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クチの地下道でベトナム戦争の遺産を見学!見どころやツアーをご紹介!

クチの地下道でベトナム戦争の遺産を見学!見どころやツアーをご紹介!
投稿日: 2017年10月22日最終更新日: 2020年10月8日

現在では発展を遂げているベトナムは、かつてはベトナム戦争の激戦地として知られていました。ベトナムには今でもかつての戦争の爪痕が残り、中でもクチの地下道は現在も戦争当時の面影を色濃く残しています。今回はそんなクチの地下道について詳しくご紹介します。

クチの地下道とは?見出し

クチの地下道とはベトナムの一大都市、ホーチミンより北西へ70キロほどのところにある地下道です。この地に張り巡らされた地下道は、かつてのベトナム戦争においてアメリカ軍とベトナム軍の間でゲリラ戦が繰り広げられたことで知られ、今でも戦争当時の歴史の面影を色濃く残しています。今回はそんなクチの地下道についてご紹介します。

ベトナム戦争の歴史とは見出し

ハノイを首都とし、9000万人以上の人口を誇る東南アジアの一大国ベトナム。現在でこそハノイやホーチミンは観光地として海外から人気を集めていますが、かつては1955年~1975年と20年にもわたり、アメリカ軍との間で熾烈な地上戦が繰り広げられた土地として知られ、今でもその歴史を感じられる場がベトナム全土にわたって残されています。

ベトナム戦争とは、資本主義を掲げるアメリカ合衆国と共産主義を掲げた当時のソヴィエト連邦との間に生じた対立によって起こった代理戦争と言われています。ベトナムでは第二次世界大戦の後の1946年~1954年、当時の宗主国であったフランスとの間に独立を巡り戦争が起こり、ベトナムの国土は南北が2つに分裂してしまいました。

南北に分裂したベトナムには、ホーチミン率いるベトナム民主共和国(北ベトナム)とアメリカの強い影響を受けたベトナム共和国(南ベトナム)が存在していました。しかしホーチミンは南ベトナムを「アメリカの傀儡国家」とし、ベトナム人による南北ベトナムの統一ならびに独立国家の建設を掲げました。

南ベトナム側ではフランスとの間に起こった戦争が終結した後も、北ベトナムを支援する“南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)”が南ベトナム側で武力を用いた反政府活動を続けていました。南ベトナムに強い影響力を持っていたアメリカは、これを鎮圧するため南ベトナム側に徐々にアメリカ軍を派遣。こうして20年にもわたるベトナム戦争の火蓋は落とされたのです。

ベトナム戦争の際には、世界各国からアメリカに対し批判が集まりました。そしてベトナム戦争反対のムードが高まる中の1975年、南ベトナムの首都であったサイゴンの陥落により、20年にも及んだベトナム戦争はついに終結の時を迎えました。戦争による人的被害は、アメリカ側が5万8000人以上もの戦死者と2000人もの行方不明者、そして南北ベトナムでは500万人もの死者が出たと言われています。

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ベトナム戦争の主戦場となったクチの地下道見出し

ベトナム戦争はアメリカが他国との戦争において勝利できなかった唯一の戦争である、とされています。その理由として挙げられるのがゲリラ戦の展開であり、兵器を使用した戦争に長けていたアメリカ軍も、土地勘がないベトナムの森林地帯での戦いでは強みを発揮できなかったようです。そしてそのゲリラ戦の主戦場となったのが今回ご紹介するホーチミン近郊にあるクチの地下道です。

クチの地下道とはどんなところなのか見出し

ベトナム戦争の主戦場となったクチの地下道は、ベトコンによって掘られた地下トンネルです。全長はなんと250キロにも及び、果てはカンボジアとの国境地帯まで及んでいます。トンネルの建設はベトナム戦争より前のフランスとの戦争の間にすでに始まっていたそうで、建設にはおよそ25年もの歳月がかかったそうです。

ベトナム戦争の際には、クチの地下道はベトコンのゲリラの隠れ家としてのみならず、近隣の村同士との連絡手段や食料や戦争物資などの供給ルートとしても使用されていたそうです。それだけではなく、トンネル内では何千人にも及ぶ人々が暮らしており、狭いトンネル内には学校や簡易的な劇場までが存在したそうです。

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現在のクチの地下道はどうなっている?見出し

それでは現在のクチの地下道はどうなっているのでしょうか?戦争が終結した後、クチの地下道は戦争記念公園として整備され、当時の面影を残しつつも観光客が安全に見学できるようになっています。トンネル内の一部は戦争当時よりも幅が広げられ、観光客が中に入って見学することができるようになっており、ホーチミン近郊では人気の見どころとして観光客を惹き付けています。

