ウクライナってどんな国?
ウクライナの国旗について知る前に、まずはウクライナの概要をつかんでおきましょう。ウクライナと聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。ロシアとの関係や東ヨーロッパならではの荘厳な建物、あるいはウクライナ美人を思い浮かべる人もいるでしょう。
ウクライナは決して日本と関係の深い国ではありませんが、多くの魅力に溢れた素晴らしい国であるということは間違いありません。ウクライナはどんな場所にありどのような民族構成をしているのでしょうか。
ウクライナの地理
ウクライナは東ヨーロッパに位置する国です。日本人にとっては東ヨーロッパ自体があまり馴染みがなく、それぞれの国の位置関係もあやふやなことが多いです。ウクライナの西にはハンガリーやスロバキア、ポーランドなどの国があります。
東にロシア連邦がありウクライナはその歴史の中でロシアとは深いつながりがあります。国旗の意味や由来にもそういった歴史が反映されており、ウクライナとロシアは地理的にも似ている文化を多く持っています。
ウクライナの歴史
ウクライナの地に初めて人類がやってきたのは紀元前10世紀頃とされています。そこから歴史を重ねて8世紀には「ルーシ」という名の国が初めて起こりました。歴史上ではキエフ大公国と呼ばれることも多い国です。
近代では1922年にロシアやベラルーシなどの国とともにソビエト社会主義共和国連邦を構成する一員となっていました。ロシアの国内に中央集権的な力が集まっていましたが他の国も自治共和国として連邦の発展に尽力していました。
第一次、第二次世界大戦も経てソビエト連邦を支えていましたが1991年のソビエト崩壊に合わせてウクライナは国として独立しました。ウクライナには当時多くのロシア人が住んでいましたが国内のロシア人もウクライナの独立を強く支持したと言われています。
ウクライナの人種構成
ウクライナの人種構成に関してですが、ウクライナ人が80%を占めています。上記のようなソビエト連邦の歴史を見るとロシア人も多いのかなというイメージを抱きがちですが8割以上はウクライナ人であることがわかります。
しかしもちろん共和国連邦を構成していた時に住んでいたロシア人たちの子孫も住んでおり、残りの2割はほとんどがロシア人だと言われています。その他にも少数ではありますが、クリミア人やハンガリー人、ポーランド人なども住んでいます。
ウクライナの言語
ウクライナの言語はウクライナ語が68%を占めています。対するロシア語は30%となっており、この二つの言語がウクライナ内ではメインで使われています。ウクライナ国家はウクライナ語が標準語としています。
しかし同時にロシア語や他の言語の発達も同様に認める姿勢をとっています。家庭や友達との会話などで使われる日常レベルの言語を見てみると、ウクライナ語が38%なのに対しロシア語は40%となっています。
このことからもロシアと似ている点は文化だけでなく、言語の面でも共存していると言えるでしょう。「公用語と家庭内の言語を状況に応じて使い分けている」ことがわかります。
ウクライナ国旗の由来
ウクライナという国についての歴史や背景が分かったところで、続いてはウクライナ国旗の由来について知っていきましょう。ウクライナの国旗は青色と金色によって構成されているシンプルな二色横縞の国旗です。
国旗のほとんどには由来があり、その多くは歴史上で起こった国家的な出来事と深く関係しています。ウクライナの国旗も同様で、青色と金色を採用することには意味があり、世界にはウクライナ国旗と似ている他国の国旗もあります。
ガリシア公国の紋章が由来
ウクライナ国旗の由来はガリシア公国にあると言われています。ガリシア(ガリツィア)公国は正式名称をハールィチ・ヴォルィーニ公国といい、ウクライナ南西部にあった国です。ウクライナ南西部をガリシア地方ということから、ガリシア公国とも呼ばれていました。
このガリシア公国には国のシンボルとして青色の背景に金色のライオンが描かれています。青と金の色合いも現在のウクライナ国旗と似ていることから、ウクライナの国旗はガリシア公国の紋章に由来していると考えられています。
