感動の「苗栗向天湖」に行こう
霧の中にある湖として台湾の隠れた観光スポットである苗栗県「向天湖」。白く広がる雲のような霧に、山と蓮の深い緑、そして今も伝わる原住民族の矮霊祭と、春夏秋冬あますところなく魅力を放つ湖なんです。お隣り台湾の美しい景観「向天湖」についてご紹介します。
苗栗向天湖は霧を抜けて出会う神秘の湖
緑と霧に覆われた静かな湖「向天湖」、それは台湾の北西部、苗栗県南庄郷東河村にあります。向天湖は、冬から春にかけてを中心に白い霧に包まれることで有名で、思わず息をのむ絶景です。
また、向天湖の周りには台湾でも少数派な民族「サイシャット族」が暮らしています。向天湖ではサイシャット族による霊妙あらたかな祭りが今も引き継がれています。向天湖に立ちこめる霧が山中の村をぼんやりと映し出し、その魅力的な景観が多くの観光客を惹きつけています。
苗栗向天湖でその深い霧の中を歩く~冬・春~
初五搭台灣好行去向天湖
— JIEPEI (@JIEPEI1) February 7, 2017
經過南庄時提起了四姑姑
感覺有點感傷~~
向天湖很小,感覺不怎麼有趣
不過慢慢走有一番風味
回程時剛好遇到車禍,阻塞了快30分鐘
結果反回南庄已快1點,老街塞滿了人潮,逛街的意願都消失了:cold_sweat: pic.twitter.com/cx3RwwrADO
苗栗県南庄郷にある東河村は、霧に包まれる向天湖を有する自然豊かな村です。標高は738mで、冬から春にかけて霧が発生します。霧のないときには山の濃い緑を映しています。霧が現れ向天湖の湖面が白く覆われ様は、まるで雲の中にいるような美しい景観から「仙境」とも呼ばれています。
苗栗県南庄郷から向天湖への道のりは山林を抜けてやっと辿り着きます。昔の人々は湖を見たときに思わず天を仰いだそう。それが「向天湖」の由来だそうで、「仰天湖」とも言われています。
向天湖の水は、かつて源流の侵食によって流水したことがありました。昔は魚も住んでいたという向天湖の周囲には、今も変わらず原住民族が暮らしています。そのため政府が貯水政策を行い、その美しい景観と原住民族の暮らしが守られました。今では周りに博物館や民宿などが建ち、多くの観光客が訪れる自然リゾートになっています。
サイシャット族の村にある向天湖。こんな大自然に触れたのはいつぶりだ:flushed: pic.twitter.com/6ldOz3pifa
— ゆこちゃん@沖縄 (@korin1990) May 25, 2017
山の深い緑とそれを映す向天湖、そして果ての見えない白い霧。最も美しく見えるのは、明け方か黄昏時です。立ち込めた白い霧が村の輪郭をおぼろげにし、さながら山水画のよう。訪れた人の中にはその景観をユートピアと言う人もいます。
苗栗向天湖の一面の蓮もおすすめ~夏~
向天湖の湖面には一面蓮の葉が広がっています。その葉が一段と大きくなり、桃色の花が咲く夏場に訪れるのもおすすめです。ところどころに白い睡蓮の花も。空気も心地よく、散歩しながらのんびりできます。
向天湖#臺灣#風景 pic.twitter.com/6VJ0fDq1Nb
— AkaTsuki (@Steven841204) May 7, 2017
向天湖には湖の上を歩くことができる遊歩道も整備されており、広がる緑一色の景観に心が洗われていくでしょう。湖はおおよそ30分で一周できます。現地のお土産屋も並び、ノスタルジックな街並みにほっこりします。
苗栗向天湖と共に生きる民族と矮霊祭~秋~
サイシャット族の村に朝が来た。 pic.twitter.com/F5dpyfepLm
— 片倉 佳史 (@katakura_nwo) November 12, 2016
向天湖の周囲で暮らすのは原住民族のサイシャット族。台湾全土で6000人ほどしかいない、台湾16民族の中でも少数派の民族です。向天湖と、苗栗県の隣県新竹県は五峰にしか暮らしていません。長い歴史における生存環境の戦いと文化の衝突で、賢くて辛抱強く穏やかな人柄をしています。
