ロライマ山は南米で人気の絶景スポット!
日本で山というと、富士山などに代表されるような、いわゆる三角形の山を連想します。しかし自然というものは、その土地の気候や地質などによってはさまざまな地形を作り出し、美しい景色を現出させるのです。そんな絶景スポットとして人気のロライマ山について紹介します。
世界屈指のテーブルマウンテン
ロライマ山が人気なのは、その形にあります。テーブルマウンテンという言葉がぴったりの、テーブルのように山頂が平らになった形をしています。雲海を突き抜けてそびえるその平らな山頂部は「陸の軍艦」とも呼ばれ、あたかも巨大な空母が空中に浮いているように見えます。
コナン・ドイルの「失われた世界」の舞台
ロライマ山はむき出しの岩場で断崖絶壁になっていることから、長い間人間が登ることができない山とされていました。その中1884年12月、イギリス人植物学者イム・トゥルンとハリー・パーキンスがこの山の登頂に成功します。
イム・トゥルンは登頂後にイギリスでその時の写真を使っての講演会を開きました。この講演会にある有名な作家がいました。その作家こそが、有名な私立探偵シャーロック・ホームズをこの世に生み出したアーサー・コナン・ドイルだったのです。
写真に映し出された美しい自然の景色に感動したドイルは、1912年にSF小説を執筆します。これが「失われた世界」です。この小説では古生物学者がアマゾンの奥地で絶滅したはずの古代生物が生きている「失われた世界」を発見したということでそこに探検旅行に行くのですが、その舞台こそがこのロライマ山だというのです。
「失われた世界」は日本をはじめとする世界各地で読まれ、映画やテレビドラマにもなりました。さらにこの小説を意識した形で作られた小説や映画、ゲームソフトなども発売されています。
ロライマ山の基本情報
それではまず、ロライマ山というのはどのような山なのかということについて紹介します。日本人の目から見るとやはり気になるのはロライマ山の場所とその山の形ではないでしょうか。ロライマ山の美しい、また珍しい形はどのようにしてできたのでしょうか。またどのくらいの高さの山なのでしょうか。
ベネズエラ、ガイアナ、ブラジルの3つの国境にまたがる山
まず、ロライマ山はどの国にあるのかというところから紹介していきます。ロライマ山があるのはベネズエラ、ガイアナ、ブラジルの3つの国の国境付近です。後で紹介しますが、ロライマ山の山頂の一角にはトリプルポイント(三国国境)と呼ばれる3つの国の国境が交わる地点が存在します。
このロライマ山があるあたりはギアナ高地と言われるところなのですが、このロライマ山周辺にはこの山と同様のテーブルマウンテンがいくつかあります。それらは現地のペモン族の言葉でデプイと呼ばれていますが、なぜかロライマ山はデプイとよばれていません。
ロライマ山のロライマというのはペモン族の言葉で「偉大」という意味なのだそうで、デプイと呼ばれないのはその人々の信仰とかかわりがあるのではないかと言われているそうです。
カナイマ国立公園内に位置する
ロライマ山は今述べたように、3つの国の国境付近にあるのですが、その中でもベネズエラにあるカナイマ国立公園の中に位置しています。このカナイマ国立公園は1994年にはユネスコ世界遺産(自然遺産)にも登録され、未だ人類未踏の場所がある世界最後の秘境と呼ばれる場所の一つです。
そのため、原始的な特徴を持つ動植物が現在もこの地に生息し、独自の生態系を作り出していると言われています。ちょうどギアナ高地の中心となる地域で、そのあたりにはロライマ山を含むテーブルマウンテンが大小100余りジャングルに浮かんでいます。
標高は約2,810m
ロライマ山はこのカナイマ国立公園にあまたあるテーブルマウンテンのうちの最高峰です。標高は約2810メートルです。ロライマ山があるギアナ高地は熱帯にあるのですが、この標高と過酷な自然環境のため、頂上には荒涼とした岩だらけの景色が広がります。
ロライマ山のあたりはカリブ海からの湿った空気が常に入り込むため、湿度も高く、降水量もかなりあるという自然環境です。しかし逆にその降り続く雨によって、植物が育つために必要とする土が洗い流されてしまうのです。そして荒涼たる景色ができあがります。
