離させるというとても手間のかかる方法でした。
Grasse, home to the world's finest Jasmine, is a town with a fragrant history. pic.twitter.com/VCETnIFxEY
— Roja Dove (@RojaDove) September 15, 2014
しかしながら、この方法はグラースでよく獲れたジャスミンが熱や圧力弱いため、その香りを抽出するには最適の方法でした。夜から明け方にかけてジャスミンの花は最高の香りを放ちながら咲き誇ります。その瞬間を狙ってベテランの花摘み女性たちが細心の注意を払って一つ一つ手際よくジャスミンを摘むという光景が1970年代までよく見られたそうです。
グラースの香水工場見学&観光情報③:香水の老舗フラゴナール
香水の老舗フラゴナール
蒸留機が、
— 神沢 満実 (@mitsumikanzawa) October 30, 2016
ハウルの動く城のようです。#グラース #grasse #フラゴナール #fragonard pic.twitter.com/LUy9yClqxg
フラゴナール(Fragonard)はグラースで1926年に創業された香水の老舗です。グラースの「フラゴナール香水歴史工場(Fragonard L’Usine Historique)」の一階は、香水の歴史博物館となっており、降水の歴史や、伝統的な道具から、調合の道具やフランス貴族のアンティークの香水ボトル等が展示されており、すべて無料で見学することができます。
また、併設されたフラゴナールの直営店では、出来立ての新鮮な香水、香り石鹸、アルガンオイルなどの化粧品の他、キャンドル等の香りがたのしめる商品が、おしゃれな手書き風のパッケージに入れられて販売されています。現在日本にお店はありあませんので、知る人ぞ知る香水の老舗の商品は南仏のお土産としてとてもおすすめです。ちなみにフラゴナールでのおすすめは「練り香水」です。
フラゴナールの香水のビンはビンというよりもアルミ缶です。紫外線から香水を守り、香水の新鮮さを保ちたいという香水の品質管理への意識がとても強いのを感じます。フラゴナールの直営店では小さな香水のビンの詰め合わせ(組み合わせ自由)というセットもありますので、お土産用にいかがでしょうか。ちなみに香水の使用期限は6年だそうです。
住所:20 Boulevard Fragonard, 06130, Grasse 電話番号:04-93-36-44-65
グラースの香水工場見学&観光情報④:香水の老舗モリナール
香水の老舗モリナール
モリナール(MOLINARD)は、1849年にグラースで創業された老舗です。モリナールは、フローラルウォーターやコロンなど当時グラースで栽培されていたハーブや花を使用したアロマ系のフレグランスから台頭してきました。
長い歴史の中で、ボトルにバカラのクリスタルを採用したり、著名なガラスデザイナーに依頼したり、芸術性を重視しながらも、伝統的でシンプルな香りを使用するメーカーであることでも有名で5代目となる今現在も商品開発に意欲的です。勿論こちらでも工場見学をすることができます。
住所:60 Boulevard Victor Hugo, 06130 Grasse 電話番号:04-93-36-01-62
グラースの香水工場見学&観光情報⑤:香水の老舗ガリマール
香水の老舗ガリマール
ガリマール(Galimard)は創業は1747年。260年の歴史。超老舗です。グラースの香水産業の歴史そのままの社歴を持ち、最初は皮手袋のメーカーでしたが、途中から香水メーカーにビジネス展開をはかった会社です。ガリマールはグラースの中心部より少し離れていますが、調香体験や工場見学のツアーが有名です。
住所:73 Route de Cannes, 06130 Grasse 電話番号:04-93-09-20-00
グラースの香水工場見学&観光情報⑥:ガリマールで調香体験
ガリマールで調香体験
香水の都Grasseグラ-スのGalimardガリマ-ル社は、「香水作り体験」をして頂けるアトリエを構え、自分だけのオリジナルな香水を作って頂けます。「調香師」になってみませんか? pic.twitter.com/R7AL02lkC7
— 二ナジュ-ル・トゥーリズム (@NINAZURTOURISME) September 4, 2013
ガリマールでは自分のオリジナルの香水造り体験ができます。料金は2時間で49ユーロ、インターネットからの予約制です。調香師の指導のもと、100mlのオードパフュームを作ります。香水の香りは香る順番と香りの持続性によって、トップノート、ミドルノート、ベースノートと分けて調香されます。
