アイスランドとはどんな国?
アイスランドという国をご存じでしょうか。アイスランドという名前から見て、氷の国というイメージがあるという方が多いかもしれません。ではこのアイスランドの国旗はどういうものかというと、これまたあまり印象がないかもしれません。アイスランドの国旗の意味や由来、似ている国旗などからその歴史を紹介します。
アイスランドの国の首都や人口
アイスランドはグリーンランドの南東方、フェロー諸島の北西にある島国です。アイスランド島とその周辺にある島々を領土としています。高緯度にあることから、メルカトル図法で書かれた地図ではとても大きく見えますが、実際には日本の北海道と四国を合わせたくらいの面積です。
首都はレイキャビクでここがアイスランド最大の都市でもあります。人口は2018年の統計によると約35.5万人で、国が小さいこともありますが、人口密度も1平方キロメートルあたり3人ととても少ないです。
アイスランドは雄大な自然景観が楽しめる国
アイスランドは今から約1600万年前に、火山の噴火活動によって誕生した島です。そのため活発な火山活動によってつくられた雄大な自然と、その恵みが多くの魅力的な観光地を作り出しています。また高緯度であることから日本では見られないオーロラを観察することもできるなど、人気が高い観光スポットとなっています。
一方で気候の点では、北極圏のすぐそばにもかかわらず、意外にも冬はさほど寒くありません。実は有名なケッペンの気候区分では西岸海洋性気候に分類されています。それはメキシコ湾から流れてくる暖流、北大西洋海流の影響を強く受けるためです。
ですからアイスランドの気候は夏は涼しく、冬は緯度のわりには暖かいという気候であり、オーロラが見られるところでは最も暖かいとされます。ただし北部はさすがにツンドラ気候になり、寒さがぐっと増します。
アイスランドの歴史
アイスランドの国旗について知る前に、まずはアイスランドの歴史についておさらいしておきましょう。国の歴史はその国の国旗の意味や由来に大きな意味を持つことが多くあります。アイスランドという国名はどんな歴史から生まれたのでしょうか。そして今のアイスランドはどのようにして成立したのでしょうか。
アイスランドの『国名の由来』
最初に少し触れたように、「アイスランド」という国名は「氷の島」という意味です。これはアイスランドが一年中氷に覆われているという意味ではありません。アイスランドに最初に航行したとされるノース人が沿海に流氷が浮かんでいる様子を見てこう名づけたと言われています。
先ほど述べたように、アイスランドは火山活動で今から約1600万年前に誕生した島です。人類が入植する以前はホッキョクギツネしか陸生哺乳類がいない島だったと言われています。しかし9世紀末から10世紀ごろ、ノルウェー人などがこの地に定住し始めました。
アイスランドは『1944年に完全独立』
これら入植した人々は、この地に民主的な合議による国づくりを目ざします。930年には世界最古の民主議会「アルシング」が発足しました。しかし13世紀以降はノルウェー、デンマークの支配下におかれます。
19世紀に入ると国民は独立運動を展開し、1874年、自治法が制定され、1918年、デンマークの国王主権下の立憲君主国である「アイスランド王国」としての独立に成功します。第二次世界大戦ではデンマークがドイツに占領されますが、それを機に1944年6月に共和国として完全な独立を果たし、現在に至っています。
アイスランドの国旗はどんな色・形の特徴?
