黒部渓谷の水平歩道は驚愕の登山道!
ダムで有名な黒部川沿いには水平歩道という名前の登山道も用意されています。人の手によって長く管理、整備されている登山道ではありますが、死と隣り合わせとも言える驚愕の登山道です。
このページでは黒部峡谷にある水平歩道と呼ばれる登山道について、歴史や登山する際の注意点などをまとめました。
上級者ルートや登山道を安全に歩く方法もご紹介!
「水平歩道を歩いてみたい」と思った人の中には、ルートや登山道を安全に歩けるかどうかが行く判断基準になる人もいます。安全を確保してから登るかどうか決めたいという人のために数々の情報を集めています。
上級者ルートや安全に歩く方法を見て、行けると判断して登るもよし、危険と判断して登るのをやめるのも1つの決断です。黒部の水平歩道について少しでも多く知っていただけたら幸いです。
黒部渓谷の水平歩道とは
黒部にある水平歩道は元々関西で供給が不足していた電力をまかなうために黒部ダムに伴うかたちで開発されました。黒部ダムをつくる、その調査のためにつくられたのが最初と言われています。
隣接している日電歩道もあり、黒部峡谷にまつわる登山道として有名です。まず目的と歴史、黒部峡谷の評判を見てみます。
水平歩道が作られた目的と歴史
水平歩道は元々、黒部ダム調査のための道を確保する目的でつくられています。当時は13キロにわたる道を資材をかついで登り、人力で道をつくっていました。
機械などが入ってこれないほどの場所であったことから、水平歩道をつくるための作業は手作業で行われました。素掘りのトンネルなどもその歴史を感じさせます。数多くの驚愕すべき登山ルートが水平歩道にはあり、上級者でも危険と言われています。
滑落事故も発生!「黒部に怪我なし」と言われる危険な登山道
また水平歩道では滑落事故も多く発生しており「黒部に怪我なし」と言われる所以となっています。怪我がなく無事に帰ってこれる安全な場所という意味ではなく、落ちたら怪我では済まない=確実に死ぬ環境から生まれた言葉とされています。事実100m以上落ちて亡くなる人や、滑落後も生きてはいるけど救助がうまく入れずそのまま亡くなる人もいます。
黒部渓谷の水平歩道の開通時期
黒部にある水平歩道の開通時期ですが、こちらは例年9月下旬から10月中旬までです。雪解けしてから関西電力が下請けの会社に依頼し、水平歩道の安全を確認した後に毎年開通します。
そのため雪解けの状況や会社の都合によって、水平歩道の開通時期が遅れることや開通しない年もあります。積雪が深刻で黒部峡谷の登山道が破損してしまっているときなどは開通しません。
黒部渓谷の水平歩道の登山ルート(上級者向け)
ここからは黒部にある水平歩道の登山ルートをまとめています。水平歩道は標高1,000mという高さにはありますが標高が全く変わらない特殊な登山道となっています。
危険であること、エスケープルートがないことから水平歩道の登山ルートはいずれも上級者向けとなっています。上級者であってもしっかりと登山道を確認することが大切です。
黒部峡谷鉄道欅平駅からスタート!
水平歩道の登山は黒部峡谷鉄道の欅平駅からスタートします。欅平駅からスタートといってもそれまでに準備するべきものは数多くあります。
事前に忘れずに準備をし、現地についてから忘れものに気付くことは避けたいものです。後にまとめてある準備や心掛けも参考にしてください。
欅平駅へのアクセス方法
黒部峡谷鉄道の欅平駅へのアクセス方法についてです。宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道の電車に乗り、欅平駅に到着します。
欅平駅までは普通の観光客も多く、特に紅葉の時期は季節を楽しもうとするお客さんで混雑します。水平歩道の開通する期間とも重なるため注意が必要です。
欅平から阿曽原温泉小屋までのコースタイム
欅平から温泉露天風呂がある阿曾原温泉小屋までのコースタイムはおおよそ以下の通りです。温泉小屋では有料での入浴の他、宿泊もできます。
欅平から約50分で水平歩道始・終点の標識、そこから約40分ほどで蜆谷トンネルに到着します。約30分で志合谷、更に約30分で名所とされる大太鼓です。同じくそれぞれ約30分でオリオ谷、折尾ノ大滝に着き最後は約70分で阿曽原温泉小屋に到着します。
水平歩道までの急な登り「しじみ坂」
欅平駅からはしじみ坂と呼ばれる急な登りが待っています。しじみ坂は水平歩道には含まれておらず、水平歩道を通る中で数少ない、標高差が如実に出る地形となっています。
しじみ坂は欅平駅と水平歩道開始地点で400mの標高差があります。スタート地点に立つ前にいきなり関門が待ち構えており上級者向けであることが早くもうかがえます。
道幅はわずか70cm!水平歩道は柵がなく足場も不安定
水平歩道では道幅は70cmや1mあるかないかのところが多いです。水平歩道では柵が存在しないため、滑落の危険性を常に意識する必要があります。