クチの地下道の見どころ1.狙撃用の穴見出し

ここからはクチの地下道の見どころをご紹介します。クチの地下道を見学する際には、クチの森の中を歩いていくことになります。森には至る所にアメリカ軍を狙撃するために作られた穴が開いており、ガイドの方が中に入り蓋を閉じ、そしてその上に落ち葉を被せると、外からはとても狙撃用の穴が開いているようには見えません。

当時のベトナム人は栄養状態等が今よりも悪く、そのため身長が低い上に細身であったといいます。そのため狙撃用の穴は現代人の体と比較すると非常に小さく、穴の中には希望すれば入れるものの、ガイドの方からは「ウェスト34インチ以上の人は気を付けるように」といったことまで言われます。

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クチの地下道の見どころ2.落とし穴見出し

森の中を進んでいくと、あちこちに落とし穴も開いています。さらにその穴の中には鋭い槍のようなものが何本も建てられており、万が一落ちたら致命傷どころではすみません。戦争当時はその槍に毒まで塗ってあったというので、想像するだけで恐ろしくなります。さらに穴の仕掛けには様々な種類があるので、見る者を飽きさせません。

クチの地下道の見どころ3.ブービートラップ見出し

森の中にはあちこちに罠、いわゆる“ブービートラップ”も設置されています。こちらもスパイク状のものなど様々な種類があります。さらに落とし穴同様スパイク部分等には毒が塗ってあったとのことで、刺さっただけで致命傷にならなかった場合であっても、毒により罠にかかった者は苦しめられることになります。いくつかのトンネルではブービートラップがライトアップされており、それを辿って見学することが出来ます。

クチの地下道の見どころ4.戦争に使用されていた戦車見出し

クチの地下道の敷地内には、当時実際に使用されていた戦車がほぼ当時のままの状態で置かれています。なんでも地雷を踏んだため、そこから動けなくなったとのこと。戦車の壁面には複数の銃痕が残されており、当時の戦争がいかに苛烈を極めたものであったのか、その歴史を垣間見ることが出来ます。

クチの地下道の見どころ5.実際に使用されていた爆弾見出し

クチの地下道の展示には当時使用されていた爆弾も多数置かれています。もちろん不発処理は施されてはいるかと思いますが、重量感のある爆弾の数々を見ると、クチの地下道が凄惨な戦争の場となっていたという歴史を改めて感じさせられ、負の歴史に思いを馳せることの出来る見どころとなっています。

当時のベトコンは爆薬等の確保を非常にアナログな方法で行っており、米軍が落とした不発弾から火薬を抜き取り改良して使用したり、落とし穴やブービートラップの槍やスパイクに蛇の毒を縫ったりしたとのことです。しかしこれが功を奏し、ベトナム側は弾薬等の不足に悩まされることなくゲリラ戦を戦えたと言われています。

クチの地下道の見どころ6.空気穴見出し

クチの森の中には至る所に地下のトンネルへと空気を送る穴も設置されています。トンネル内の空気は薄くなりがちなため、こちらの空気穴は本当に至る所にあります。ガイドの方のお話を聞きつつ、森の中を歩く際にはどれほど多くの空気穴があるのか探してみても面白いかもしれません。

ちなみにこちらの空気穴は、もちろんトンネル内へ空気を送るということが第一目的で設置されてはいますが、それ以外にも意味があったとのこと。なんでも空気穴から外部へとわざと煙を送ることで、アメリカ軍にベトコンが隠れていると思わせ、周囲を捜索している間に奇襲する、ということまで想定されていたようです。

クチの地下道の見どころ7.射撃場で射撃体験見出し

クチの地下道の敷地内の射撃場では射撃を行うこともできます。料金は試射するものによって異なりますが、ライフルからマシンガンまで幅広く取り揃えられているとのことです。ただ発砲音は強烈であるため、試射の際には耳の保護を忘れずに行うように心がけましょう。

クチの地下道の見どころ8.トンネルの中へ潜入!見出し

クチの地下道内に入る際には、まず地下へと続く階段を降りていかなければなりませんが、これが非常に狭く、体が大きい方であればそれだけで苦労するかもしれません。ちなみにベトナム戦争以前に作られたトンネルは、当時の装備が小さかったため、トンネル自体もより狭かったようです。

縦横共に狭いトンネル内を進む際には中腰ほどの姿勢で進むことになります。また狭く息苦しいトンネル内を移動すると、それだけで全身に汗をかいてしまいます。さらに入り口こそ照明はあるものの、奥まで進んでいくとほぼ真っ暗になってしまうため、暗闇や狭いところが怖いという方はトンネル内には入らないことをおすすめします。

