四国のカルスト台地「大野ヶ原」
山口、福岡に続く三大カルスト台地をもつ愛媛県大野ヶ原。ドライブにもおすすめ、ツーリングにも人気があり、キャンプをするのに絶好の場所として密かに穴場として人気があります。1000mを超える標高は涼しく避暑地にもなり、ここでしか食べられない牛乳を使った絶品スイーツもあるのです。
高知県と愛媛県にまたがる大野ヶ原
大野ヶ原は、四国カルスト西部の高原と愛媛県西予市の一部をさします。元々は浮島が原と呼ばれていました。現在の名称になったのが1500年代、久万大除城主の大野直昌が、当時四国に勢力をのばしつつあった長曾我部軍を破ったのがこの地域だったとされて、そこから大野ヶ原と呼ばれるようになったといわれています。
大野ヶ原の四国カルストは高知側には天狗高原があり、標高は1000mから1500mに達します。そのため冬場は豪雪地帯にもなり、大野ヶ原小学校では積雪量が3mになったこともあります。1964年には四国カルスト県立自然公園に指定され、行政区域は愛媛県西予市が管轄しています。
現在では大野ヶ原と言われると真っ先に四国カルストが浮かび上がるほど、四国では有名な観光スポットになっています。草原の中に石灰岩がぽつぽつと出てくる不思議な光景は、青空に挟まれていて、周りを遮るものがないため空の大きさを感じることができます。夏は涼しいため、キャンプもしやすく人気です。
大野ヶ原の貴重な自然
四国カルストの大野ヶ原にはブナの原生林やヒメユリ等、自然の草花を見ることができます。とくに黄色のハンカイソウは大野ヶ原では多く咲いていて、高さが70cmから150cmにもなるため遠くからでも黄色に輝く群生が良く見えます。「日本のスイス」と呼ばれるほど美しい自然が見えるため、観光スポットとして温かい時期には多くの人が来ます。
四国カルストの天狗高原は石灰岩が少ない東端に位置します。ここはシラカバやアカマツの原生林が多く、高原に建った東屋からは大パノラマを眺めることができます。標高1000m級の山々の尾根を見渡せる絶景ポイント。天気が良いときには太平洋まで見渡すことができます。
夏には見たい大野ヶ原の蛍
夏に欠かせない風物詩といえば蛍。近年河川の工事や自然破壊で蛍を見ることができなくなっていますが、大野ヶ原では蛍を見ることができます。県道36号線にある野村町惣川では蛍が飛び交う姿をみることができる、名所として有名でした。山の奥にあるため、6月下旬にも蛍の群れを見ることができました。
大野ヶ原には渓谷やきれいな川も多いため、絶好の蛍スポットとなっていました。しかし、野村町は2018年7月の豪雨で甚大な被害を受けてしまい、河川も反乱してしまいました。たくさんの人が被災してしまった場所もありますが、美しい景観が崩れてしまった場所も多くあります。
星空も絶景の大野ヶ原
四国カルストの絶景の一つは、青空ですが、青空がきれいに見えるということは星空もきれいに見えるということ。星空の美しい観光スポットには条件があり、周りに明かりがないこと、視界を遮るものがないこと、そして標高が高いことです。四国カルスト台地はまさにこの条件をクリアしています。
大野ヶ原はそのルートから分かる通り、周りに一切の光源がない場所です。四国カルストの中でも標高が高い天狗荘の周辺は特に絶景スポットと呼ばれていて、夏には多くの人が星を見るために訪れます。キャンプ場でシートを広げて寝転んでも良し、夜のドライブに行くのも良し。
高い標高だからこそ見れる美しい星空は、デートにもおすすめですが、星座をみるのにもおすすめ。夏休みの自由研究にも役立ちます。運が良ければ流れ星も見ることができちゃうかもしれません。普段は忙しくて見ることのない星空を、じっくり満喫することができる星見の観光地として、四国カルストは日本でも穴場の場所です。
キャンプ好きのあこがれの地「大野ヶ原」
愛媛でも人気のキャンプ地、それが大野ヶ原にある姫鶴平です。標高が高いため真っ青に澄み切った空を見ることができ、夏場は涼しく周りに民家がないためとても静か。バイクや車でもアクセスしやすく、中には自転車でやってくる人もいます。夏になるとずらりとテントが並んでいます。
大野ヶ原の標高ならではの開放感は他のキャンプ場ではなかなか体験できません。昼間は大野ヶ原のお土産や特産を販売する売店があり、水場も確保してあるので観光でもおすすめです。キャンプは少し敷居がたかいかなと思う方には、4月から11月にかけてコテージもあるので気軽に宿泊することができます。
コテージでは自炊が基本ですが、食堂が近くにあるため予約しておけばBBQを味わうこともできます。開放感あふれる自然の中で食べる食事はどれも絶品。別荘に来たような気分で大野ヶ原の大パノラマを眺めながら過ごすことができます。キャンプの道具をそろえるのが難しい人は、気軽にキャンプ気分を味わえます。
