サウジアラビアの国旗について知ろう!
最近、ニュースでも取り上げられることが多いサウジアラビア。アラビア半島に位置する中東の国の1つで、正式国名は「サウジアラビア王国」です。イスラム教の戒律を厳格に守っている国の1つですが、国旗についても厳しい規律があります。ここではサウジアラビアの国旗の特徴や由来、特徴、歴史などについてみていきましょう。
サウジアラビアの国旗とは?
サウジアラビアの国旗の特徴は、緑色に白地でアラビア語、その下に刀が描かれていることです。緑はイスラム教を表すシンボルカラーです。アラビア語の下に描かれた剣は、聖地メッカの守護を意味します。この国旗はサウジアラビアのシンボルとして、さまざまな意味が込められています。
ここからは、国旗の緑色に込められた意味や文字の下に描かれている剣の意味や由来などについて見てみましょう。
サウジアラビアの国旗の色は緑
サウジアラビアの国旗の色は緑です。緑は、イスラム教の聖典であるコーランに緑色の記載があることから、何世紀にもわたって解釈され、現在は緑はイスラム教のシンボルカラーを意味しています。イスラム教国の国旗に緑が使われることが多く、またモスクの装飾や聖教者の墓が緑色の布で覆われることもあります。
サウジアラビアの国旗に使われている白は、平和と潔白を象徴する色です。イスラム教徒の男性の多くが金曜日の礼拝時には白い服を着用しています。
サウジアラビアの国旗に描かれている文字の意味は?
サウジアラビアの国旗の特徴は、文字と刀にあります。文字はアラビア語で「アラーの他に神は無し、ムハンマドはアラーの使徒である」という意味です。これはイスラム教の聖典であるコーランの一節で、イスラム教においてシャハーダ(信仰告白)と言われるものです。このシャハーダを唱えることは、イスラム教徒の義務とされる五行の1つにあたります。
サウジアラビアの国旗には剣のモチーフがある
国旗のシャハーダの下に描かれている剣は、メッカを守るという意味を表すと同時に、初代国王のイブン・サウードの勝利を意味する国宝の「ラハイヤン」を描いたものです。また、剣はシーア派のシンボルで、この剣でイスラム教のために戦ったと言われているーア派の初代指導者イマーム·アリに由来します。
剣が描かれている国旗は珍しく、サウジアラビアの他には、スリランカの国旗に剣を持った獅子のモチーフが描かれています。
サウジアラビアの国旗の特徴は?
サウジアラビアの国旗の特徴は、信仰告白を意味するシャハーダにあります。これは聖なるアラーの言葉ですから、どんな時にも下げてはならないとされています。多くの国で弔意の意味を込めて国旗を半旗にしますが、サウジアラビアの国旗は半旗にしないのが特徴です。
サウジアラビアの国旗のもう1つの特徴は、シャハーダが表裏どちらからでも読めるように、同じものを2枚縫い合わせていることです。また、他の国の国旗では旗竿が左側になるのが一般的ですが、サウジアラビアの国旗は文字や剣の向きから、旗竿を右側にするのが特徴です。
サウジアラビアの国旗の規則
サウジアラビアの国旗は聖なる言葉を意味するシャハーダがあるため、厳しい規律があるのが特徴です。国旗は縦長には掲揚してはならず、やむえない場合は文字を90度回転させた旗を作ります。また、サウジアラビアの国旗は、Tシャツなど他のものにプリントしてはいけないことになっています。
サウジアラビアの国旗の由来は?
