山水画の世界が広がる中国の「桂林」
中国の「桂林」は世界的に有名な観光地。この地にはカルスト地形が広く分布し、急峻な山々が広がる独特な景観が広がります。深い緑の山々がその姿を川面に映し込む様は、まさに山水画の世界そのもの。桂林にはこの景色を見るため世界中から観光客が訪れています。今回は、桂林に来たらぜひ訪れたい定番の観光スポットや見どころをご紹介します。
「桂林」ってどんな場所?
桂林市内を流れる川「漓江(りこう)」の流域には、カルスト地形により形成された塔のような形をした山が林立しています。この独特の景観は中国において「溶岩峰林」と呼ばれ、中華史上に名を残す文人墨客にも愛されてきました。
漓江の上流側にある桂林市中心部、そして下流の街・陽朔(ようさく)には観光で訪れたい見どころがたくさん。漓江を上流から船で下る「漓江下り」は桂林観光のハイライトです。
まずは観光の起点となる「桂林市中心部」へ
内田春菊/ 桂林空港です。 http://t.co/oiieyW33CC pic.twitter.com/GcUNfDngEz
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桂林に飛行機でアクセスする場合、降り立つ先は「桂林両江国際空港」。日本からは中華系の航空会社を利用し中国国内の空港まで飛び、国内線の飛行機に乗り継いで訪れる方法がポピュラーです。桂林両江国際空港から桂林市までは約30キロ、空港バスを利用すれば約40分で市内へアクセスすることができます。
昨日の桂林駅 pic.twitter.com/wTydvBjtCy
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のんびりと陸路の旅を楽しみたい人は、鉄道で桂林を訪れるのもおすすめ。桂林の鉄道駅では広州や上海、重慶などの都市と桂林を結ぶ列車が発着しています。広州や、香港島と海を挟んで向かい合わせの都市・深圳(しんせん)からは桂林まで夜行バスも運行しています。
桂林のシンボルともいわれる「象鼻山」
漓江と支流である桃花江が合流する場所にある「象鼻山(ぞうびさん)」は、象が鼻を川面に垂らして水を飲む様子に見えることから名づけられました。ぽっかりと空いた円形の穴は自然に形作られたもので、かつて水面下に沈んていた穴の空いた岩が、水位が下がることで姿を現したと言われています。桂林のシンボルといわれる代表的な見どころで、定番の観光地となっています。
月の明るい夜には象鼻山の穴が水面にゆらゆらと映り、まるで満月の影のように見えるのだとか。これは桂林最大の絶景といわれる「水月洞」と呼ばれる景色です。象鼻山のある「象山景区」というエリアは、桂林市中心部から徒歩5分で訪れることができます。
見学には丸一日が必要!「七星公園」
漓江の東に位置する「七星公園」は、山水の景観を楽しむことのできる桂林最大の公園。市内中心から1.5キロのところにあり、気軽に訪れることができます。巨大岩や鍾乳洞、急峻な山など、82万平方メートルもの敷地の中に桂林の縮図のような光景が広がっています。見どころが多いので、全てを見学するには丸一日が必要です。
花橋
「花橋」は七星公園では必ず見学したい見どころのひとつ。桂林で最も歴史のある建築物のひとつで、全長は120メートル。石灰岩で造られており、春になると周囲に大輪のつつじが花を咲かせることが橋の名の由来です。
駱駝山
その名の通り、ふたつのこぶを背中にもつラクダのような形をした山。そのユニークな形から七星公園内でも人気の見どころとなっています。
七星岩
七星公園内の定番スポット、「七星岩」は全長814メートルの鍾乳洞。内部ではカラフルな照明を用いて鍾乳石がライトアップされています。桂林周辺では、鍾乳洞の内部が色鮮やかな照明で照らされていることが多いようです。
桂林市街から訪れやすい「畳彩山」
市街の北部に位置する「畳彩山(じょうさいざん)」は、桂林市内からアクセスしやすい定番の観光スポットのひとつ。石灰岩の堆積と浸食が繰り返されて形成されました。明月峰、仙鶴峰、迂越山の峰々からなり、おすすめは明月峰。山頂からは桂林市の街並みを一望でき、山々が美しく屹立する360度の絶景パノラマを堪能することができます。徒歩で20分程度の登山なので、歩きやすい靴で臨みましょう。
桂林を代表する鍾乳洞「蘆笛岩」
無数の奇岩が林立する桂林において代表的な鍾乳洞である「蘆笛岩(ろてきがん)」。全長500メートルのコースにそって鍾乳洞を見学できます。桂林市北西にある光明山の中腹にあり、桂林ではぜひおとずれたい定番の観光スポットです。
中国にあるリードフルート洞窟(別名:蘆笛岩)。1200年以上の歴史を持ち、唐の時代から観光客が訪れ、洞窟内には歴代の壁画77幅が残されているそう pic.twitter.com/dT2kA1KsYs
