魅力いっぱいのメディナ
メディナはモロッコにある旧市街です。観光地として栄えている場所もあれば、地元の人たちの生活の場としての意味合いが強いメディナもあります。世界遺産に登録されているエリアもあります。
あまり日本人にとっては馴染みのないモロッコですが、メディナには見るべき場所がたくさんあります。ここでは世界遺産としても名高い、メディナの旧市街や治安、おすすめの時期などをまとめました。
メディナってどこにあるの?
ラバトのメディナ、など~~のメディナとしてガイドブックやウェブサイトには、出てくることが多いです。元々は都市を意味する単語でしたが、フランス統治下で新しい建物がドンドン建てられていくうち、旧市街のみを指すようになりました。
メディナという言葉自体がどこか特定の地域を指しているわけではなく、旧市街の総称として使われているため、複数のメディナがモロッコには存在します。有名なのはフェズのメディナやマラケシュのメディナと言われています。
フェズのメディナ、マラケシュのメディナは両方とも世界遺産に登録されており、城塞都市あるいは迷宮都市として有名です。旧市街を楽しむ観光になるため自然などの景勝地を楽しむよりも、モロッコの風習や旧市街の成り立ちを楽しみたいという人におすすめです。
メディナがこんな形状になったわけ
メディナが最初に建てられたのは9世紀のフェズだとされています。今でもフェズのメディナは人気のスポットとして観光地化されています。山と川を近くに持つフェズは、当時新しい都としてピッタリのロケーションでした。
外敵からの侵入を防ぐために城塞都市と化したフェズの都は、同時に細く入り組んだ地形で迷路のような構造になっています。簡単に破壊、侵入されないように曲がりくねった路地裏ばかりで構成されていることが分かります。
政治的な拠点としても、山や川に囲まれた生活基盤としてもフェズが栄えるのに時間はかかりませんでした。亡命した知識人も多く、政治や文化を発信する都となりました。今でもイスラム神学校などは当時の建築様式の面影を色濃く残しています。
現代のメディナはほどよいローカルさを感じられるエリアに
現代では車で入ることが出来ず、かつ曲がりくねっているため観光客にとってあまりおすすめ出来ないスポットとして紹介されることもあります。ですが、世界遺産にも登録されているだけはあり、昔の時代の名残を感じることができるのが最大の魅力と言えます。
観光地化においても、入り口である門の周辺に比べて中央の方はより質素でローカルな旧市街の雰囲気を味わうことができます。メディナを隅々まで味わいたいという人はぜひ入り口だけでなく、現地の人が住んでいる地域で買い物をしてみてください。
メディナと新市街のコントラストも鮮やか
メディナはすぐ近くにある新市街とのコントラストが非常に印象的です。日本と変わらないような現代的な建物が並ぶ新市街の、近くにあるのが対照的な旧市街となっています。新市街まではアクセスもよいですし、メディナは旧市街ならではの異国情緒を残しています。
世界遺産であることもあり、メディナでは「全てが便利で快適」という観光を求める人には苦労する点もでてきます。細い通りの人の多さや値札のついてない商品、観光客向けの値段のお土産など新市街との違いを大きく感じられる点も旧市街の特徴と言えます。
その分皮革工場や現地人が通う教会など、メディナの人々のリアルな生活に触れることができるのもメディナならではです。他の名所に比べて観光客向けの客引きなども少なく、現地の市場の雰囲気を楽しみたいという人にもおすすめとなっています。
メディナの生活に垣間見えるロバの活躍
旧市街としての歴史が分かると、不可解で歩きにくい街の構造も面白く感じてくるものです。そんなメディナの街全体を表す、もう1つの見どころとしてロバがあげられます。
メディナで重たいもの、大量のものを運ばなければならないときはいまだに生活の足としてロバが使われています。後述するモロッコの絨毯や雑貨など、観光客相手の商売をする人たちにとっては、日頃から大量にものを輸送する手段がどうしても必要になってきます。