それでは次にアイスランドの国旗について紹介しましょう。先ほども紹介したように、アイスランドの国旗ととっさに言われても、すっと思い浮かばないという方が多いのではないでしょうか。それは似ている国旗があることもあるでしょう。まずは国旗の色と形から見ていきます。
アイスランドの国旗は『赤・青・白の三色』
アイスランドの国旗は青地に白でふちどられた赤い十字が入るデザインです。十字のクロス部分が左に寄っている「スカンディナヴィア十字」という十字になっているのが特徴的です。この国旗が制定されたのは1944年、共和国として独立した時です。
もともとデンマークの支配下にあった時から青地に白いスカンディナヴィア十字がデザインされた旗が非公式に使われていたのですが、アイスランド王国となる3年ほど前にそこに赤いラインが加わりました。そして共和国樹立に伴い正式な国旗となったのです。
アイスランドの国旗は『色の意味』
では、アイスランドの国旗の赤、白、青という色には、どのような意味があるのでしょうか。今述べたように、もともとアイスランドで使われていた旗は青に白いスカンディナヴィア十字が入っていました。この青という色は古くからアイスランドの国民色と考えられています。
そしてそれに後から加えられた赤という色は、デンマークの国旗の「赤」です。アイスランド王国の時は歴史で触れたようにデンマークの国王主権下にあったためです。
ちなみに、アイスランド王国時代から共和国として独立するまでの間に使われた国旗は、デザインは同じですが、青の色が少し薄い色になっているという違いが見られます。
アイスランドの国旗の意味・由来
それでは、アイスランドの国旗の意味や由来について紹介します。アイスランドという国の歴史を見ていくと、特にデンマークとの関係が深く、そのことが現在のアイスランドの国旗の意味や由来、デザインに大きく関係していることがわかります。そのことも含めて見ていきましょう。
アイスランドの国旗の意味とは?
アイスランドの国旗に使われる赤、青、白という三色がどのようにして採用されてきたのかということについては前で述べました。現在の国旗でのそれぞれの色の持つ意味としては、次のようなものがあげられます。
まず、「青」ですが、これは先ほども述べたように古くからアイスランドの国民色と言われています。またアイスランドを取り囲む海を表わすとされます。そして先ほどは触れなかった「白」は雪、氷河を表わすとされます。こちらもアイスランドの自然に由来しています。
そして先ほど、デンマークの国旗の「赤」から採用になった赤ですが、これは火山、祖国愛をあらわすものとされています。後で触れますが、アイスランドは火山活動によりできた島であり、今も火山活動が活発です。
アイスランドの国旗の由来とは?
先ほど、国旗の意味のところで青地に白いスカンディナヴィア十字が入ったものを「非公式に使われて」いたと述べましたが、ではこの時の「公式」の旗はなんだったのでしょうか。それはもう推測がつくでしょうが、「デンマーク国旗」です。
後で似ている国旗として触れますが、デンマークの国旗は赤地に白いスカンディナヴィア十字が入ったものです。それをアイスランド伝統色である青に変えたものが、最初に作られたアイスランドの国旗ということになります。
アイスランドの国旗にまつわるエピソード
では、アイスランドの国旗にまつわる雑学を少し紹介しましょう。ヨーロッパに行く機会がある方の中には、この国旗に似ているデザインの国旗が記憶にあるという方もいるかもしれません。色やデザインなど、似ている国旗はどこの国のものなのでしょうか。いくつか紹介していきましょう。
アイスランドの国旗に『似ているデザインの国』
アイスランドの国旗に似ている国旗というと、まず第一に挙げられるのがノルウェーではないでしょうか。実はノルウェーの国旗は、デザインはまったく一緒で、赤と青の部分が逆になっているだけなのです。
実はノルウェーもまた、1814年に同君連合を組んでいたデンマークから一時独立するまではデンマークの国旗を使っていました。今使われているものは1821年にノルウェー議会の議員だった方によって作られたものだそうです。
アイスランドの国旗の『スカンディナヴィア十字の意味』
ところで、色は似ているわけではないものの、デザイン的に似ている国旗は他にもあります。スウェーデン、フィンランド、そして今紹介したノルウェーにデンマーク、そしてアイスランドはすべて左よりの十字がデザインされています。
これらの国は広い意味でスカンディナヴィアと呼ばれる地域で、これらの国の国旗に特徴的なデザインとして「スカンディナヴィア十字」と呼ばれます。実はフィンランド領のオーランド諸島やデンマーク王国構成国のフェロー諸島などもこのデザインの旗です。
