大分の九重山は初心者登山もおすすめ!
温泉大国大分県が誇る九州の名峰「九重山」。別名九重連山とも言われる美しい山々は、九州屈指の高山として知られています。1泊2日の縦走登山で登ることができるため、標高がかなり高い山であるにも関わらず初心者でも登山できる山として人気があります。今回は、九重山への詳しいアクセス方法の他、山の見どころや登山コースなど、役立つ観光情報をまとめます。
大分の九重山とは?
大分県玖珠郡九重町と竹田市久住町にまたがる九重山(くじゅうさん)は、別名九重連山、または久住山とも呼ばれる九州屈指の名峰です。火山群である九重山は、阿蘇くじゅう国立公園にも指定されており、九州本土最高峰の中岳(1791メートル)を筆頭に、いくつもの美しい山々が連なる自然の楽園です。「久住」の名前は、独立峰としての九重山を表す時に使われます。
町のあちこちから温泉が湧き出る大分地方の九重山では、温泉を満喫できる登山コースもあります。また、観光客に人気の「地獄谷」や「黒川温泉郷」も近く、九重山登山だけでなく、周辺の観光も楽しむことができます。九重山には、ラムサール条約にも認定された湿地帯「坊ガツル」があり、登山者たちのキャンプ地としても人気を集めています。
大分県へのアクセス方法
九重山登山を始める前に、まずは、大分へのアクセス方法をご紹介します。本州方面から大分へアクセスする場合は、飛行機、または新幹線を利用する二つのアクセス方法が選べます。価格も安く、アクセスにかかる時間も短いのはLCCを利用して飛行機でアクセスする方法です。関東近県から大分までアクセスするなら、成田からジェットスターを利用するのがおすすめ。
アクセスにかかる料金は最安11900円で、大分までの所要時間は2時間ほどとなっています。新幹線をご利用の場合は、東京ー博多間を新幹線のぞみに乗車し、福岡県博多市にて、大分行きの特急ソニック号に乗り換えです。アクセスにかかる料金は23900円で、所要時間は6時間20分。旅費も抑えられて、アクセス時間の短いLCCがベストと言えるでしょう。
大分市内から九重山へのアクセス
続いて大分市内から九重山までのアクセスです。大分市内から九重山までのアクセスは、レンタカーまたはバスの2つのアクセス方法があります。レンタカーをご利用の場合は大分自動車道に乗り、九重インターチェンジにて四季彩ロードに入ります。その後、県道40号線を乗り継ぎ長者原を経由して、登山口のある牧ノ戸峠に到着です。
長者原ビジターセンターには380台、牧ノ戸峠の駐車場は160台収容可能です。観光シーズンとなるゴールデンウィークと秋の紅葉シーズンは非常に混み合います。バスでアクセスする場合は、大分県の由布院駅前バスセンターから、牧ノ戸峠行きの路線バスにご乗車下さい。最寄りバス停は「くじゅう登山口」または「牧ノ戸峠」となります。
九重山の登山コース1:日帰りコース
縦走登山が人気の九重山ですが、日帰り登山できるコースもあります。初心者や家族連れにもおすすめの日帰りコースは、全長約9kmのコースで、コースタイムは約2時間30分ほどです。コースルートは、牧ノ戸峠登山口を出発して、沓掛山を経由し、扇ヶ鼻分岐に出ます。そこから約30分ほど進むと久住分れに出ますので、ここから久住山山頂を目指します。
久住分かれから、1713メートル地点までのコースタイムは約15分で、そこから山頂までは約10分ほどでアクセスできます。家族連れや初心者の方にもおすすめのコースは、登山道も非常に歩きやすく、駐車場から約25分ほどでアクセスできる第一、第二展望台からは山々の絶景が見渡せます。途中岩場もありますが、全体的に山容は穏やかで登りやすいコースです。
春のミヤマキリシマのシーズンには、九重山の山肌をピンクに染める一面の花々を見ることができます。またコースの途中には、どこまでも透き通るブルーの湖「御池」(みいけ)の絶景も楽しめます。火山の山である九重山は、途中ゴロゴロとした火山岩が残っている登山道もあります。初心者でもできるだけ専用の登山靴を履いて登るようにしてください。
九重山の登山コース2:1泊2日コース
