マラッカ海峡ってどんなところ?
マラッカ海峡はマレーシアのマレー半島とインドネシアのスマトラを隔てる海峡です。南東端にはシンガポールがあり、東南アジアの重要な海上交通上の要衝となっています。全長約900kmの細長い海峡で、世界でも最も船舶の行き来が多い海域の1つです。ここではそんなマラッカ海峡の魅力についてお伝えします。
世界遺産に登録された歴史都市群
マラッカ海峡に面する都市・マラッカは、2008年にペナン島のジョージタウンとともに「マラッカ海峡の歴史都市群」としてユネスコの世界遺産に登録されました。ヨーロッパとアジアを結ぶ貿易港として栄えたマラッカは、ヨーロッパの列国に支配された際に作られた美しい街並みが残り、他では見られないユニークな文化が形成されました。
マラッカ海峡の歴史
マラッカ海峡の観光スポットを紹介する前に、マラッカ海峡の歴史を簡単に見てみましょう。古くは古代エジプト、古代ローマ、ペルシャなどの貿易船がマラッカ海峡を通り、現在のマレーシアのマラッカや東海岸の都市まで物品を運んでいました。その後、中継貿易港として栄え、15世紀にはマラッカ王国が繁栄しました。
やがてポルトガルやオランダ、イギリスなどヨーロッパの国々の殖民地となり、第二次世界大戦中は旧日本軍の占領下におかれました。
第二次世界大戦後、マレーシアはイギリスから独立し、マラッカ海峡も船舶が安全に行き来できるようになりました。マラッカ海峡は、かつては頻繁に海賊が出没していましたが、現在は取締りが強化されほとんど見られなくなりました
マラッカ海峡は世界三大夕日の名所!
世界三大夕日と呼ばれるスポットはいくつかありますが、バリ島、マニラ湾、そして日本の釧路をあげることが多いようです。また、世界遺産に登録されたマラッカ海峡に沈む夕日もすばらしく、世界三大夕日の1つとして数えられることもあります。
特にマラッカ海峡に浮かぶ水上モスクから望む夕日は素晴らしく、撮影スポットとして人気があります。
沢木耕太郎の小説「深夜特急」のワンシーンに登場
沢木耕太郎の小説「深夜特急」を読んで、シンガポール・マレーシアの旅を思い立った人も多いことでしょう。バックパッカーの愛読書とも言われている「深夜特急」には、マラッカ海峡の夕日が描かれています。この小説は大沢たかお主演のドラマとなり、マラッカ海峡でロケが行われました。
残念ながらロケが行われた場所は、湾岸ハイウェー建設のため埋め立てられてしまい、当時の面影は残っていません。美しい海岸線も今は500m沖合まで埋め立てられてしまっています。
水上モスクが夕日のおすすめスポット
マラッカ海峡で美しい夕日をみたい人は、水上モスクがおすすめです。マラッカの沖合に浮かぶ人工島に作られたモスクで、橋を渡ってモスクに行けます。服装に注意すればモスクの中も見学できます。
満潮時にはモスクが海に浮かんでいるように見えることから夕日スポットとして有名で、日没の時間帯には地元の人や観光客が訪れます。
モスクへ入る時の服装の注意点
夕日を見る前に少し早めにモスクを訪れ、内部を見学するといいでしょう。お祈りの時間以外は、無料で自由に見学することができます。非イスラム教徒でもモスクを見学をすることができますが、服装には注意しましょう。肌の露出が多い服装は避けることが必要です。
まず最初に女性の服装についてです。女性の服装は、モスクが用意したヒジャブという黒いドレスと、トドゥンという黒いスカーフの着用が必要です。このような服装をする場合、ヒジャブとトドゥンは数に限りがあるので、混雑時は少し待つことになります。
男性の服装は、長ズボンに衿付きの半袖であればモスクに入ることができます。その際には、靴を脱いで入ってください。服装は入口に立つ警備員がチェックしています。服装について注意されたら、指示に従って服装を改めてください。モスクはマナーに従って、見学するようにしましょう。
マラッカ中心地からモスクへの行き方
続いて水上モスクへの行き方を説明しましょう。水上モスクはマラッカ中心地から徒歩圏内になく、歩くと30分以上かかります。レンタサイクルでの行き方もありますが、最も簡単な行き方はタクシーを利用することです。タクシーでは約10分で着きます。
夕日が沈んだ後は周囲が真っ暗となります。暗い夜道を歩くのは避け、マラッカ中心部までタクシーを利用する行き方がおすすめです。
住所 | Jalan Pulau Melaka 8, Taman Pulau Melaka, Melaka 75000, Malaysia |
マラッカ海峡周辺のおすすめ観光名所6選
世界遺産に登録されているマラッカには多くの見どころがあります。ヨーロッパ文化やマレー文化、中国文化がミックスした独特な街並みを楽しむことができ、世界中から多くの観光客が訪れます。ここでは数多いマラッカの観光スポットの中から、おすすめのスポット6選を紹介します。
