創建1700年の熊野那智大社・那智の滝
和歌山県南東部の熊野三山と呼ばれる信仰のネットワークは、深い緑と高木が続く熊野古道で結ばれています。平成29年に創建1700年を迎える熊野那智大社は日本一の大瀑布「那智の大滝」をのぞむ那智山の中腹に鎮座する人気スポットです。肌に伝わる自然崇拝のメッカとして、御朱印やお守り・ご利益などおすすめ情報もご紹介します。
熊野那智大社の歴史
初代神武天皇が東方征伐の道中、那智の滝に大巳貴神を祀り八咫烏の先導により、大和国の菟田に城を築いたと言われ、仁徳天皇の時代に社殿が現在の熊野那智大社に移されました。那智の滝は別宮飛瀧神社のご神体であり、青岸渡寺を合わせ那智山の神域を構成します。熊野詣と言われる人々の信仰が絶えることのない聖域です。
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1 電話番号:0735-55-0321
熊野那智大社の【見どころ】
那智山に鎮座する「六社殿」
奥州藤原氏の藤原秀衡が参拝の折に奉納したと伝えられる山桜が見ごろを迎えております。 pic.twitter.com/9r9p6XJz9T
— 熊野那智大社(那智の滝) (@nachitaisha) April 8, 2013
参道の先にある467段の石段を上ると右手正面に拝殿があり、八咫烏(やたがらす)を祀る御縣彦社、さらに拝殿の奥に本殿となる熊野造りの五社殿が並び、右から4番目の大きめの西御前に主祭神の熊野夫須美大神が祀られています。その他の神も合わせ熊野十二所権現と言われ、熊野那智大社は那智の滝の一柱を加えた十三所権現とも呼ばれます。
八咫烏を祀る!「御縣彦社」
拝殿の横に立つ御縣彦社(みあがたひこしゃ)には、神様の使いの八咫烏(ヤタガラス)が祀られています。即位前の神武天皇が東方征伐の折、熊野山中で道に迷ったところ、天照大神から使わされた八咫烏が大和への道を先導したと伝えられ、古来、三本足の姿は熊野のシンボルとしてお守りやカラス文字などに使われる大切な存在です。
那智経塚の出土品を展示!「宝物殿」
那智参詣曼荼羅 pic.twitter.com/5es8In47Fj
— 弘田梅太郎 (@sunbee88) April 21, 2016
熊野信仰に関する古文書の「米良文書」や将軍吉宗奉納の刀剣類、天平時代出土の「女神立像」など多彩な展示と所蔵で知られる宝物館です。室町時代の熊野参詣を描いた「那智参詣曼荼羅」には、往時の熊野参詣の様子が生き生きと描かれ、ご利益と所願成就を願う人々の姿がうかがえます。平成29年は創建1700年を迎え特別展示を実施中です。
熊野那智大社の【体感スポット】
試してみよう!「樟霊社・胎内くぐり」
熊野三山造営奉行も務めた平清盛嫡男の平重盛お手植えと伝わる樹齢800年のご神木、大樟の空洞を通り抜ける「胎内くぐり」です。護摩木に自分の名前と願い事を書いて胎内くぐりします。出口の護摩舎に護摩木を納めると毎月18日にお炊き上げ祈願されます。ご神木のご利益と無明息災を願うおすすめスポットです。
平安衣装で熊野古道へ!「大門坂茶屋」
平安時代のレンタル旅衣装に着替えて熊野古道を歩けば、平安朝の貴婦人になったような気分に!浴衣の街歩きはどこでも見られますが、雅な壷装束は珍しく、熊野詣に出かけた当時の様子を自分で再現して体感するおすすめスポットです。熊野古道の神秘的な舞台がピッタリの忘れられない思い出になります。試してみましょう!
住所:和歌山県那智勝浦町那智山392-4 電話番号:0735-55-0244
熊野那智大社の【おみくじ】
とにかくデカい!「日本一のおみくじ」
那智大社で日本一のおみくじ引きました
— さよ (@N9ugQ) May 24, 2017
ちなみに中吉#那智大社#日本一のおみくじ pic.twitter.com/Vy7A9iO1Nk
熊野那智大社の拝殿前に普通のおみくじに並んで目をひく巨大なおみくじは、筒の長さが133センチもある「日本一のおみくじ」です。吉凶を占うおみくじですが、これだけ大きく重いと期待もふくらみます。普通のおみくじと同じ100円で挑戦できるので幸運もご利益もありそうなわくわく感がたまりません!