ガリシア公国自体が現在のウクライナ地方をメインにした公国だったため、現在のウクライナ人にとっても自分たちのルーツであり、ガリシア公国の紋章は当時から現在まで続くとても意味の深いものと考えられています。
スウェーデン国旗の色にあやかったという説も
ウクライナの国旗はスウェーデンの国旗にあやかっているとの説もあります。スウェーデンの国旗は青の背景に金色で十字が描かれている金十字旗と呼ばれるものです。
非常にわかりやすいデザインかつ印象に残りやすい色合いからスウェーデンの国旗は覚えているという人も多いでしょう。ウクライナは近世のコサック時代、中でも1656年にスウェーデンと同盟を結んでいます。
このことからスウェーデン国旗にあやかってウクライナ国旗は色を選んだとも言われています。ガリシア公国の由来もスウェーデンとの関係も、当時のウクライナを大きく左右する歴史上で意味がある出来事だったと言えるでしょう。
ウクライナは観光にも適した万能の地
ウクライナは農業のイメージが強いかもしれませんが、実は観光資源も豊富です。代表的なのが黒海に面したリゾート地と、ヨーロッパならではのおもむき深い町並みです。国土も広く、実は広いことで有名なフランスよりも更に広く、60万平方キロメートルもあります。
ウクライナは7つの世界遺産を持っています。歴史地区や古代都市など、正に欧州らしい雰囲気を味わえるのはウクライナの醍醐味と言えるでしょう。アジアにはない独特の荘厳さを味わいたい人にもおすすめの観光地です。
ウクライナは世界一深い場所にある地下鉄でも知られています。ウクライナのアルセナーリナ駅は地上からなんと105.5メートルの深さの位置にあり、地上からプラットホームまで行くのに5分ほどかかる世界一の深さにある駅です。
ウクライナ国旗の色の意味
ウクライナ国旗はかつてのガリシア公国のシンボルカラーである青色と金色が引き続いて用いられたと考えられています。では現在のウクライナ国旗の青と金も同じように考えられているのでしょうか。
そもそもガリシア公国のシンボルカラーがなぜ青と金に決められたのかも気になります。ガリシア公国の時代から現在まで同じ色を継承しているということは、ガリシア公国時代のテーマカラーが現在のウクライナにも影響を及ぼしていると考えられます。
青色が意味するもの
まずウクライナ国旗の青色ですがこちらは青空を意味していると言われています。ウクライナは自然豊かで観光にも適した地です。そんなウクライナののびのびとした青空を国旗、紋章としてのシンボルカラーに選んだのではないかと言われています。
ウクライナ国旗の青色に関してはもう一つ説があり、こちらは水を表していると言われています。16世紀以降ヨーロッパの穀倉地帯としてウクライナは自然を非常に大切にしてきました。空と同じように水も自然を代表するカラーと言えます。
黄色が意味するもの
続いてウクライナ国旗の金色ですが、こちらはウクライナで取れる小麦をイメージしていると言われています。広がる青空をバックにした雄大な草原、高原、穀物地帯はウクライナの代表的な風景です。
国旗の金色にはもう一つこちらも別の説があり、金色は火、あるいはひまわりを表していると言われています。自然の恵みを表すとともに、ウクライナという国が盛んに発展するようにという願いが込められていると推測する人もいます。
ウクライナ国旗の歴史
ウクライナは国そのものにももちろん深く長い歴史がありますが、同時に国旗にも何故国旗として扱われるようになったかの歴史や意味があります。ウクライナは国としてはまだ日が浅いですが、国旗は昔から使われていたものです。
ヨーロッパの中でも農業が盛んな地域として発展を続けて来たウクライナですが、青と金で彩られた国旗にはどのような歴史があるのでしょうか。1848年からウクライナ国旗の歴史は始まります。
1848年 ウクライナ民族の旗として選定される
ウクライナ国旗が最初にかたちとして出て来たのは国旗制定よりも更に早く、1848年のことだと言われています。元々ウクライナ国旗はウクライナ民族のシンボルとしての役割を果たすために用いられたのが始まりでした。
ロシアの支配下にあったウクライナは、19世紀半ばに独立を目指した民族解放運動を発起します。このときに使われたのが青と金を表す現在の国旗の下地となる旗でした。
1918年 正式にウクライナ国旗として制定される
