ホンジュラスの治安や危険都市をご紹介
世界で一番治安が悪い都市と呼ばれるサンペドロスーラをはじめ、国全体の治安が非常に良くないと言われているホンジュラス。殺人の発生率が世界一とも言われていますが、そんなホンジュラスの実際の治安の状況はどうなっているのでしょうか。安心して滞在できる場所はあるのでしょうか。ホンジュラスの治安の状況や特に危険な都市、ホンジュラスを訪れる際の注意点などご紹介します。
ホンジュラスはどんな国?
ホンジュラス(正式名称ホンジュラス共和国)は、中央アメリカ中部に位置しており、西にグアテマラ、南西にエルサルバドル、南東にニカラグアと国境を接しています。北と東はカリブ海に、南はフォンセカ湾を経て太平洋に面しています。
各国との国境はグアテマラとは1933年にアメリカの仲裁により、エルサルバドルとは1992年、ニカラグアとは2007年の国際司法裁判所の裁定により確定しました。各国と接する大陸部のほかに、カリブ海岸のスワン諸島、バイーア諸島もホンジュラスの領地となっています。
ホンジュラスは英語読みでスペイン語では「オンドゥラス」と発音します。この名前は1502年にクリストーバル・コロンがこの地に上陸しようとして船の碇を降ろしたものの、海底まで届かなかったことから、この地をスペイン語で「深さ」や「深み」を意味する「オンドゥラ(hondura)」と名付けたことが由来だとされています。
現在のホンジュラスの治安状況は?
外務省の海外安全ホームページによると、2017年9月現在、ホンジュラスの大部分は「不要不急の渡航を止めてください」と警告の出される危険レベル2の地域となっています。どうしても渡航をしなければならない場合は特別な注意を払い、十分な安全対策が必要となる地域です。
ホンジュラス政府の発表によると2014年の殺人による死者は5801人で、前年比630人減少していますが、それでも1日に15件以上の殺人事件が起こっており、世界的に見ても殺人率の高い国となっています。また依然として連日新聞報道では殺人事件が伝えられており、若干低下したとはいえ、厳しい治安情勢が続いているため安心をして旅行ができる状況ではありません。
ホンジュラスの治安はなぜ悪い?
ホンジュラスには「マラス」と呼ばれるギャングが多くいますが、ホンジュラスの治安が悪くなった一番の原因は、中米に本部を置く「マラ・サルバトルチャ」というギャングがホンジュラスに拠点の一つを置いているからと言われています。マラ・サルバトルチャは通称「MS-13」と言われていますが、アルカイダやメキシコギャングともつながりもあり世界で最も危険な組織としてFBIの10大指名手配に挙げられています。
「ME-13」は世界中に拠点を持っていますが、アメリカで犯罪を犯して入国拒否にあった人たちがホンジュラスで「MES-13」を再結成していることから、ホンジュラスにはギャングの中でも極悪な人たちが集まっているのです。「ME-13」のギャングはデビルズボーンと呼ばれる「ME-13」のMを逆さにしたマークや13とくマークが入っているタトゥーを入れていて、ホンジュラスの人々にもギャングは恐れられています。
治安の悪いホンジュラスではこんなことも
南米から北米に密輸されるコカインの約80%はホンジュラスを経由しているといわれており、ホンジュラスは「麻薬の経由地」とも呼ばれています。特に、ホンジュラス北部や西部及び東部における麻薬組織の活動が活発化しているため組織間抗争や麻薬取引のトラブルによる殺人事件も多発しています。また、ホンジュラス北部や西部の山間部では麻薬の精製工場とみられる施設も摘発されています。
マラス等の犯罪組織は、バスやタクシー等の交通機関関係者や商店等から「みかじめ料」を脅し取っているとみられています。そのため「みかじめ料」の支払いを断ったために殺害されるケースも増えています。特に都市部ではバスやタクシーの運転手に対する銃撃事件が相次いでいますが、これは「みかじめ料」の不払いが原因と思われています。
また、2014年11月にはミス・ワールドのホンジュラス代表となった女性が世界大会前に姉と共に失踪し、遺体で発見されるという事件も起こっています。犯罪発生率の高いホンジュラスでは旅行者だけでなく地元の女性や男性も安心して日々を過ごすことのできない状況となっているのです。
ホンジュラス首都テグシガルパの治安
Latin American & Caribbean Forestry Commission takes place in Tegucigalpa, #Honduras, 25-29 Sept. Background docs: https://t.co/DpiYVF1w1G pic.twitter.com/0jLXLfQRjU
