アメリカの不思議スポット「デビルズタワー」とは
アメリカ西部の平原に忽然と現れる巨大プリンのような奇妙な岩、それがデビルズタワーです。周りには高い丘や建物がないので、遠くからでもその威容を眺めることができます。自然の驚異とその造形の妙、日本ではお目にかかれないスケールの大きな景色に心を動かれること間違いなし。そのデビルズタワーや行き方についてご紹介します。
「悪魔の塔」と名付けられてしまった聖地
アメリカ・ワイオミング州のデビルズタワーはアメリカ初の国定公園です。国定公園とは国立公園に準ずるもので、自然や遺跡の保護が目的です。ここは古くから先住民の聖地で儀式なども行われます。聖地に対して「悪魔の塔」という命名に反対意見もありましたが、インパクトある名称は観光誘致の立場からそのままになっています。
デビルズタワーは巨大な岩
デビルズタワーの大きさ
What the top of Devil's Tower really looks like #CloseEncountersOfTheThirdKind #TCMParty pic.twitter.com/j1FTmEE5jk
— Michael Reed (@mikeyreed) January 2, 2016
デビルズタワーは高さ265mで、これは東京タワーの特別展望台(2つある展望台の上の方)より高くなっています。頂上の海抜は約1560mですから、かなりの高所に位置しています。頂上は写真のように比較的平らで雨粒みたいな形をしていて、長さ91m、幅55mの広さがあります。頂上からの景色は壮大なものに違いありません。
デビルズタワーの成り立ち
どのようにして、このような奇妙な形の岩ができたのでしょうか。約2億年前にロッキー山脈が隆起した時、活発な活動をしていた内部のマグマが岩を突き破ります。その後、周囲の柔らかい地質は侵食されていきましたが、冷えて固くなったマグマによってデビルズタワーができたと考えられています。
特徴的な壁面
デビルズタワーの側面は縦方向にたくさんの筋が付いており、不思議な景観を作っています。先住民はこれを熊の爪痕として信仰していましたが、マグマが冷却する際にできた垂直方向の割れ目ということが分かっています。専門用語では「柱状節理」といい、日本では福井県の東尋坊が同じ現象を見られるスポットです。
デビルズタワーへの行き方
レンタカーでの行き方
デビルズタワーの近くには鉄道も路線バスも通っていません。レンタカーの場合はサウスダコタ州のラピッドシティからが便利です。行き方は、市内からI-90を西へ、185出口でUS-14に移ります。30kmほど走ってWY-24を右折すればほどなく到着です。距離は約180km、2時間ほどのドライブです。
ツアーでの行き方
自分で運転するのを避けたい人や行き方に自信のない人は現地ツアーが便利です。ラピッドシティからなら、ラシュモア山などとセットで1日ツアーがあります。ソルトレイクなど、少し離れた都市からはイエローストーンとセットで数泊のツアーというのが多いようです。日数はもちろん、グループの人数や言語によっても金額が様々です。日程と予算に応じて計画を立ててください。
入場料
Devil’s Tower Proposes Fee Increase https://t.co/p7kcaXwLSV pic.twitter.com/JkViEseLeI
— Oil City (@oilcitywyo) July 3, 2017
デビルズタワー国定公園の景色を楽しむには入場料が必要です。車1台15ドル、バイク1台10ドル、その他の方法は1人5ドルですが、これらは7日間有効です(2017年)。また、他の国立公園との共通パスや年間10日ほど、アメリカの祝日に入場無料になりますので、事前によく調べて行くことをおすすめします。
観光にふさわしい時期
cool pic of me and my bike at Devil's Tower pic.twitter.com/tnBU21RLgJ
— Tom Slater (@tslater13) August 20, 2015
デビルズタワー国定公園自体は365日無休ですが、考慮すべき時期があります。毎年8月に1週間ほどかけて近くの町で行われるバイクのイベント期間中は周辺が渋滞します。また、先住民の儀式がある6月はロッククライミングは避けることを推奨されています。夏季以外はビジターセンターの営業時間も短くなりますので、参考にしてください。
デビルズタワーの楽しみ方1:トレッキング
デビルズタワーで誰でも容易に楽しめるのがトレッキングです。岩の周囲にいくつかトレイルがあり、短いものは45分ほどで1周できます。長いものは少し難度が上がり、中級程度のトレッキングで1周2時間ほどです。周囲の松林には多くの鳥が生息していますので、鳴き声に耳を澄まし、アメリカの大自然を感じながら歩いてください。
周辺は鹿やバイソンなど大型の動物に遭遇することもあるスポットです。そのような時は決して相手を驚かせたり威嚇したりしてはいけません。アメリカの国立公園や国定公園の主役はあくまでそこに生息する動物たちで、人間たちは訪問させてもらっている、という考え方です。ゴミなども罰則の対象ですので注意が必要です。
デビルズタワーの楽しみ方2:ロッククライミング
垂直にそそり立つ壁は、アメリカのみならず世界中のロッククライマーの憧れのスポットです。デビルズタワーには200を超える登頂ルートがあり、年間4000人を超えるクライマーがこの奇妙な岩に挑戦しています。平均5から6時間で登頂できますが、最速は18分とか。ハヤブサの産卵期は巣のある西壁は登ることができなくなります。
