車埕とは?
日本から南西の海上に位置し、中国大陸から東にある島国である台湾。近代的なビルや街並みが立ち並ぶ一方で歴史的文化も多く残っています。日本からも飛行機で4時間程度と観光スポットとして台湾は大人気です。ここでは観光スポットとして人気の高い車埕の見どころや、日本とも深い繋がりがあることも含めて紹介していきます。
台湾・集集線の終点の駅で観光客に人気のスポット
車埕とは、台湾全土を1周する鉄道において、その内の一つ縦貫線から内陸部に向かって走る集集線の終着駅となっています。
車埕は簡易的な駅でありながら、台湾において最も美しい駅として観光客に人気のスポットになっています。台湾ではチャーチェン駅と呼ばれ、木材が使われた趣のある駅舎と周辺の山や木々とが調和した景色が見どころとなっています。
集集線ってどんな鉄道路線なの?
縦貫線の駅の一つ二水駅を始発とし、台湾一美しい駅として有名な車埕駅を終点とする単線によるローカル線になります。
集集線の歴史として、太平洋戦争以前の日本統治下の時代において、当時建設された水力発電所建設の為の資材輸送方法として使用された鉄道路線であり、現在でも各駅周辺に当時使用した車両や資材などの面影が多く残っています。
集集線は始発駅の二水から7つの各駅を通過し、路線の総距離にして29.7㎞の長さになっています。1922年の開業以来非電化によるローカル線として、交通手段であり多くの観光客が訪れ、目的地の車埕へと向かう人気の観光になっています。始発駅から終点まで片道の所要時間は約50分程度となります。
集集線の乗車方法と運賃
車埕へ向かう集集線を利用する方法として、台北、台中、台南の都市から台湾鉄道の各線を利用して、集集線の始発駅二水へ向かいます。
集集線を利用するために乗車券を購入することになりますが、始発駅の二水以外でも主要都市の各駅でも購入可能です。車埕までの片道切符もしくは、終点までゆっくりと各駅を見て回ることができる一日周遊券のどちらかを購入します。
台湾の通過はニュータイワンドルとも呼ばれる元が使用されています。集集線での片道切符の料金としては45元であり、一日乗車券になると90元であり日本円に換算すると約300円から400円程度と各駅乗り降り自由で、車埕ばかりでなく全ての駅を観光したい方にはお得な乗車券となっています。
車埕駅の見どころ
車埕駅は単純に集集線の終着駅であるばかりではなく、台湾の観光スポットとしての役割を担っています。台湾への旅行プランにも組み込まれるほど人気が高く、台湾鉄道管理局による管理の下、トイレや観光案内所の設備がしっかりと整えられ、小さなお子様連れでも安心の授乳室まで配置された観光客に優しい駅となっています。
最も美しい小さな駅と呼ばれる
台湾本土を周回する鉄道を見回してみると、実にたくさんの主要な駅が存在します。世界的にも美しいと称される駅もある中で、車埕駅は台湾において小規模な駅ながら台湾においては、最も美しい小さな駅とされています。現在では他国にも多くの話題を呼ぶ人気スポットとなっています。車埕駅は地上駅であり一面一線の構造となります。
素朴な木造駅舎
1922年の1月14日に開業され、もとは外車埕駅として名付けられました。その後40年近く経ち現在の車埕駅に改名されることになります。かつて鉄筋コンクリートを使用した駅でしたが、地震による倒壊によって改修され、今では外観にたくさんの木材を使用した落ち着いた雰囲気の駅へとなりました。
開放的なプラットホーム
車埕駅は改札のある駅舎をくぐると、周囲を山や木々で囲まれた開放感あふれるプラットフォームが広がります。電車の昇降をおこなうプラットフォームの他、開業以来使用されてきた鉄道施設がそのままの形で残され、まるでミュージアムのような空間が見どころであり人気の理由です。
資料館
台湾が日本の統治下にあった時代、車埕は木材を運び集める場所として利用されてきました。たくさんの木材を扱う上で使用したクレーンなどの機材が、現在車埕駅に大きな資料館として保存されています。当時の様子を再現した人形や木材の種類、作業の様子が伝わる歴史的な文化を継承した資料館です。
木材加工DIY体験コーナー
