ルーマニアとはどんな国?
ルーマニアはヨーロッパの中でも東に位置する国です。位置的にはハンガリーやモルドバ、ウクライナなどの国々と一緒で、これらの国とは隣接しています。ヨーロッパの中でも東に位置していることから日本では主に東欧と分類される地域です。
イギリスやフランスなどヨーロッパらしい国々と比べて、モルドバやブルガリアなどの東欧の国々は観光へのハードルも少し高いように感じる人が多いのではないでしょうか。しかし29もの世界遺産をはじめルーマニアは観光資源も豊富にあります。
そんなルーマニアですが国旗にはどんな意味があるのでしょうか。ルーマニアの国旗の由来となった歴史や特徴、国旗のデザインが似ている国などルーマニアをより深く知るため国旗についてまとめました。
ルーマニアの国の首都や人口
まず国旗の前にルーマニアとはどんな国なのでしょうか。ルーマニアは東ヨーロッパにある共和制国家で、大きさは日本の本州と同じくらいの大きさです。ヨーロッパと聞くとどの国も大きいように感じてしまいますがルーマニアは日本より小さいことがわかります。
ルーマニアの人口は2016年時点で1976万人となっています。参考までに同じ大きさである本州の人口が1億3百万人であることから日本よりも人口密度はかなり低めと言えるでしょう。ルーマニアの首都はブカレストで人口は212万人となっています。
人口がそれほど多くないことから自然が豊かに残されており東ヨーロッパ随一の観光大国となれたのも頷けます。観光資源は潤沢で自然由来のビーチリゾート以外にも、ヨーロッパの歴史の面影を残す教会や城跡など日本人にとっては飽きないものばかりです。
ルーマニアは自然に囲まれた国
欧米諸国ではルーマニアはリッチな観光先として健康に興味のあるセレブや美意識の高い女性達を中心に話題を集めています。昔から人気の観光先で、特に温泉施設や沿岸の雰囲気は東ヨーロッパならではの魅力溢れるものとなっています。
東欧の楽園とも言われるルーマニアはアンチエイジングなど美肌作用の高い商品やレジャー施設が多く集まっています。アンチエイジングに関してはルーマニアの商品をお土産にして持って帰ると喜ばれると言われています。
美肌効果や温泉による健康増進効果など、いかにもリゾート地としての「健康的」な意識が強いのもルーマニアの国としてのイメージです。日本から見た台湾や韓国のコスメと似ている扱いと言えるかもしれません。
ルーマニアの歴史
続いてはルーマニアの歴史についてです。ルーマニアの歴史は国旗の持つ意味や特徴にも深く関わって来ています。国旗をデザインするときは国に起こった象徴的な出来事や神話的な特徴をベースにすることが世界的に多く見られます。
ルーマニアの歴史は国旗とどのような関係があり、また国旗としてのイメージをかためるに至ったのでしょうか。国旗の由来にはローマ人が深く関係しています。
ルーマニアの『国名の由来』
ルーマニアの国名の由来ですが、こちらの出自はスラブ系民族とローマ人に縁があります。ルーマニア建国は彼らによって礎を築いて来たため、「ローマ人の土地」という意味を持つRomania(ロマニア)と名付けられました。
言われてみるとルーマニアとローマは確かに響きがよく似ていることが分かります。古代に名付けられたため、発音やアクセント、スペルなどは多少歴史の中で変化してきました。ですが元来ルーマニアはローマ人を指すRomanからとられていたことが分かります。
ルーマニアは『大国の圧力で変化してきた国』
ルーマニアは歴史の中で、常に大国の圧力を受けつつ変化してきた国と言えます。最も古い居住は紀元前500年までさかのぼりますが、中世時代には3つの公国に分かれていました。現在のルーマニアではなくワラキア、モルダヴィア、トランシルヴァニアという3国です。
このうちトランシルヴァニアは1526年にオスマン帝国の属領となり、1859年には同じくオスマン帝国下にあったワラキアとモルダヴィアが統一されることとなりました。難しく聞こえますがルーマニアは元々3国に分かれた国だったということになります。
オスマン帝国の支配下にあった3国がまとまり、自治権を持つ国としての連合国がはじめて誕生しました。これがルーマニア公国で、その後1878年に独立権を持ち、ルーマニア王国として完全に国としての権利を手に入れました。
ルーマニアの国旗はどんな色・形の特徴?
