チベット秘境・カイラス山の見所をご紹介!
世界には、いわゆる秘境と呼ばれる場所が数多く存在します。その中でもチベットは、様々な歴史、周囲の環境に翻弄されながらも、多くの人々を惹きつけて止まない唯一無二の場所です。そして西チベットに位置するカイラス山は、チベット人ならば誰もが憧れる聖なる山。そんなチベット・カイラス山の見所をご紹介します。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所1:チャンタン高原
カイラス山巡礼にあたって、まず目にするのが世界最高・最大の高原、チャンタン高原。チベット自治区の2/3を占める広大な高原です。チャンタンとは「北の高原」を意味し、崑崙山脈、タングラ山脈、カイラス山を持つカンティセ山脈、ニェンチェンタングラ山脈などの高峰群に囲まれています。
古くからチャンパと呼ばれるチベット系遊牧民が暮らしてきました。家畜はヤク、羊、そしてパシュミナヤギです。様々な動植物が棲息していますが、草が生える期間は短く、冬はマイナス30℃以下になるなど人が住むには過酷な自然環境です。わずかな草を食い尽くさないよう、チャンパの人々は移動しながら暮らしを続けてきました。
チベット仏教の不殺生の精神のため、人的影響をほとんど受けることなく今日に至っています。野生動物ではガゼルやロバの一種ノロバ、オグロヅル、マーモットなど、植物ではエーデルワイス、アズマギク、ハッショウヅルなどが棲息しています。中国の他の地域でもなかなか見られない、高地ならではの生き物と目にすることができます。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所2:マナサロワール湖
カイラス山近くに所在し、ナムツォ湖、ヤムドク湖と共にチベット三大聖湖と呼ばれるマナサロワール湖。海抜4,588メートルの淡水湖で、ツォナ湖などと共に世界で最も高所にある淡水湖と言われており、湖水の透明度も高いことでも知られています。周囲は約100キロです。カイラス山と同様に巡礼の対象となっている聖地です。
北をカラコルム山脈、南をヒマラヤ山脈に囲まれたヤルンツァンポ川(ブラフマプトラ川)の最上流にあり、また西隣りのラークシャスタール湖と共に、インダス川の主要支流であるサトレジ川の源流ともなっています。
マナサロワール湖の由来は、サンスクリット語で「マナ」=宝、「サロワール」=湖。チベット名で正式には「マパム・ユンツォ」と呼ばれています。マナサロワール湖からはカイラス山も遠望でき、インドからのヒンドゥー教巡礼者はここで沐浴したのちカイラス山(カン・リンポチェ)の巡礼を行います。
強い日差しと、静けさ、そして驚くほど青い湖。本格的な登山の前に、この世のものとは思えない美しい自然の神秘を感じてください。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所3:カイラス山巡礼
チベットの中でも最も奥地に位置するカイラス山。標高6,656mのこの聖山を、チベット人は畏敬の念を込めて「カン・リンポチェ(尊い雪山)」と呼び、神様として、祈りを捧げるべき尊い存在として崇めてきました。チャンタン高原やマナサロワール湖を過ぎ、チョモランマなどのヒマラヤ山麓を展望しながら登山に向かいます。
カイラス山では52㎞の巡礼路を徒歩にて一周します。チベット人であれば大抵1日で一周することができますが、中には五体投地(ごたいとうち)をしながら約2週間かけて巡礼する人もいます。五体投地とは、五体すなわち両手・両膝・額を地面に投げ伏して行なう最も丁寧な仏教式礼拝方法であり、対象への絶対的な帰依を表します。
一般的なツアーでは、カイラス山の登山に4日間ほど設定します。1日目は第1目標地点タルボチェ(4,630m)を目指し、そこから初めてカイラス山の南西面を望むことができます。その後2泊3日をかけて一周します。途中、ディラ・プク・ゴンパ(5,210m)からは巡礼路中で最も美しい眺めを楽しめるカイラス北面を展望できます。
巡礼路は容易な行程ではありませんが、巡礼者とともに歩く体験は、きっと格別なものとなるでしょう。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所4:グゲ王国の遺跡
