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世界一深い「マリアナ海溝」大調査
「マリアナ海溝」は世界一深い海溝として有名です。そして世界一深いマリアナ海溝の底には多くの謎があります。こちらではそんなマリアナ海溝がどのようにしてできたか、深海とはどのようなものなのか、深い海の底にはどのような生物が生きているのかなど、マリアナ海溝の謎に迫っていきます。
世界一深い「マリアナ海溝」って何?
マリアナ海溝は世界一深い海溝です。つまり地球の中で一番地球の中心に近いところにある海溝と言うことになります。研究者たちの間ではマリアナ海溝ができたのは今から約5000万年前と言われています。なぜ5000年前と分かったかと言うと、マリアナ海溝には約5000年前の年代の岩石が見られるからです。
そしてこの5000年前の年代の岩石は日本においても小笠原海溝にも見ることができます。マリアナ海溝は世界一深い海溝ですが、その海溝のプレートは日本列島の近くまで続いている太平洋プレートの一部だということがわかります。地球上にはいくつもの海洋プレートがありますが、海の底ではありますが、世界はつながっているのだと感じます。
世界一深い「マリアナ海溝」の場所は?
世界一高い山がある場所を聞かれれば、ほとんどの人はその場所や国を知っていますが、世界一深いマリアナ海溝はどこにあるかと聞かれると、その場所を知らないという人も少なくないでしょう。マリアナ海溝の場所はは、北西太平洋のマリアナ諸島の東、北緯11度21分、東経142度12分の場所に位置します。
マリアナ諸島はその名の通り小さな島々が点在するエリアの事を指しています。一応全域がアメリカ合衆国の領地ということになっています。マリアナ海溝はフィリピンプレートに太平洋プレートが沈み込む場所に存在しています。マリアナ海溝はまるで三日月の様な形になっています。その長さは2550km以上、幅は69kmにもなります。
世界一深い「マリアナ海溝」の深さはどれくらい?
それでは世界一深いマリアナ海溝の深さは一体どれほどの物なのでしょうか。世界一高い山はヒマラヤ山脈にあるエベレストです。国により様々な呼び方がありますが、標高は8848メートルです。そして世界一深いマリアナ海溝の中で一番深いといわれている「チャレンジャー海淵」の深さは水面下10911メートルと言われています。
なぜ、「言われています」としたかと言うと、世界一の深さを誇るマリアナ海溝ですが、まだまだ謎が多く、深さに関しても、今までに様々な国の調査隊が様々な探索調査を行っており、最新の調査で深さが10911メートルと発表されたからです。この10911メートルという深さは、先ほどのエベレストがすっぽりと入ってしまうほどの深さです。
世界一深い「マリアナ海溝」の調査方法は?
これだけの深さのマリアナ海溝ですので、調査をするには一大プロジェクトになります。最初にマリアナ海溝の調査が行われたのは1870年代の事でした。そして日本やソ連、アメリカなどが調査を行いました。その方法は重りを付けたケーブルを海底まで沈めて、ケーブルの距離を測定したり、反響した音波を測定したりする方法でした。
1900年代後半にはいると、無人探査機での調査が始まります。そしてついに1960年にアメリカは有人の潜水艇で海底調査に挑戦しました。その際に測定された水深は10912 mだったと言われています。またその際、探査機の乗組員が見た深海の世界には、多くの人々の予想に反し多くの生物が存在していたということで、大変話題になりました。
深海ということで、様々な安全性から、その後は無人の探査機が主流でした。そして少しずづ深海の様子がわかるようになってきました。そして2012年には、ターミネーターやアバターなどのヒット映画を生み出した、ジェームスキャメロン監督が有人探査機に乗り、自らの操縦で、約2時間をかけて深さ10,898mへ到達しました。
最近では、様々な有名人が、地球を飛び出し、宇宙旅行へ行こうとしてみたり、スペースシャトルを計画したりしていますが、地球の外ではなく、地球の内側の未知の世界へロマンを求める人もいます。深海の海底調査は、未知なるものに対する人々の飽くなき探求心によるものでしょう。