初心者や家族連れに人気の日帰りコースに続いて、本格的な縦走が楽しめる1泊2日コースをご紹介します。九重山で歩いてしか行くことのできない温泉も楽しめるこちらのコースは、全長12.9kmのロングコース。登山時間は、7時間半ほどで最低1泊2日の日程で登ります。コース1日目は、牧ノ峠を出発して久住山をめざし法華院温泉を経由します。
その後、黒岩山をアタックして牧ノ戸峠にピストンし、沓掛山を縦走。扇ヶ鼻分岐から久住分れを経て、中岳山頂を目指します。中岳登山を終えたら、同じルートで九重分かれに戻り、そこから法華院温泉まで戻って1日目の登山日程は終了です。
温泉で英気を養った後は、2日目のコースの始まりです。2日目は、法華院温泉を出て約1時間ほど歩き、雨ヶ池越に到着します。そこから、星生山の山頂を経由してくじゅう登山口に向かって下山します。このコースでは、ラムサール条約にも指定された坊ガツルで、様々な高山植物を見ることもできます。初心者でも楽しみながら登山できるコースです。
九重山の見どころ1:ミヤマキリシマ
ここからは、四季折々の自然が美しい九重山観光の見どころをご紹介していきます。トップバッターは、ピンク色の可憐な花びらが美しい「ミヤマキリシマ」。ミヤマキリシマは、その名の通り、九州南部宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山で多く見られる高山性のツヅジの一種で、九州各地の火山や高山地帯に生息している人気の花です。
例年5月下旬から6月中旬頃の観光シーズンに花を咲かせるミヤマキリシマは、殺風景な火山の山々を美しく彩る初夏の風物詩です。ミヤマキリシマは、火山活動によって生態系が撹乱された高山地帯でのみ生息できるという変わった植生を持っており、九重連山や霧島連山のように、今も火山活動が活発な地域に多く咲いています。
九重山の見どころ2:御池
続いてご紹介する九重山観光の見どころは「御池」(みいけ)。九重山の火山湖として知られる御池は、青く神秘的な水をたたえた美しい湖。お天気の良い日には、空と山々の絶景を映し出す火山湖は、インスタ映えする撮影スポットとしてSNS上でも大人気。穏やかで透き通った湖を眺めると、日頃の疲れも吹き飛びます。冬には凍結して湖自体が登山道になります。
美しい自然が織りなす九重山には、もう一つ火山湖があります。大船山の真下にある火山湖「御池」(おいけ)は、紅葉が美しいスポットとして観光客に人気を集めています。船山の標高は1786mで中岳、久住山に続く高さです。東西に長く伸びる九重連山の中で、大船山のある大船山系は西側に位置しており、久住山コースとは、別のコースになります。
九重山の見どころ3:坊ガツル
続いてご紹介する九重山の見どころは「坊ガツル」(ぼうがつる)。坊ガツルは、標高約1200mの高さに位置する九重山の盆地で、広大な湿原が広がっています。九重連山の主峰である「久住山」、及び「大船山」に周囲をぐるりと囲まれていて、阿蘇くじゅう国立公園に指定されています。名前の「坊」とは寺院の意味で法華院のことを表しています。
法華院は、徒歩でしかアクセスすることのできない温泉として知られる「法華院温泉」のことです。「ツル」は漢字で「水流」と書き、川のある平らな土地という意味を表しています。法華院近辺の湿地帯は、タデ原湿原とともに、国内最大級の湿原として知られており、「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」としてラムサール条約にも登録されています。
坊ガツルには、広大な敷地の中に、登山者のためのキャンプ地も設けられています。テント泊で九重連山を縦走する観光客が毎年多く訪れます。野鳥や野草の宝庫として知られており、環境を守るための取り組みが今も続けられています。高山植物を保護するための野焼きが例年行われ、見渡す限りの平原では、夜は満天の星空を眺めることもできます。
九重山で楽しむ大分温泉1:法華院温泉
九州屈指の温泉どころとして知られる大分県。九重山周辺も例外ではなく、先にご紹介した坊ガツルには、開湯約500年の歴史を誇る法華院温泉があります。徒歩でしかアクセスできないこの温泉は、1470年に養順法印が九重山法華院白水寺と呼ばれる修験道場を設立して以来この地にあります。泉質はカルシウムやマグネシウムを含むナトリウム硫酸塩泉です。