地球最古の岩盤
植物が育つのに必要な土が雨に洗い流されるような過酷な自然の中、なぜテーブルマウンテンができあがったのでしょうか。それはこのテーブルマウンテンを作り出す岩盤に理由があります。
学校の理科や地学の授業で習ったかもしれませんが、地球というのは地殻、マントル、核という内部構造を持ちます。地球の表面部分の地殻と上部マントルは固く、その下の部分は流動性を持ちます。この表面の固い部分はいくつかのプレートという巨大な板に分かれ、流動性のある部分に乗り、動いているのです。
いわゆるプレートテクトニクス理論ですが、このロライマ山があるギアナ高地はその移動の回転軸にあたる部分と考えられています。そのため噴火や地震などの地質の変化をほとんど受けていないと言われています。
地質の変化を受けていない結果として、このあたりにはゴンドワナ大陸とよばれる過去に存在した大陸に由来する地球最古の地盤がそのまま残っていると考えられています。ですからその固い地盤は雨風の侵食を受けてもそのまま残ったのです。
いっぽう、周辺にあるやわらかい地盤の部分は雨風により削り取られていきます。その結果、固い地盤の部分がテーブル上に残ります。これがテーブルマウンテンとなるのです。
ロライマ山に登る際の準備
世界最後の秘境、コナン・ドイルの「失われた世界」の舞台ということで、ロライマ山への登山を考えている方もいるかもしれません。結論から言うと、ロライマ山はテーブルマウンテンの中では比較的登山しやすい山とされています。
そうはいうものの、ロライマ山に登り、その雄大な自然を堪能するためにはそれなりの準備が必要となります。なんといってもロライマ山への行き方は標高約1000メートルのギアナ高地の草原から約1000メートルの標高差があるジャングルを抜けて、さらに1000メートルの切り立った崖を登る必要があるのです。
ですから基本的には、ロライマ山への登山をする時にはツアーへの参加が必要です。ツアーに参加すればテントや食料などはポーターが持つことになり、個人ではバックパックとマットだけを持てばよいので、比較的登山経験が浅くても行くことができます。
準備としては、一般的な登山の準備があればよいですが、天候の関係で雨具は必要です。またヘッドライトもおすすめです。ツアーは基本的には5泊6日でのアクセスとなるようです。
ロライマ山のベストシーズン
では、ロライマ山に登る際のベストシーズンについて考えてみましょう。ロライマ山のあるギアナ高地の気候は日本とは違うため、その気候に合わせてのアクセスが必要となります。またその季節によって登山のしやすさや観光スポットも変わります。そのあたりも含めて考えてみましょう。
ロライマ山の観光は乾季(12月~4月)がおすすめ
まず前提として、先ほど触れたように、ロライマ山はカリブ海からの湿った空気が常に入り込む気候です。そのため天候が変わりやすく、山頂では同じ気候は10分と持たないと言われるほどです。
しかも気候的には熱帯気候で雨季と乾季がある気候(いわゆるサバナ気候)に属しており、雨季の時期になると川が増水してしまい、近づくことができなくなってしまいます。ですからロライマ山そのものの自然や景色を楽しむならば乾季がおすすめということになります。
エンジェルフォールの観光は雨季(5月~11月)がおすすめ
一方、ロライマ山周辺の美しい景色として人気のエンジェルフォールの場合は少し違います。エンジェルフォールは後で詳しく紹介しますが、ギアナ高地にある滝です。滝ですから当然、乾季の時期になると水量が少なくなってしまいます。
ですから、エンジェルフォールの雄大な美しい景色を満喫するならば、雨季の時期がおすすめということになります。雨季の時期であれば、エンジェルフォールに至る川の水量もあるため、近くまでいって美しい景色を楽しむことができるそうです。
両方楽しみたい人は雨季の終わりがおすすめ
ロライマ山は日本からの距離もあるため、どうせ行くなら見どころ全部を見てみたいと考える方が多いでしょう。ではそういった方はいつごろがおすすめなのでしょうか。