車埕では当時の林業を体験するべく、観光客が実際の木材を使用したDIYを体験できるコーナーがあります。本棚や椅子など、それぞれ思い思いの木材加工を楽しむことができるので、観覧するばかりでなく家族連れや友人同士でも、大いに楽しむことができるのでおすすめです。
林班道で木工DIY
車埕駅から西方へ向かうとお洒落な建築物が際立つ林班道と呼ばれる木工DIY体験ができるお店があります。環境保護への観点から木材の取り扱いを尊重し、あらたな木工DIYを学ぶことができる場として人気を集めています。歴史的な車埕の雰囲気とはまた違った木材を使ったものづくりを体験できるおすすめのお店です。
カフェ
車埕駅のプラットフォームから北へ向かうと大きな貯水池があります。道中には食事ができるお店がありますが、ちょっと一息つきたい場合にいくつかカフェも営業しています。貯水池を窓越しに眺めながらお茶を楽しめる隠茶STEAMや木茶房と呼ばれるカフェでは軽食も提供してくれるお店です。
土産物販売所
車埕での観光の思い出にお土産を購入できるお店や販売所があります。資料館内での購入が可能であり、かつての林業で栄えた町として、木材の加工品はもちろんのこと、車埕では梅酒の販売も盛んであり人気のお土産品となっています。他にも車埕の特産品のお菓子など数多く販売されています。
車埕駅周辺の見どころ:水里郷農会 真梅館
車埕駅周辺の見どころの一つとして注目の観光スポットである水里郷農会の真梅館がおすすめです。海外への観光旅行であれば、その地域でしか購入することができない特産品や珍しい品々が気になるところです。水里郷農会の真梅館では、台湾のしかもこの地方ならではの名産の数々が販売されています。
南投県の特産品を中心に取り扱うスポット
水里郷農会の真梅館は車埕駅のすぐ隣にあり、日本で言えば農協のような施設であり地域に密着した農産品販売所になります。
水里郷農会は台湾の内陸地区である南投県の農産品の取り扱いをおこなっていますが、南投県は古くから元々の原住民が多く、農作物においても伝統的な加工技術が発達し、現在において人気の観光物産としての地位を確立しました。
南投県における主な農産品としては、主食である米や温暖な地域ならではのサトウキビ栽培が盛んです。他にも県内で人気の特産品としてバナナや梅などが中心になっています。水里郷農会では南投県の農産品を加工した商品が多く販売され、中でも梅が主体の商品や蜂蜜など人気のお土産品となります。
品揃えが豊富で手頃な価格
水里郷農会は南投県の農産品の品揃えは非常に豊富であることが魅力ですが、品揃えの豊富さは農産品ばかりであはありません。
日本統治下における林業が栄えた経緯から、水里郷農会でも木材を使用した加工品も多く販売され人気を博しています。農産品や木材能力加工品における販売価格も大変お手頃であり車埕観光のお土産品購入におすすめの場所です。
水里郷農会の真梅館では、品揃えの豊富な店内外においてゆったりとくつろぐことができるスペースも確保しています。台湾名物のお茶を楽しむことができるようにテーブルがいくつか設置され観光の息抜きとしても最適です。また営業時間は毎日8:30から17:30までとなっています。
車埕駅周辺の見どころ:車埕酒荘
車埕がある南投県周辺は梅の農産加工品が有名であり、車埕駅周辺にある車埕酒荘では数多くの梅酒が販売されています。車埕酒荘は南投県自治体と農協により運営されているお店として多くの観光客が訪れ、車埕への観光の目玉商品として梅酒関連のお土産が大変人気となっています。
人気の梅酒
車埕酒荘で販売されている梅酒ですが、店内に入ると様々な種類の梅酒が陳列棚に並び、商品に応じてアルコールの度合も異なります。購入する際には店内で試飲することもできることも魅力となっています。車埕酒荘の営業時間については9:00から17:00までとなっています。
車埕駅周辺の見どころ:貯木池
車埕駅の見どころの一つに貯水池があります。林業が盛んであった当時において、鉄道により運ばれてきた木材を貯水池に浮かせ乾燥させる場所として使用されてきました。現在では貯水池の周辺に遊歩道が整備され、カフェや飲食店が点在しているので、ハイキングコースとしておすすめの場所です。
クレーン小屋
