デンマークとはどんな国?
デンマークという国をご存知でしょうか。ドイツの隣、ユラン半島を中心に443もの島で成り立つ立憲君主制の島国ですが、有名なアンデルセンの故郷として知られています。このデンマークの国旗は、周辺の国々の国旗にも影響を与えた国旗として知られているのです。デンマークの国旗の歴史や意味、特徴などを紹介します。
デンマークは北ヨーロッパの国
一般的にデンマークは、北ヨーロッパの国の一つに数えられています。特に近世まではデンマーク、ノルウェー、スウェーデンが北欧諸国とされていました。現在はこの3ヶ国に加え、フィンランド、アイスランドの5ヶ国、グリーンランド、フェロー諸島、オーランド諸島の3地域が北欧理事会を構成しています。
アイスランドは旧デンマーク領であり、フィンランドは旧スウェーデン領です。また、ソ連が崩壊した後にはソ連から独立したバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)も含んで「北ヨーロッパ」ということも多いようです。
なお、先ほどの3地域のうち、グリーンランドとフェロー諸島はデンマークと共にデンマーク王国を形成していますが、自治権を持っています(オーランド諸国はフィンランド領)。
デンマークの国名の由来
デンマークという国名は、「ダンメルク」(Danmörk)という言葉に由来します。この言葉は古ノルド語という言葉で「デーン人の土地」を意味します。
古ノルド語というのは異説もありますが、8世紀にノルド祖語から発展してうまれた言語で、ヴァイキング時代以後、徐々に現在の北ゲルマン語に含まれるデンマーク語などに分かれてきました。またデーン人というのは現在のデンマーク人の祖先にあたる人々です。
デンマークの国旗はどんな色・形の特徴?
それではさっそく、デンマークの国旗について紹介していきましょう。とはいうものの、デンマークの国旗がどういうものであるか、とっさに思い浮かばないという方も少なくないかもしれません。実はデンマークの国旗は非常に古く、周辺の多くの国と似ている部分もあるという国旗なのです。
デンマークの国旗は『ダンネブロと呼ばれている』
まず、デンマークの国旗はどのようなものかというと、赤地に白の十字が入っているものです。世界にはたくさんの国旗がありますが、デンマークの国旗はオーストリア、スコットランドの国旗と並び、世界最古の国旗と言われている、古い歴史を持つものなのです。
デンマークの国旗は「ダンネブロ 」(Dannebrog)と呼ばれます。これは古語で「赤い布」という意味です。国旗の歴史については後で詳しく触れますが、この旗が天から舞い降りてきて戦況が一変し、大勝利をおさめたという話が残る国旗でもあります。
デンマークの国旗は『スカンディナヴィア十字』
デンマークの国旗で特徴的なのは、その白い十字のラインです。十字なのですが、クロスする部分が左によっている、特徴的な形をしているのです。
この特徴的な十字は「スカンディナヴィア十字」と呼ばれます。なぜ「スカンディナヴィア」なのかというといわゆる北欧諸国の国旗でこの十字を使っているところが多いので、この名前で呼ばれています。これらの国々の国旗が似ているのはこの点にあります。このあたりも後で詳しく述べます。
デンマークの国旗の意味・由来
それでは次に、デンマークの国旗の意味や由来について紹介していきます。先ほどデンマークの国旗の特徴のところで紹介したように、デンマークの国旗にはある伝説があります。また、国旗に使われている色やデザインにもそれぞれ意味があるようです。そのあたりを紹介しましょう。
デンマークの国旗の意味とは?
先ほども触れたように、デンマークの国旗は古語で「赤い布」を意味する「ダンネブロ 」と呼ばれています。また、赤は「祖国愛」を、白の十字は「キリスト教への信仰」を意味するとされています。
デンマークを含む北欧諸国はキリスト教の中でもプロテスタント系ルーテル教会の割合が非常に高いと言われています。後で改めて触れますが、このスカンディナヴィア十字を国旗に使う、似ている国旗を持つ国々はやはりこの宗教の割合が多いようです。
デンマークの国旗の由来とは?