両方楽しみたい方におすすめなのは、雨季の終わりごろです。雨季の終わりごろであればエンジェルフォールの水量もたっぷりとありますし、降水量の面ではぐんと減ってきます。月で言うと9月ごろがそれに当たります。
自然のことですから、年によって多少の違いはありますが、だいたい9月から10月ごろになると降水量も少なくなるので、天候的にも落ち着いてきます。両方行きたいならこの時期をねらってみることをおすすめします。
ロライマ山のみどころ5つ
それでは、ロライマ山に行きたいという方のために、ロライマ山の見どころをいくつか紹介していきましょう。ロライマ山は最後の秘境と呼ばれているだけあり、今でもここでしか見られない美しい景色や珍しい動植物などを楽しむことができるのです。ではいくつか見ていきましょう。
山頂の3つの国境が交わる地点【トリプル・ポイント】
まず紹介するのは「トリプル・ポイント」です。先ほど少し触れましたが、ロライマ山はベネズエラ、ガイアナ、ブラジルの3つの国の国境になっており、山頂の一角にこの国境が交わる部分があります。これをトリプル・ポイント(三国国境)と言います。
日本は島国であることもあって、このような国境はないのですが、世界には現在約176の三国国境があります。その1つがここロライマ山の山頂にあるのです。通常テントを張る場所からは離れているため、足に自信がある方におすすめです。
見渡す限り水晶で埋もれている【水晶の谷】
水晶の谷という名前がいかにも「失われた世界」の雰囲気を漂わせていますが、ロライマ山にはなんと水晶原石が集中している場所があります。こちらもロライマ山の山頂付近、トリプル・ポイントの近くにあります。
そもそもロライマ山にはあちこちに水晶が落ちているのですが、この水晶の谷にはその原石が集中して見られます。実は人の2倍以上もの大きさの水晶もあったらしいのですが、国からの保護を受ける前に持ち去られてしまったという残念なこともあったようです。
そうはいっても美しい水晶の原石が拝めるというのは、ぜひおすすめしたい観光スポットと言えるでしょう。ぜひ自然が作り出す美しい姿を見に行くことをおすすめします。
世界最大の落差を誇る滝【エンジェル・フォール】
ロライマ山観光の人気スポットとして外せないのはやはりエンジェルフォールです。エンジェルフォールはギアナ高地最大のテーブルマウンテン「アウヤンテプイ」の切り立った崖から落ちる滝で、世界最大の落差979メートルを誇る、人気観光スポットです。
エンジェルフォールという名前はその存在を世界に知らせたアメリカ人の探検家ジミー・エンジェルの名前にちなみます。つまり「エンジェルさんの滝」という意味なのです。
これだけの落差があるために、落ちる水は空中で霧散してしまい、下に滝つぼができません。滝の下の方に行くと霧散した水が空気とからみあって、暴風雨のようになっているそうです。ちなみに現地名は「最も深いところにある滝」「最も高くから落ちる滝」という意味なのだそうです。
大自然の【ホテルとジャグジー】
ホテルとジャクジーというと、美しい景色が堪能できる人気スポットということで、きっとロライマ山の上にホテルがあるのだろうと考える方もいるかもしれませんが、そうではありません。
このホテルとジャクジーは実はロライマ山の自然が作り出したものなのです。山頂には水たまりがあり、なんとつかることができるのです。これがジャクジーと呼ばれるところです。水温は低めですが、なんとこの中にも水晶が沈んでいるのだそうです。
また、ホテルは頂上にある岩が天井のように張り出した部分で、テントの設営地として使われています。文字通り泊るための「ホテル」の場所なのです。自然が作り出した美しい景色を楽しめる人気のスポットです。
この地でしか見られない【太古の生物・植物】
ロライマ山は実は生物学者や植物学者に人気のスポットでもあります。もちろんそれはこのロライマ山にいる不思議な動植物の研究をするためです。
先ほど述べたように、ロライマ山の過酷な自然は植物の成長に必要な土を洗い流してしまいます。ですからここに生息する植物は食虫植物が主で、さらに水があれば生きられるコケ類がその場所を提供するように生育しています。
