ツツジの名所「甘利山」登山ガイド!
山に育つ可憐な草花を愛でながらの登山は、日常の疲れをリフレッシュさせてくれるひとときではないでしょうか。山梨県の甘利山もそんな登山にぴったりの山です。今回は、ツツジの名所として知られる甘利山の見どころや過去のツツジの開花時期をリサーチ。甘利山の日帰り登山を計画している人のために、甘利山周辺のおすすめスポットやアクセス方法もたっぷりご紹介します。
甘利山ってどんな山?
甘利山は、山梨県韮崎市と南アルプス市の境界にある山です。独立峰ではなく、頂上も南アルプスの支稜である鳳凰山の東斜面に小さなこぶのように存在しているため、遠くからは甘利山の姿を捉えにくいかもしれません。標高は1731mで、戦国時代には武田家家臣の甘利虎泰が甘利山の麓に居館を構えていたことからその名がついたと言われています。
甘利山には15万株ものレンゲツツジが群生しており、レンゲツツジの名所として山梨百名山に選定されています。登山道は山の上の方まで車でアクセスすることができるため初心者でも登山しやすく、レンゲツツジの開花時期には多くの登山客で賑わいます。
甘利山登山のおすすめシーズン
甘利山の山開きは、毎年5月5日に甘利神社で執り行われます。甘利山登山の拠点となる甘利山グリーンロッジも5月1日から営業開始となるので、初めて甘利山を登山するなら5月以降がおすすめです。甘利山登山のベストシーズンは何と言ってもレンゲツツジの開花時期となる6月ですが、ツツジが終わった後もサラサドウダンやヤナギラン、ヤグルマソウにアザミなどたくさんの花が開花し、登山道を彩ります。
甘利山の秋も紅葉の美しい景色が見られるのでおすすめです。紅葉するのは主にカラマツで、ポイントによってはカエデやダケカンバも見られます。甘利山グリーンロッジの営業は10月末で終了となるので、11月以降に甘利山登山を計画するなら万全の装備を。また、甘利山山頂へと向かう県道甘利山公園線は12月から4月末まで冬季通行禁止となり、麓からゲートが閉じられますのでご注意下さい。
甘利山のツツジの開花時期
甘利山にレンゲツツジを見に行く時に気になるのが開花状況です。甘利山では、例年5月末からつぼみがふくらみ始め、6月上旬にはちらほらと開花が始まるようです。開花が始まってからおよそ1週間後には五分咲きに、さらに1週間経つと満開となることが多いです。満開になってからは徐々に散り始め、1週間後には見頃が終わってしまいます。天候にもよりますが、例年6月中旬から下旬にかけてはたくさん開花しているようです。
レンゲツツジの詳しい開花状況は韮崎市観光協会のホームページにリアルタイムでアップされるので、甘利山登山の計画を立てる時はこまめにアクセスしてチェックするのがおすすめです。せっかく行ったのに散り終わっていてがっかりということがないように、レンゲツツジを見に行く人は開花情報を事前にしっかり調べておきましょう。
甘利山に咲いているツツジはレンゲツツジという品種で、街路樹や公園などでよく見かけるツツジとは異なります。レンゲツツジには、花や蜜から茎や葉に至るまで「グラヤノトキシン・ロドジャポニン」という毒が含まれていて、口に入れると痙攣や不整脈などの症状を引き起こします。花を取って蜜を吸うのは絶対に止めましょう。
甘利山の登山ルート
甘利山の登山は山頂までおよそ20分ほどの道のりで、登山道も整備されているので初心者でも気軽に登ることができます。ツツジの群生は登山道のスタート地点となっている甘利山広河原駐車場の周辺から始まっていて山頂まで続きます。登山口から道が二股に分かれていて視界の開けた斜面で合流しますが、左側の道へ行くと眺望の良い斜面を長く歩くコースとなります。
登山道は低木のツツジに囲まれているので山頂までの見通しも良好で、ウッドデッキやロープでしっかり道が造られているので迷う心配もありません。レンゲツツジの開花シーズンには、登山道のあちこちで写真撮影する登山客を見かけます。三脚を使って写真を撮る時は、ウッドデッキとロープの間のすきまに降りて通行の妨げにならないように撮影しましょう。
