三原城は歴史好きに人気
日本各地にはさまざまなスタンプラリーがありますが、歴史が好きな方に人気なのが「100名城」に関わるスタンプラリーです。現在続日本100名城もあるのですが、この中に選ばれたのが三原城です。そこで三原城へのアクセスや歴史などのおすすめポイントを紹介します。
三原城とは
三原城というのは別名浮城、玉壺城と呼ばれる城です。作ったのは有名な小早川隆景で、1957年に国の史跡に指定されました。梯郭式平城と呼ばれるタイプの城で、もともと毛利家の水軍を出撃させることができるように造られたようで、満潮時には海に浮かんだように見えます。
もともと天守閣は建設されなかったようですが、三原駅などの建設に伴って現在は石垣と堀の一部が残るのみとなっています。しかし2004年度からこの景観を保存する方向で活動が進められています。2017年、続日本100名城の一つ(172番)に選定されました。
三原城はどこにある?
三原城があるのは広島県三原市です。もともとは現在の沼田川河口付近まで三原湾が入っており、中州や小島などがありました。三原城はこれらをつないで作った砦がもとになっているとされています。当時の三原城は瀬戸内海の押さえとなっていたようです。
三原城へのアクセス
それでは、三原城へのアクセスについて紹介します。といっても三原城へのアクセスは、おそらく日本各地にある城とは比較にならないほど便利です。なぜならば最寄り駅が三原城の天主台の上に建っているからです。ですから電車のアクセスがおすすめです。
その最寄り駅はJR「三原」駅となります。三原駅には山陽本線、呉線のほか、山陽新幹線も停まります。ただし停車するのは、三原始発の「ひかり」など一部と「こだま」なので、遠方などから「のぞみ」を利用してアクセスする場合は「福山」駅までのぞみを使い、新幹線もしくは在来線に乗り換えるのをおすすめします。
なお、三原以西からアクセスする場合は「広島」駅までのぞみ、広島駅で新幹線を乗り換えるのが便利です。所要時間は広島駅から新幹線で約25分、福山駅からは約20分見ればよいでしょう。もちろん在来線を使ってアクセスすることもできます。
1894年に三原駅が建設された際、三原城の土地が駅の用地として使われました。さらに1975年に山陽新幹線が開業し、そのために三原駅が高架になった際に、その高架が三原城の天主台と本丸部分を貫く形となりました。「三原城の天主台の上に」駅があるのはそのためです。ですから駅についたら1階コンコースから専用通路で上がりましょう。
さらに遠方からで、飛行機を利用する場合は、最寄り空港が「広島空港」になります。新千歳、仙台、羽田、成田、那覇の各空港からの便があります。広島空港は三原市にあるので、空港からはバスを利用して40分ほどで三原市内に到着します。
他の観光もあるので車でアクセスしたいという場合は、最寄りICは山陽道の「尾道IC」もしくは「三原久井IC」となります。三原駅を目指して進んでいけば三原城に到着となります。なお、三原城に駐車場はありませんが、駅周辺に有料駐車場があるので、そこに駐車できます。
三原城と小早川家
ところで、小早川隆景という名前は聞いたことかありますか。この名前を知らない方でも、もしかしたら毛利元就の「三本の矢」の話はどうでしょうか。毛利元就が自分の三人の子どもを呼び、一本の矢は簡単に折れるが、三本束ねると容易に折れないので、三人の息子たちが結束して毛利家を守ってほしいと言ったという逸話です。
隆景はこの毛利元就の三男です。跡継ぎを亡くした竹原小早川家に後継者として迎え入れられ、12歳で当主となりました。後に沼田小早川家も継ぎ、強力な水軍を構成、元就より先に亡くなった長男毛利隆元の子である毛利輝元の補佐役として、「毛利両川体制」(毛利元就の次男は吉川元春)を支えました。
三原城はこの隆景の居城となった城で、小早川水軍の差配をするのにより適した場所として選ばれたとされています。後に隆景は三原城を本拠としましたが、いったん福岡の名島城に移るものの、家督を譲って隠居した後にふたたび三原城に戻り、この地で生涯を終えました。
三原城の歴史
それでは、三原城そのものの歴史を簡単に見ていきましょう。前述したように、三原城は小早川隆景により1567年に造られました。もともと隆景は1552年に沼田川の対岸に新高山城を築城し、本拠としていたのですが、沼田川河口の島や中州をつなぎ、砦を築いて、そこを水軍の拠点としました。これは三原要害と呼ばれ、三原城の原型となったと言われます。
1580年ごろから、隆景はこの三原要害の整備を進め、その後に新高山城から三原城へと本拠を移しました。三原城は瀬戸内海を軍事的に掌握する目的で造られており、本丸東南に船入櫓を備えることで小早川水軍の軍港としても機能するように造られていました。
しかし1587年、隆景は豊臣秀吉から筑前国の加増を受け、福岡市の名島城に居城を移しました。そして1595年になり、隆景は養子の小早川秀秋に家督を譲り隠居するとふたたび三原城に戻り、隠居しつつ、さらに三原城の整備を行います。現在残る天主台の石垣はこの時期の手法とされており、山と海に挟まれた狭い道を通り、川や掘割を超えていくという城郭構成ができあがりました。