TAIWAN~賽夏族-矮靈祭(一)初始 pic.twitter.com/THYAiIR3mb
— 張友友 (@tly7l9U95wHi2Xt) November 22, 2016
サイシャット族が今に伝える有名な祭りが「矮霊祭」です。2年に一度、秋の収穫を終えた満月の夜のあたりに行われます。ほかにも多くの祭事があり、向天湖と共に今でも神聖な空気が漂う民族です。
苗栗向天湖の歴史を今に伝えるサイシャット族民俗文物館
向天湖やそこで暮らすサイシャット族の歴史がわかる「サイシャット族民俗文物館」は向天湖のすぐ横に建っています。サイシャット族に古くから伝わる竹編みや織物、昔の漁業、農耕の機具も展示されています。また興味深いのは、サイシャット族の「姓」制度で、日本の姓よりももっと大きな部落のようなものを指します。
サイシャット族民俗文物館(苗栗県)
— 台湾旅行情報ガイド「台北ナビ」 (@taipeinavi) January 11, 2017
ここへ来ると、サイシャット族の伝統文化、慣習などがよくわかりますhttps://t.co/bLcWVYEcVa pic.twitter.com/2P97ElriKT
苗栗南庄郷で最も有名なお祭りは「矮霊祭」ですが、それは15ある姓のうち朱姓の人々が担当しているそうです。そのほかの祭事も姓で担当が決まっています。もちろん文物館には祭事に使う美しい装飾品も展示されていますから、おすすめの観光スポットです。
サイシャット族民俗文物館に行ったら郷土料理もいただきましょう。また、向天湖を周る遊歩道の最中にはサイシャットの人々が露店を開いていて、気軽に声をかけてくれます。美しい景観とともに美味しい現地ならではのお食事もいただくことをおすすめします。
苗栗向天湖「矮霊祭」一年で最も熱い夜
苗栗向天湖に最も人が訪れるのが、2年に1回開催される「矮霊祭」です。秋の収穫後の満月の前後、大体10月~11月のうちの三日間行われます。村の人だけでなく、多くの観光客も一緒になって向天湖の付近で輪になって踊ります。
向天湖が一年で最も美しく、熱い、神秘的な夜です。春の暖かな風に揺れる向天湖や、夏の蓮の葉が萌ゆる向天湖もおすすめですが、村に息づく信仰の尊さを感じる矮霊祭の夜。必見の三日間です。
苗栗向天湖「矮霊祭」その伝説
拉阿魯哇族 Hla'alua
— 陳奕廷 (@EDOTraveler) July 9, 2015
卡那卡那富族 Kanakanavu
布農族 Bunun
賽夏族 Saisiyat#台灣的原住民 pic.twitter.com/2KXYb7rLCA
矮霊祭は2年に1回、秋の満月の夜の前後に行われ、10年に1回大祭が行われます。別名パスタアイ(小人祭り)と呼ばれ、タアイという小人たちとの伝説に基づいています。タアイは、サイシャット族に農耕などの知恵と歌や踊りなどの信仰を授けた小人たちです。
二年に一度のサイシャット族のパスタアイへ。こびとの精霊を慰める神秘的な祭典。夜から朝まで踊り続けます。今年は十年に一度の大祭であり、週末に重なったため、外部からの見学者がとても多かったです。 #台湾 #サイシャット族 #パスタアイ pic.twitter.com/RAt0LXe9FD
— カタクラ マリ (@formosamari) November 14, 2016
サイシャット族とタアイの小人は仲がよく、時には酒を酌み交わし暮らしていました。しかしタアイの小人が傲慢な態度をとったり、悪さをしたりするようになります。怒ったサイシャット族は寝込みを襲ってタアイの小人を殺してしまいました。すると村は凶作続きに。タアイの小人の魂を鎮めるために始まったのが、パスタアイ、矮霊祭です。
苗栗向天湖「矮霊祭」歌の魅力