ロシア革命が起きた後の1918年に、正式な国旗として制定されます。当時はウクライナという現在の名称ではなく、ウクライナ人民共和国という名前の国家でした。
現在の国家としてのウクライナが国旗としてデザインを用いる前に、1918年の時点で既に現在の国旗は使われていたということになります。ここから社会主義連邦を形成していくため、この国旗は長らく使われなくなります。
ソ連時代 共産主義を表す赤色の国旗が使用される
ソ連時代は上記の青と金を用いたものとは全く違う独自のデザインのものが使用されることとなりました。下3割ほどが青色、残りの上が共産主義を意味する赤色で赤いハンマーと星、鎌が赤色の背景上にデザインされています。
ウクライナ独自で決められた最初の国旗と似ている部分は国旗の下部が青色であることくらいです。赤色はもちろん共産主義を由来としており、ソ連の一員であることを強く印象付ける国旗となっています。
1991年 ソ連が崩壊しウクライナ国旗が復活
上記で扱ったように、1991年にソ連は崩壊してしまいます。連邦を構成していたウクライナも独立する運びとなり、改めて国旗を選定する必要がありました。
結果として、ウクライナの民族性を最も象徴している2つ前の国旗が再びウクライナの国旗として採用されました。ソ連時代とは大きく異なる、青と金の横縞デザインが1991年から現在まで使用されています。
ウクライナ国旗とデザインが似ている国旗
世界には似ているデザインの国旗もあるものです。全く地方や歴史に関係なくたまたまかぶってしまったものから、政治的や宗教的地理的に同じ由来を持つ国々が似たデザインの国旗を用いることもあります。
ウクライナの国旗に似ているものもいくつかあります。国旗は似たデザインのものが多いため紛らわしく感じてしまったり、覚えるのが大変だと感じる人もいるでしょう。ウクライナとどれくらい似ているかチェックしてみましょう。
バルバドスの国旗
バルバドスの国旗はウクライナと違い縦縞となっています。中心に金色を据え、両端は青色となっています。青色の部分はウクライナの国旗と比べてより深い色をしており、中心の黄色の上にはトライデントと呼ばれる三又の矛が描かれています。
トライデントはイギリスからの独立を意味していると同時に、民主主義国であることの象徴としても扱われています。両端の青色はバルバドスの空と海を表しており、中心の黄色は海辺の砂浜を表していると言われています。
スウェーデン国旗
先ほど少し取り上げたスウェーデンの国旗もウクライナと似ている点があります。スウェーデンの国旗は青色の背景に金色の十字が描かれたデザインなのですが、バルバドスと違いスウェーデンの国旗はウクライナとよく似ている色使いをしています。
スウェーデンの青色は空を表しており、そこに自由と独立とキリスト教を表した金色の十字が目にも鮮やかです。日本人の目線から見ると、いかにも北欧らしいデザインの国旗と言えるのではないでしょうか。
パラオの国旗
色使いが似ている点ではパラオもウクライナの国旗とよく似ていると言えます。パラオの国旗は太平洋をイメージした青色と月をイメージした金色で描かれています。デザイン自体は違うのですが色使いは全く一緒です。
パラオの国旗は日本の国旗ともよく似ており、「日本統治下時代に感謝したパラオ人が日本の国旗に似せてパラオの国旗を作った」と言われることもよくありました。
しかし実際はパラオ側にそういった記録は残っておらず、パラオの国旗のデザイナーも特に日本を意識してデザインしたわけではないとのことでした。最初にパラオの国旗の由来を言い出したのが誰かはわかりませんが、日本の国旗ともシュールな共通点があります。
国旗を通してウクライナの知識を深めよう!
ウクライナの国旗について国家としての歴史や、ソ連時代の変遷、国旗がもともとどのような意味を持っていたかについてまとめてきました。ウクライナの国旗は限りなく広がるウクライナの空の青さと小麦の美しい金色から成り立っています。
東ヨーロッパは戦争や略奪など闘争の歴史も多くありますが、黒海沿岸のリゾート地や聖ソフィア大聖堂などヨーロッパらしい街並みや文化遺産が多く残っていることでも知られています。国旗をきっかけにウクライナの事を知ることで観光もより楽しくなるでしょう。
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