現在のように緑色を背景に白文字と剣が描かれたモチーフの国旗は、18世紀の第1次サウード王国時代の改革運動が由来となっています。現在のサウジアラビア王家となるサウード家はこの改革運動で勢力を拡大しますが、幾度となく戦いがあり、王が変わるごとに国旗も変更されました。
1902年に初代サウジアラビア国王のアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードが、ナジュドの国王になると、国旗に白い剣のモチーフが付け加えられました。これが現在の国旗の由来です。
サウジアラビアの国旗の意匠は1973年3月15日まで統一されたものがなく、それぞれの地域で異なった国旗が使われていました。1938年頃までは、剣が2つある国旗や左側に白線が引かれた国旗などもよく使われていました。
サウジアラビアの国旗をめぐる歴史
サウジアラビアは「サウード王家によるアラビアの王国」という意味です。絶対君主制を採用している国家で、国連加盟国の中でも王家の名前を国の名前にしているのは、リヒテンシュタインとサウジアラビアの2か国だけです。
サウジアラビアの歴史は、15世紀にサワード王家がリヤドに勢力を築いたことに始まります。その後、サワード王家はワッハーブ派というイスラム教の宗教勢力と同盟を結び、第1次ワッハーブ王国を作りました。
以後、第1次ワッハーブ王国は150年にわたって、エジプトや他のアラブ部族との戦いを繰り広げ、王国の興亡を繰り返しました。19世紀にオスマン帝国にほって滅ぼされましたが再建され、第2次ワッハーブ王国が設立します。
第2次ワッハーブ王国が滅んだ後の20世紀に、後に初代サウジアラビア国王となるアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードが第3次サウード王国を作ります。これが現在のサウジアラビアの由来です。その後、先祖伝来の本拠地リヤドをライバルのラシード家から奪回し、他の地域を統一・併合し現在のサウジアラビア王国となりました。
このように、サウジアラビアはサワード家の絶対的君主制度の歴史が続くイスラム教の国で、厳格に戒律を守っています。また世界最大の王族数を誇り、ギネスにも掲載されています。
サウジアラビアの国旗と似ている国
イスラム教の国は「汎アラブ色」と呼ばれる配色を国旗に採用していて、「イスラム・アラブ色」とも呼ばれています。アラブ独立運度の指導者・フサイン・イブン・アリーが「アラブの反乱」と呼ばれる独立運動で用いたアラブ反乱旗に由来すると言われています。赤・黒・白そして緑を基調とするのが一般的です。
イラクの国旗は、上から赤・白・黒の色の横帯から成り、中央にアラビア語で「神は偉大なり」と書かれています。この文字はフセイン元大統領の直筆をデザインしたものと言われています。イラクの国旗もアラビア語が入っているため、サウジアラビアの国旗と同様、旗竿は右側になります。
イランの国旗は、上から緑・白・黒の色の横帯から成り、中央にイランの国章が描かれています。白い帯の上下には、図案化したアラビア文字で「神は偉大なり」と連続して書かれています。文字は合計22個あり、イラン暦の11月22日にイラン・イスラム革命が帝政を打倒したことに由来します
イランの国旗に使われている白は清浄・平和、赤は勇気を表し、緑はイスラム教のシンボルカラーに由来します。
パキスタンの国旗は、サウジアラビアと同じように緑を基調としています。緑はイスラム教のシンボルカラー、左の白い部分はイスラム教徒以外の少数派の存在を意味しています。三日月の星のモチーフがあり、三日月は進歩、星は光と知識を意味するとされています。パキスタンの国旗は1947年の独立時に正式に制定されました。
アラブ首長国連邦の国旗は、1971年12月2日に独立したときに制定されました。赤・白・緑の汎アラブ色を使って、アラブ民族の統合を意味しています。国旗の緑は土地の肥沃さ、黒は戦い、白は無垢な生活を表しているとされています。
アラブ首長国連邦はサウジアラビアとは異なり、国旗のモチーフがあちらこちらに使われます。特に独立記念日には国旗をモチーフにしたグッズやTシャツなどが多く販売され、観光客のお土産としても喜ばれています。
サウジアラビアの国旗の背景は?
サウジアラビアはアラビア半島に位置する国で、首都はリヤドです。イスラム教の聖地メッカと第2の聖地メディナを有し、国民がイスラム教以外を信仰することは認められていません。2016年で3228万人の人口があり、外国人の割合が3割近く占めています。外国人の多くがインドやパキスタンなどからの労働者です。
サウジアラビアは世界2位の原油の埋蔵量を持ち、王国の経済は石油が中心となっています。石油収入のおかげで、教育費や医療費は無料、社会福祉や公共サービスも充実しています。日本との関係も友好的で、日本が輸入する原油のうち3割がサウジアラビアからとなっています。
サウジアラビアは砂漠の国で一般に気温が高いのですが、沿岸部と内陸部では気候が少し異なります。沿岸部では夏は高温多湿で冬は温暖な気候です。リヤドがある内陸部は乾燥し、夏の最高気温は45度を超えることもあります。冬は夜にマイナスまで気温が下がることもあります。
サウジアラビアの文化や習慣は?