それぞれの目的に合わせてた香りの元から約10種類ほどを選び、自分のお気に入りブレンドを作ります。そのレシピはガリマールで保存され、日本からインターネットで再度購入することもできます。ちなみにフラゴナールやモリナールでも同じような調香体験はできますが日本語ができるスタッフがいるとは限りませんのでご確認ください。
グラースの香水工場見学&観光情報⑦:国際香水博物館(MIP)
国際香水博物館(MIP)
「香水の都」と称され、マリリンモンローの一言で一躍有名になったあのシャネルのNo.5を生み出し、現在もシャネルやディオールの専用の花畑が存在するグラースには古代エジプトから今日までの長い香水の歴史はもちろん、グラースにおける香水の起源を学ぶことができる国際香水博物館(MIP:Musée International de la Parfumerie)があります。
Visit the International Perfume Museum in Grasse, the Throne of Luxury Perfume #MadeinFrance #CotedAzurNow https://t.co/WPdcoWYD1P pic.twitter.com/Kxd2VZ6BTY
— Rendezvous in France (@IN_FranceFR) April 20, 2017
全5万点を超えるコレクションには18世紀に貴族が使っていた繊細かつきらびやかな香水瓶や、花から香りを抽出する際に使用していた道具や香水の人気メーカーのポスターまで、香水に関するありとあらゆるものが展示されています。
さらに圧巻なのはマリーアントワネットの旅行用の所持品の数々です。当時の貴族たちの贅沢な暮らしと美意識の高さが垣間見れる展示物でもあります。そしてこれらの品はマリーアントワネットがルイ16世と共にフランスを捨て逃亡する際にも(結局失敗しましたが)所持していたものだと言われています。
住所:2 boulevard du Jeu de Ballon, 06130, Grasse 電話番号:04-97-05-58-11
グラースの香水工場見学&観光情報⑧:MIPの植物園
MIPの植物園
国際香水博物館(MIP)には植物園があり、香水の香りの原料となる"香料植物"が植えられています。もちろん季節により植物は変わり、南仏の太陽をいっぱい浴びた花はバラやジャスミン、ラベンダーなどが季節ごとに高い香りを放ちます。またこちらの植物園では園芸用品のほか日本では購入できないような食品が購入できるショップもありますので、是非立ち寄ってみてください。
グラースの香水工場見学&観光情報⑨:旧市街地散策
旧市街地散策
Crêperie Fragonard à Grasse. J'adore :heart_eyes::heart_eyes: #fragonard #crepe pic.twitter.com/NuljJ7Fy9n
— Andrea (@Andreaecrit) February 18, 2017
またフラゴナール付近には旧市街地もありますので、時間をゆっくりとって、迷旧市街地を散策するのもおすすめです。レンガ造りの壁や階段、魅力的な路地がたくさんあり、ポプリや香り石鹸などを扱うお店もあります。歩き疲れたら南仏名物のクレープはいかがでしょうか?
グラースの香水工場見学&観光情報⑩:映画「パフューム」
映画「パフューム」
8】ベン・ウィショー
— なえ (@78k_noopy) June 22, 2017
小動物のような潤んだ瞳にスラリと伸びた手足。はにかむ表情が可愛らしくて見る度に癒される。知的な役からハードな役までこなす器用な俳優。「パフューム ある人殺しの物語」では香水に魅せられた狂人を“美”を以って表現。私生活も確固たるポリシーを持っているのも素敵。 pic.twitter.com/tmxTTUcMKg
『パフューム ある人殺しの物語』という映画をご存知でしょうか?これは18世紀、まさにグラースで香水産業が花開いたころの天才調香師に関わるミステリーなのですが、この物語の舞台がまさにこのグラースです。当時のフランスの様子やグラースの香水工場などの様子が忠実に再現されていますので、グラースにお出かけの前に是非ご覧になってみてください。
グラースで"一生もの"の香りに出会う!
今まで市販の香水ではいまいちピンと来なかったり、もっとオリジナリティーのある香りを求めているという方にはグラースはまさに天国のようなところです。調香体験をすることで、いままでどこに行っても出会えなかった"一生もの"の香りに出会えることでしょう。
もっとグラース周辺の情報を知りたいアナタへ!
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