赤の外壁がかわいい【オランダ広場】
オランダ広場はマラッカ随一の観光名所です。オランダ統治時代の18世紀に建てられた赤レンガのマラッカキリスト教会を中心に、オランダ統治時代の旧総督邸スタダイスや時計台などの観光スポットがあります。フォトジェニックなスポットとして知られ、いつも多くの観光客で賑わっています。
住所 | Jalan Gereja, 75000 Melaka |
プラナカン文化に触れる【中華街】
マラッカの中華街(チャイナタウン)はオランダ広場からすぐ近くのところにあります。両側にはカフェやレストラン、お土産店が並び、グルメやショッピングもおすすめです。金曜日と土曜日の夜はナイトマーケットが賑やかに開かれ、食べ歩きをするのも楽しいでしょう。プラナカン・グッズなどお土産も手に入ります。
住所 | Jalan Hang Jebat, Melaka |
マラッカの街を一望できる【セントポール教会】
セントポール教会は、オランダ広場のスタダイスの隣の階段を登ったところにある観光スポットです。ポルトガル占領時に建てられた教会で、フランシスコ・ザビエルの遺体を一時安置していたことでも知られています。
セントポール教会は丘の上にあるため眺めがよく、マラッカ海峡とマラッカタワーを一望できます。また夕日スポットとしても知られていて、夕方からは多くの観光客が訪れます。
住所 | Jalan Kota, 75000 Melaka |
マレーシア最古の仏教寺院【青雲亭】
青雲亭はマラッカにあるマレーシア最古の仏教寺院です。1つの寺院に道教、仏教、儒教と3つの異なる神様が祀られている珍しい寺院で、マラッカの複雑な歴史を表しているとも言われています。小さな寺院ですが、屋根や柱に施された彫刻もすばらしく、観光客だけではなく地元の人にも人気があるおすすめスポットです。
住所 | 25 Jalan Tokong, 75200 Melaka |
マラッカ王国時代の王宮を復元【マラッカ・スルタン・パレス】
マラッカ・スルタン・パレスは、15世紀に栄えたマラッカ王国時代の王宮を復元した建物で、内部は民族衣装や装飾、イスラム教に関する資料などを展示しています。また当時の様子を再現したリアルなろう人形が展示されていて、マラッカ王国の隆盛期の様子を詳しく知ることができます。
住所 | Complex Warisan Jalan Kota, Melaka 75000, Malaysia |
高さ110mからの絶景【マラッカタワー】
マラッカタワーは、世界遺産の街マラッカとマラッカ海峡を一望できる人気観光スポットです。タワーの鷹さは110mあり、80mのところに展望台が作られています。 円盤型の展望台はゆっくりと回転し、約7分で1周します。マラッカの新しい観光名所として人気があります。夕日や夜景を眺めるのもおすすめです。
住所 | Jalan Merdeka, Melaka 75000 |
マラッカ観光におすすめの乗り物は?
マラッカは比較的狭いエリアに観光名所が集中して徒歩で回ることができます。少し遠い場所へはタクシーを利用すると安全で早く着くことができます。最近はレンタサイクルも人気があり、外国人観光客が自転車で観光名所を回る様子もよく見られるようになりました。レンタサイクルの他にも、自転車タクシーを利用することもできます。
レンタル自転車
かつては少なかったレンタサイクルですが、最近は少しずつ自転車をレンタルできる場所が増えて来ました。「サヤン・サヤングループ」はゲストハウスグループチェーンですが、レンタサイクルも行っています。
観光名所やショッピングモールのそばに自転車専用パーキングが設置されているので、自転車を停める際には利用して下さい。マラッカは自転車の盗難が多いので、忘れずに鍵をかけるようにしてください。
ド派手な自転車タクシー
東南アジアの各地でみられる人力車ですが、マラッカではトライショーという名前で街中を走っています。自転車にサイドカーが付いている乗り物で、タクシー代わりに使うことができます。
運転手がそれぞれ趣向を凝らして自転車を飾り付けていて、中にはディズニーのキャラクターやBGM付きのもの、夜になると照明が付くものなど、華やかさが目を引きます。
マラッカ海峡周辺のおすすめ人気レストラン4選
マラッカ海峡周辺には19世紀以降、華僑と呼ばれる多くの中国人ビジネスマンがやって来ました。多くが現地のマレーシア人女性と結婚し、生まれた子孫を男性なら「ババ」、女性なら「ニョニャ」と呼び、ペラナカン文化という独特な文化を作りました。
マラッカには「ババニョニャ民族博物館」がありペラナカン文化について紹介しています。興味のある人は訪れてみるといいでしょう。
生活習慣は家長を軸とする中華系の文化を守っていますが、食文化は女性が調理をすることからマレーの香辛料を使ったものが多く、「ニョニャ料理」と呼ばれています。
