磐梯吾妻スカイラインは雪の回廊や紅葉が見どころ！絶景ドライブを満喫しよう

四季折々の素晴らしい景観と、山頂近くの荒涼とした火山荒原。磐梯吾妻スカイラインは、作家の井上靖が命名した「吾妻八景」と呼ばれる絶景のドライブルートとして有名です。紅葉や雪の回廊他、ドライブ沿線では、思わず足を止めずにはいられないおすすめの光景に出会えます。そんな磐梯吾妻スカイラインの見どころをおすすめのルートに沿ってご紹介します。

東北地方の山岳観光道路「磐梯吾妻スカイライン」は、福島県福島市にある高湯温泉郷から吾妻連峰を縦走し、土湯峠までの約29キロの道のりです。一番高い標高は約1600メートルを越え、道路沿いには温泉街や湖沼、湿地、噴火口帯等も見る事が出来ます。他の観光道路とは一線を画す景観の豊かさは「日本の道100選」にも選ばれています。

「磐梯吾妻スカイライン」の通行料金は無料で、大パノラマを眺めながら吾妻連峰を縫うように走る最高のドライブはまるで空を飛んでいるかのようです。ルートの頂上付近には休憩施設の浄土平レストハウスもあり、夏や秋は多くのトレッキング客でも賑わいます。11月中旬から4月上旬までのあいだは冬季閉鎖区間があり、通行できなくなるのでご注意下さい。

「磐梯吾妻スカイライン」が通る吾妻連峰は標高2000メートル級の火山が連なる山脈で、ほぼ全域が磐梯朝日国立公園に含まれています。吾妻山は過去に小規模の水蒸気噴火を繰り返し、近年の地殻変動からの火山性地震や噴気が確認され警戒レベルが1から2に引き上げられていましたが、ここ数年は火山性地震や噴火の兆候も無く、2017年に「レベル1」に引き下げられました。

紅葉の時期のドライブルートは紅葉の見どころと言われる「つばくろ谷」や「天狗の庭」に近い高湯温泉郷からスタートするのがおすすめです。また、吾妻連峰の東側山腹を走る「磐梯吾妻スカイライン」から見る紅葉は、午前中は太陽に照らされて一段と美しく見えるからです。10月上旬から11月上旬まで標高差に準じて山は紅葉していきます。

「磐梯吾妻スカイライン」へ向かうスタート地点には、温泉ファンにはおすすめの開湯約400年の「高湯温泉郷」があります。標高約770メートルの山麓の狭いエリアにはいくつもの自然湧出の源泉があり、辺りは硫黄の香りが漂っています。東北自動車道福島西ICからの16キロとアクセスも良く、「磐梯吾妻スカイライン」の北側の拠点となっています。

高湯温泉郷から九十九折のドライブルートを進んで行けば、左右に蔵王･安達太良連峰が一望できる「白樺の峰」があります。この周囲一帯は白樺(正確にはダケカンバ)の樹海が広がり、紅葉の時期には一面が黄色く色付きます。また、ここは美しい山並み越しには福島の市街地が望めるおすすめの絶景ポイントなのです。駐車場は無いので駐停車する際は気をつけて下さい。

「白樺の峰」からさらに進むと、次は紅葉の名所の一つである不動沢橋「つばくろ谷」です。その息を呑む美しい紅葉を堪能するには午前中の朝日に照らされる時間がおすすめです。また、「つばくろ谷」に架かる不動沢橋は「磐梯吾妻スカイライン」を代表する橋で、紅葉する山並みから福島の街が一望できるおすすめのポイントです。

「つばくろ谷」は標高約1200メートルに位置にあり、そこに架かる不動沢橋は長さ170メートル、高さ84メートルあります。例年10月中旬頃の紅葉シーズンには、赤や黄色の紅葉に埋め尽くされた「つばくろ谷」の谷底を橋の上から見下ろせます。また、不動沢橋の北側にはトイレ休憩にもおすすめの無料休憩所があります。

標高約1400メートルの「天狗の庭」から見る吾妻小富士の斜面は、美しい紅葉が広がり、福島市街地にかけての素晴らしい眺望は誰もが車を停めて眺めたくなるおすすめの紅葉の名所です。この付近は大きな岩が点在し、天狗が遊んだ場所という言い伝えから「天狗の庭」と呼ばれているそうです。「つばくろ谷」から「天狗の庭」へと、絶景の紅葉を見ながらドライブが楽しめます。