登山初心者や観光客も多く訪れる法華院温泉は、かつて多くの別院もあるお寺でした。明治時代に政府が行った廃仏毀釈や、竹田岡藩からの支援が途絶えたことにより、寺院は困窮。1882年には火事にも見舞われ、当時の建物はすべて灰になりました。火事で建物が消失して以降、九重山の登山客が増加したのに合わせて山小屋を開始し、今日まで続く温泉宿となりました。
九重山で楽しむ大分温泉2:下山後に行ける温泉
初心者は日帰りコースも楽しめる九重山登山。山に宿泊しない場合は、下山後に楽しめる温泉もあります。まず、九重山アクセスのポイントとなる牧ノ戸峠周辺で行ける温泉といえば「九重観光ホテル」。九重山の絶景が楽しめる人気の宿です。敷地内から湧出した源泉掛け流しのお湯が贅沢に楽しめる温泉は、山々を見渡せる露天風呂が最高です。
もう一つ下山後に行ける温泉としては、長者原にある「寒の地獄旅館」。開湯190年近い歴史を誇る老舗旅館は、毎分約2トン以上の温泉が湧きでる源泉掛け流しの湯です。家族風呂もありますので、カップルや小さなお子様連れでも楽しめる温泉です。また、水着着用の冷泉も併設されており、温冷浴も体験できます。登山で疲れた初心者ハイカーを癒してくれる宿です。
九重山登山におすすめの服装と装備
ここからは、大分県の名峰「九重山」の登山装備や服装についてご紹介致します。登山の服装については、真夏と真冬を除いて、長袖、長ズボン、そしてウィンドブレーカーのような羽織れるものを用意するのが基本です。真夏は、上半身は半袖、真冬は、防寒用のダウン、さらにヒートテックのようなかさばらなくて暖かい下着を身につけて登山して下さい。
日帰り登山の初心者の方でも、必ず登山靴を着用することをおすすめします。九重山は、火山ですので火山岩が落ちている場所や岩場など、多少足場の悪いところもあります。また、湿地帯である坊ガツルエリアは、場所によってはぬかるんでいることもありますので、登山靴には必ず防水スプレーを事前にかけ、靴を保護することも忘れないようにしましょう。
1泊2日コースで九重山を登山する場合は、シュラフ(寝袋)、断熱マット、テント、調理道具、食材、1日分の着替え(上半身の分と下着)が必要となります。初心者が縦走する場合は、必ず縦走経験者と一緒に登り、テントや調理器具などは、シェアさせてもらうようにすると良いでしょう。秋の九重山は日によってはかなり冷えます。防寒対策を忘れずに。
九重山登山におすすめのシーズン
これからは、夏山シーズンに入る九重山ですが、登山におすすめの季節はいつなのでしょうか?日帰りコースで登山するなら、秋の紅葉シーズン、または、初夏のミヤマキリシマのシーズンがおすすめです。この時期の九重山は、多くの観光客が訪れる行楽シーズン。テントを張れる場所の確保や、登山道を歩くスピードなども混雑に影響されやすくなります。
また、ゴールデンウィークや夏休みなど、長期休暇もかなり混み合いますので、1泊2日のコースで登山したい場合は、秋なら9月または11月、春夏は、3月、4月または8月下旬がおすすめです。冬山登山も可能な九重山ですが、雪が降りますので、冬山用のアイゼンが必要です。また、防寒対策として、グローブ、ネックウォーマー、ニット帽なども着用するようにして下さい。
九重山で見たいインスタ映えする絶景
初夏のミヤマキリシマ、秋の紅葉、そして冬の樹氷と凍った御池。季節毎に美しい自然を見せてくれる九重山。夏山シーズンに見たい絶景はと言えば、坊ガツルから見上げる満天の星空です。夏でも比較的標高が高く、周囲に明るい建物の無い九重連山は、星空観測に最適な場所です。夏の九重でお子さんと一緒に夏の大三角形や天の川を探してみませんか?
大分の九重山で山々の絶景を楽しもう!
大分の日本百名山「九重連山」をご紹介致しました。活発な火山活動が続く九重山ですが、噴火警戒レベル1で、今のところ大きな噴火の予想はされていないようです。噴気の影響で立ち入れない場所もありますが、概ね安全と考えてよさそうです。可憐な高山植物と、美しい星空、そして歴史ある温泉のある九重山で、夏山登山を満喫しましょう!
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