ヤタガラスの置物「開運みくじ付き」
熊野三山の守り神、八咫烏(ヤタガラス)が開運みくじをしっかりつかんだ人気の置物です。神話の世界では神の使いであり先導役でもあることから、お守りとしても手元に置きたい、熊野那智大社おすすめのマスコットです。社務所には御朱印のほかお守りもたくさんあるので、旅の思い出に選んでみましょう!
熊野那智大社【御朱印】
熊野那智大社「1700年記念の御朱印」
鉛筆精密画家篠田教夫先生による「那智瀧図」とともに墨書き・押印される御朱印紙。
— 熊野那智大社(那智の滝) (@nachitaisha) April 16, 2017
御創建1700年記念として限定1700枚の奉製で、
無くなり次第頒布終了となります。
初穂料は2,000円です。 pic.twitter.com/e0QOwOWVBb
平成29年は熊野那智大社の御創建1700年を記念して、鉛筆画家の篠田教夫さんが描いた「那智龍図」を配した御朱印が先着1700枚頒布されます。那智勝浦ロータリークラブが記念奉賛品として奉納したもので、那智山青岸渡寺1300年の御朱印も先着1300枚頒布されています。この機会に那智山を訪ねてみてはいかがですか?
欲しくなる!「御朱印帳」
俗に言う熊野詣でとは、和歌山、奈良、三重にまたがる参詣道でつながる熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社へ詣ることですが、それぞれに魅力的なデザインの御朱印帳が用意されています。三場めぐりの御朱印帳など旅先でのコレクションとして求める人も多く、熊野を訪れたら忘れずに見ておきたいですね。
熊野那智大社の【お守り】
勝負事のお守り「勝守(かちまもり)」
熊野信仰のシンボル、八咫烏(ヤタガラス)のロゴが描かれた勝負事のお守りです。神武天皇を大和へ導いたヤタガラスの御神徳と物事を良い方向に導く定番のお守りとして、熊野那智神社では人気が高く、鮮やかなブルーと赤の二色があり、カップルや夫婦旅におすすめです。無病息災守や子供守などいろんなお守りがあります。
全国の熊野神社で見られる「ヤタガラス守」
ユネスコの世界遺産であり全国熊野神社の本社である熊野三山では定番の「やたがらす守」です。未来を切り開く強いパワーを持つ先導役として、手元に置いておきたいおすすめのお守りです。熊野三山の旅の安全と運気を上昇させ、意外なご利益も運んでくる、サッカーファンにはおなじみのヤタガラスが守り神です。
誓約書の役割も果たした「熊野牛王符」
「おからすさん」とも呼ばれる熊野三山の御神符で、墨の木版に朱印が押されたものです。カラス文字で書かれた誓約書や血判状として使われた歴史があります。秀吉没後の忠誠を家康や諸大名に誓わせたものや、赤穂浪士の血判状などで知られます。那智山では吉宗公奉納太刀の「お太刀騒動」でも潔白を示す牛王誓詞が残されています。
日本サッカー協会のロゴ【ヤタガラス】
サムライジャパンのエンブレム「ヤタガラス」
サッカーファンなら誰もが知る日本代表のエンブレムにデザインされたヤタガラスは、日本にサッカーを普及させた中村覚之助氏の郷里が那智勝浦であったことから公式ロゴとなり現在に至ります。三本足の八咫烏(ヤタガラス)がゴールと勝利に導く神として日本サッカー界の発展と共に不可欠の存在感を示します。
熊野三山のハイライト【那智の滝】
世界遺産!「那智の滝」
那智川にいたる原始林は古くより滝篭修行の場として48の滝が修行場としてあり、俗に言う那智の滝は一の滝を指します。日本三名瀑の一つであり、一段の滝では日本一の落差133メートルを誇る美しい滝です。古くより自然信仰の聖地であり、その象徴でもある那智の滝は国の名勝であり世界遺産に登録されています。
飛龍神社のご神体「那智の滝」
熊野那智大社の別宮である飛龍神社(ひろうじんじゃ)は那智の滝をご神体とするため、本殿も拝殿もありません。神仏習合の名残と言える青岸渡寺の三重塔と那智の滝のコントラストは訪れる人々に強い印象を残す絶景です。那智山信仰の始まった聖地として、目に見えない大きな存在を肌に感じるおすすめスポットです。
133メートルの落差を実感!「那智の滝」
「一の滝」とも「那智御滝」とも呼ばれる那智の滝は銚子口13メートルに3筋に流れ落ちる毎秒1トンにおよぶ豪快な水量が魅力です。天候によっては霧が立ちこめ那智の滝本体を拝覧できないこともありますが、那智山の原始林を切り裂く銚子口の上に注連縄が張られ、例年7月と12月に注連縄の張替神事が執り行われます。
神水にふれる!「那智の滝拝所」
社務所の横に那智の滝拝所の入り口があります。入場料300円必要ですが、那智の滝を間近に感じ取れる神域です。途中に「延命長寿のお瀧水」があり100円で頂け、神盃は持ち帰りできます。花山法皇がこの場所で1000日の滝修行の折、延命長寿で知られる「九穴の貝」を滝壺に沈めたことに始まるおすすめのパワースポットです。