このデンマークの国旗には次のような由来があります。1219年、ヴァルデマー2世はリュンダニの戦いに臨み、苦戦していました。その時空から赤地に白い十字が書かれた旗が舞い降りてきたのです。この旗を掲げれば勝利するという神のお告げの通りにしたところ、形成逆転し、勝利をおさめたのだそうです。
このリュンダニの戦いで実際にヴァルデマー2世はエストニアの征服を果たし、バルト海南部における覇権を握るに至ります。しかしこの旗が舞い降りたということに関しては、ローマ帝国皇帝から旗を授かったとする説もあります。
また、デンマーク国旗が使われたのはこの時からだとはされていますが、実際にこのデザインのデンマーク国旗が確認されるのは14世紀半ば、ヴァルデマー4世の時代になると言われています。
デンマークの国旗の歴史
では、デンマークの国旗にはどのような歴史があるのでしょうか。デンマークに限らず各国の国旗には、ぞれぞれの国の歴史が反映しています。先ほども触れたようにデンマークの国旗そのものは古い歴史を持つ国旗ではありますが、どのような歴史があるのでしょうか。簡単に見て行きましょう。
デンマークの国旗の始まり
先ほども触れたように、デンマークという国はゲルマン民族の大移動の際にノルマン人の一派であるデーン人が住み着いたことに始まります。もちろんデンマークの土地には有史以前から人が住んでいたのですが、デンマークの国の始まりはここと言ってよいでしょう。
ヴァイキングが盛んだった8世紀から11世紀、この人々は貿易や侵略によってヨーロッパに広く力を持ちます。11世紀初頭になるとカヌート王がデンマークとイングランドを支配し、北海帝国を作り上げ、さらに強大化していきます。
さらに14世紀後半になるとデンマーク、ノルウェー、スウェーデンを同盟国とするカルマル同盟が結成され、マルグレーテ1世はこの実質的な支配者として君臨するに至ります。しかし1523年、スウェーデンがこの同盟を脱退し独立したことで対立することとなります。
デンマークとスウェーデンの抗争の中、1626年、クリスチャン4世がドイツ30年戦争に介入し、敗退したことで、デンマークの衰退が始まります。デンマークはその後の戦争で領土を減らし、さらに経済的にも危機的な状況となります。しかし植林などの産業振興によりこの危機を乗り越えるのです。
第一次世界大戦の時には中立を守ったデンマークでしたが、第二次世界大戦では1940年にナチスドイツにより突然宣戦布告され、すぐに降伏、ドイツの占領下に置かれることとなりました。しかし一方で当時の駐米大使は連合国側に接近し、この活動もあって駐デンマークのドイツ軍が降伏したことでデンマークは解放されるに至りました。
デンマークの国旗の現在への変化
このデンマークの歴史の中、デンマークの国旗はいつごろから使われ始めたのでしょうか。先ほど触れたように、現在のデンマークの国旗は1219年、リュンダニの戦いの際に天から舞い降りてきたというのが始まりとされています。
しかし、この話はあくまでも伝説の域を出ないものであり、このデザインの旗が記録上確認されるのは14世紀半ばまで遡ります。しかも14世紀後半にカルマル同盟が結成された時には、黄色に赤でスカンディナヴィア十字が入ったものが使われていました。
現在の国旗が正式にデンマークの国旗となったのは1854年のことです。とはいえ、先ほども触れたように、デンマークの国旗の歴史が最古と言われ、そのことはデンマークの国民にとっても誇りだそうで、国旗をアレンジしたオーナメントを飾りつけることもあると言われています。
デンマークの国旗に似ている国は?
デンマークの国旗の特徴として挙げられる点が、その十字の模様です。今まで述べてきたように「スカンディナヴィア十字」と呼ばれるこの十字は、国旗のデザインとしても非常に特徴的であり、似ているデザインの国旗を使う国もいくつかあります。似ているデザインの国旗を使う国はどこで、どういう共通点を持つのでしょうか。
『スカンディナヴィア十字』を使った国が似ている
まずこのスカンディナヴィア十字ですが、似ているデザインの国旗を使っている国はアイスランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドがあります。それぞれの国によって使われている色が違うものの、これらとデンマークの国旗を並べると、明らかに似ているという印象があります。
スカンディナヴィアというのは「スカンディナヴィア諸国」という国々のまとまりをあらわす言葉です。ヨーロッパ北部にあるスカンディナヴィア半島周辺の国々のことです。スウェーデン、ノルウェー、デンマークを中心にフィンランド、アイスランドを含みます。
十字はもちろん、キリスト教を意味します。それはデンマークでも他の国でも同じです。使われている色にもそれぞれのお国柄が関係しています。例えばアイスランドは青地に白でふちどられた赤いスカンディナヴィア十字となっていますが、青はアイスランドの国民色で海、白は雪や氷河、赤は祖国愛を意味するとされます。