昔の知恵が今も息づいている旧市街
理由はこちらもやはり複雑な街の構造によるものです。車が入れない、大勢の人とすれ違う必要があるなど、人力やテクノロジーに頼ることが難しかったからだと言われています。そもそも最初のメディナが建てられ始めたのが、9世紀ということも大きいです。
フェズのメディナが建てられた当時は車も当然ありませんし、人々は家畜や周りの河川など、地形をうまく利用して生活していく必要がありました。今の人からすると少し不便に感じてしまうことでも、昔の人々の偉大な知恵だったと言えます。
現地の食べ物やお土産など、ものとして持って帰れるものではありませんが、古くからの歴史を紐解くことのできる貴重なチャンスを言えるでしょう。旧市街は新市街と違い、少し不便であることで、より世界遺産らしさが出ておりおすすめされています。
メディナで売り出しているモロッコ雑貨も魅力的
メディナには市場も多くあり、おしゃれなモロッコ雑貨を多く取り揃えています。有名なのはモロッコラグ、ランプ、アルガンオイルやアルガン石鹸などがあげられます。オイルや石鹸などは現地で使うもよし、お土産として持って帰って来るのにもおすすめです。
ラグというのはじゅうたんのことでマットよりも少し大きめのものを指しています。モロッコのラグはそれぞれの地域や宗教を反映させており、それぞれのお店でも独自色があるのが特徴です。世界遺産を楽しむついでに、本格的なお土産を買えるのはありがたいです。
ラグのお値段は7000円ほどなので、気に入ったものがあればこちらも旅の思い出になるでしょう。モロッコ雑貨は日本でもインポート雑貨として扱われるほど、評価が高いです。そんなおしゃれな雑貨の本場を見て楽しめるのもメディナの魅力です。
試される値下げ交渉の腕?
お土産を選ぶときに、気になるのはその値段です。特にアルガンオイルなど観光客向けのものは、観光地値段で売っていることも多くお得感を味わうことは難しいかもしれません。世界遺産の集客力を活かし、強気の値段設定をしているお店もあります。
ですがメディナでは値札をつけていても値下げ交渉が可能なことは多いです。気に入ったからもう少し値段を下げられないか、あるいはセットで3つ買うからここまで下げてくれないかなど、交渉することで安く手に入れることもできます。
フェズのメディナは革製品の本場
フェズのメディナは革製品でも有名です。メディナの中に皮革工場があり、そこから各店舗で直販売しているのが理由です。よい皮が安く手に入るということで、欧米人などはメディナで現地人の生活を覗くとともに、革製品を買って帰るという人が多いです。
皮革工場は人々の生活しているエリアから、かなり離れた場所に位置しています。古来から、皮革工場や精肉加工場など、においの出るものは人々の生活場所から遠ざけて設置されているようです。ここでも過去の知識が活かされていることが分かります。
必然的に、革製品を売っているショップも少し奥まった場所に多いです。門前なども含め、観光客が多い場所では少し高めの値段設定がされています。もしメディナで安く革製品を買いたいのであれば、中心部の方まで来るのがおすすめです。
入り口だけでも見る価値充分
メディナは入り口だけでも見る価値が充分にあるスポットです。上の見出しでも述べたように、歴史のあるメディナは度々外敵に襲われる心配がありました。そのために大きな門を構え、かつ入り口となる場所を極端に少なくすることで、中に住む人たちを守ったのです。
結果的に、メディナはこの構造のおかげで外敵を退けることができました。一方で現代のメディナは観光客のみで行くと確実に迷ってしまうと言われています。見たいところがあったとしても、ガイドなしでは辿り着くことすら難しいのです。
もし旧市街の中に入るためにガイドを雇うのが抵抗あるという人は、入り口の門周りだけでも見てみることをおすすめします。レストランや土産物屋が多いため、旧市街の風景を楽しみながらの買い物、外食ができるのは大きな利点です。
メディナの治安は大丈夫?
