山口県回天記念館(大津島)とは
第二次世界大戦時、日本の海軍には、人間魚雷型の特攻兵器がありました。それは、回天と呼ばれる、爆薬を大量に積んだ一人乗りの兵器です。その回天にまつわる記念館が、山口県周南市大津島にあります。その名も回天記念館です。この記念館には、どのような展示物があるのでしょうか?島にあるため、フェリーでのアクセスが必須ですが、どのように行けばいいのでしょうか?それでは見ていきましょう。
回天が生まれた理由と構造
回天とは、人間魚雷とも呼ばれる戦争時に作られた特攻兵器です。回天が作られた当時、日本の戦局は厳しいものとなっていました。「天を回らし戦局を逆転する」という意味合いを込めて、回天と言うながつけられました。人間が操縦する魚雷は、敵への命中率を高くするために作られました。しかし、実際は操縦はとても難しいものだったそうです。
回天の構造
人間魚雷とも呼ばれ、回天記念館にも展示物となっている回天は、端的に言えば、爆薬を多く積んだ潜水艦です。人が一人乗り込めるスペースが有り、かんたんな操縦桿と簡素な潜望鏡がついています。それらを操り、対象物まで航行します。外側からロックがかけられてしまうので、自力で脱出することができません。一度出撃してしまえば、攻撃の成否に関わらず乗船者は命を必ず落とす事になりました。
回天にまつわる展示物を扱う回天記念館
回天記念館は、その名の通り、回天に関する展示物を扱っています。回天に関するものであれば、本当に多岐にわたり収集し、公開をしています。門から建物の入り口にまで続く1本の道の両サイドには、回天により殉死した人々の名前と出身地を彫ったプレートが並べられています。幾つものプレートが並べられており、それだけ多くの人が命をかけて戦っていたというのが伝わってきます。
建物の中も外もそして島中にも展示物
山口県周南市大津島にある回天記念館には、多くの回天にまつわる展示物があります。展示物は、回天記念館の中だけではありません。敷地の外には実物大の展示物があります。また、島中に戦争中の訓練場の跡地や、回天の輸送に使ったトンネルなど、様々な回天にまつわるものがあります。島中が回天の展示物をおいているかのように、歴史の足跡を感じることができます。
回天記念館の設立の経緯
戦争が終わり、昭和37年に東京で回天関係者が会合をし、回天顕正会が発足しました。そこで、回天搭乗員の遺品を収集し、展示・維持をしていく施設を作ることが決定されました。これが回天記念館が作られるようになったきっかけです。収蔵品は、遺書・軍服・遺影・手紙など1000点ほどあり、展示物として公開されています。遺族の多大な協力もありました。
平和学習への活用に
回天記念館は昭和43年に完成しました。その後、リニューアル工事を行い、展示物を置くスペースを拡張しました。平成10年にリニューアル工事が完成し、今の姿となりました。リニューアル後は、以前よりも展示物が充実し、平和学習に役立っています。回天や戦争の足跡を見ることにより、より平和への尊さが生まれてくることでしょう。
回天記念館の屋外展示物
山口県周南市大津島にある回天記念館は、展示物が充実しています。回天記念館の建物内はもちろんですが、まず来館して目につくのは、外の展示なのではないでしょうか。回天記念館の外に展示されているのは、回天のレプリカです。同じサイズで作られているので、ここに一人人が入っているのかと驚く人が多いかと思います。船尾にはスクリューがついているのも確認できます。
回天に関する展示物は、敷地内だけではありません。回天を作り、海まで運ぶ際、上空からわからないようにトンネル内をトロッコで運搬しました。そのトンネルが、今もなお残っています。そのトンネルの中の壁面に、展示物が多く並べられています。特に、当時の写真が多く、解説入りです。また、人が来ると、音声解説も自動的に流れるようになっているので、とてもわかりやすいです。
回天搭乗員の遺品の展示物
回天記念館(山口県周南市大津島)には、回天にまつわる展示物が多くあります。回天のレプリカ、設計図、当時の暮らしなどの展示があります。そして、多くの人々が惹きつけられるのが、家族への手紙や、遺書です。家族への手紙は、一人につき何通も展示されています。お見合いをし、結婚をし、そして出撃前に最後の手紙を送るという過程も公開されています。
回天搭乗員の遺書の展示