その後も戦争を通じて当時のソ連に領地を譲渡させられるなどもあり、ルーマニアの歴史は今に続いています。あらためてルーマニアの国旗をチェックしてみると、ルーマニアの豊かな土壌と、闘争の歴史が反映された国旗となっていることが分かります。
ルーマニアの国旗自体の特徴について、ここからはまとめていきます。ルーマニアの国旗は縦に3分割された特徴を持っており、いかにも「ヨーロッパらしい」デザインとなっています。
ルーマニアの国旗は『赤・黄・青の三色』
ルーマニアの国旗は右から赤、黄、青の三色によって分割されています。1848年、ルーマニアで革命が起きたときに使われたフラッグが現在の国旗の原案と言われています。革命のときに使われたフラッグは横に3分割されていました。
ルーマニアは他国と領地を争う機会が特徴として歴史の中で多くあり、国旗も意味を持ったものとなっています。元々は青と赤はモルダヴィアを象徴しており、黄色は小ワラキア、赤は更に大ワラキアも兼ねていました。
それぞれ別々の国がまとまった連合国である、という団結が国旗にも反映されています。現在では別の意味も含まれており「青はルーマニアの空、黄は穀物、赤はルーマニア国民の独立心」を意味しているとされています。時代によって由来も変わって行きます。
ルーマニアの国旗の『縦三分割旗』
ルーマニアでは1990年のルーマニア革命後に起きたチャウシェスク政権崩壊時に、同じく国旗からも社会主義をあらわすマークが排除されました。このルーマニア革命の火付け役となったのがかの有名なベルリンの壁崩壊です。
1989年に起きたベルリンの壁崩壊によって、東ヨーロッパにも民主化の波が急激に押し寄せ、ルーマニア革命に繋がりました。それまでおさえられていたルーマニア内の民主化への欲求がベルリンの壁崩壊に乗じて爆発したと言ってもよいでしょう。
1989年のベルリンの壁崩壊からわずか1年で起きたこの革命により、政権は崩壊し国旗も現在の縦三分割のものとなりました。国旗と自国内の歴史は常に結びついており、社会主義のマークなど特徴的な出来事が由来となっていることが分かります。
ルーマニアの国旗の意味・由来
続いてルーマニアの国旗の意味や由来についてその特徴をまとめました。国旗には大きく二つの役割があり、国旗を持つことで独立権を持っている国であることを内外にアピールできます。
ヨーロッパでは特にこういった「象徴」が大事にされており戦争や独立権獲得、社会主義体制移行時などにも綿密に反映されています。領地が歴史の中で頻繁にやり取りされることも原因となっています。
ルーマニアの国旗の意味とは?
ルーマニアの国旗はルーマニア国民にとってどのような意味があるのでしょうか。現在ルーマニアの国旗は空、穀物、そして独立心を反映していると述べました。これはルーマニアが国として目指しているルーマニア本来の国としての在り方といえます。
温泉や各種リゾート地に代表される観光資源を生かした産業の発展が空(青)、自国内でとれる農作物を大事にして農業や工業を育てていこうという思いが穀物(黄色)、常に歴史の中であった闘争を忘れずに、日々を過ごそうという思いが独立心(赤)だと言われています。
ルーマニアの国旗の由来とは?
ルーマニア国旗は一番最初は横に3列の分割旗であったことが分かっています。これは革命時の旗で、このデザインはしばらく使われていました。現在の縦3列のデザインに変更されたのは1866年からです。
最初に革命が起きた時に使われていたのが1848年のため、およそ18年にわたって横3列のデザインが使われていたことになります。既存の旗をベースに国旗として見栄えがする他、「どれか一つが上ではない」ことを示すため縦になったとも言われています。
ルーマニアの国旗にまつわるエピソード
ルーマニアの国旗にまつわるエピソードについてまとめました。国旗と言われると一度決めたら国が滅ぶまで変化がないように感じられます。特に日本のように領土のやり取りが頻繁に行われなかった国の人々にとっては国旗が変わることは一般的ではありません。
ちなみに日本の国旗は幕末時代に海外と交易する際「私たちは日本人です」と遠くからでも判断できるようにつけたのが始まりと言われています。確かに教科書でも習ったように、その頃から本格的に現代的な国と国との交流が始まりました。
ルーマニアの国旗は『デザインが変化した』
ルーマニアの国旗は歴史の中でたびたびデザインが変化しています。他国と似ているからデザインを変えたというわけでもないのですが、トリコロールの並びが横から縦になったり、色の並ぶ順番が変わったりということが見られます。
これは後に述べる国章をあしらった時にも同じことが言えます。ルーマニアのみならず、国の体制が大きく変わるときに「今までとは違う国である」ということを世界的に宣言するために国旗のデザインが変化することがあります。
ルーマニアの国旗には『国章がデザインされていた』
ルーマニアの国旗のデザインの中には国章が施されていた時期もありました。それが前述の社会主義体制にあたる期間です。チャウシェスク政権時代のときに、トリコロールの真ん中に丸く国章があしらわれていました。
国章のデザインは森と山、そして太陽を描いたものとなっていました。山や太陽が特別社会主義を彷彿とさせるシンボルではないのですが、社会主義体制に移った時にこの国章が取り入れられていました。
その結果、1989年のルーマニア革命の時にはこの国章を切り取った旗を革命側が持つという事態になりました。国章を切り取ることで社会主義への反抗心を示したこの旗は、後に正式に国旗として採用されました。
ルーマニアの国旗が似ている国はある?