眺望の良い斜面部分には休憩できるポイントがあり、甲府盆地や遠くの富士山を望むことができる人気の撮影スポットとなっています。なお、第二駐車場の右側にあるスキー場跡地脇にはもう1つの登山ルートがあります。こちらはカラマツ林の間を通る道なので紅葉シーズンにはおすすめのコースです。
甘利山の休憩処「つつじ苑」
甘利山駐車場から登山道を歩き始めた辺りにある「つつじ苑」は、軽食やお土産を取り扱う山小屋です。人気のメニューはソフトクリームで、小腹が空いていたらトーストやおでんもおすすめ。お土産には登山名物の甘利山バッヂが人気です。また、レンゲツツジの開花シーズンには駐車場に屋台のテントも出て盛り上がります。
甘利山から富士山の絶景を眺めよう
甘利山登山口からつつじ苑の左側の道を進むこと5分程で、視界が開けた場所に出ます。そこには東屋があり、甲府盆地や富士山の眺めを楽しめる人気の絶景スポットとなっています。富士山とレンゲツツジのツーショット写真を撮影するのにおすすめのポイントです。とはいえ6月と言えば梅雨の時期。ガスがかかって富士山が見えない日もあります。レンゲツツジの開花時期に加えて梅雨の晴れ間もチェックしなければなりません。
朝日を浴びる富士山と、ほの暗い野原に咲く鮮やかなレンゲツツジの風景も幻想的です。甘利山では、甲府盆地の夜景や星空を撮影する写真愛好家に人気のスポットで、夜でもカメラマンがいることがあります。朝日の富士山を撮影するなら、日の出時刻の1時間前には撮影場所を決めてスタンバイするのがおすすめなのだとか。ちなみに、6月の山梨県の日の出時刻は4時30分前後となっています。
雲海に浮かぶ富士山もまた人気の被写体です。山梨県の甲府盆地は朝晩の気温差が大きく、また湿度も高いことから雲海が発生しやすい土地と言われています。雲海が発生しやすい季節は春や秋で、風がなく晴れた早朝に見られることが多いそうです。満開のレンゲツツジに雲海、そして富士山の3拍子が揃った写真を撮影できた人は幸運です!早朝や夜に甘利山へ入る際は、クマの出没に十分注意しましょう。
甘利山から足を延ばして椹池へ
甘利山山頂から元来た道の左奥にある道を1時間ほど進むと、椹池があります。標高1240mの場所にあり、周囲は森に囲まれた緑豊かな大きな池です。浮島にはレンゲツツジが植樹されていて風情があります。以前椹池の水が干上がった際に、湖底に突き刺さった鉄の剣が見つかったことで話題になったこともあるそうです。
椹池のほとりはキャンプ場になっていて、テントサイトが10区画と炊事場、トイレが整備されています。夏休みにはクラブの合宿や家族連れなどが訪れるのだとか。椹池を拠点に甘利山へ登山すると本格的な登山が楽しめるので、たくさん山歩きをしたい人にはおすすめです。椹池キャンプ場は山梨県韮崎市営で、キャンプ場の管理は椹池の隣にある「白鳳荘」が行っています。
甘利山から千頭星山へ縦走登山もおすすめ
体力や時間に余裕のある人は、千頭星山への縦走登山に挑戦してみてはいかがでしょうか。甘利山山頂から右奥に延びる登山道を進み、奥甘利山の山頂を経由して千頭星山を目指します。奥甘利山の標高は1843mで、奥甘利山山頂からも富士山と甲府盆地の眺望を楽しむことができます。
千頭星山までの道のりは、アップダウンはあるものの登山道は整備されており、歩きやすく道迷いの心配のないコースとなっています。ただし歩行距離は8km以上にもなるので、登山に適した服装や靴で臨みましょう。千頭星山は標高2138mで、頂上はカラマツ林が囲んでいるため眺望はありません。
千頭星山周辺の眺望を楽しみたい人は、山頂からもう少し足を延ばして鳳凰山展望箇所まで行ってみましょう。名前の通り鳳凰三山が一望でき、遠くには八ヶ岳まで見えることもあります。登山道はさらに標高2585mの辻山へと続いていますが、ここから先は大ナジカ峠というキレットのある難所がありますのでご注意下さい。
甘利山へのアクセス方法
甘利山へのアクセスは車が便利です。気軽にレンゲツツジや富士山の景色を楽しみたいなら、甘利山広河原駐車場を目指しましょう。アクセスルートは、中央自動車道韮崎ICから韮崎市街を通り、県道613号線へ入ります。韮崎ICから駐車場までの所要時間はおよそ45分です。このルートでは途中に椹池を通ります。