この「天狗の庭」の入り口から次々に目に飛び込んでくる鮮やかな紅葉は息を飲むほどです。カメラで撮影するために訪れた観光客も多いため、ルート沿いの駐車場はどこも狭く満車の場合も多いようですが、「つばくろ谷」と「天狗の庭」は「吾妻八景」の見どころの一つです。何とか確保し、ゆっくりと美しい紅葉を堪能して下さい。

「浄土平」は磐梯吾妻スカイラインの中間地点で標高1600メートルに位置する湿原です。吾妻山東部の吾妻小富士や一切経山に囲まれた場所で、火山噴火により生成された火山荒原や湿原の植物や高山植物群落等、様々な植物が見られる自然の宝庫です。特別保護地区に指定されており、ビジターセンターや自然探勝路が整備されて、自然観察や登山が楽しめます。

こちらにある「浄土平レストハウス」では、福島の郷土食を気軽に頂けるフードコートや、吾妻小富士を眺めながら食事が出来るレストラン、そして勿論お土産も取り揃えてあります。4月上旬から11月中旬まで営業しており、ドライブの休憩を兼ねて立ち寄るには最適な場所です。こちらの駐車場の利用料金は二輪車は200円、乗用車は500円です。

「浄土平レストハウス」周辺は、火山帯である浄土平の独特の景観を見る事が出来ます。そんな浄土平の四季折々の景色を楽しむトレッキングのポイントとしても有名で、ドライブついでなら往復約1時間で散策できる「桶沼」などはおすすめです。また、空気が澄んでいて光害も少ないため、近くには天体観測の好適地として天文台が置かれています。

浄土平レストハウスから徒歩で往復1時間程度。「磐梯吾妻スカイライン」を挟んだ浄土平の南に「桶沼展望台」はあります。「桶沼」は浄土平のカルデラ内に新たに生じた火口丘で、その火山跡に水をたたえ、周りは木が茂る独特の景観を持つ沼です。特に新緑や紅葉の時期は青く輝く「桶沼」の水面に樹木が映り込み、神秘的な美しさが漂っています。

「磐梯吾妻スカイライン」の道路標高最高点の標高1622メートルを通過し、急な下り坂のカーブから見えるのは「双竜の辻」です。見どころは磐梯山、安達太良山が左右に見え、天空に住む2頭の竜のように見えることが名前の由来と言われています。駐車スペースは無く、路肩駐車になるので降りられる方は要注意です。

「双竜の辻」からさらに進み、猪苗代湖、秋元湖、小野川湖、桧原湖の四湖が遠望できる「湖見峠」の先には「天風境」があります。見どころは、見渡す限りのブナの樹海と、そこから眺める山に見える幕滝です。駐車場がある見晴らしの良い展望台からは、秋は山の斜面に広がる紅葉の絶景と、夜には遠くに福島の夜景が楽しめます。

磐梯山や、天気のよい日には猪苗代湖等も見える「国見台」は標高1250メートルにあります。展望台には駐車スペースがあり、ここが高湯温泉郷からスタートした「磐梯吾妻スカイライン」の最後の見どころとなっています。「国見台」から10分ほど下ると土湯峠で周辺にはたくさんの温泉場があります。ドライブの後はゆったり温泉を楽しむのもおすすめです。

福島市の麓には桜が咲き始める4月上旬、除雪の終わった「磐梯吾妻スカイライン」の道路脇に雪の壁は出現します。この「雪の回廊」は例年春先からゴールデンウェークまで楽しめるそうです。高いところでは、4メートルにもなり、「雪の回廊」の時期には、道に車を停めてはその高さを見学する人々の姿が見られます。

真っ白なワインディングロードの「雪の回廊」は標高が高くなるにつれ、雪の壁も高くなって行きます。空に向かって走る天空のドライブは「磐梯吾妻スカイライン」の醍醐味で、多くのドライバーが「雪の回廊」を縫うドライブを楽しみに訪れます。春の陽射しの中、キラキラと輝く白い雪の回廊を是非堪能して下さい。

いかがでしたか?吾妻連峰の火山が創り出した地形と自然を楽しめるルートは、「磐梯吾妻スカイライン」の他に「磐梯吾妻レークライン」や「磐梯山ゴールドライン」等があり、紅葉や雪の回廊を含めた四季折々の美しさを是非楽しんで下さい。また、ここは山岳地帯で火山帯である事を忘れずにドライブ前には必ず最新情報を確認して下さい。