静岡・掛川城を観光しよう
静岡県掛川市にある掛川城は、室町時代に駿府の守護大名今川氏が遠江(とうとうみ)進出を計り、臣下の朝比奈氏に命じて築城させた城です。その後、1590年には山内一豊が城主となり大規模な城郭の修復行い、天守閣や大手門を新たに設けました。ここではそんな掛川城について、アクセスや見どころ、観光、歴史、入場料などを交え紹介します。
静岡・掛川城へのアクセス
掛川城へ電車でアクセスする場合は、JR東海道本線または東海道新幹線の掛川駅から北へ徒歩7分ほど行けば目的地にアクセスできます。まず、掛川駅で降車後、掛川駅北口に出ます。新幹線の場合は地下道を通って反対側に出ます。北口ロータリーのところに二宮金次郎像がありますので、そのまま横断歩道を渡り真っ直ぐ進みます。
途中いくつか信号がありますが、真っ直ぐ突っ切って進めばやがて掛川城の太鼓櫓が見えてきますので、その橋を渡れば掛川城です。車でアクセスする場合は、東名高速道路掛川インターから北へ約5分ほど行けば目的地にアクセスできます。掛川城には駐車場がないため、近隣の駐車場に停める必要があります。
静岡・掛川城の駐車場
掛川城近隣の駐車場の一つ、掛川城公園駐車場は、掛川城の北側にあるステンドグラス美術館西側にあるため、掛川城へのアクセスは大変便利です。この駐車場は24時間営業で58台の車が駐車可能です。料金は5時間まで、30分ごとに100円となっており、5時間を超えると24時間まで1000円となります。
掛川城近隣のもう一つの駐車場は掛川大手門駐車場で、掛川城の南東に位置し、天守閣から駐車場までは、徒歩約3分と簡単にアクセスできます。この駐車場には201台の車が停められる他、バスも6台駐車でき、年中無休で24時間営業となっています。料金システムは掛川城公園駐車場と同様、5時間まで30分ごとに100円で、5時間を超えると24時間まで1000円となります。
静岡・掛川城の入城料金と営業時間
現在、掛川城公園の中にある掛川城は、12月30日から1月1日の休業日以外は年中無休で営業しています。営業時間は観光シーズンの2月1日から10月31日までが9時から17時、11月1日から1月31日までは9時から16時30分となっています。入城料金は高校生以上の大人の入場料が410円、小中学生の入場料が150円で、身障者とその介護者1人分の入場料は無料です。
静岡・掛川城の歴史
室町時代中期に、駿河の今川氏が遠江進出を計り、家臣である朝比奈氏に築城を命じたのがこの掛川城です。その後、今川氏と武田・徳川両軍が戦い、今川氏は窮地に追い込まれます。朝比奈氏が籠るこの城は最後まで粘りを見せ、結局和議により開城しました。その後、徳川家がこの城を領有しますが、家康が東海から関東に移封されると掛川城には秀吉の重心山内一豊が入城します。
戦国時代の1590年には、山内一豊が城主として10年ほど在城しました。彼は城郭の大規模な修築を行うと同時に、天守閣や大手門を新に建設しました。また、城下町を整備し、大井川の治水工事などにも尽力し、そのことが彼の存在を高めるきっかけとなりました。この城は「東海の名城」と呼ばれ、町民からも親しまれてきた歴史ある静岡の名城の一つです。
その後山内一豊は、1600年に起こった関ヶ原の戦いで戦功を立て、四国に移り住んだ際に築城した高知城も、この掛川城を模して造ったと言われています。山内一豊が四国に移った江戸期には、掛川城は松平氏や太田道灌などの居城として栄え、幕末を迎えるに至りました。掛川城は歴史と由緒のある静岡の名城として今日にその名を残しています。
明治維新以降には、廃城令により歴史ある掛川城も廃城となり、残った建物の大部分が1854年の東海地震によって倒壊しましたが、1861年には二ノ丸御殿が再建され、塀や堀、土塁、石塁なども復元されました。また、1994年には天守閣が、日本初の本格木造天守閣として復元され、現在では、お城を取り巻く一帯は掛川城公園となっています。
静岡・掛川城の見どころ
歴史あふれる掛川城は100名城にも選ばれている美しい城で、見どころも満載です。春には満開の桜と上品な城のコントラストの妙を見ることができます。また夜になると、ライトアップされた幻想的な城の姿を私たちに見せてくれます。山内一豊によって造られた天守には山内家伝来の歴史ある軍配や鎧などが展示されている他、石落としなど、外敵から守るための工夫が凝らされています。