— FAO Forestry (@FAOForestry) September 12, 2017
ホンジュラスの首都テグシガルパは2017年9月現在、「不要不急の渡航は止めてください」と警告される、危険レベル2の地域に指定されています。ホンジュラス市内では、全域において殺人や誘拐が多発していて、正確な統計はありませんが、テグシガルパ市だけでも数十万人が強盗被害に遭ったとの情報もあります。テグシガルパ都市圏の人口は約130万人といわれているので、犯罪発生率はかなりの高さです。
#Noticias #Tegucigalpa: Se derrumba una vivienda en el barrio #ElChile ► https://t.co/03zoiI6ec8 pic.twitter.com/znpVrleHNo
— Abriendo Brecha (@Abriendo_Brecha) September 9, 2017
滞在には注意が必要です。テグシガルパ市周辺に所在する貧困地区では特に殺人や強盗等の凶悪犯罪が多発しているため、絶対に立ち寄らないようにしましょう。また、チョルテカ川以西の地区は、「マラス」の構成員が多く居住し、テグシガルパの中でも特に治安悪化が顕著な地区となっています。居住者等以外の者の進入を妨害するという情報もあるため注意が必要です。
テグシガルパの中心部から6kmほどのところにあるトンコンティン国際空港内は、警察官や軍関係者が厳重に警備しているため重大事件も発生しておらず、比較的安全な場所と言われています。しかし、空港周辺は強盗や誘拐事件が多発している地域であり、近年では夜間営業の風俗店等が増え、雰囲気も悪く治安の悪化が顕著になっています。
#Sucesos
— Abriendo Brecha (@Abriendo_Brecha) August 31, 2017
Operativos antidrogras y contra la trata de menores en el Barrio El Benque de #SanPedroSula ► https://t.co/L2D5LfAyLD pic.twitter.com/caP3aCjRZs
トンコンティン国際空港付近の地域では自動小銃を使用した大量殺人事件も発生していることから、周辺地域にむやみに立ち入らないようにしましょう。また、主要幹線道路上では「みかじめ料」を巡る争いと思われるタクシーやバス運転手への襲撃事件が多発しています。「マラス」等の犯罪組織は、襲撃の際にけん銃や自動小銃を使用する場合が多いため、車に乗っているときも跳弾や流れ弾にも十分注意する必要があります。
サンペドロスーラの治安はさらに悪い
Inician traslados de más 668 reos del centro Penal de #SanPedroSula: https://t.co/AiJYL9mifY pic.twitter.com/znI4cvuLl9
— diarioelsolhn (@diarioelsolhn) September 18, 2017
ホンジュラス北部に位置し、カリブ海に面しているコルテスにはホンジュラスの経済の中心と言われていますが、サンペドロスーラでは首都テグシガルパよりも「マラス」の活動が活発で、強盗が多発していると言われています。特にラモン・ビジェダ・モラレス国際空港付近の治安が悪化していることから、同空港付近での滞在は避け中心部南側の大型ショッピングモールや外資系ホテルの所在する地区へ移動することをお勧めします。
#Sucesos#SanPedroSula: 17 heridos deja accidente entre dos buses ► https://t.co/QhtgAArVDc pic.twitter.com/jhFviXKIG3
— Abriendo Brecha (@Abriendo_Brecha) September 9, 2017
2013年1月には、サンペドロスーラ市内をカメラで撮影しながら散策中の外国人旅行者が強盗団に襲撃され、カメラ等の所持品を奪われた後に射殺される事件がありました。また2014年10月にはカナダ人2名が銀行から大金を下ろした直後に襲われて銃撃を受け、重傷を負う事件も発生しています。外出の際は極力貴重品を持ち歩いたり、目立った言動をしないようにしましょう。
また、コルテスの中でもチョロマ、ビジャヌエバ、ラ・リマ周辺ではは治安の悪化が顕著になっています、テグシガルパとサンペドロスーラを結ぶ幹線道路は大変危険なため、これらの市街地へ入ることは避けるようにしましょう。男性・女性関わらず、都心部でも郊外でも安心して滞在できる場所はほとんどありません。
治安の悪いホンジュラスで身を守るには?
