イスラエルの世界遺産マサダは巨大要塞
地中海に面したイスラエルにある世界遺産マサダは、ユダヤ教の聖地とも言われる巨大要塞。2001年ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された遺跡は、そのダイナミックな景観と歴史ロマンを感じさせるイスラエルでも人気の観光地となっています。今回は、死海を望む巨大要塞マサダへの行き方や、見どころなどをお伝えしていきます。
イスラエルの巨大要塞マサダ遺跡の歴史
Moving trip to Masada and the stories of resilience, slavery and mass suicide @CelebrityCruise @IsraelTourism pic.twitter.com/JDYMe3cxzL
— Nigel Ashurst (@psychnigel) October 31, 2017
イスラエルの世界遺産マサダ要塞の歴史は古く、今から2000年前に遡ります。紀元前63年から、現在のパレスチナ地域(ユダヤ地方)は、ローマの支配下に入りました。しかしながら、紀元6年ローマ帝国の直接支配がなされるまで、ユダヤ地方は、ヘロデ王に代表されるアラブ系の王の厳しい統治下にありました。
当時のユダヤ人の中には、ローマへの納税や皇帝の像が刻まれた貨幣の使用を拒否する者もいました。のちに、ローマ帝国によるガリラヤ地方でのユダヤ人殺害や、総督によるエルサレム神殿からの財宝略奪などが原因となり、ついに紀元66年、ユダヤ人の過激派と言われるゼカリアの一派が、歴史に名を残した「ユダヤ戦争」を起こします。
La fortaleza de Masada es un lugar muy simbólico para los judíos y un yacimiento arqueológico imprescindible #norwegianaIsrael pic.twitter.com/YORVfMmqgk
— Paula Mayoral (@tierrasnlimites) October 20, 2017
イスラエルで有名な死海のほとりにあるマサダ地域には、かつてギリシャの支配下だったとき、最初の要塞が作られていました。これをヘロデ王が奪い、要塞と冬の宮殿を兼ねた施設として大改築したのが、世界遺産マサダ遺跡の始まりと言われています。ちなみに「マサダ」というのはヘブライ語で「砦」という意味です。
ユダヤ戦争勃発時は、ローマ軍がマサダ要塞を占拠していましたが、ユダヤ人の一派(967名)がマサダ要塞を奪い返し、立てこもったと歴史に記されています。紀元70年にローマ帝国によってエルサレムは陥落しましたが、マサダ要塞に立てこもったユダヤ人は、ローマ軍に陥落されるまで、激しく抵抗したと伝えられています。
イスラエルの巨大要塞マサダは「最後の砦」
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— 一度は見たい!!世界の絶景 (@tourist_zekkei) October 26, 2017
切り立った崖で作られた天然の巨大要塞マサダは、難攻不落の砦といわれていましたが、圧倒的なローマ軍の前に力及ばず、ついに陥落してしまいます。立てこもっていた1000名近いユダヤ教徒は、異教徒の支配を受けるくらいなら、誇り高い死を選ぶという悲しい決断をします。世界遺産マサダはユダヤ人にとって「最後の砦」となりました。
イスラエルの巨大要塞マサダの歴史を記した「ユダヤ戦記」
マサダ要塞での激しい戦闘ののち、生き残ったのは、女性と子供を合わせて7名だったと言われます。血塗られたマサダの攻防戦の生き残りから伝え聞いた話を元に、歴史的に有名な「ユダヤ戦記」がまとめられました。この砦の攻防戦を最後に、安住の地を求めて、ユダヤ人の世界放浪の旅が始まります。
The dramatic #history of the desert fortress of #Masada - https://t.co/LPCZeNq412 pic.twitter.com/7zthSFPj99
— ancient-origins (@ancientorigins) October 20, 2017
イスラエルには「マサダは二度と陥落しない」という合い言葉があります。悲劇を二度と繰り返さないというユダヤ人の教訓です。現在は、景勝地として、また観光客に人気の世界遺産として知られるマサダは、イスラエル軍の入隊宣誓式が行われる場所でもあります。古代イスラエル人の伝説が、現代のイスラエル人にも受け継がれています。
イスラエルの巨大要塞マサダ遺跡へのアクセス
世界遺産マサダ遺跡は、イスラエル東部にある有名な観光地「死海」のほとりにあります。エルサレムからバスで2時間ほどでマサダに到着します。高さ約400m岩山にある砦へのアクセスは、二通りあり、徒歩の場合は通称「蛇の道」と呼ばれる山道を1時間半ほど登ります。もう一つはケーブルカーを利用する方法です。3分で登頂できます。
イスラエルの巨大要塞マサダ遺跡の見どころ1:住居跡