大野ヶ原の宿泊施設「姫鶴平」
宿泊施設の「姫鶴荘」もあり、観光スポットとしても気軽に楽しむことができます。部活の合宿や家族旅行にもおすすめです。研修用の会議スペースもあり、普段とは違う環境は作業もはかどります。愛媛県のアマゴを食べることもでき、お土産として購入することもできます。
しかし、大野ヶ原の大自然を満喫するためにはキャンプが一番おすすめ。大自然の中にテントを張ってベンチを置いて、昼も夜も絶景を見ることができます。標高の高い場所でのキャンプはなかなか大変ですが、大野ヶ原はアクセスがしやすく、涼しく過ごしやすいので夏や春のキャンプに大人気です。
アスリートにもおすすめ!四国カルスト
有名アスリートがトレーニングをするときによく使われるのは、標高2000m級の高地トレーニング。高地だからこその環境が強い肉体を作り上げます。四国カルストの標高は準高地と呼ばれ、一般人のトレーニングにもおすすめの場所なのです。標高1200mから1500mの25kmに及ぶルートには絶景だけでなく、足腰を鍛えるのに適した登坂もあります。
交通量も少ないためストレスも少なく運動に取り組めます。澄み切った空気や涼しい気温が、普段の環境からは得られない高揚感を生み出します。宿泊施設も充実しているので、運動が趣味な人や、今後マラソンなどの大会に挑む人の夏合宿にもおすすめです。大野ヶ原は高地トレーニングの穴場でもあります。
大野ヶ原には牛がいる?
大野ヶ原で景観の一つとして挙げられるのが、牛です。鶴姫平を始め、豊かな自然があり、澄み切った青空の下のびのびとした高原が広がっています。その中に、牛が放牧されています。その数約120頭。65ヘクタールの広い敷地の中をのんびりご飯を食べたりお昼寝をする牛がいます。
牛たちが放たれている場所は「姫鶴牧場」という場所で、春に畜産農家から牛を預かり、雪が積もる前に元の農家に帰って行きます。傾斜の高原で好きなだけ食べて、気ままに散歩を楽しむ牛たちはストレスもなくのびのび育っています。カルストの石灰は羊に例えられますが、大野ヶ原では生きている牛を見ることができる珍しいカルスト台地です。
大野ヶ原の人気スイーツ店「ミルク園」
観光地に欠かせないもの、それは見るべき自然とおいしいご当地グルメです。大野ヶ原はその豊かな自然で過ごす乳牛からとれた、おいしい牛乳スイーツを味わうことができます。遠方からドライブも兼ねて食べに来る人が多いその味は、四国の外でも有名です。中でもチーズケーキは四国を超えて人気のグルメです。
四国カルストにある「ミルク園」はすべて自家牧場で生産した牛乳を使っているスイーツ店です。そこで味わえるソフトクリームやプリン、チーズケーキは絶品。搾りたての牛乳が飲めるので多くの人にも人気があり、市販されている牛乳にはない甘さとコクを味わうことができます。
新鮮なおいしい牛乳を使った牛乳もちやソフトクリームはミルク園の大人気のメニュー。暑い夏でもさっぱり食べられるメニューや冷たいスイーツは絶品。絶景を眺めドライブをしながら食べるのもおすすめですし、ミルク園の中にある喫茶スペースで休憩しながら食べるのもおすすめです。
ミルク園で発売されているチーズケーキは、採れた牛乳を使って作られています。自家製のクリームチーズと牛乳をたっぷり使った甘くて柔らかいチーズケーキ。ふわふわとした食感が口の中で溶けて消えていきます。持ち帰りにも対応しているので、お土産にもおすすめです。
大野ヶ原で大人気の「もみの木」
四国の外からでも食べに行く価値があると言われているチーズケーキ、それが四国カルストにお店をかまえる「もみの木」のチーズケーキです。もみの木はスイーツメニューを扱う喫茶店で、食事メニューはありません。しかし、このチーズケーキがあまりに人気になり、営業時間内に売り切れてしまうことも多いです。
観光のついでにチーズケーキを食べる人もいますが、チーズケーキのついでに観光をするという人も多い絶品チーズケーキ。表面はベイクドチーズケーキなのに、中はレアチーズケーキ以上にとろける他では味わえないもみの木だけの特別なチーズケーキなのです。平日は予約を受け付けていますが、夏休み期間は予約ができません。
何故そんなにも数が少ないかというと、厳選された材料を使って完全手作りで作っているからなのです。丁寧に一つ一つ、もみの木オリジナルのレシピで作られるチーズケーキは、ここでしか作ることができず大量に生産することはできません。その分だけ、おいしいチーズケーキとなっているのです。
大野ヶ原に行く時の注意
大野ヶ原に行く時は高知県からでも愛知県からでもルートの確保がしやすいのですが、道が狭いためキャンピングカーやワゴン車等、車幅の広い車で行く時には注意が必要です。慣れない人には事故を起こしたり、ひやりとするようなことの多い場所も多いので注意が必要です。