世界一深い「マリアナ海溝」の環境1「光」
では世界一深いマリアナ海溝の海底はどのような場所なのでしょうか。様々な観点からご説明しましょう。まずは光についてです。マリアナ諸島はリゾート地が多く、それらのリゾート地の海は驚くほど澄み切っています。しかしながら水深が1000メートルもあれば太陽の光は一切届きません。海底10000メートルともなると、そこには漆黒の世界です。
そして光が一切届かないということは、地上で例えると24時間365日夜であるのと同じです。つまりとても寒いです。マリアナ海溝の海底の水温は1度から4度ほどです。水温1度から4度といえば、水が氷に代わる一歩手前の水温です。これは海の中に生きる生物にとっても大変過酷な世界です。生身の人間では到達できる場所ではありません。
世界一深い「マリアナ海溝」の環境2「水圧」
さらに世界一深いマリアナ海溝の水の中では、普段の人間の生活ではあまり気にしたことのない物理的な環境もあります。それが水圧です。マリアナ海溝の中でも一番深いチャレンジャー海淵では1平方cmあたりにかかる力が1トン以上になります。つまり小指の先に1トンの重りを乗せる感覚です。カップめんの入れ物に水圧がかかると水深2500メートルでも半分以下の大きさになってしまいます。
生身の人間なら一瞬でぺちゃんこです。深海はとても危険です。海底調査は無人の探査機で行われるのはそのようなリスクを考慮してのことです。実際に最初の有人探査機でも水圧で窓に亀裂が入ったという報告もあります。それゆえに今までたった3人しか有人探査機でマリアナ海溝に挑戦した人はいないのです。
世界一深い「マリアナ海溝」の環境3「音」
世界一深いマリアナ海溝は、海底10000メートルの漆黒の世界です。そんな海底を想像すると音も無音の様に思うでしょうが、どうやらそうでもないようです。マリアナ海溝の海底では奇妙な音がしばしば観測されます。たとえば2014年に録音された3秒ほどの音はとてもミステリアスなものでした。
研究者たちがその周波数を調べると、周波数は38ヘルツの低い、唸り声のような音と、7.5キロヘルツの金属の音のような音からなっていました。この音はクジラが発した音であると推測されていますが、まだまだ謎の多い深海ですので、このようなミステリアスなニュースはとても興味深いです。
世界一深い「マリアナ海溝」に住む生物1「マリアナスネイルフィッシュ」
マリアナスネイルフィッシュはシンカイクサウオの仲間で、マリアナ海溝の8000メートルほどの深さのところに生息する魚です。クサウオは体の周りがゼリー状になっていて柔らかく、うろこがありません。白っぽい外見をしており、少し膨れたお腹と身体の前半分は魚のようですが、後ろ半分はウナギのようなヒレでゆらゆらと泳ぎます。
魚は体内の浸透圧を海水より低く保つ調整機能により生体機能を維持しています。クサウオはもともと、寒冷の海や水温の低い深海に生息する魚なので、低い水温で生活することはできますが、それ以上の深さの水圧には耐えることができません。そして研究者たちはこの水深8000メートル付近が、魚類が生きられる限界の深さだと仮説を立てています。
世界一深い「マリアナ海溝」に住む生物2「カイコウオオソコエビ」
カイコウオオソコエビは深海6000メートルほどに生息するヨコエビの仲間です。前述の通り、深海の過酷な環境は水圧だけが問題ではありません。深海のような漆黒の世界では光合成が行われませんので、プランクトンが存在することができません。プランクトンがいないということは、プランクトンを食べる生物が生きられません。
そのため深海に生物が存在するのは難しいと言われていましたが、以外にもその環境に適応して生きる生物がいるということが深海の調査で明らかになりました。このカイコウオオソコエビもヨコエビの仲間ですが、通常のヨコエビが最大1センチほどの体長であるにも関わらず、カイコウオオソコエビは4センチにもなります。深海にはまだまだ今までの常識を逸した生物が存在しています。
世界一深い「マリアナ海溝」に住む生物3「クラゲ」
マリアナ海溝に住む生物の中で最も美しいのがこのクラゲでしょう。水中にふわふわと浮遊するクラゲは、全国の水族館で人気の展示の一つですが、深海のクラゲは身体が発光しています。このクラゲはアメリカの無人探査機が海底3700メートル付近で発見した新種のクラゲです。
