室戸台風ってどんな台風?
皆さんは「室戸台風」という台風の存在を知っていますでしょうか?おそらく若い世代の方々は、そんな台風は全く知らない!という方が多いのではないでしょうか。「室戸台風」は1934年(昭和9年)に高知県付近に災害をもたらした台風です。今から考えると相当昔のことなので、若い世代の方が知らないのも無理はないのかもしれません。
「室戸台風」は大きな高知県室戸岬に上陸し、大きな災害ともたらした台風で、凄まじい風速を持った台風で最大瞬間風速は60m/sをこえる程の風速をもっていたということです。伊勢湾台風(1959年)と同じく昭和の三大台風として数えられています。非常に大きな勢力を誇っていた台風だということです。
凄まじい風速で、高知県室戸岬に上陸した「室戸台風」は、高潮被害や強風による建物の倒壊被害などで大きな災害をもたらしました。最近では考えれない程の台風だったということで、約3,000人の死者・行方不明者を出したともいわれています。現代でも、こんな台風が起こったら大変なことになってしまいそうです。
室戸台風のもたらした被害は?
高知県室戸岬に上陸し大きな災害をもたらした「室戸台風」は、その当時どれ程の被害をもたらしたのでしょうか?「室戸台風」の人的被害は死者2,702人、不明334人、負傷者14,994人ともいわれており、昭和で起こった台風の中でも屈指の台風であったそうです。これだけの方が負傷されているというのは大変なことですね。
今でも地震や津波などの災害があり、多くの被害を日本列島にもたらしていますが、台風でこれほどの被害をもたらしたものは、最近ではほとんど思い当たらないのではないでしょうか。台風でこれほどの人的被害が出てしまうというのは、こういった台風災害のあまり無い現在の感覚からすると想像しずらいかもしれませんね。
家屋の全半壊や一部の損壊は実に90,000棟以上にのぼっていたとされており、床上・床下の浸水被害も400,000棟以上の家屋で大きな被害があったとされています。これだけを聞いても、どれ程多くの地域で台風被害が出ていたかということが分かりますね。時に台風は、これほどの大きな災害をもたらしてしまうのです。
室戸台風の風速は異常だった!?
大きな被害をもたらした「室戸台風」の風速は通常の他の台風と比べて、風速が異常な程強かったといいます。最大瞬間風速(瞬間風速)は なんと60m/sを超えていたとされています。これだけを聞いても風速60m/sってどのくらい?とピンと来ない方も多くいらっしゃると思います。風速60m/sとはどんなものなのでしょうか?
「室戸台風」誇った最大瞬間風速の風速60m/sは、外の鉄塔が曲がってしまうことがあるほどの風速だとのことです。風速は10m/sでも樹木が激しく揺れ、雨傘が壊される程のものだとされており、風速30m/sでもしっかりしていない家が倒れたり、電柱が倒れることがある程の風になるということです。
そう考えると、電柱が倒れるような風の2倍ということですから、いかに「室戸台風」の風速60m/sという風速が凄まじいものか分かるのではないでしょうか。こんな台風がきたら、古い家は屋根が吹き飛ばされたり、窓ガラスが割れたりと、さまざまな被害が出るのも納得出来てしまいますね。
室戸台風は気圧も異常だった!?
高知県室戸岬を中心に猛威を振るった「室戸台風」ですが、風速もさることながら気圧も異常なものであったということです。室戸台風が近くに上陸した室戸岬測候所では、911.6hPaの最低気圧を観測したとされています。この911.6hPaという気圧はどういった意味をもつ値だったのでしょうか?
高知県室戸岬測候所で観測されたという「室戸台風」の911.6hPaという最低気圧は、当時インドのカルカッタ南西のフォルスポイントにある燈台兼測候所というところで観測した919hPaという当時の世界最低気圧を、なんと7hPaも更新してしまったというもの凄い値だったのです。なんと当時の世界最低気圧を叩き出してしまっていたのです。
世界最低気圧を更新した台風として「室戸台風」は当時世界でも注目される台風となりました。また、この911.6hPaという最低気圧は、日本本土に上陸していった台風でも、これまでの観測史上最も台風上陸時の中心気圧が低い台風とされています。「室戸台風」はそれだけ異常な台風であったということですね。
室戸台風は初めて正式に名称がつけられた台風
室戸台風は日本で始めて台風として正式に名称が付けられた台風だといわれています。前述のように世界最低の気圧を記録したということもあって、「室戸台風」という名称が付けられて呼ばれるようになりました。
室戸台風が来たときの天気予報はどうだった?