甘利山登山口へと通じる県道613号線はヘアピンカーブの多い道です。また、ツツジの開花シーズンには駐車場がいっぱいになり、道にもずらりと車が停まっていることもあるそうなので、運転には十分注意しましょう。この道の平均勾配は9.7%、最大勾配は13.5%という激坂で、ヒルクライムの大会も行われています。
韮崎駅発着の韮崎市民バスには「甘利山入口」というバス停があります。こちらは県道12号線と613号線が交差する甘利山入口交差点付近のバス停で、実際の甘利山からは徒歩2時間ほど離れた場所にあります。名前に惑わされないようにしましょう。たくさん歩ける人は、このバス停から歩いて椹池を経由し甘利山へ向かうことも可能です。
甘利山周辺おすすめスポット1【武田乃郷白山温泉】
甘利山登山の後に日帰り温泉で汗を流すなら、「武田乃郷白山温泉」がおすすめです。営業時間は10時から21時までで、定休日は水曜です。料金は大人が600円、3歳以上の子供が400円です。天然温泉は低張性弱アルカリ性高温泉の掛け流しで内湯と露天風呂があり、露天風呂からは八ヶ岳や茅ヶ岳が眺望できます。
武田乃郷白山温泉へのアクセスは、県道613号線を甘利山入口交差点方面へ進み、交差点手前の信号のない交差点で左折します。そのまま川沿いに直進すると左側に武田乃郷白山温泉が見えてきます。隣には「韮崎大村美術館」があります。
住所:山梨県韮崎市神山町鍋山1809-1 電話番号:0551-22-5050
甘利山周辺おすすめスポット2【武田八幡宮】
「武田八幡宮」は韮崎で有名なパワースポットです。創建は822年という歴史のある神社で、武田信玄が再建したといわれる本殿は国の重要文化財に指定されています。また、武田勝頼の夫人が戦勝を祈念して奉納した願文や石鳥居、二ノ鳥居などは山梨県の指定文化財となっています。なお、甲府にある「武田神社」と混同されがちですが、甲府の武田神社は武田家の躑躅ヶ崎館跡を神社にしたものです。
甲斐武田家の氏神として信仰を集めている武田八幡宮では、毎年武田信玄の命日に合わせて「春の信玄公祭り」が行われています。また、秋には例大祭が行われ、多くの人が見守る中での神楽や弓道の奉納は見応えたっぷりです。武田八幡宮へのアクセスは、武田乃郷白山温泉の前の道をさらに直進して県道602号線との交差点で左折すると到着です。
住所:山梨県韮崎市神山町北宮地1185 電話番号:0551-22-1991
甘利山周辺おすすめスポット3【わに塚の桜】
4月に甘利山へ登山するならぜひ立ち寄りたいのが「わに塚の桜」です。推定樹齢300年といわれるエドヒガンザクラで、幹周り3.6m、樹高17mという圧巻の桜は韮崎市の天然記念物に指定されています。ヤマトタケルノミコトの王子の武田王が埋葬された場所という言い伝えから「王仁塚」という名前がついたそうです。アクセスは、武田八幡宮への道を左折せずに直進するとすぐ右側です。
住所:山梨県韮崎市神山町北宮地624
甘利山周辺おすすめグルメ【くうかい】
甘利山周辺のおすすめグルメスポットは「くうかい」です。看板メニューのオリジナルカレーは、小麦粉を使わずに11種類のスパイスと野菜で煮込んだ珍しいカレー。サラダや目玉焼きと一緒にワンプレートになっているので栄養バランスもばっちり。ランチにおすすめのメニューです。辛口も選べて価格は980円です。
営業時間は、平日のランチタイムが11時30分から14時まで。ディナータイムが17時から23時までとなっています。土曜および祝日はランチ営業がなく、営業時間は17時から23時までです。日曜日が定休日となっています。アクセスは、県道613号線を甘利山入口交差点で左折し、次の神山町交差点で右折します。自動車工場を越えた先の左側です。
住所:山梨県韮崎市神山町鍋山343-8 電話番号:0551-23-6161
山梨の甘利山で登山とツツジを楽しもう
山梨県韮崎市のツツジの名所「甘利山」をご紹介しました。6月の開花シーズンはもちろん、富士山の眺望や紅葉など見どころたくさんの甘利山は初心者でも登りやすいおすすめの山です。車でのアクセスも便利なので、山梨のドライブコースに加えてみてはいかがでしょうか。
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