メディナひいてはモロッコでは、観光客相手の殺人や強盗などは多い方ではありません。もちろん、日本と比べれば外国では治安に対して気を引き締める必要があります。ですがメディナが旧市街ということで、特別治安の面で危険視されるようなことはありません。
世界遺産にも指定されているため、治安は悪くないと言われています。一方で、観光客相手に写真をとってあげたり、道を教えてあげる対価として賃金をねだる人はよくいます。これはモロッコのみならず、世界中どこでもそうだとも言えます。
注意するべきは軽犯罪
身を守る方法として長財布など人目にさらされるものは使わない、待っているときはバッグを前にかけるなど海外で大切とされていることが、メディナを訪れる際にも大切になってきます。現金をかばんから出して確認するといった行為も避けた方が賢明です。
現地の言葉が喋れない場合断りきれない、あるいは口論となって大きなトラブルを招いてしまうこともありえます。相手からしてみれば勝手知ったる場所なので、観光客として行く場合はスリやちょっとしたチップを要求してくる人への対処は意識しておく必要があります。
メディナに行くならガイドがいた方が安心
メディナを安全に楽しみたいのであれば、ガイドを雇った方が安心です。ガイドの雇い方はそれぞれあります。日本からのツアーに申し込むのも1つでしょうし、現地でツアーに飛び込んでもよいでしょう。ツアーコンダクターとボディガードを兼ねてくれれば安心です。
治安以外でも、入り組んだメディナに詳しいガイドの人がいればありがたいです。もしも個人で行く場合は、タクシーなど現地の運転手に頼むのも1つの方法です。どちらにしろどこかにお金は払うことになりますし、現地の人の方が詳しいことも多いです。
メディナでは現地のルールにも注意
観光客に慣れている現地人であれば、モロッコでの宗教上のペナルティなども教えてくれるでしょう。1人で旧市街に飛び込み、知らない間にローカルルールや宗教的な戒律に反しているということもありえます。治安以外の面にも大きく関わって来ることが分かります。
知らない外国で宗教関係のトラブルに巻き込まれるのは、ぞっとしないのではないでしょうか。メディナでも特に治安が悪いエリアなど、あらかじめ教えてくれる人がそばにいれば、注意してくれるためメディナでトラブルに巻き込まれることも減るでしょう。
また、値札のない商品も旧市街にはよく売っています。売値は交渉次第となりますので観光客、特に言葉が喋れないとハンデになりやすいと言われています。こういった際に代わりに交渉してくれるのも、ガイドを連れて行った方がよい点としてあげられます。
メディナを訪れるのに適した時期
治安や見どころなどメディナの情報について分かったところで、次に気になるのが旅行する時期です。モロッコは非常に気象条件が厳しいことでも有名です。旅行先で倒れてしまうのは誰にとっても避けたいところです。
特にガイドがいない場合、外国での体調不良で旅行自体が台無しになってしまうこともあります。メディナ自体は市街地であり、有名なサハラ砂漠などよりも環境はいくぶん楽だと言われています。おすすめの観光シーズンは3~5月の春と、9~11月の秋です。
モロッコは寒暖の差が強烈
アフリカ大陸ということで何となく暖かいような気がしてしまいますが、モロッコの寒暖の差はとても厳しいです。同じフェズの夏でも40度まで上がることがあれば、15度まで落ち込むこともあります。
季節が夏だからといって夏物しか持っていかないようだと、着いてから気候の変化についていけず、風邪を引いてしまうことにもなりかねません。冬の場合も然りです。あくまでもおすすめの時期はモロッコを「比較的楽に」旅行できるシーズンとなっています。
メディナを訪れる際は服装にも気をつかおう
春秋は日本の冬に入る直前の気候を極端にしたかたちです。急激に冷え込む日が出て来るため、常に防寒具は忘れないようにしましょう。一方夏は紫外線と強烈な暑さが強敵です。露出は抑え、帽子を忘れずに持っていきましょう。
冬の砂漠は遮るものが何もないため、非常に冷え込むと言われています。サハラ砂漠などでは特に、ヒートアイランド現象と逆のことが起きています。そのため、冬は冬で寒いです。メディナがあるマラケシュやフェズの地域は、0度に届くかどうかというところです。
日本人観光客は特に夏場に注意
気候が厳しいということは、メディナを訪れる際の服装にも気をつける必要があります。一般的におすすめされる観光シーズンである春や秋などは重ね着することで、朝晩の寒さや日中の暑さに対応することができるレベルです。
長期休暇が取れるのが夏であることから、日本人観光客が増えるのは夏だと言われています。メディナ以外にもモロッコの名所をまわりたいと思っている人は、現地の人が着用するようなターバンや天然素材の衣服、サングラスなどを着用した方がよいでしょう。
メディナはモロッコ歴史の凝縮
世界遺産にも指定されているモロッコのメディナについて、見どころや治安、歴史などを紹介してきました。世界遺産に指定される建造物は、長い歴史を持っています。せっかく楽しむのであれば、メディナの持っている過去の歴史を知っていた方がお得です。
歴史以外でもモロッコ雑貨や現地の食事や革製品など、メディナには観光客にとっておすすめのものが溢れています。治安など注意点をしっかり確認すれば、楽しい旅行になること間違いなしです。日本とは全く違った異国情緒を楽しんでみてください。
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