高知県室戸岬に「室戸台風」が上陸して猛威を振るったのは、1934年(昭和9年)のことでしたが、その当時の天気予報はどのようなものだったのでしょうか?1934年当時、中央気象台の天気予報では「室戸台風」が来た際には暴風警報をしっかりと発表していました。当時の天気予報技術でも大きな台風であることは把握できていたのです。
中央気象台では九州、四国、本州の全体にわたって大きな警戒を要する台風であると全国に警告をしていました。しかしながら、「室戸台風」は大きな被害をもたらしてしまいました。天気予報がある程度出来ていたのに被害を避けられなかったのはなぜなのでしょうか?
室戸台風が来た当時の天気予報が上手く生かされなかった理由の一つとして、暴風警報などの情報を伝える連絡ラインが猛烈な台風の被害によって絶たれてしまったということがあげられます。中央気象台が出していた暴風警報が上手く全ての地域に伝わらなかったのです。伝わらなければ天気予報も意味がありませんね。
被害が大きくなってしまったもう一つの理由としては、やはり室戸台風がそれまでの台風と比べて異常な程勢力が強かったということです。中央気象台でもある程度の予測をしてはいましたが、そお予想を遥かに上回る大きな勢力の台風だったのです。
室戸台風と並ぶ「伊勢湾台風」ってどんな台風?
「室戸台風」のご紹介をしてきましたが、皆さんは「伊勢湾台風」を知っていますでしょうか?伊勢湾台風は室戸台風と同様に、大きな被害をもたらした大きな勢力をもっていた台風です。伊勢湾台風は1959年(昭和34年)に日本列島に上陸し、紀伊半島から東海地方を中心に全国に大きな被害をもたらしました。
「伊勢湾台風」は、伊勢湾沿岸の愛知県・三重県の被害が特に大きかったため「伊勢湾台風」という名称で呼ばれるようになったそうです。伊勢湾台風は夜間に台風が襲ったということもあり、被害の影響範囲が非常に広い台風だったといわれています。
室戸台風も含まれる「昭和の三大台風」って?
皆さんは「昭和の三大台風」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「昭和の三大台風」とは「伊勢湾台風」、「枕崎台風」、「室戸台風」の3つの台風を称していわれることがあります。他の台風に比べて、際立って勢力が大きく被害が大きかった3つの台風をまとめて昭和の三大台風と呼んでいるのです。
室戸台風から「高潮」という言葉が使われるようになった?
最近テレビのニュースで天気予報を聞いていると、「高潮」という言葉を良く聞くことはありませんでしょうか?実は「高潮」という言葉は、室戸台風以降に全国的に広まっていった言葉だといわれています。室戸台風の以前はあまり高潮という言葉はあまり使われていなかったといいます。
中国銀行本店にある室戸台風における最高水位標識。こういった活動は大事だと思う。 pic.twitter.com/QiOZAVVIPD
— yosfujii (@yosfujii) March 6, 2017
「高潮」は台風や発達した低気圧の影響によって、通常よりも海面が上昇する現象のことをいいます。台風などで高潮が発生すると、海面が高くなり陸地に海水が入り込んできてしまいます。その結果、住宅や耕地が浸水してしまったり、人が波にさらわれてしまったりといったことが起きてしまいます。
室戸台風ではこの「高潮」の被害が非常に大きかったため、室戸台風を語る際にはこの「高潮」という言葉が多く使われるようになったそうです。
室戸台風はケタ外れの勢力をもった台風だった
そして、岡山城内の、
— ケンさん@ダム部 (@rawsenna) January 2, 2017
室戸台風の水没最大水位跡です。 pic.twitter.com/LUwEAZU4Tt
皆さん、室戸台風についていかがだったでしょうか?室戸台風は日本に大きな被害をもたらした台風です。勢力も風速も気圧もケタ外れの台風だったのです。今の時代に「室戸台風」のような勢力の台風が起きたらと思うと、人事とは思えないのではないでしょうか。
室戸台風のような台風がきても大丈夫なように、日ごろから防災意識を高くもっておくことが大事なのかもしれませんね。
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