回天記念館の展示物には、搭乗員の遺書も多く展示されています。国ためにと命をかけた人々の遺書には、強い意志と家族への思いが伝わってきます。遺書の中には、回天の開発者であり、回天のテストパイロットとして登場した際に殉職した、黒木大尉の遺書も展示されています。それらには、回天の問題点や改善点が多く記されており、息絶えるまでの間、2000字も書かれていました。
当時の隊員の肉声展示物もある回天記念館
回天記念館には、回天に乗船し、殉職をした人の肉声を聞くことができる展示物があります。21歳で戦死した少尉の家族に対しての肉声のメッセージです。この音声は、当時としては珍しいことに、軍の検閲が入っていません。当時は、手紙なども検閲が入っていました。実は、この少尉の父親が経営するスタジオで、出征前に録音されていたので、軍の検閲が入っていないのでした。
この肉声の前半には、家族や友人、そして生まれ育った街に対しての愛情、もっと勉強をし、皆と楽しく過ごしたかった旨が述べられています。後半になると、当時の思想に反映され、日本の為に日本人として出陣する旨が述べられていました。少尉の弟がレコードの音声を大切に保管しており、それが回天記念館でも聞くことができるようになりました。貴重な資料です。
回天記念館を訪れたら回天訓練基地跡へ
回天記念館で戦争時の展示物などを見た後に、時間がある場合にはぜひ立ち寄ってほしい場所があります。それは回天訓練基地跡です。回天記念館から、徒歩で10分ほどの場所にあります。回天記念館での戦争時の展示物も心に訴えかけてきます。その回天の訓練をしていた場所に行くと、より、戦争当時のことを偲ぶことができ、平和への理解を深めることができるでしょう。
回天記念館から長いトンネルを抜けて
回天記念館から、隣りにある中学校の裏を通り、角を曲がると、長いトンネルをくぐることになります。これは、空から敵が大津島を見たときに、何を運搬しているのかわからないように作られた長いトンネルです。そのトンネルを抜けると、回天訓練基地の跡に出ることができます。場所は、馬島港から反対側に位置しています。ちょうど、大津島のくびれている部分の西側です。
回天記念館(山口)へのアクセスはまず徳島港へ
さて、この回天記念館に行くには、どのようにすればいいのでしょうか?回天記念館は、大津島という島にあるので、フェリーに乗らなければなりません。そのフェリーに乗るための港が、徳山港になります。山口県周南市にある徳山港は、電車の場合、山陽本線徳山駅からのアクセスとなります。徳山駅と隣接しているので、特に迷うこともないでしょう。
車での徳山港へのアクセスについて
徳山港まで来るまでアクセスする場合は、徳山港の駐車場に車を停める形になります。一部フェリーでは、車での乗船もできますが、事前の予約が必要です。広島方面から徳山港に高速道路で来る場合は、徳山東インターで降りて10分ほどで到着します。九州方面からの場合は、徳山西インターを使います。降りてから25分ほどで徳山港に到着です。
徳島港から回天記念館(大津島)までのアクセス
戦争の足跡を残している回天記念館のある大津島は、徳島港から南に10数キロにある島です。回天記念館にアクセスするには、海を渡らなければなりません。橋なども設置されておらず、飛行機も飛んでいないません。そこで利用するのが、大津島に渡るフェリーです。大津島に渡るフェリーは、大津島巡航という会社が運行しています。2種類のフェリーでアクセスすることができます。
フェリー新大津島
山口県大津島にある回天記念館にアクセスするには、フェリーが必要となります。フェリーを運行している大津島フェリーの2つのフェリーのうちの一つは、新大津島という名のフェリーです。徳山港から大津島の馬島港までを、片道約40分で航行します。1日に3往復しています。旅客定員は200名です。乗用車も6台載せることが可能です。
フェリー鼓海2
山口県の大津島にある回天記念館に行くためのフェリーは、もう1種類あります。それは鼓海2です。鼓海2は、徳山港と大津島の馬島港の間を、1日4往復しています。鼓海2は、徳山港から大津島馬島港まで、片道約20分で航行しています。新大津島フェリーよりも、所要時間は約半分と早いのですが、その代わり、車を乗せることができません。定員も150名と、新大津島フェリーよりも若干少なくなっています。
フェリー回天