日本はいろいろな宗教や文化が入り混じっていて、七五三などの伝統行事やクリスマス・ハロウィンなどさまざまな行事やイベントを祝います。しかしサウジアラビアは厳格なイスラム教の国で、イスラム教以外の行事は全て禁止されています。宗教行事の他、シャナドリア祭という国民的祭典が盛大に開催されます。
サウジアラビアの文化や習慣でよく知られているものに、女性は全身をアバヤと呼ばれる黒い服の着用が義務付けられていることです。女性は顔も覆うことを義務付けられ、家族以外の男性との外出や会話は禁じられています。外国人も肌を露出した服装をしていると注意を受けます。
サウジアラビアでは1日5回の祈りの時間があります。この時間帯は店の店員も職場を離れることがあります。また1年に一回、ラマダンと呼ばれる断食月があり、外国人も公共の場で飲食をすることはできません。
サウジアラビアの食文化は?
イスラム教徒は豚肉を食べることはありません。イスラム法上で食べることが許されている食材や調理法が決まっていて、それらを「ハラール」と呼びます。またイスラム教では飲酒が禁じられています。国内でアルコール類を販売していないだけではなく、外国からの持ち込みも禁止されています。
サウジアラビアの主食はお米もしくはナンで、羊肉や鶏肉が多く食べられています。香辛料などのスパイスがふんだんに使われていますが、インドカレーのような辛い料理は少なく、コリアンダーやカルダモン、シナモンなどのスパイスが好んで使われています。またデザートは非常に甘いものが多いです。
サウジアラビアなどイスラム教の国では手で食事を食べることがありますが、左手は不浄とされているので、右手を使って食べるようにします。
サウジアラビアの観光名所もご紹介!
日本人がサウジアラビアを観光で訪れるには、観光ビザが必要です。もともとサウジアラビアは観光ビザの発給には積極的ではなく、訪れにくい国でした。しかしサウジアラビアやメッカや歴史スポットなど観光地も多く、観光客を誘致しようという動きが高まり、観光ビザの発給が緩和されることになりました。
アル・ラジヒ・グランド・モスク
サウジアラビアにはいくつもの観光スポットがあります。その1つ、アル・ラジヒ・グランド・モスクは首都リヤドにあるモスクで、リヤドで最大級の大きさを誇ります。男性用のエリアには1万8000人、女性用のエリアには2500人が一度に入ることができます。建物としての評価も高く、内部は鏡張りの美しい内装となっています。
預言者のモスク
預言者のモスクは、サウジアラビアの西部にあるイスラム教の第二の聖地メジナにあるモスクです。預言者ムハンマドの霊廟でもあり、年間100万人以上もの巡礼者が訪れます。100万人を収容できるほど大きなモスクで、10本のミナレット(尖塔)がある白亜の美しい建物です。
アル・ヒジュル古代遺跡
アル・ヒジュル古代遺跡はサウジアラビアの歴史スポットです。2008年にサウジアラビア初の世界遺産に登録されました。ナバテイヤ王国の古代都市で、繊細な彫刻や古代アラビア文字などが発掘されています。サウジアラビアの歴史を感じられるスポットとして、観光客にも人気があります。
ディライヤ遺跡
こちらもサウジアラビアの歴史スポットです。リヤドの北西約20キロのところにあり、サウジアラビアの国の成り立ちに由来する重要な遺跡です。サワード家発祥の地として知られています。オスマントルコ傘下のエジプト軍によって破壊されていましたが、現在は修復されていて歴史を感じるスポットとして人気があります。
キングダムセンター・タワー
キングダムセンター・タワーはリヤドにある超高層ビルで、その高さは約302メートルあります。高級ブランドショップを中心に160店舗以上が入るショッピングモール、フォーシーズンズホテル、各国の料理が楽しめるストランなどがあります。
上層階には展望台があり、リヤド市街を眼下に見ることができる絶景スポットとして人気があります。女性限定のフロアや黒いアバヤを着用した女性が入れないエリアがあるなど、サウジアラビアらしい観光スポットです。
サウジアラビアの国旗を知って思いを馳せよう!
サウジアラビアの国旗の意味、特徴、歴史、由来などを紹介しました。また、サウジアラビアの文化や歴史、観光スポットなどについても紹介しました。サウジアラビアの国旗には、サウジアラビアの歴史や深い意味などが込められています。国旗をきっかけに、サウジアラビアの文化や歴史について考えてみてください。
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