非常に多くの犯罪が発生しているホンジュラスでは男性・女性に関わらず身の安全を確保するための対策が必要です。夜間は不要な外出はせず昼間でも単独行動はできる限り避けのが安心です。外出をする際は徒歩での移動は極力避け、たとえ近距離でも車両で移動するようにしましょう。目立たない服装で時計や特に女性はアクセサリーなどの貴金属類などを身に着けないようにし、携帯電話でも路上での通話は避けるようにしましょう。
犯罪者のほとんどが銃器を所持していると考えられるため強盗被害に遭った場合は生命の安全を第一に考え、決して抵抗せず、抵抗する素振りも見せないようにしましょう。また、金目のものを何も所持していない場合、強盗犯が逆上して腹いせに発砲するケースもあるため、財布には500レンピーラ(約2500円)程度の現金を入れておき、残りは別の場所に入れて持ち歩くようにしましょう。
#Sucesos
— Abriendo Brecha (@Abriendo_Brecha) September 5, 2017
Caen pandilleros de la 18 en el sector Rivera Hernández en #SanPedroSula (VIDEO) ► https://t.co/3qjYqrbaXQ pic.twitter.com/mTqUL7QmVR
車内での強盗・ スリや乗客を狙った強盗犯と銃器を所持する乗客が撃ち合う事件も発生しいるため、特に被害が多発している「ラピディート」と呼ばれるマイクロバスや「コレクティーボ」(相乗りタクシー)の利用は避け、ラジオタクシーを利用しましょう。夜間の流しのタクシーは強盗に豹変する場合があるため絶対に利用しない方が安心です。
制服を着た警官であっても偽物である可能性があります。そのためホテル、一戸建てアパート等の滞在先に見知らぬ者が訪ねてきたら、たとえ制服を着た警官であっても絶対にドアを開けないようにしましょう。飲食店を狙った強盗事件も多発しているため飲食店を利用する場合は、店のセキュリティー状況についても注意をして、万一銃撃戦等が発生した場合は、即座に床に伏せるようにしましょう。
ホンジュラス滞在の際は届け出を
ホンジュラスに3か月以上滞在をする場合は在ホンジュラス日本国大使館に「在留届」の提出が必要になります。緊急時の連絡などができるよう、到着後遅滞なく在ホンジュラス日本国大使館に「在留届」を提出しましょう。住所その他の届出事項に変更が生じたときやホンジュラスを去る際には、必ずその旨を届け出てましょう。在留届の届出は、在留届電子届出システムで行うことができます。
また、海外旅行者・出張者を含む3か月未満の短期渡航者は在留届の提出義務はありませんが、滞在先の最新の安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、またいざという時の緊急連絡などの受け取りができるよう、現地での滞在予定を登録できる外務省海外旅行登録「たびレジ」へ登録するのが安心です。男性・女性に関わらずできるだけ登録するようにしましょう。
ホンジュラス旅行は治安が良くなるのを待って
ホンジュラスの治安の状況や特に危険な都市、ホンジュラスを訪れる際の注意点などご紹介してきましたがいかがでしたか?ギャングによる犯罪等が多発し、男性・女性関わらず渡航が危険な状況のホンジュラス。安心して旅行ができるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。どうしてもホンジュラスに渡航が必要な場合は、最新の治安状況を確認し、十分な安全対策をして訪れるようにしましょう。
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