大津島巡航には、上記で紹介した新大津島フェリーと、鼓海2の2つが普段は運行しています。しかし、どちらかが来るまで言う車検のような点検期間に入った場合には、予備の旅客船が出ます。それは、回天という船です。周南市に属している船で、点検期間だけ大津島巡航で使われています。旅客定員が65名の、少し小さめの船です。
回天記念館(山口)へのフェリー料金
山口県大津島の回天記念館に行くには、フェリーに乗らなければなりません。そのフェリーですが、どれくらいの料金なのかを紹介します。船の速さなどは問わず、船の料金はどれも一緒です。徳山港から馬島港まで、片道で大人は710円です。6才以上12歳未満の子供料金もあります。子供料金は、片道360円で乗ることができます。15名以上の団体の場合は、大人640円、子供330円です。
せとうちサイクルーズPASSも利用可能
瀬戸内海をクルーズと自転車とで楽しみたい人向けに、せとうちサイクルーズPASSというものがあります。そのパスを持っている場合、自転車の持ち込み運賃が割引になります。大津島のフェリーの場合、通常自転車の持ち込み料金は270円ですが、PASSを見せると140円に割引になります。サイクルーズパス自体の発行は、山口県内では行われていません。
回天記念館のある大津島内でのアクセスについて
回天記念館のある山口県大津島内には、公共の交通機関がありません。バスや鉄道がない、ということです。そればかりか、タクシーもありません。観光客の場合、島の中での各施設へのアクセスは、徒歩でとなります。ただし、移動範囲はそこまで広くないので、心配は無用です。それぞれの施設から施設までは徒歩10分程といったところでしょう。
回天記念館を訪れる際の主要施設
回天記念館を訪れる人の多くが利用する施設と、そのアクセスについて説明いたします。まず、フェリーの発着がされているのが馬島港です。そこから徒歩10分ほどで回天記念館につくことができます。回天記念館に来た人の多くが、回天訓練場跡地を訪れます。馬島港・回天記念館それぞれからこちらも徒歩10分程の所要時間となっています。回天関連の見学だけならば、十分、徒歩で対応できます。
回天記念館の営業時間
山口県周南市大津島にある、回天記念館の開館についてお伝えします。開館時間は、8時半から16時半までとされています。開館時間の間に回天記念館に来るためには、14時40分徳島港発のフェリーに乗る必要があります。回天記念館の見学の際は、回天訓練基地跡をセットで見学される方が多いのですが、最終のフェリーでアクセスする場合は、記念館を先に見ると、時間を確保しやすいです。
山口県・回天記念館の休館日について
戦争時に使われた回天を展示物とする回天記念館は、休館日は毎週水曜日に設定されています。水曜日が祝日だった場合は、開館し、翌日に休館日がスライドします。8月15日の終戦記念日が水曜日の場合は、休まず開館をします。また、年末年始にあたる12月29日から1月3日までも休館します。イベントによっては、休館や開館が変わるので、公式ホームページの営業カレンダーを見てから行きましょう。
回天記念館の入館料について
戦争で使われた回天を中心とした展示物のある、回天記念館の入館料について説明します。入館料は、大人は300円となっています。18才以下の学生と幼児は、無料となっています。また、大人でも無料となる場合があります。それは、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・戦傷病者手帳・被爆者手帳の提示がある場合です。所持している場合は、忘れずに提示しましょう。
回天記念館の団体料金について
フェリーでアクセスする、大津島の回天記念館は、果たして団体料金はあるのでしょうか?もちろん、用意されています。30名以上の団体の場合、通常の大人料金300円に対して、240円の入館料となっています。ただし、団体で訪れる際は、予め回天記念館に連絡を入れましょう。当日、スムーズに入館することができます。
回天記念館の展示物で戦争の足跡を知ろう
今回は、山口県周南市大津島にある回天記念館について、お届けしました。回天記念館の展示には、人間魚雷の回天をはじめ、戦争で起きた事実が淡々と記されていました。後世に戦争とは何か、を伝える大きな役割と果たしています。日本の為に、と命を犠牲にした若者たちがいた事も忘れてはなりません。回天記念館を訪れることは、平和について考える、良い機会となるでしょう。
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