足場もキッチリと整備されているわけではなく、雨が降ったときは特に注意が必要です。1度足を滑らせてしまうと上級者でも後はもう落ちるしかありません。落ちるまでの対策に全力を注ぐことが大切です。
ヘッドライトが必須!折尾谷と志合谷のトンネル
水平歩道では折尾谷や志合谷のようにトンネルが道中に存在します。長さ150mほどですが素掘りのトンネルとなっているため、通過するにはヘッドライトが必須です。
事前の準備にヘッドライトを忘れずに入れておきます。真っ暗なトンネル内では必ず必要となるため、出発前に故障なく動くか確認しておくことも忘れてはいけません。
黒部渓谷の水平歩道を安全に歩く方法と服装
普段登山道に慣れ親しんでいない人にとっては驚愕の情報がいくつもある水平歩道ですが、安全に歩く方法と服装を意識することでその道のりはぐっと楽になります。
ここでは水平歩道に挑む際の具体的な用意についてまとめました。登山経験者であれば当然と思うものが多く、特別な用意が必要というわけではありません。
黒部渓谷の水平歩道を歩くのに適した服装
水平歩道を歩くのに適した服装は基本的に登山と一緒です。登山靴やレインウェアなど一般的な登山をするときと同じような服装で問題ありません。
間違っても軽装で出かけないことは大切です。サンダルやハーフパンツなどの怪我の元になりそうな服装は避けた方が無難と言えます。
黒部渓谷の水平歩道を歩くのに必要な持ち物
水平歩道を歩くときに必要な持ち物ですが、皮手袋にハーネスやスリング、安全環付きのカラビナなどがあげられます。行動食や飲み物もかかせません。ストックなどは後述の針金を伝って歩くことを考えると人によっては邪魔になることもあります。またトンネルを通るときのことを考え、ヘッドライトを忘れずに持っていくことをおすすめします。
黒部渓谷の水平歩道を安全に歩くポイント
水平歩道を安全に歩くポイントについてまとめました。事前の準備をしっかりできれば、後は安全に気をつけた登山をすることで踏破の成功確率はぐっと高くなります。
水平歩道を歩くときは持ち物をできることなら小さい登山バッグに入れておくことがおすすめされています。道幅が狭いことから人とすれ違うときに危険だったり、誰もいない場所でも壁際に引っかけて態勢を崩すことを防ぐためです。
壁に設置された針金を利用する
驚愕の危険性を持つ場所として話題にあがる水平歩道ですが、壁側には針金が設置されています。登山道を歩く際にはこれを利用するのもおすすめです。
しっかりと手袋などを用意し、危ないと思った場所では針金をしっかりつかんで移動することを心がければ滑落の危険性は更に低くなります。
すれ違いに注意する
また水平歩道の登山道では人とのすれ違いに注意する必要があります。谷側に身を寄せる方が圧倒的に危ないため、すれ違いはしっかりと幅の広い場所で行います。
どちらが山側、谷側に身を寄せるかしっかり確認しお互いのからだや持ち物がぶつからないように気を付けることが大切です。高所で70cmの道幅は恐ろしいものです。
危険な場所以外でも気を緩めない
登山では水平歩道に限った話ではありませんが、危険とされる場所以外でも気を緩めないことが肝要です。意外にも高所で危ないとされる場所での事故件数はそれほど多くないと言われています。自分の身の安全を確保するために最大限注意するためです。
事故が起こりやすいのは特別危険そうには見えない場所です。集中力も落ち、傾斜も低い水平歩道ではそんな道にこそ注意が必要です。
時間に余裕をもって計画する
水平歩道を登るときは時間に余裕を持って計画、行動することも大切です。予想されているコースルートをどれくらいの時間でまわれるか、自分の体調や同行者のことも考えてシミュレーションしてみることも大事です。
当日時間がないことに焦って滑落してしまっては元も子もありません。予想外の雨が降っていたり、思うようなタイムで山登りができていないときこそ慎重になるのが理想です。
水平歩道登山は同行者がいるとなおよし
持ち物や服装とは異なりますが、水平歩道の登山時は同行者がいるとなおよいです。自分が気付かない危険なぬかるみや段差に同行者が気付いてくれるかもしれませんし、逆もまた然りです。
1度滑り落ちてしまうと助からないと言われているからこそ、落ちないように最善の策を用意するのが望ましいです。エスケープルート(本来の登山道から分岐した下山のためのルート)が水平歩道にはないことも大きな要素です。
「つい熱が入ってハイペースで歩いてしまった」「帰りの予定を考えるとそわそわして急いでしまう」ときは自分では気が付かないものです。
黒部渓谷の水平歩道でスリル満点の登山を楽しもう!
黒部ダム建設に携わる歴史や「怪我なし」という驚愕のフレーズもありますが、水平歩道は一般人にも開放されている登山道です。しっかりと装備を整えることで、スリル満点の登山が楽しめること間違いなしの場所となっています。温泉小屋でゆっくりと登山の疲れを癒し、怪我なく帰路につくことができればきっと最高の思い出になります。
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