那智山青岸渡寺と御朱印
神仏習合の修験道場「那智山青岸渡寺」
熊野那智大社の隣にある如意輪観音をご本尊とする天台宗の寺院です。その創建は古く仏教伝来以前の仁徳天皇の時代にインドから漂着した裸形上人がこの地を霊場と定め、7寺36坊を数える修験道場として栄えました。明治の神仏分離令の不毛の時代を乗り越え西国三十三所観音巡礼の第一番札所として現在にいたります。
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字那智山8 電話番号:0735-55-0401
本堂前の香炉に狛犬が!
通りすがりに「狛犬?」と言われ注目され、香炉にへばりついていますが、左右一対に本堂の前なので、正座はしていませんが狛犬なんでしょうね。のぞき込むような姿に人が寄ってきそうな雰囲気です。那智の滝拝所にある延命長寿の御滝水には龍神様がおられます。神話の世界からやってくるキャラクターたちにも注目です。
草創1300年記念の「御朱印」
西国三十三所 一番札所 青岸渡寺の御朱印
— mojyanao (@7_7o) May 1, 2017
西国三十三所草創1300年の特別印が入ってます pic.twitter.com/09bEJTMd8n
2018年に創建1300年を迎える青岸渡寺では草創1300年と刻印された御朱印が人気です。奉拝・普照殿・那智山と1番札所の御詠歌が書かれた御朱印もいただけます。また1300年を記念した特別拝観を期間限定で、各札所ごとに行っています。普段見ることのないお堂のご開帳など機会を見つけて訪ねたいものです。
熊野那智大社・那智の滝【イベント】
熊野那智大社の例大祭!「那智の火祭り」
熊野の奇祭 那智の扇祭り(通称:那智の火祭り)
— かつうら御苑【公式】@南紀勝浦温泉 (@katuuragyoen001) May 13, 2017
開催場所:熊野那智大社
開催日時:7月14日 午前10:00~
日本三大火祭りのひとつとされる、那智の火祭りが行われます。#夏祭り #お祭り pic.twitter.com/tItfMBy4r9
例年7月14日に行われる扇祭りと呼ばれるものです。熊野那智大社に祀られた那智の滝の神が飛龍神社へ里帰りをするもので、十二体の神々が高さ6メートルの扇神輿で那智の滝まで渡御するもので、重さ50キロの大松明で神輿を迎えます。那智御滝・注連縄の張り替えや大和舞や田植舞が奉納されます。
参加できます!「あげいん熊野詣」
例年10月の第4週の日曜日に開催される「あげいん熊野詣」は参加者を募り、平安衣装に身を包んだ行列が大門坂から熊野那智大社、那智山青岸渡寺と歩く御幸行列です。「蟻の熊野詣」と言われた昔の賑わいを再現した楽しいイベントです。時間のある方は、熊野古道の大門坂から熊野那智大社・那智の滝を辿るコースがおすすめです。
那智の滝の前で浦安の舞!「桜花祭」
熊野那智大社で桜花祭 五穀豊穣を祈る
— bass3721 (@bass3721) April 14, 2017
和歌山県那智勝浦町の熊野那智大社で14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣を祈る「桜花祭」が営まれた。https://t.co/IjwghF9613(産経フォト) pic.twitter.com/UJBbVgW8C8
春に熊野那智大社別宮の飛龍神社で営まれる「五穀豊穣」を祈る祭りです。平安時代に那智の滝で千日修行をした花山法皇が、桜の季節に和歌を詠んだ故事にちなんで、桜かんざしの巫女が「浦安の舞」を奉納する神事です。那智の滝をバックに優雅な舞が披露される、那智山が少し華やぐご利益いっぱいのおすすめイベントです。
熊野那智大社・那智の滝【大門坂】
熊野古道を歩いてみよう!「大門坂」
熊野那智大社への参詣道です。熊野古道は熊野三山への参詣道の総称ですが、大門坂駐車場から熊野那智大社までの600メートルの参道です。入り口には樹齢800年の夫婦杉が迎えてくれます。高低差100メートルの石畳と深い森は畏敬の念が自然に生まれるおすすめのパワースポットです。那智山は駆け足で巡るには壮大すぎる神域ですね。
熊野那智大社・那智の滝【ご利益】
熊野三山のご利益は熊野本宮大社の「来世のご利益」、熊野速玉大社の「現世のご利益」、熊野那智大社は「過去世の救済ご利益」と言われます。自然信仰の源である原始林が神の宿る場所であり、足を踏み入れる前に、現在の那智の滝で体を清めたと言われます。過去の禊ぎと未来へ踏み出す力を授かる強いパワーが那智山には秘められています。
大晦日に【那智の滝ライトアップ】
特別な場所で過ごす!幽玄の世界!