掛川城の一帯は、現在掛川城公園となっています。公園内の城内には、国の重要文化財に指定されている二ノ丸御殿や天守の他、太鼓櫓や四足門、三日月堀など、歴史と見どころに溢れています。また、二の丸美術館や掛川茶が楽しめる二の丸茶室など見どころの多い施設も併設されており、心行くまで静岡の歴史深い名城の観光を楽しめます。
静岡・掛川城の天守
掛川城の観光名所の一つ、天守閣は山内一豊によって初めて造られました。その後、安政東海地震によって倒壊しましたが、1994年に、日本初の本格木造天守閣として復元されています。3層4階の入母屋造(いりもやづくり)となっており、2重目の左右両端が反り返った曲線状の唐破風(からはふ)出窓や上部が尖頭アーチ状の花頭窓などが絵図などの調査に基づいて再現されています。
歴史ある名城、掛川城天守閣の壁は白漆喰で塗り固められています。復元にあたっては、一豊が掛川城の天守を模して造ったとされる高知城が参考にされています。天守に行くには、まず天守曲輪に入るための冠木門をくぐって階段を上がります。天守丸は一豊入城以前は本丸として使われていたようですが、城域が拡張された後は、天守閣を配する独立曲輪となりました。
外観3層、内部4層の歴史ある天守閣は、東西に張り出し部が造られ、入口に付櫓(つけやぐら)を付け、外観を大きく見せる工夫が施されています。鮮やかな白壁を持ち、コンパクトですが上品な美しさを見せる天守ですが、階段が急なため、子供や年配者が観光するには厳しいかもしれません。天守からの見晴らしは素晴らしく、見どころの多い観光スポットとなっています。
天守閣の屋根には長さ95センチ、高さ120センチの2頭の鯱(しゃち)が配されています。鯱は火除けのまじないとされ、寺院などの大棟(おおむね)の両端に取り付けられていた鴟尾(しび)から変化したもののようです。掛川城の見どころの多い天守閣では、高知城天守閣の鯱を参考にして青銅で造られています。
静岡・掛川城の二ノ丸御殿
観光名所の一つ、二ノ丸御殿は、1861年に太田資功によって再建された全国でも数少ない現存の城郭御殿で、国の重要文化財に指定されています。見どころ満載の二ノ丸御殿は、藩の公的な式典の場であり、藩政の中心となる諸役所と、城主の公邸が繋がっている建物です。この御殿は、明治に至るまで掛川藩の政務所として使用されていました。
二ノ丸御殿の建築様式は書院造で、畳を敷き詰めた部屋が多く、各部屋はふすまによって仕切られています。1861年に再建された見どころの多い御殿ですが、現存の城郭内御殿としては京都二条城と並び、全国でも数少ない建物となっています。建物内部には武具や刀剣なども展示されており、部屋や庭には自由に入ることができます。三ノ丸にあった太鼓櫓も移築されています。
静岡・掛川城の太鼓櫓
見どころに溢れる太鼓櫓(たいこやぐら)は、城下に時を知らせるための大太鼓を収納していた建物で、1955年に三ノ丸から、荒和布(あらめ)櫓と呼ばれる見張り番の櫓があった二ノ丸の前に移築されました。当時使用されていた大太鼓は、現在は、市の文化財の指定を受け、二ノ丸御殿広間に展示されています。観光で太鼓櫓を見学できるのは外観のみです。
静岡・掛川城の大手門
掛川城の大手門は間口12.7メートル、奥行き5.4メートルの2階建て、桜門造の櫓門(やぐらもん)で、木造日本瓦葺入母屋造の建物です。観光スポットの一つである大手門は、白壁に板庇(いたびさし)が配され、棟の上にシャチ瓦が飾られた、掛川城の表玄関に相応しい勇壮たる門構えを見せています。昔は現在の場所より50メートルほど南側にあったそうです。
江戸末期に建てられたこの大手門は、場内に出入りする者を監視する役人の詰め所でした。この大手門は、掛川宿と掛川城との連絡ができる唯一の番所で、城内に出入りする人は皆この場所で調べられました。現在残されている建物は、1854年の大地震で倒壊した後、1859年に再建されたものです。番所が現存するのは日本でも珍しく、市の文化財に指定されています。
静岡・掛川城の三日月堀と十露盤堀
本丸門の前面に造られた三日月堀は深さが8メートルほどありました。調査により、堀の南側から石垣が発見され、その下から柱穴(ちゅうけつ)が見つかりました。この観光スポットの一つ、三日月堀は、武田氏の築城技術の特徴と言われる堀の形が使われており、城の出入口の守りを固めるために土塁や石垣を積んだ丸馬出しの外側を防御するため、三日月状の形が採用されました。
三日月堀の反対側には十露盤堀(そろばんぼり)があります。十露盤堀は、本丸を囲む重要な堀で、その由来は定かではありませんが、水のたまった部分がそろばんの箱のように見えたことから名付けられたのではないかと考えられています。堀にもいろいろな工法があるようです。