グゲ王国跡地。グゲ王国は吐蕃の王族が建国した王国で、800年間栄えた仏教王国。チベットでも最も秘境である阿里地区にある。1630年に攻撃を受けて滅亡した。 文革の際に打撃を受けた遺跡の一つである(チベット自治区) pic.twitter.com/xmrSEhCbQe
— 中国旅行bot (@China_Travel_b) August 1, 2016
グゲ王国とは西チベット~インドのラダック・スピティ地方へとまたがる、9世紀に西チベットで樹立された仏教王国です。グゲ王国の遺跡の中でも有名なピヤン・トンガ石窟では、1000を越える石窟が1キロに渡り広がっており、この地帯がかつて政治、経済、宗教のセンターの一部であったことを示しています。また、石窟壁画が時代変化に富み、多彩な内容をもつことから、長期にわたり造営されてきたことが分かります。
遺跡の見学には事前に許可を取得する必要がありますが、事前に許可を取得しても現地で観光に制限が設けられることがあるので注意が必要です。個人で行く場合は、旅行会社などに予め行き方を確認しておくと良いでしょう。
トンガ遺跡
laternendecke(ラテルネンデッケ) 三角隅持送り天井 pic.twitter.com/qM5eYgnBc6
— нт1чк (@nt1chk) December 8, 2015
トンガ村近郊の岸壁に彫られた石窟寺院が有名な遺跡です。南北約60メートルに渡り洞窟が並び、50窟の石窟のうち現在見学可能な窟は3窟程度です。1号窟の内部天井は中央アジア起原のラテルネンデッケ(三角隅持ち送り形式)の建築手法、2号窟は同心円的なドーム状天井が見られます。
マンダラ 西チベットの仏教美術: [編集] 藤井弘 家浩 [写真] 加藤敬 [解説] 松長有慶 [構成・造本] 杉浦康平 [発行所] 毎日新聞社 [発行年] 昭和56年 2刷 [言語] 日本語、英語 [図版] カラー|…sold https://t.co/ZONq6hACuT
— MILBOOKS (@MILBOOKS_WEB) April 29, 2017
各壁面には様々なマンダラが赤色と青色を基調に描かれ、そのほか千体仏、菩薩、女尊、飛天、様々なポーズの護法神、獣面人身像が石窟内部に所狭しと表現されています。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所5:ピヤン遺跡
この方はチベットにも行っていて、ラサは勿論カイラスやグゲ王国の方まで行ったり、ネパールのチベット難民支援NGOのTCPの子供達と遊んだりされている。素晴らしい。https://t.co/WZJN9SEX5Q
— Yano K. (@yanok) December 10, 2016
トンガ村から約2キロ、ツァンダより約70キロ離れたピヤン村近くの荒野にある石窟群です。岸壁上に約1000の石窟が3つの区画に点在しています。トンガ石窟と比べると壁画の保存度、規模で見劣りしてしまいますが、僧房や倉庫と思われる石窟も多く、最盛期には多数の僧侶が居住していたことが分かります。
入荷【マンダラ 出現と消滅展】
— nostos books (@nostos_books) March 7, 2017
インド・ラダック地方の仏教壁画を写真家の加藤敬が撮影。仏教芸術の概念を打ち砕き、見るものの感覚と想像力を解放する力強い美の世界が収められている。構成は杉浦康平他、鈴木一誌、赤崎正一、谷村彰彦らが協力。https://t.co/7KynfhvRof pic.twitter.com/sniBMNbg9p
1991年、この洞窟内で色鮮やな仏教壁画が発見されたことをきっかけに、チベットの歴史研究が進展しました。
カイラス山はチベットの聖地!巡礼の見所6:新蔵公路
中国には「天の道」と呼ばれる道路がある。新蔵公路(新疆チベット高速道路)、別名G219国道は、世界で最も標高が高い自動車道のひとつで、中国の新疆ウイグル自治区とチベット自治区を結び、平均標高は4,500メートルを上回る。 pic.twitter.com/omUdJphAOI
— China Xinhua News (@XHJapanese) May 9, 2016
西チベットのアリから新疆ウイグル自治区のイエチョンを結ぶ1000km超のルートです。ドマル、大紅柳灘付近でそれぞれ1泊しながら進むのがおすすめです。
道中の見所では、ルトク近くのパンゴンツォ(湖)、アクサイチン(インド国境の無人地帯)、大紅柳灘(タマリスクの群生する川原)、崑崙山脈、カラコルム山脈などがおすすめです。
どんなツアーがある?行き方は?