矮霊祭は3日間にわたって行なわれます。夜中から朝まで歌い踊り続けます。サイシャット族の人々は3日間のうちに50~60曲の歌を歌います。歌うのは男性だけ。その順番は決まっておらず、天から降りてきた指示に従って変わります。しかし一般の人にはいつ曲が変わったかわからないそうです。
祭りは1日目が迎霊、2日目は娯霊、3日目は送霊と進みます。そのうち一般の人ができるのは娯霊です。神聖な祭儀の邪魔にならないように、十分に気をつけなくてはいけません。また、妊婦とその配偶者は参加することも観ることもできないそうです。
苗栗向天湖「矮霊祭」衣装の魅力
サイシャット族が着る民族衣装は、鮮やかな赤と白を緻密に織り上げた美しい衣装です。赤は祝福を、白は純潔を表す衣装には、雷女を指す「卍」のマークが入っています。雷女はサイシャット族にとって生活を伝えた神です。
背中には色とりどりの糸で織り上げた手作りのバッグを背負い、魔よけの鏡がついています。何よりも印象的なのが、腰につけた「臀鈴」という竹筒を束ねた楽器です。人々が輪になって揺れ踊ると、竹筒がまるで鈴のようにシャンシャンと鳴り響きます。
苗栗向天湖「矮霊祭」の楽しみ方
三日三晩続くこの祭りには、台湾の観光客はもちろん国外からも多くの観光客が訪れます。南庄郷のバス停から交通規制が入り、一晩中臨時バスが運行しています。向天湖周辺にはいつも以上に屋台が並び、かぐわしい香りで祭のテンションも一気に上がります。
民族衣装を着て参加することもできますので、旅の思い出におすすめです。踊りは時に激しく走ったり、突然ジャンプしたり!娯霊を終える2日目の夜深く、楽しい歌から悲しい歌へと流れが変わります。そのとき急に霧がでるのだとか。静寂の霧の村にシャンシャンと鈴音と歌声が響く幻想的な夜明けです。
苗栗向天湖のおすすめのお土産
向天湖の散歩道を辿っていけばたくさんのお土産屋さんが並んでいます。向天湖は養蜂が盛んなので、少し重いかもしれませんがお土産には蜂蜜がおすすめです。ほかにも粟酒などが有名です。
【央廣新聞】「賽夏族播種祭」15日上午9時至下午5時將在蘆洲區成蘆橋下,揭開祭告與播種祭儀式的神秘面紗,還可以瞭解賽夏族的特殊臀鈴,除了可以親自體驗,還有教學Q版的臀鈴DIY。(圖:中央社) pic.twitter.com/4poEfADhFv
— 中央廣播電臺 (@rtinews) May 13, 2016
最近健康のために注目されているキヌアも特産なのでおすすめです。そしてなんと言っても、ここにしかない美しい民芸品は、ずっと消えない向天湖を歩いた記憶として手元に残ってくれます。
苗栗向天湖への行き方
日本から台湾へは飛行機で約3時間半です。台北から台湾鉄道を利用し苗栗県の竹南駅へ。鉄道は特急で約1時間半です。そこからバスに乗り換えます。まずは約1時間をかけて南庄郷へ。南庄郷にもどこか懐かしさを覚えるおすすめの観光スポットが多くありますので、たいていの人が南庄郷に宿をとり向天湖を訪れています。
向天湖までは南庄郷からバスに揺られることさらに30分。まるで霧の村を隠すように深くなる森を抜けて、向天湖へと辿り着きます。矮霊祭のときは混むので1時間ほどかかります。
矮霊祭のときは南庄郷から臨時バスが一晩中出ています。また南庄郷の宿も、矮霊祭のときは台湾内外の観光客で予約がいっぱいになるそうです。宿が取れないときにはキャンプ道具持参で訪れる強者もいるようですよ。
苗栗向天湖の神々しい景観を見に行こう
いかがでしたか?同じこの世のものかと息をのむ美しい霧の世界。そこに暮らすサイシャット族と守り続けられる強い信仰の系譜。向天湖の偉大な景観を前にすれば、日々の悩み事も霧の中に溶けて一緒に晴れるかもしれません。その神々しい世界をぜひ体感しに行ってみてくださいね。
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