静岡・掛川城の四足門と本丸跡
掛川城の四足門は、徳川幕府が諸藩に銘じて作成させた正保城絵図を元に復元されたもので、門の内側には入場者を調べる番所があり、本丸に通じる重要な門の機能を持っていました。本丸は城の主要部で、藩主の住まいである本丸御殿のあった場所ですが、本丸跡は現在、植物に囲まれた広場になっています。この場所からは柱穴や礎石が発見されています。
静岡・掛川城の霧吹井戸伝説
掛川城の天守台の脇には、日本の城の中でも3番目の深さと言われる45メートルの霧吹井戸があります。徳川、武田両軍に攻められた今川氏真は、重臣、朝比奈氏の掛川城に逃げ込みますが、家康が攻撃を仕掛けた時、この井戸から立ち込めた霧が城を覆い、徳川軍の攻撃ができなくなったと言われています。それ以来、この城は雲霧城と呼ばれるようになったそうです。
静岡・掛川城の二の丸茶室
掛川城公園内の二の丸茶室は、木造平屋建、一文字葺の伝統的な数寄屋造りの建物を持つ落ち着いた趣きの茶室です。国内でも人気の高い掛川茶の煎茶や抹茶を、地元産のお菓子とともに堪能することができます。また、七夕茶会やお月見茶会など、季節に応じたイベントも用意されており、茶室や庭園、茶道具の貸し出しも行われています。
二の丸茶室のオープン時間は9時30分から17時までで、年中無休ですが、催事等で一般営業ができない場合がありますので注意が必要です。お茶はお菓子付きで、大人が510円、中学生以下が250円となっており、20名以上の団体は、一般が410円、中学生以下は200円となります。
静岡・掛川城の二の丸美術館
二の丸美術館は掛川城公園内にありますのでアクセス方法は掛川城へのアクセスと同じです。この美術館では、江戸期から明治期にかけてのたばこ道具や刀装具などの細密工芸品と、近代日本画のコレクションが中心に展示されており、この他にも様々な美術品や工芸品が展示されています。年に数回、企画展が開催されています。
オープン時間は9時から17時で、入場料は一般が200円、中学生以下の入場料は無料となっています。また20名以上の場合は、団体割引により一般の入場料が160円となります。障害者及び介助者1名までは入場料無料で入館できます。掛川城の入場券とのお得なセット券もありますので、利用してみるのもよいのではないでしょうか。
静岡・掛川城付近のステンドグラス美術館
ステンドグラス美術館は二の丸美術館の向かい側にあります。美術館の館内には、19世紀のイギリス・ヴィクトリア朝時代に製作されたステンドグラス70点とフランスのバラ窓10点で構成された作品群が並んでいます。いずれもイギリスを代表するステンドグラス工房の最盛期に作製されたもので、技術的にも大変優れた作品ばかりです。
本来、教会の窓装飾として使用されていたステンドグラスが、このステンドグラス美術館では実物の作品を間近に視線の高さで鑑賞するという、普段なかなか味わうことのできない経験ができます。この美術館にはミュージアムショップもあります。開館時間は9時から17時で、入場料金は一般の入場料が500円、中学生以下の入場料は無料となっています。
静岡・掛川城付近の土産店
掛川城大手門の脇には、こだわりっぱという土産店があります。この土産店では、地元の掛川さんのお茶や名産品はじめ、静岡県のお土産品が数多く並んでいます。また、城下町にちなんだ和の雑貨、掛川伝統土産品の葛布などもあります。軽食販売コーナーでは、隠し味に黒蜜を使用したオリジナルの抹茶ソフトクリームや抹茶の風味か香るたい焼きも人気商品の一つです。
こだわりっぱの2階に上がると和洋2件のレストランがあります。一軒は地元の新鮮な食材を使った和食料理の店「こだわりっぱお食事処」で、も一軒は、掛川市の姉妹都市、イタリアマルケ州ペーザロの食材を使ったイタリアンレストラン「ペーザロ」です。掛川城を見ながらゆっくりランチを楽しむのも悪くはありません。
静岡・掛川城へ出かけよう
掛川城は静岡県掛川市にある名城で、今川家の重臣、朝比奈氏によって建てられました。その後、紆余曲折を経た後、山内一豊が城主となり、新たに天守や大手門を増築しました。幕末には東海地震により建物の大部分が倒壊し、再建されています。ここではそんな掛川城について、アクセスや歴史、観光、見どころ、入場料などを含め説明してみました。
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