木材を乾燥させる目的として使用された貯水池ですが、木材は実際に家屋などで使用する際に時間が経つつれひび割れを起こすようになってしまいます。
伐採された木材は多くの水分を含んでいます。そのため一旦乾燥させる必要がありますが、一つの方法として水に浸し後引き上げることで更に自然乾燥をおこないます。重量のある木材を引き上げ作業のためにクレーンを使用していました。
当時において、クレーンは貯水池から木材を引き上げ、トラックへの積み替え作業をおこないます。クレーンの稼働に伴う引き上げ重量は10トン以上を持ち上げることができます。現在ではクレーンがそのままに残された小屋として、貯水池観光名物の一つとなっています。
池の周りの遊歩道
車埕の観光名所となっている貯水池ですが、駅改札からプラットフォームの展示や資料館、そして貯水池へと徒歩でゆっくりと散策できるように歩道が整備されています。貯水池には池周辺を見て回ることができるように遊歩道が設けられ、カフェや飲食店でくつろぎのひとときを楽しむことができます。
車埕駅周辺の見どころ:大觀發電廠(水力発電所)
車埕観光での見どころであり、人気がある施設として大觀發電廠があります。現在においても台湾における電力供給の重要な拠点としての役割を担う水力発電所となっています。大觀發電廠の歴史は古く完成に至るまでには大変な紆余曲折がありましたが、発電所の規模の大きさが見どころとして人気があります。
唯一観光客に開放している発電所
大觀發電廠は2つの水力発電所の総称であり、1つはかつて日本の統治下であった時代に造られた発電所と、後に発電不足を補うために建造された2号機からなります。
南投県にある日月潭(にちげつたん)と呼ばれる大きな湖があり、この湖を水力発電として使用することを目的として大觀發電廠は建造されました。建設当時は東洋では随一の電力供給量を誇っていたとされ、現在においても台湾での重要な電力となっています。
大觀發電廠は水力発電の重要な施設ではありますが、車埕周辺の観光スポットの一つとして人気があります。発電所内へは見学することが可能であり、広報室にて氏名等を明記した上で入場することができます。見学においては、発電所の成り立ちから仕組みについて、また発電所の模型やビデオによる視聴をおこないます。
大きさは大迫力
大觀發電廠の魅力は何と言っても規模の大きさにあります。現在2号機の建設に伴って造られた人造湖である明湖ダムが広がっています。
大觀發電廠は日中に日月潭より水をくみ上げ明湖ダムにて貯水しています。明湖ダムで溜まった水を使用して水力発電を発生させることになります。2つある水力発電の供給量の規模の大きさからも大觀發電廠の大迫力が伺えます。
実際に大觀發電廠への内部見学は可能ではありますが、遠くからでも十分に見える位置にあり、車埕駅からでもその大きさが伝わるほどに大觀發電廠を眺めることが可能です。また発電所までのアクセス方法としては車埕駅から徒歩でも十分に行くことができますが、現地タクシーを使用してのアクセスもおすすめです。
名物のアイスキャンデー
大觀發電廠では、設立当時からの歴史を学ぶことができる上に迫力あるダムの見学が魅力となっていますが、もう一つ大觀發電廠では名物となっているものがあります。
日本の技師による主導のもとに建設された大觀發電廠ですが、現在は台湾電力による管理の下に運営されています。そしてその台湾電力が主体となって販売しているアイスキャンデーが注目される商品となっています。
台湾電力が販売を手掛けるアイスキャンデーは、大觀發電廠だけでなく台湾各地に点在する発電所において、それぞれメニューや種類を変え販売しています。大觀發電廠も同様にこの地方ならではのアイスキャンデーを販売していますが、上質の水を使用して作られたアイスキャンデーは観光客への目玉商品にもなっています。
台湾旅行をしたら集集線の終点「車埕」まで足を伸ばそう!
美しい駅車埕はいかがでしたでしょうか。駅自体の趣のある木造造りの雰囲気はもちろんのこと、駅周辺まで台湾の歴史を感じさせる観光スポットが多い場所です。台湾旅行では車埕のような自然と一体となった場所や地域へ訪れることもおすすめです。台湾への観光の際は集集線に乗って車埕を目指してみましょう。