では特徴的なスカンディナヴィア十字の国旗のデザインはどこに由来するのでしょうか。実はデンマークがこれらの国旗のもとと言われます。それはもちろん、デンマークの国旗の歴史が古いからというのもありますが、これらの国々がデンマークに「由来」する特徴があるからです。
例えばアイスランドはデンマークの支配下にあったことがありますし、ノルウェーもデンマーク配下となった歴史を持ちます。もちろん直接的に「由来」していなくても、同じ文化圏に入ることで影響をうけあっている国々でもあります。
ですから、スカンディナヴィア十字という似ているデザインの国旗を使う国々は、同じ北欧諸国に属し、デンマークと関係が深い国々が多いということになります。特徴的な国旗のデザインを持つということは、それだけの意味があったのです。
なお、スカンディナヴィア十字のクロス部分が左に寄っているのは、海軍旗などにする際、燕尾型にした際にクロスの位置が中央に来るようにするための工夫です。
デンマークの観光スポット
では、そんなデンマークの中で特に人気が高い観光スポットをいくつか紹介します。先ほども触れたように、デンマークの人々は歴史が古く、いろいろな国旗の由来となったデンマークの国旗を誇りに思っていると言います。観光スポットに国旗があるのか、見てみるのも面白いかもしれません。
ニューハウン(コペンハーゲン)
ニューハウンはデンマークの首都、コペンハーゲンにある観光スポットです。「ニューハウン」というのは「新港」という意味で、クリスチャン5世の手により1671年から掘削が開始され、1673年に完成しました。
デンマークの冬の王宮であるアマリエンボー宮殿も近く、衛兵交代式などを見に行く観光客も多く見られます。さらにこの辺りには飲食店やアンティークショップなどが立ち並び、そのカラフルに彩られた建物もまた観光客に人気です。
「新港」ということでわかるようにふ頭があり、水路が入っています。ヨットや観光船が行き来し、屋外カフェのテントの下でその観光船を見るのも楽しみの一つです。アンデルセンもこのあたりを居所としていたことがあったそうです。
市庁舎前広場(コペンハーゲン)
最初に述べたように、デンマークはユラン半島を中心に多くの島々からなっています。珍しいことに首都のコペンハーゲンは大陸の方ではなく、シェラン島という島にあります。それでいてコペンハーゲンはデンマーク最大の都市であり、対岸などを含め、北ヨーロッパ最大の都市圏を形成しています。
市庁舎前広場は、まさにそのコペンハーゲンの中でも中心となる場所です。まず市庁舎は1905年に完成したもので中世のデンマークと、北イタリアのルネッサンスという2つの様式を取り入れた建築方式が取られており、中をだれでも見ることができます。
コペンハーゲン中央駅も近く、さらには105.6メートルの時計塔が街歩きの際の目じるしにもなります。観光バスや市バスなどが頻繁にやってきて、多くの観光客でいつもにぎわう場所です。
クロンボー城(ヘルシンオア)
クロンボー城はシェラン島北東部、ヘルシンオアにあるお城で、2000年、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。前身となった砦ができたのは1420年代ですが、1574年から85年にかけてフレゼリク2世の命で大改造が行われ、四方を翼廊に囲まれて、外縁部に塔を備えているという大規模なルネサンス様式の建造物となりました。
その後何度か焼失や落城を経験し、改修が行われましたが、1763年以降はこの城に王が住むことはありませんでした。しかしその美しい姿はいわゆる「西洋のお城」という点で人気が高く、「世界の名城」として名高いものです。
なお、文学好きの方におすすめしたいのは、有名なシェイクスピアの「ハムレット」に出てくる「エルシノア城」がこのクロンボー城のことだという点です。シェイクスピア自身はこの城を訪れたことはないようですが、石板や演劇公演なども行われています。
日本からデンマークへのアクセス
最後に日本からデンマークへのアクセスについて紹介します。実は日本からデンマークは比較的アクセスしやすい国の一つと言えます。なぜならば、直行便があるほか、ない場合でも乗り換えが少なくて行くことができるためです。
まず、日本からデンマークにはスカンジナビア航空の直行便がほぼ毎日1便、成田から飛んでいます。ただし、冬季は本数が減る場合があるので、行く前に確認してください。これを使えば乗りっぱなしでコペンハーゲンまで行くことができます。所要時間は約11.5時間です。
もう一つの方法はヘルシンキを経由する便です。成田、中部、関西から出ているヘルシンキ行の便に乗り、乗り換えてアクセスするというもので、所要時間はヘルシンキまでが約10.5時間、乗り換えて約1時間といったところです。
デンマーク国旗の歴史や由来を知って観光に行ってみよう!
デンマークは古く強大な力を持った国であり、そのために周囲の国旗が似ているデザインを持つほどの影響力を持った国でもあります。また観光地も多く、日本からのアクセスも比較的よいので、その点でもおすすめの観光地と言えるでしょう。ぜひ国旗や歴史のことを頭に置きつつ、観光を楽しんでください。
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