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蘆笛岩では鍾乳石や石柱、石の花などを見ることができます。ひとつとして同じものが存在しない奇石の数々はまさに自然の芸術。色とりどりのライトアップが施され、幻想的な世界が広がっています。
昼と夜に訪れたい「日月双塔文化公園」
桂林市内中心部にある杉湖で見学できるのは「日月双塔」。中国の歴史を感じさせる中華建築です。堂々たる建物ながらしみじみとした味わいがあり、美しい景観が人気を呼んでいます。
日月双塔 pic.twitter.com/ICyK7krBuT
— 路小德 (@luxiaode) October 13, 2016
夜にはきらびやかにライトアップされるので、昼とはまた違った雰囲気を楽しむことができます。杉湖のナイトクルージングもぜひ楽しみたいところ。時間があれば、昼と夜の両方に訪れるのがおすすめです。
桂林観光のハイライト!「漓江くだり」
桂林観光の定番であり、目玉となるのが「漓江くだり」。船で漓江をくだりながら、下流の陽朔という街に向かいます。船からの眺めは、山水画の中に入り込んだような素晴らしい景観の連続。峰林がどこまでも続き、その間を縫うように漓江は蛇行しながら流れています。
船に乗るのは桂林市街より南に下ったところにある「竹江」という街。終着地である陽朔までは4時間の道のりです。季節により漓江の水量が増減するため、ベストシーズンは4月~11月。水量が少ないとコースが変更になる可能性もあります。ツアーに参加するのではなく個人で漓江下りを体験する場合、乗船の前日までにチケットを予約する必要があるので注意しましょう。
漓江くだりの途中で寄りたい「冠岩風景区」
竹江と陽朔の間に位置する「冠岩(かんがん)風景区」。ここでは全長12キロの巨大な鍾乳洞を見学でき、漓江くだりの途中で訪れられる定番の観光スポットです。エレベーターや路面電車に乗って辿る見学コースは、奇岩が連なる地底世界の冒険!カラフルなライトアップはいかにも中華風といった趣。桂林市街から陸路でアクセスすることも可能です。
美しい田園風景が広がるのもこのエリアの特徴。周囲には水田や村落があり、人々の暮らしを垣間見ることができます。近年は冠岩とショッピングセンターなどが建つ繁華街とを結ぶ路線が建設中のため、もしかすると数年後には、この牧歌的な風景も近代化してしまうかもしれません。
漓江くだりの終着地!歴史ある街「陽朔」
船をおりたらそこは陽朔の街。桂林の中心部からはバスで訪れれば約1時間半のところに位置する古い街です。多くの人は桂林市中心部に滞在しますが、中華風の街並みが人気の陽朔に宿泊するのもおすすめです。陽朔の周辺にも景勝地や見どころが多く集まっているので時間をたっぷりとって訪れましょう。
中国の広西チワン族自治区の陽朔に行ってきた。意外にバックパッカーが多い。バーも多くて泊まれば良かった。 pic.twitter.com/NBBSSU5KUX
— bedridden (@matwiyutter) April 17, 2017
中国南部の伝統的な家屋や風情のある石畳が、街の味わいをかもしだしています。欧米からの観光客から人気がある陽朔では英語が通じることが多く、看板にもしばしば英語の店名が掲げられています。
街歩きを楽しむ!「陽朔西街」
陽朔の街の中心街である「西街」では、レトロな中国の街並みを楽しみましょう。みやげ物店や飲食店が集まっているので、おみやげにぴったりな中華グッズを探したり、中華食材を選んだりしながらショッピングを楽しむもよし。中華料理に舌鼓を打つもよし。陽朔に宿泊する予定はなくとも、ぜひ時間をとって街をまわってみましょう。
風光明媚な山々が林立する「高田郷」
「高田郷(こうでんきょう)」には石灰岩からなる山々が無数に林立し、陽朔の周辺では人気のスポット。どこまでも続く水田の間を水牛がのんびりと歩いていく様子は、まるで映画の一場面のようです。観光の喧騒から離れてちょっとひと息つきたい時におすすめの場所です。陽朔の街で自転車を借り、サイクリングを楽しむのもよいでしょう。
穴の空いた不思議な山「月亮山」
月亮山。広西チワン族自治区、中国 pic.twitter.com/W4e62RQKMl
— 旅しま専科 (@tabisimasenka) October 17, 2015
高田郷の周辺に位置する「月亮山(げつりょうざん)」も陽朔近辺では定番の観光スポットです。不思議なことにこの山の中腹には大きな丸い穴が空いており、月のように見えることから「月亮山」と呼ばれるようになりました。穴の手前には小さな山があり、見る人の位置によって穴が満月のようにも半月のようにも見えます。穴の形が変化するのを楽しみながら散歩に興じるのがおすすめです。
いざ桂林へ!絶景を巡る山水画の旅
カルスト地形による不思議な山々が連なる桂林。見どころの多い桂林を訪れるなら、日数に余裕をもって旅行の計画をたてたいところです。著名な文人たちも愛した山水画のごとき絶景にきっと圧倒されることでしょう。