また、動物ではオリオフリネラというカエルの一種が注目に値します。なんとこのカエルは卵からカエルのまま孵化し、泳ぐこともはねることもできません。しかもロライマ山と隣りのクケナン山にしかいないので、この2つの山が昔は1つだったと推測させる証拠となっているのです。
ロライマ山への行き方
では最後にロライマ山への行き方について紹介しましょう。基本的にはロライマ山への行き方としてはツアーに参加するのが一般的です。日本からのツアーに参加するという行き方もありますし、現地でツアーに参加することもできます。いずれにしてもまずは現地への行き方を確認しましょう。
日本からベネズエラのカラカスへ
まずは日本から最寄りの国までの行き方です。ロライマ山のツアーが行われるのはベネズエラ側が一般的なので、まずはベネズエラに向かいましょう。ベネズエラへの行き方はまずはアメリカの主要都市を経由する行き方が一般的です。
乗り継ぎはいろいろな行き方がありますが、サンフランシスコからマイアミなどを経由しての行き方が人気のようです。そもそもロライマ山は日本の真裏になるので、時間はそれなりにかかると考えてよいでしょう。
日本からカラカスへの直行便はある?
ただですら遠いのに、乗り継ぎを何度もしたらますます時間がかかってしまう、それならば直行便で一発で飛びたいと考える方も多いかもしれません。しかし残念ながら、日本からベネズエラの中心都市カラカスまでの直行便はありません。うまく時間を確認して、時間ロスが少ないルートを探してみましょう。
カラカスからロライマ山観光の拠点プエルト・オルダスへ
カラカスに到着するだけではるばる旅をしたという感じがしますが、ここがロライマ山観光の拠点ではありません。カラカスから今度は国内便に乗り換えます。目指すのは「プエルト・オルダス」です。
このプエルト・オルダスがギアナ高地に一番近い場所となります。カラカス空港からここまでは国内便で約1時間で到着となります。
カラカス空港は治安が悪いので注意!
ただし、ここで一つ注意しておきたいことがあります。それはカラカス空港の治安の悪さです。空港というだけではなく、ベネズエラという国自体の治安が悪化しているため、かなりの注意が必要です。
国内便に乗り継ぐ際、国内便の時間が狂う可能性もあります。もし時間が狂って深夜などになった場合は明るい所や観光客が多い所にいるようにするなど、細心の注意を払って行動するようにしてください。
プエルト・オルダスからロライマ山へのアクセス方法
プエルト・オルダスに到着したら、いよいよ人気のロライマ山へのアタックです。人気の観光スポットということもあって、アクセス方法そのものはいくつかあるのですが、ロライマ山はジャングルになっていることから、出発地点が少し離れた場所になることが多いです。まずはその拠点まで移動しましょう。
車をチャーターする
プエルト・オルダスから拠点まではまずは車をチャーターしてのアクセス方法があります。日本からのツアーなどで行く場合はこの方法を取ることが多いかもしれません。いずれにしてもこの拠点まで行くのに日本から3日から4日かかるということだそうです。また個人でチャーターする場合は充分な下調べをおすすめします。
トレッキングツアーに参加する
先ほど触れたように、ロライマ山は人気の観光スポットということで、ロライマ山に行くトレッキングツアーなどもさまざまあります。往復フルで徒歩でアクセスするもののほか、往復もしくは片道をヘリやセスナ利用でアクセスするものなどもあります。
往復フルで徒歩の場合、ロライマ山観光は5泊6日が標準です。ヘリやセスナなどを利用するものでは日程がその分短縮されます。体力や使える日程などを考え、ツアーのプランを組み立てるのがおすすめです。
ロライマ山で美しい自然の景色を堪能しよう!
日本の真裏にあるロライマ山はそこまでの行き方も大変で、日数も多くかかるのですが、それだけの日数をかける価値がある美しい景色が楽しめます。何と言っても日本では地質学的にも見ることができない景色、ここでしか見られない動植物など魅力いっぱいです。ぜひ楽しんできてください。
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