ヒドロクラゲの一種と言われていますが、太陽の光がまったく届かない漆黒の深海において、鮮やかに光るクラゲの体は、深海の暗闇においてとても神秘的な光を放っています。画像だけ見ていると、夜の闇に明かりがポツリとついているようなファンタジックな景色です。
世界一深い「マリアナ海溝」に住む生物4「クセノフィオフォラ」
深海にはまだまだミステリアスな生物が存在します。その一つがこの「クセノフィオフィラ」です。深海の生物というと魚類や甲殻類のように動く生物を想像しますが、クセノフィオフィラは動きません。クセノフィオフィラは単細胞生物です。大きさは10センチほどのものから20センチほどになります。
深海の生物の研究が難しいのは、深海に生きる生物は、深海の水圧、温度、光などの深海の環境に対応してい生きているため、いざ地上に持ってきて研究をしようとしてもそれらの生物は地上で、彼らの生態が保てないのです。またクセノフィオフィラは大変壊れやすく、研究が難しかったのですが、研究が進むにつれ驚くべき生態が確認されました。
マリアナ海溝の水深10000メートルで発見された、クセノフィオフィラは単細胞生物ですので、10センチほどのサイズがあるということは、クセノフィオフォラの細胞の大きさは、1000億以上の人間の細胞の大きさに匹敵します。そして生態もとてもミステリアスです。
クセノフィオフィラは海底でじっと動かず、汚れや、動物の死骸、岩、ミネラルが上または近くに来るのを待ちます。そして糞でできたセメントや死んだ動物の皮などで自分の身体を覆い生活します。さらに研究者の間ではクセノフィオフィラは放射能を発生させる生き物としても注目されています。
世界一深い「マリアナ海溝」も汚染が進んでる
マリアナ海溝は世界一深い海溝です。人が住んでいない田舎の町の空気がきれいなように、マリアナ海溝にも美しい海底があるかと思いきや、このマリアナ海溝には人間によって大変に汚染が進んでいます。数年前にマリアナ海溝の調査をした際には中国で最も汚染されている川より50倍も汚染物質があるというとがわかりました。
そしてその汚染物質の多くが数十年前に使用が禁止された、人工的に作られた化学物質でした。数十年前の過ちが今でも海を汚染しているというは悲しい事実です。人間が自然に対してしてしまったことは、なかったことにはできません。回復させるのに何十年、何百年もかかります。私達はもっと自然環境を大切にしていかなければいけません。
海底のミステリアスな世界を描いたフィクション
海底のミステリアスな世界には昔から多くのロマンが存在しました。1870年にフランスのSF作家であるジュール・ベルヌが発表した「海底2万マイル」という作品をご存知でしょうか。この作品は潜水艦に乗り海底の謎の生物との闘う様子などが描かれたSFフィクションですが、本だけでなく、この本を映画化した作品なども大変人気がありました。
しかしながら海底2万マイルというと、海底30000キロほどということになります。地球の直径は約10000キロですので現実的ではあり得ませんが、地球の外に飛び出しても無限の宇宙があるように、海底にも無限の世界が広がっているかもしれないという創造がこの作品のSF性を高めています。
そして、東京ディズニーシーにはこの海底2万マイルの小説の世界を表現したアトラクションもあります。ディズニーのアトラクションなので、ファンタジーの要素が大きいですが、海底の世界のちょっとした怖さやミステリアスな魅力を垣間見ることができます。実際に有人探査機で深海を訪れるのは難しいですが、ちょっとした疑似体験ができます。
世界一深い「マリアナ海溝」には秘密がいっぱい
いかがでしたでしょうか。マリアナ海溝についてご紹介しました。海底10000メートルの漆黒の世界には、人類が驚くほどの能力を持って生きている生物がたくさん存在します。私達人間はほとんどの人がこの地球で一生を終えますが、地球にはまだまだ未知の世界がいっぱいです。今後もマリアナ海溝の新しい情報に注目しましょう。
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