ニョニャ料理は一見、中華料理に見えますが、味はマレー風と独特な味わいが特徴です。マラッカにはこのニョニャ料理が食べられるお店が多くあります。マラッカを訪れた際にはぜひ味わってください。
Bulldog
ブルドッグは、「ババニョニャ民族博物館」の子孫が経営している正統派ニョニャ料理の名店です。マレー風生春巻き・ポピア、魚のすり身を使ったマレー風かまぼこ・オタオタ、香辛料が効いた麺料理・ラクサ、白身魚のカレーなど、どれも一度は食べてみたいおすすめ料理です。ココナッツを使っているので、辛さの中にも甘さがあり、独特の風味が楽しめます。
ランチタイムにはセットメニューも用意されていて、お得な値段で名物料理を味わうことができます。日本語で書かれたメニューもあるので、安心して注文できるでしょう。
住所 | 145 Jalan Bendahara, 75100 Melaka |
電話番号 | 6016 303 3970 |
SALUD Tapas Bar & Restaurant
こちらはスペイン料理のレストランで、夜はタパス料理とお酒が楽しめます。イベリコ豚のハムとチーズの盛り合わせ、山羊チーズとマンゴーのサラダ、パエリア、アヒージョなどスペイン料理を堪能することができます。おしゃれな外観のレストランで、内装もシックでおすすめです。日本と比べると、お得なお値段でたっぷりと味わえます。
住所 | 94 Jalan Tun Tan Cheng Lock, 75300 Melaka |
電話番号 | 6016 722 0183 |
Navy Cafe
Navy Cafeはマラッカにあるナチュラルな雰囲気のおしゃれなカフェです。店内にはグリーンも多く、センスよくまとめられた居心地のいいカフェです。
こちらのカフェは、お手頃な料金でニョニャ料理を食べることができます。チキンシチューなどの名物料理の他にも、日本式カレーやフィッシュ&チップス、サンドイッチなどバラエティに富んだメニューが揃っていて、観光の途中に立ち寄るのにおすすめのスポットです。
住所 | 5 Jalan Hang Lekiu, 75200 Melaka |
Manis J Nyonya
Manis J Nyonyaは、マラッカにあるニョニャ料理のレストランです。2016年にオープンしたレストランで、伝統的なニョニャ料理をお手頃な料金で食べることができます。鴨のスープや魚の浮袋のスープなどニョニャ料理を代表する料理がずらりとメニューに並んでいます。アットホームなレストランで雰囲気もよく、おすすめのお店です。
住所 | 167 Jalan Bunga Raya, Melaka |
電話番号 | 6017 251 2986 |
マラッカ海峡への行き方
マラッカ海峡沿いにあるマラッカへは日本から直行便がなく、マレーシアの首都クアラルンプールかシンガポールからアクセスします。どちらからもマラッカは日帰り旅行が可能です。シンガポールからは時間がかかるので、日帰りの場合は朝早く出るといいでしょう。乗り物の中は冷房が効いているので、服装に注意してください。
クアラルンプールからマラッカ海峡への行き方
クアラルンプールからマラッカ海峡のマラッカへの行き方を説明しましょう。マラッカへの行き方には、電車やタクシーなどがありますが、最も便利なのはバスを利用する行き方です。
電車を利用した行き方では、マラッカの最寄り駅はマラッカから車で約1時間離れたところにあるため、アクセスが不便です。タクシーは料金がかかりますが、人数が多い場合はタクシーも便利です。
クアラルンプールのTBSバスターミナルからは、10社以上のバス会社がマラッカ行きのバスを運行しています。所要時間は2時間~2時間半で、料金も安いのが特徴です。バスの中は冷房が効いているので、服装に注意してください。
シンガポールからマラッカ海峡への行き方
続いてシンガポールからマラッカ海峡のマラッカへの行き方を説明しましょう。シンガポールからマラッカへは電車やタクシーで行く方法がありますが、最も一般的な行き方は長距離バスを利用する方法です。シンガポールのラベンダー駅に長距離バスのターミナルがあり、複数のバス会社がマラッカ行きのバスを運行しています。
所要時間は3時間~4時間で、マレーシア国境で出入国の手続きが必要です。こちらもバスの中は冷房が効いているので、服装に注意してください。
マラッカ海峡で世界三大夕日に出会おう!
マラッカ海峡への行き方や観光名所、味わってみたいグルメなどについて紹介しました。また、夕日スポットとして有名なマラッカ海峡の水上モスクを訪れる際に、注意したい服装についても紹介しました。モスクを訪れる際はマナーを守って見学しましょう。ここで紹介したスポットを訪れ、マラッカ海峡の旅を楽しんでください。