ちなみにトンネル内は外から想像するよりもはるかに複雑な構造になっていたそうで、地下1階~3階まであるとのこと。通常時は外まで出やすい1階で生活し、アメリカ軍の爆撃が来た際にはより頑丈な2階に避難、そして3階には川へとつながる通路があったそうです。とある学者が「世界中の技術者を集めてもクチのトンネルを作ることはできない」と評したそうですが、それも納得です。

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クチの地下道の見どころ9.クチの地下道で食べられる食事見出し

クチの地下道見学をして疲れたら、敷地内で軽食を食べることもできます。そこで出されるのはタピオカですが、タピオカは腹持ちがよいらしく、ベトナム戦争当時の兵士も常に携帯していたといいます。お食事も当時の歴史を感じることが出来るものになっているとは気が利いています。

クチの地下道を見学できるツアーに参加しよう!見出し

ホーチミンからクチの地下道を見学する際は、ツアーに参加するのがおすすめです。クチの地下道を訪れる際にはまずホーチミンから出発することになりますが、ホーチミンはベトナム経済の中心地であり多くの観光客が訪れるため、現地の旅行会社が数多く支店を構えツアーを展開しています。またホテルでもツアーを申し込むことが出来ます。

ホーチミン市内でも鉄道はさほど発達していないため、クチの地下道までは車かバス、あるいはタクシーで行くことになります。いずれも約1時間半ほどで着くことが出来ますが、ホーチミンであってもバスはベトナム語しか通じないことが多く、またタクシーだとお高くなってしまうため、ホーチミンからクチの地下道まで行かれる際にはそういった意味でもツアーに参加されるのがよいと思われます。

ツアー参加で訪れることが出来るホーチミン近郊のその他観光地見出し

クチの地下道をツアーで見学する際、クチの地下道単体でのツアーも十分見ごたえがありますが、ホーチミン近郊の他の観光地と併せて訪れることができるツアーもおすすめです。ホーチミン近郊でクチの地下道と併せて訪れることのできる観光地の中でも、カオダイ教寺院はメジャーなものの一つとなっています。

ホーチミンから車で1時間半ほどで着く河岸の町ミトーから行くメコン川クルーズも、クチの地下道観光と併せて訪れることが出来ておすすめです。メコン川はチベットを源流とし、ミトー周辺での川幅は広いところで3キロほどにも及び、雄大な河の流れを感じることが出来ます。また川幅が狭いジャングルの中を行く“ジャングルクルーズ”もあり、観光客にはこちらの方が人気のようです。

ホーチミンから出発するメコン川クルーズもおすすめですが、クルーズの出発点であるミトー観光も観光客には人気が高くなっています。ミトーはトロピカルフルーツの生産で知られており、町の中にあるミトー市場では様々な種類のトロピカルフルーツが売られています。またミトーの沖合にある小島ではココナッツキャンディーが生産されており、手作り感溢れる雰囲気の中出来立てのキャンディーをいただくこともできます。

ホーチミン市内にはその他にも数多くの観光名所があります。ホーチミン市内でベトナム戦争の歴史を感じられる場所としては戦争証跡博物館も挙げられます。博物館屋外には戦争当時に使用されたヘリコプターや戦車等が展示され、屋内には数多くの写真などの展示がされ、いずれもベトナム戦争の歴史を物語っています。ベトナム戦争の歴史について学びたいという方であれば、ここも外せない場所となっています。

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クチの地下道の入場料・営業時間・注意事項見出し

クチの地下道の入場料は110000VND(約550円)、営業時間は午前7時~17時で年中無休です。クチの地下道見学が組み込まれたツアーも旅行会社各社から出ていますが、ベトナム現地の会社で申し込む場合、入場料はツアー代金に含まれていないことも多いようなので注意が必要です。またトンネル内は狭く泥にまみれており綺麗とは言い難いので、見学の際には動きやすく汚れてもよい服装で行くように心がけましょう。

ホーチミンから足を延ばしてクチの地下道で歴史を感じよう見出し

ベトナム戦争は終結した後も、ベトナム国民に多くの犠牲者を出したことにより、国に大きな爪痕を残しました。現在ではホーチミン周辺は観光地化されているとはいえ、クチの地下道はそんな生きた歴史を学ぶ場となっています。ベトナムを訪れる際にはそんな負の歴史に思いを馳せ、ホーチミンから足を延ばしクチの地下道を見学してみてはいかがでしょうか。


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