那智の滝ライトアップ 和歌山、大晦日に向けて試験点灯 https://t.co/UuNFMbjrRG pic.twitter.com/cBWkshvacs
— suizou (@suizou) December 19, 2016
那智山の年末は熊野那智大社の除夜祭と青岸渡寺の三重塔、那智の滝がライトアップされ、幽玄な光に包まれるおすすめの大晦日です。日没から新年の夜明けまで、普段見ることのない貴重な体験ができます。名瀑の冷気が肌を刺す自然信仰の聖地で、新しい年へのご利益をいただきましょう!
熊野那智大社・那智の滝【アクセス】
和歌山県のどこ?と言う方に
#マレー語の地名(和歌山県)#ナチ(那智)の滝。「滝=air(液体) terjun(飛び降りる)」で、air が省略。terjun→ナチ「t→n/e(アイマイ母音)→a/r消滅/j→c/u→i/n消滅」terjunは「タキ」にもなった語。@kikutomatu @liyonyon pic.twitter.com/Frj0dkBtmb
— Keris5Lok (@mmitsugi) June 16, 2017
大阪・名古屋のどちらからのアクセスも約4時間はかかります。和歌山の白浜からでも1時間以上かかるので、出かけるときは計画的な移動時間の把握が必要です。ザックリ型の人では寄り道してる間に日が暮れます。そんな遠い場所ですが、訪れる人が絶えない行く価値のあるおすすめスポットです。
電車の玄関口は「那智勝浦駅」
鉄道利用の場合、大阪・名古屋どちらからのアクセスもJR紀伊勝浦駅が玄関口になります。新大阪から特急くろしお号で約3時間20分、名古屋からは特急ワイドビュー南紀号で約3時間です。駅前からは熊野交通のバスで那智山まで約30分です。大門坂や那智の滝をめぐる周遊バスのレトロ号などがあります。
車のアクセスは「紀勢自動車道」
大阪から阪和自動車道、紀勢自動車道のすさみ南ICから42号線経由で約4時間、名古屋方面からは東名阪道、伊勢道、紀勢自動車道経由で熊野尾鷲道路に入り、熊野大泊ICから42号線へ出て約4時間の行程です。山越えのルートもありますが、急勾配、急カーブが続く道が多くおすすめしません。また行楽期や連休などは渋滞もあります。
熊野那智大社・那智の滝【駐車場】
滞在時間や体力・目的でチョイス!
熊野那智大社の大門坂駐車場にある、なでしこJAPANの記念モニュメント pic.twitter.com/EyzBdz4qbe
— ジュニパー (@mayumin40) September 6, 2014
大門坂駐車場は熊野古道の大門坂を600メートル上り熊野那智大社の表参道に合流します。一番広い熊野交通那智山観光センターの駐車場がノーマルですが、463段の階段があります。一番那智大社に近いのは社殿のすぐ下にある青岸渡寺駐車場で、30台駐車可能です。那智の滝にも駐車場があるので、個々の体力に合わせチョイスしましょう!
一度は!熊野那智大社・那智の滝へ!
熊野灘をのぞむ深く厳しい原始林に始まる自然信仰の聖地、熊野那智大社へお出かけください。アクセスの容易な場所ではありませんが、那智の滝には神話の世界につながる深い歴史と霊気が漂っています。ヤタガラスのお守りや人気の御朱印など、ご利益と観光地としての魅力に富んだ那智山を一度は訪ねてください!
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