現地では英語が通じにくく、また日本語話者もほとんどいないため、日本国内からツアーで向かうことをおすすめします。西遊旅行や風の旅行社など、専門旅行会社が定期的にツアーを組んでいます。ただ、催行数が限られるため、時間に余裕を持って申し込むことが必要です。
風のウェブマガジン「つむじかぜ」発刊!https://t.co/jg5a2pYaTh 今週は「あの人気ツアーが復活!?ラオス&象といえば…!」号。ラオスと雲南省、冒険心溢れる企画をご紹介!チベット・ツアー添乗報告記も読み応えあり! pic.twitter.com/tn0SKGGyCa
— 風の旅行社 (@kazetravel) February 4, 2016
個人での行き方も全くないわけではないようですが、現地で正攻法ではない行き方を勧められることもあるので、よく注意し、安全に入境するようにしましょう。正式な入境許可証で入るツアーを利用したほうが良さそうです。特に登山慣れしていない人は、高山病の恐れもあるため、巡礼時に登山ガイドがいるかどうかを確認しておきましょう。
チベット個人的細々備忘録①
— 榎。 (@staff_eno) January 6, 2017
◇チベット自治区への外国人の入境は厳しい。許可証が無いとそもそもラサ行の飛行機にすら乗れない。
◇チベットの人は高地ゆえに普通より肺が大きいらしい。
◇チベットの人には苗字が無い。
◇写真はチベット式の歓迎。ラサの空港で薄い絹の布掛けてもらった。 pic.twitter.com/Xpm18b4s7e
チベットへの行き方は限られており、北京もしくは成都からラサへ入るところからスタートします。現在は西チベットにも空港が開港しており、空路で向かうことが可能です。チベットも少しずつ開かれた場所になってきましたが、まだまだ訪れる人は少なく、他の観光地とは違う、本物の旅を感じられることと思います。
かなり緊張して臨んだチェックインで、何事もなく搭乗券発券完了。その後手荷物検査前にも入境許可証のチェック有りましたが何も言われず搭乗手続きは全て完了、只今搭乗口前です。
— いけがみ (@ikegami6756) November 20, 2016
一路、チベットのラサに向かいます。
ラサの空港でも入境許可してもらえると嬉しいんだけどなぁ(´Д⊂ヽ pic.twitter.com/jXM2WhmDqF
現在ではツアーでも入境許可証(パーミット)が出づらくなっています。現地の人々が利用する巡礼トラックに乗るという手もありますが、本数も少なく、安全を考えるとパーミット付のツアーに申し込む方が良さそうです。
カイラス産水晶クラスターが有名!
水晶クラスターは世界各地で産出されており、最も高価で人気が高いものはヒマラヤ山脈から採掘されるものだと言われています。その中でも最高峰と言えるのがカイラス産です。元々は「チベットの修行僧が法力を高める為に登山し、水晶を持って降りてくる」 という修行から、神聖なものとして伝えられてきました。
形状は自然味溢れる独特の形状を持ったものが多く産出され、主に白又は透明の水晶が中心です。形はインドやパキスタンに近い特徴を持ったものが多く産出されると言われており、黄色っぽいものが多く、野性味溢れる質感が特徴です。
ヒマラヤ産水晶クラスター入荷しました。
— STONE FACTORY (@stoneftcom) June 28, 2017
日本国内ではインターネット販売を通じて購入することができます。形や大きさによって、3千円前後のものから数十万円するものまで様々です。カイラス山水晶クラスターはエネルギー的に最高のものの1つと言われており、石コレクターから高い評価を得ています。
チベットへ行くならカイラス山を巡礼しよう!
いかがでしたか?日本はもとより、中国内でもなかなか情報が入りにくい、神秘の場所チベット。2008年の北京オリンピック時の動乱を機に、チベットへの入境許可証の発行は益々厳しくなり、行き方も限定されてしまいました。ある程度中国と登山に慣れていない限り、個人での行き方は選択肢が少なくなりました。
もしチベット旅行を検討しているならば、チベットをより理解するためにも、ぜひ旅の目玉にカイラス山巡礼を決行してみましょう!登山付のチベットツアーは数も限定的ではありますが、それでも毎年一定数の観光客が同地を訪れ、訪問者を魅了して止みません。あなたもこの経験を通し、きっとこれまでとは違う自分自身に出会えるはずです。
関連キーワード
RELATED
関連記事
RELATED
- チベット高原おすすめ観光スポット!人気の鉄道やヒマラヤ・湖など!秘境も!
チベット高原には豊かなチベット仏教などの仏教文化が栄え、他にない個性豊かな魅力あふれる場所です。しかし近年は中国のチベット...
BWモア
- ガンケルプンスム・ジャワリンガ・キュンガリなど中国の未踏峰の美しい山を紹介!
中国チベット自治区には、美しいヒマラヤ山脈が広がっています。山々に憧れる登山家も多いこの場所ではガンケルプンスム・ジャワリ...
附田 彩果
- ポタラ宮はチベットの壮大な宮殿!行き方や観光情報など魅力を紹介!
チベット最大の都ラサの丘に建つポタラ宮。この歴史的建造物はチベットの宗教的・政治的な中心として長らく機能していました。長い...
kecahim931
- 康定観光のアクセス・交通状況やチベット情報!市街地の様子や見どころも紹介!
康定(カンディン)は、中国四川省にあるチベット自治区東部の町で、茶馬古道に代表されるように、昔から中国の交通の要所となって...
Yukilifegoeson