ではこのデザインの国旗の「もと」となっているのはどこの国旗なのでしょうか。それはデンマークの国旗です。デンマークの国旗は「ダンネブロ」と呼ばれ、伝説によると1219年に空から降ってきた、ローマ帝国から授かったなどと言われ、世界最古の国旗の一つに数えられています。
先ほど述べたように、アイスランドはデンマークの国王主権下にあったことがあり、ノルウェーはデンマークと同君連合を組んだ歴史を持ちます。このようにデンマークの影響力が強かったことからそれに由来して同じデザインが用いられているのです。
ちなみにこの十字の部分が左、つまり旗竿側によっているのは、海軍などで燕尾型にしたときにクロスした部分が中央に見えるようにするためだそうです。
アイスランドの訪れたい【世界文化遺産】
アイスランドの国旗と歴史を知ったところで、次にアイスランドでぜひ観光してみたいスポットをいくつか紹介しましょう。ここまで述べてきたようにアイスランドは活発な火山活動と、氷の島と言う名前に象徴される「氷と火」が織りなす自然が観光客を迎えてくれます。そのような場所を紹介します。
ミーヴァトン湖
アイスランド北部にあるミーヴァトン湖は2300年前に起きた溶岩の噴火によって形成された湖です。ミーヴァトン湖という名前はアイスランド語で「蚊の湖」という意味で、これはこの湖に夏になると巨大なユスリカの蚊柱が現れることに由来します。
しかしこのユスリカを狙い、多くの野鳥なども訪れますし、栄養分に富んだ湖のため巨大なマリモの群生地としても知られるなど、豊かな自然が多くみられます。
また、ミーヴァトン湖の周辺には水蒸気爆発によってできた偽クレーター(偽火口)と呼ばれるものが多くあります。繰り返し発生した水蒸気爆発は複数のクレーターが積み重なったような景観を作り出しました。クレーターに似ているこの景観を見ると地球の歴史を感じさせます。
スカフタフェットル自然保護区
アイスランド南東部にあるスタフタフェットル自然保護区は1967年に国立公園に指定されました。公園の中にはヨーロッパ最大の氷河であるヴァトナヨークトル氷河、アイスランドの最高峰であるクヴァンナダルスフニュークル山などがあります。
さらにスヴァルティフォスという滝やバトナヨークトルの氷の洞窟も絶景として紹介されることが多く、多くの観光客が訪れます。特に氷の洞窟に関しては冬の時期しか行くことができないので気をつけましょう。このように火山と氷河というアイスランドの自然を一度に見られるのがこのスタフタフェットル自然保護区なのです。
アウスビルギ渓谷
アウスビルギ渓谷はアイスランドの中でも一番北に位置しており、馬蹄の形に似ている渓谷です。実はアイスランドはもともとが火山であることもあって、森林資源はあまり豊かではなく、森林面積はわずか0.3パーセントにすぎません。
その中にあって、アウスビルギ渓谷はモミやカラマツなどの緑豊かな森におおわれています。氷河期に起こった川の氾濫によってつくられた渓谷なのですが、地元の人々には北欧神の馬の蹄のうちの1つが触れて渓谷ができたという伝説があります。またフルドフォルクという座敷童のような生き物がこの崖に隠れ住んでいるという伝説もあります。
ブルーラグーン
温泉好きな日本人にとって、アイスランドでも温泉を楽しめると人気なのが「ブルーラグーン」です。1970年代後半に地熱発電の副産物として作られ、1987年から一般に公開されるようになりました。露天の温泉としては世界最大の規模を誇ります。
美しい青乳白色をしており、皮膚病に効果があるという点で、美肌を願う方に特に人気です。アイスランドの首都レイキャビクから40キロほどのところにあり、空港からも近いということで、アクセスも便利です。ただし水着着用が必須なので、忘れないようにしましょう。
アイスランドに行く方法
最後に日本からアイスランドに行く方法を紹介します。実は日本からアイスランドの首都レイキャビクまでの直行便はありません。成田、羽田、関西などの空港からオランダ・アムステルダム、イギリス・ロンドン、デンマーク・コペンハーゲンなどに行き、そこからレイキャビクに飛ぶ形になります。
所要時間はロンドンなどまでが約11時間から12時間、それらからレイキャビクまでが約3時間といったところです。アイスランドはさまざまなツアーなどもありますので、行きたいところと合わせてツアーなども検討するのもおすすめです。
観光がさらに楽しくなる!アイスランド国旗の意味や由来・歴史を知ろう
アイスランドは雄大な自然が楽しめることもあり、人気の観光地です。アイスランドの国旗は同じ北欧の国々と共通するデザインを持っていますが、それはアイスランドが現在まで経て来た歴史と密接に関係しています。アイスランドの自然の力を存分に楽しみに行ってみませんか。
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