大野ヶ原は四月から11月にかけてはルートの確保がしやすいのですが、冬は豪雪地帯となり車で行くことができないほど雪がつもります。また、季節や気候の条件がそろえば霧が発生し、見通しがとても悪くなります。行く前には天候や道路の状況も気にしながらのルート選びが重要です。
2018年の大野ヶ原
2018年7月の豪雨災害で西日本では歴史的な降雨量を記録した県が多く、四国はとくに豪雨にさらされました。大野ヶ原のある愛媛県でもあちこちで土砂崩れが起き、孤立する場所や死者が出ました。四国カルストの大野ヶ原は周りで土砂崩れが発生しましたが、現在では迂回ルートを利用することで行くことができます。
東日本大震災の時は旅行やレジャーなどは「不謹慎」として自粛ムードが漂いましたが、被災した多くの人からは「被災しなかった人はどんどん来てほしい」「遊びに来てほしい」という声があがっていました。現地の人にとって望まないことは、観光地が自粛によって廃れてしまうこと、という意見もありました。
ミルク園の公式ホームページからも、大野ヶ原へのルートが周知され、ヒメ蛍やハンカイソウ花のが咲いたことがツイッターで呟かれています。現地から歓迎する声があがっているのであれば、今こそ行って大野ヶ原でしか味わえないスイーツを堪能し、今しか見れない自然を満喫しに訪れてみてはいかがでしょうか。
大野ヶ原に限らず、安全なルートが確保できて、公式から無事だという情報が発信されているのなら、被災地を応援するために一番良いのは、そこに訪れて経済を回すことです。岡山や広島、多くの地が災害に見舞われたときだからこそ、観光に行ってみるのがおすすめです。西日本には見るべき自然や味わうべきグルメが多くあります。
大野ヶ原へのおすすめルート
大野ヶ原へのアクセスは県道383号線を使うルートがおすすめです。天空の道と呼ばれるほど真っ青な空がどこまでも広がっています。少し細い道ではありますが、カルスト台地の盛りや草原を張り抜けるため最高のドライブを楽しむことができます。しかし、細い道が苦手な人にはすれ違う時にひやっとする道でもあります。
国道197号線は道も広く、愛媛県宇和島市と高知県須崎市を結ぶため両県からアクセスしやすく、走りやすいルートです。どちらも高速道路のインターがあり利用しやすくなっています。しかし豪雨災害で崩れた場所があるため、通行止めになっているルートもあり、利用には注意が必要です。
大野ヶ原で自然を満喫しよう!
深刻な豪雨被害にさらされた愛媛県。大野ヶ原の四国カルストは比較的被害が少なくすんでいますが、その付近では断水に悩まされたり物資が届かない場所もあります。しかし無事な観光地からは引き続き、美しい大野ヶ原の光景や情報が公開されています。まだ行ったことのない人は、ぜひとも現地を応援するためにも観光に訪れてみてください。
RELATED
関連記事
RELATED
- 愛媛八幡浜市の観光おすすめスポット!人気の道の駅や温泉もあり
愛媛県八幡浜市は佐田岬の根本に位置する漁業の町です。八幡浜市といえば平家の落人のまつわる話や、古くから伝わる龍神伝説などが...
patandjessthecat
- 宇和島市の観光おすすめスポット11選!お土産やグルメの人気も調査!
愛媛県宇和島市のおすすめ観光スポットについてご紹介します。宇和島市には子供連れの方にもおすすめしたい人気の観光スポットがた...
kazuki.svsvsv
- 宇和島城へ観光!駐車場やアクセスまとめ!歴史や見どころを調査!
愛媛県宇和島観光といえば、白亜に輝く美しい天守閣でおなじみの宇和島城でおなじみです。そこで今回は、宇和島城のアクセス方法や...
tatsukimagcap
- 佐田岬半島を観光しよう!風車が見える絶景スポットなど見どころが満載!
四国の最西端に位置している観光スポット「佐田岬半島」。美しい大自然の絶景を楽しめる観光スポットになり、愛媛県の観光名所とし...
mdn
- 宇和島のランチ人気店まとめ!おすすめの鯛めしやおしゃれなカフェなど紹介!
さまざまな飲食店が勢ぞろいしている宇和島は、愛媛を代表する人気グルメスポット。今回はそんな宇和島でおすすめのランチをたっぷ...
erierieri1
- 松野町のおすすめ観光スポットは?自然あふれる「森の国」の人気の場所を紹介!
四国は愛媛県の松野町には、おすすめの観光スポットが集まっています。緑深い山々と清流に囲まれた自然が美しい「森の国」といわれ...
anan17
- 宇和島の鯛めし店Top11!地元の方に人気のおすすめ店を紹介!
愛媛県宇和島の名物グルメといえば「鯛めし」。今や地元の方のみならず全国から食べに来る人がいる人気グルメです。炊き込みご飯と...
K2449和田美喜代