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— 日置 (@shimadzutoyohi3) August 2, 2017
イスラエルの世界遺産マサダの見どころは、古代ユダヤ人が生活していた住居跡です。三段テラス型の豪華な宮殿や、約1000人を養った食料などの貯蔵庫として使われた倉庫の他、ローマ式浴場等が残されています。ユダヤ戦争の歴史の中で、ユダヤ教の一派(シッカリ派)が砦を占拠してからは、シナゴーグなども建設されたようです。
難攻不落と言われたマサダ遺跡は、切り立った岩山の上に周囲を二重の城壁が取り巻かれ、鉄壁の要塞だったことが伺えます。3年半に渡って、約1000人のユダヤ人が立てこもっていた住居跡には、古代ユダヤ人が使ったローマ式浴場や温泉、冷泉の他、蒸し風呂まであります!古代ユダヤ人の生活を垣間見ることで、歴史ロマンが感じられます。
イスラエルの巨大要塞マサダ遺跡の見どころ2:地下貯水池跡
荒涼とした砂漠に立つ世界遺産マサダ遺跡、1000人近い人々が生きるのに必要な「水」はどのように確保していたのでしょうか?その答えをうかがい知ることができるのが、地下貯水池跡です。マサダ遺跡一帯は、突発的な豪雨に見舞われることがあります。当時のマサダでは、水路を作り雨水をうまく貯水していたと言われています。
マサダ遺跡では砂漠で突発的に起こる「洪水」を利用して城内に水を引き込む水路をたくさん見ることができます。水路の様子を再現した模型に水を流すと、水路を伝って城内に引き込まれる様子が再現されます。乾燥した粘性の強い砂に雨が降ると、浸み込まず上を流れるので、この周辺で洪水が頻繁に起こったことが分かります。
2000年も前に、緻密に設計された水路を使って水を集め、1000人近い人々の生活を支えていたというのは、本当に驚きです!マサダ遺跡の地下貯水池には、12もの巨大貯水槽があり、最大で4トンもの水を貯めることができたと言われています。古代ユダヤ人の知恵が詰まった遺跡跡は、一見の価値ありです!
イスラエルの巨大要塞マサダ遺跡からは死海が見える?
イスラエル東部には、海水の10倍もの濃度の塩水をたたえた世界遺産「死海」があります。死海は、世界的にも有名な観光地として知られています。その死海のほとりにある世界遺産マサダ遺跡からは、遠くに死海を見渡すことができます。遺跡の中には、死海が見えないエリアもありますが、400mの切り立った崖から見える絶景は必見です!
人気の観光地「死海」から近いため、エルサレム市内からマサダ遺跡へ行き、その後、死海に行って泳ぐ観光ツアーも人気です。エルサレムから日帰りできるので、おすすめです。死海の湖面の海抜は、なんとマイナス428m!地表で最も低い場所です。マサダ遺跡で汗をかいた後は、塩分濃度30%の死海に浮かんで涼を取るのがおすすめです!
手遅れになる前に一度は行っておきたい美しい場所
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死海/イスラエル pic.twitter.com/7fPhEWL8hh
死海は、かなり低い場所でありながら、ほとんど水が貯まりません。また、砂漠にあるため、死海の水は今も蒸発しつづけています。砂漠地帯で降水量が少ない中、自然に湖水量が増えるという可能性はありません。湖面は年1mのスピードで下がっていて、数十年後には干上がってしまう可能性もあると指摘されています。
マサダ遺跡観光におすすめの時期
イスラエルの気候は大変厳しく、夏の気温は日中40度を超えることもあり、非常に暑くなります。冬は多少気温が下がるものの、日中の徒歩での観光中などは日差しが強くなり汗ばむこともあります。砂漠の世界遺産マサダ遺跡を観光するなら、夏(5月から10月)は避けた方が良いでしょう。
冬(11月から4月)に観光する場合も、十分な日差し対策が必要です。日焼け止め・帽子・スカーフ・サングラスを持参し、薄手の長袖に上着を重ね着し、脱ぎ着しやすい服装で行くことをおすすめします。また、マサダ遺跡は砂漠にあるため、非常に乾燥しています。保湿クリームやマスクがあると安心です。
イスラエルの治安は大丈夫?
イスラエルの国全体で見ると、国境沿いなど一部の箇所では危険度が高いという情報もあります。エルサレムや死海周辺などの都市は現在のところ治安は問題なく観光できます。イスラエルは、他のヨーロッパ等の地域に比べると、スリや強盗は少ないといわれていますが、貴重品等の持ち物については、十分注意しましょう。
イスラエルの世界遺産マサダ遺跡へ行ってみよう!
イスラエルの世界遺産、マサダ遺跡の情報はいかがでしたか?砂漠にたたずむ鉄壁の要塞「マサダ」はユダヤ人の聖地として、今もイスラエルの人々の心の拠り所となっています。イスラエルは、四国ほどしかない面積に、マサダ遺跡を含めて9つも世界遺産のある国です。世界三大宗教の聖地もありますので、ぜひ一度行ってみて下さい。
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