しかし、隆景は1597年に三原城で亡くなり、関ヶ原の戦いの後、この地には福島正則が入ります。正則は広島城を本拠とし、三原城には養子の福島正之が入りました。1619年、福島正則が改易となった後は浅野氏が入り、三原城は広島藩の支城として幕末まで機能しました。
しかし明治維新後、三原城の土地は政府のものとなり、建物や樹木が競売に掛けられます。さらに前述したように三原駅が建設された際、土地は駅の用地となり、さらに山陽新幹線の開業と三原駅の高架化で城跡を三原駅が貫く形となり、現在に至ります。
三原城の見どころ
もともと三原城には天守閣はなかったと言われていますが、広島城の天守閣が6つ入るほどという日本有数の広さを持つ天主台がありました。しかし、前述したように三原駅で寸断され、現在の姿となっています。そうはいっても、石垣などは現在も残るほか、建物の一部は観光スポットに移築されています。それらを見るのもおすすめです。
まず石垣ですが、もちろん外からも見えるのですけれども、より近くで見たいという方におすすめのポイントがあります。それは新幹線の高架下にある石垣です。実は三原駅の近くにある有料駐車場から三原駅に行く通路の途中で、石垣を間近に見られる場所があります。堀があるとなかなか石垣の近くには行けないので、歴史好きには人気のポイントとなっているようです。
また、糸碕神社の神門、順勝寺山門、安楽寺山門などは三原城から移築された城門が使われているほか、極楽寺山門、宗光寺山門は新高山城の移築城門です。三原城からの距離はさまざまですが、いずれもお寺など人気スポットでもあるので、三原城散策と組み合わせて巡ってみるのがおすすめです。
三原城でスタンプ集め
ところで、先ほど三原城が続日本100名城に選ばれていると述べましたが、歴史に詳しくない方は「続日本100名城ってなに?」と思っているかもしれません。まずはそのあたりから簡単に紹介していきます。続というくらいですから、日本100名城というのもあります。ですから現在、200の名城がリストアップされているということになります。
日本100名城というのは全国各地にある名城探訪の手がかりにするために、日本城郭協会によって2006年に選定されました。観光地としての知名度、文化財、歴史上の重要性、復元の正確性などを基準として、一般公募されたものの中から専門家や愛好家が選びました。いわば、歴史好きな方ならぜひ訪れたいおすすめ観光スポットと言えるでしょう。
名「城」という名前から、姫路城や彦根城などの天守閣のあるお城を連想しますが、環濠集落である吉野ヶ里なども入っています。範囲も北海道から沖縄まで、日本全国に散らばっているのですが、城郭巡りメインの方はもちろん、観光などの時にお城を見たいという方にとってもよい手引きとなります。
三原城がリストアップされている続日本100名城は、日本100名城から10年が経ち、新たに選定されました。こちらもファンの声を取り入れつつ、専門家6名によって選定されています。こちらも北海道から沖縄まで日本全国に分布する城がピックアップされているので、城郭巡りのよい手引きとして人気があります。
そしてこの日本100名城、続日本100名城ですが、スタンプラリーがあります。せっかくだからスタンプも集めたいという方は、主催者の会員になるか、またはガイドブックを購入します。そうするとスタンプラリー用の公式スタンプ帳が手に入ります。あとはそれぞれのお城を巡ります。
スタンプはそれぞれのお城にあります。三原城の場合は三原観光協会とみはら歴史館に置かれていて、どちらかで押印します。ちゃんと枠が決まっているので、そこにスタンプを押しましょう。100名城のスタンプがすべて集まったら、日本城郭協会に送ると登城認定を受けることができ、順位と認定印をいただくことができます。
ちなみに、三原城周辺では、福山城と広島城、郡山城が日本100名城に、三原城と新高山城が続日本100名城に選ばれています。いずれも人気の観光スポットでもありますので、ぜひ一緒に巡ることをおすすめします。
三原城の周辺観光スポット
それでは、三原城の城門が移された場所を最後に簡単に紹介します。まず糸碕神社ですが、729年に応神天皇の産髪を勧請したことに始まり、広島県内で最も古い神社とも言われます。神門は三原城の町奉行所の西となりにあった生駒家の門で、1875年に移築されました。三原市の文化財となっています。
三原城で歴史を感じよう
三原城は戦国武将としても人気がある毛利元就の三男、小早川隆景が心血を注いで作った城です。その見事な石垣は歴史ファンにはぜひ見ておきたいものと言えるでしょう。アクセスも楽で、初心者でも問題なく行くことができます。ぜひ毛利家の歴史に思いをはせながら、お城巡りを楽しんでみてください。
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