縦に3分割された国旗というのはヨーロッパの国ではポピュラーなデザインです。ルーマニアもこれを取り入れていますが、実は世界にはルーマニアにものすごく似ている国旗を持つ国があります。
それがチャドという国の国旗で似ているというレベルではなく「どっちがパクったか」が問題になるレベルのそっくりさとなっています。縦に3分割というデザインも、赤黄色青という配色も全く一緒なのです。縦横の比率も2対3で全く一緒です。
似ているどころか完全に一致している両国の国旗ですが、実はほんの少し違いがあります。チャドの方が青の色がルーマニアよりも若干濃いと言われています。よく見てみるとほんの少し違いがあることが分かりますがそれでも非常に似ていることは否めないでしょう。
ルーマニアの訪れたい【世界文化遺産】
似ている国旗に続いて、最後はルーマニアの有名な世界文化遺産をまとめて終わります。ルーマニアには森や山だけでなく、中世時代の古き良きヨーロッパの特徴を残したおもむきある街並みなどが未だに残っています。
自然遺産を眺めるのももちろんおすすめですが、同時にヨーロッパ独自の建築や教会など、日本ではあまりお目にかかれない文化遺産を訪れてみるのもルーマニアの良い楽しみ方となるでしょう。
シギショアラ歴史地区
最初に紹介するのはシギショアラ歴史地区です。歴史地区という名前の通りこちらはルーマニアの中でも珍しいヨーロッパの古い城塞都市の風景を未だに残しています。日本で言う白川郷のようなものです。
トランシルヴァニア地方にあるこのシギショアラ歴史地区に人の移住が始まったのは1191年からと言われています。当時のハンガリー王の令でこの地に入植が始まり、徐々に街並みが整って行きました。
ブコヴィナ地方の修道院
ブコヴィナ地方の修道院はオスマン朝の元で貴族達が建てた修道院群です。聖書の内容が再現された教会の壁画は、キリスト教に詳しくない人でもその歴史の重みと真剣さを感じ取ることができるでしょう。
これらのフレスコ画は16世紀に描かれたものだと言われています。世界文化遺産に登録されている修道院は全部で8つ、ルーマニア国内にありますがそのうちの5つをここで楽しむことができます。
トランシルヴァニア地方の要塞教会
トランシルヴァニア地方には要塞教会と呼ばれるこれもアジア圏では見ることの出来ない歴史的な建造物があります。この要塞教会はサシと呼ばれるドイツ系の入植者達によって建てられました。
商業や文化を興そうと意欲的になっていた当時のサシの人達は、同時に遊牧民達の攻撃を恐れていました。トランシルヴァニア地方は資源が豊かだったため、入植者達もたびたび危険にさらされていました。
そこで建てられたのがからだとこころの両方を守るこの堅牢な要塞教会だったというわけです。かつては600箇所以上にあった要塞教会ですが、現在では半分以下しか残っていないと言われています。トランシルヴァニア地方に行ったらぜひチェックしてみてください。
観光がさらに楽しくなる!ルーマニア国旗の意味や由来を知ろう
ルーマニアの国旗の特徴や由来を似ている国旗や歴史などの観点からまとめてきました。歴史となると少しかたいお話が多いですが、そういった外国の歴史を少し知ることで観光地に行った時の感動もひとしおとなるはずです。
日本とは関わりの少ないヨーロッパと言う地方にあるからこそルーマニアの歴史や国旗、観光地はより色鮮やかに見えるものです。ルーマニアの国旗の持つ赤青黄色の意味を知って、意識してみるとルーマニアはより楽しくなるでしょう。
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