垂直の壁が立ちはだかり危険そうに見えるデビルズタワーですが、不思議なことに今までロッククライミングによる事故はほとんど起きておらず、救助要請もとても少ないそうです。腕に覚えのある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。その際は、登はんの前後にビジターセンターへの届け出が必要ですのでお忘れなく。
デビルズタワーの楽しみ方3:プレイリードッグ観察
デビルズタワー周辺の草原はプレイリードッグの生息地です。たくさんの穴が開いていて、30から40㎝ほどの大きさのプレイリードッグが出たり入ったりする姿を眺めることができます。プレイリードッグはネズミ目リス科の動物ですが、キャンキャン鳴く声はまさに犬で不思議な感じがします。とても愛らしい動物で、見飽きることがありません。
デビルズタワーの楽しみ方4:季節などで変化する様々な表情
時間を変えてデビルズタワーを見ると、その多彩な景色を堪能することができます。朝、霧が発生することがありますが、霧の中から頭を出す姿や頂上に雲がかかった姿も趣きがあります。夕日に照らされ、オレンジ色に染まる岩肌も一興です。荒れ模様の空に泰然と立つタワーも迫力がありますので、時間の許す人は是非色々な表情を楽しんでください。
Stopped off today at Devil's Tower. It seems the Range Rover Evoque is unfazed by snow. pic.twitter.com/Rg0vhflVjf
— micah muzio (@micahmuzio) December 29, 2014
デビルズタワーの周辺では冬には積雪もありますが、道路が雪で通行できなくなることはほとんどありません。雪景色の中に立つ岩は夏とは全く違った厳しい表情ですが、一層の力強さを感じます。あえて観光客の少ない時期に訪問するのも、奇妙な岩とその周辺の意外な景色が見られて面白いかもしれません。
映画の舞台にもなったデビルズタワー
スピルバーグ監督の大ヒット映画『未知との遭遇』に心踊らされた人も多いと思いますが、その映画のラストシーンでUFOが降り立ったのが、このデビルズタワーです。現地を訪れ、CGか作り物ではないかと思っていた奇妙で不思議な山が目の前にそびえているのを見た時の感動は、映画ファンなら感涙するに違いありません。
i had a close encounter at devil's tower. pic.twitter.com/zCPndvZZnB
— TS Patterson (@ToddSPatterson) June 28, 2017
映画との関連でしょうか、デビルズタワー周辺には不思議で可愛い宇宙人が出没するようです。ビジターセンター周辺にいる確率が高いそうですので探してみてください。一緒に記念撮影も可能です。お土産店の棚に陳列されている宇宙人もいるとか。宇宙人との遭遇という楽しみもあるデビルズタワーです。
デビルズタワーのお土産
デビルズタワー周辺にはさほど観光客向けの施設があるわけではありませんが、Devils Tower Trading Postという土産物店があります。中にはTシャツや帽子、コーヒーカップやマグネットなどなど、種々雑多なものが売ってます。必ずしもデビルズタワーに関係ある物ばかりではありませんが、周辺の産物なども分かり、見るだけでも楽しめます。
Wild Huckleberry #Honey from Devil's Tower Trading Post in #Wyoming #NationalHoneyMonth #September pic.twitter.com/Jcwvhut5dc
— OC Food Diva (@ocfooddiva) September 4, 2017
デビルズタワーと名の入ったものは良い記念にもなります。写真は近くで採れたはちみつです。近郊で採れる色とりどりの鉱石やそれを加工したアクセサリーも店の中では目を引きます。女性のみならず、男性用の商品もありますので、奇妙な岩訪問の思い出に買い求めるのも良いでしょう。
デビルズタワーと合わせて訪問したいスポット
ラシュモア山
デビルズタワーの周辺にはいくつかの観光スポットがあり、それらと組み合わせて訪問する人が多いようです。一つは、4人の大統領の顔が山肌に彫られていることで有名な「ラシュモア山」です。こちらは園内がよく整備され、アメリカの一大観光地になっています。夜はライトアップのセレモニーも行われます。
バッドランズ国立公園
アメリカ旅行記の続き。
— なごやん (@N682G) September 5, 2017
サウスダコタ州のDoor Trail, Badlands
年間何百mmかは雨が降るので、そういう時は谷間に川が流れるそうだ。確かにこの浸食は風だけでは無理で水が必要。 pic.twitter.com/lEVNJrtb6M
サウスダコタ州のバッドランズ国立公園もデビルズタワーと一緒に観光できる位置にあります。ここは岩肌がむき出しの荒々しく不思議な景色が広がるスポットで、デビルズタワー周辺と同じくバイソンやプレイリードッグなど、野生の生き物と出会える確率が高くなっています。
世紀の奇観、デビルズタワーに行ってみよう
いかがでしたか。アメリカの奇妙で不思議なスポット、デビルズタワーを見に行きたくなった方が多いのではないでしょうか。アクセスは決して容易ではありませんが、いつか行きたいスポットとして記憶しておいて頂けたらと思います。デビルズタワーは大平原でどっしりとあなたを待っています。