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群馬・アプトの道を歩こう
群馬県安中市にあるアプトの道は、アプト式鉄道の廃線を利用して造り変えた横川駅、熊ノ平駅間の遊歩道で、散策路の途中には6つの橋梁と10本の隧道があり、国の重要文化財である丸山変電所などの名所を見学することができます。ここではそんなアプトの道について、駐車場やハイキングコースなどの情報を取り入れながら紹介します。
群馬・アプトの道へのアクセス
アプトの道へ東京方面から電車でアクセスする場合は、上野駅からJR北陸新幹線長野行きに44分ほど乗車し、高崎駅でJR信越本線横川行きに乗り換え最終駅で下車すれば、計約1時間40分ほどで横川駅に到着します。横川駅からは徒歩約3分でアプトの道の起点である碓氷峠鉄道文化むらにアクセスできます。
アプトの道の起点となる碓氷峠鉄道文化むらへ東京方面から車でアクセスする場合は、関越自動車道から上越自動車道に入り、松井田妙義インターで下車後、一般道を7分ほど走れば目的地にアクセスできます。碓氷峠鉄道文化むらの駐車場には普通車200台とバス5台が駐車できます。
群馬・アプトの道の前身・アプト式鉄道
アプト式鉄道というのは「ラックホイール」と呼ばれる歯車型の車輪と「ラックレール」という歯車型のレールを噛み合わせることにより、一歩ずつ急坂を登っていく鉄道の仕組みで、スイスのローマン・アプト氏によって開発された技術です。
横川ー軽井沢間を信越本線の列車が走っていた頃、日本一の急こう配である碓氷峠を登るためにこのアプト式が取り入れられました。
時速10キロ以下の速度で横川ー軽井沢間を80分もかけて登ったそうです。1968年の新線の開通により、このアプト式の鉄道は廃線となり、現在では遊歩道となっています。
急坂の線路を登る際、列車が落ちないよう通常の2本のレールに加え真ん中にラックレールが敷かれ、列車の最後尾と中央に1台ずつ専用車を連結して、歯車を噛み合わせながらこの坂を押し上げました。
群馬・アプトの道のハイキングコース1:碓氷峠鉄道文化むら
碓氷峠鉄道文化むらは碓氷峠の鉄道の歴史が展示されている資料館で、通称ポッポタウンと呼ばれています。この資料館は「見て、触れて、体験できる」をテーマに平成11年に建造されています。このスポットでは、碓氷峠専用の電気機関車「EF63」の運転が体験できるとともに、「EF62」や「189系あさま号」の運転席に入って機器類に触れることができます。
また、碓氷峠鉄道文化むらでは、廃線利用の道・アプトの道と並行して、文化むらと峠の湯の間をシルバ君と呼ばれるトロッコ列車が走っており、訪れた人たちはこの列車に乗りながら、辺りの景色を楽しむことができます。
この列車は基本的には土日、祝日のみの運転となっています。鉄道文化村の駐車場には普通車220台、バス12台が駐車でき利用者は無料となっています。
鉄道文化むらの営業は3月から10月が9時から17時まで、11月から2月が9時から16時半までとなっており、定休日は毎週火曜日と年末年始の7日間です。また料金は中学生以上が500円、小学生300円、小学生未満の幼児は無料となっています。家族連れや鉄道フアンの多くがこの廃線跡に造られた鉄道文化むらを訪れ、往年の機関車の雰囲気をを楽しんでいます。
群馬・アプトの道のハイキングコース2:碓氷関所跡
碓氷関所跡は廃線利用の道・アプトの道をスタートしてすぐの場所にあるスポットで、1616年に設置された関所の跡です。当時、関所の西門は徳川幕府が、東門は安中藩が管轄しており、国境の関所として機能していました。
江戸幕府は国境の関所を通じて、いわゆる「入り鉄砲と出女」を厳しく取り調べていました。この碓氷関所跡の東門は昭和35年に復元されました。
この関所跡は箱根と並び日本三大関所跡の一つに数えられています。また、平成30年から関所跡の南にある麻荢(あさお)茶屋内に展示室がオープンしています。この付近には小根山森林公園、野鳥の森があり、豊かな自然と触れ合うことができます。
碓氷関所跡には駐車場がありませんが、横川駅には徒歩5分と近いため、20台が駐車できる横川駅前の無料駐車場に駐車します。
群馬・アプトの道のハイキングコース3:麻荢の滝
麻芋(あさお)の滝は碓氷峠鉄道文化むらから少し進んだ場所、アプトの道の西側にある滝で、朝日滝とも呼ばれています。高さ40メートルの断崖から麻の簾(すだれ)を垂らしたような滝のさまから麻芋の滝と名付けられたようです。
この滝は古より山岳信仰の修験場としても有名で、山中には数々の石仏が見られ、登山口には30台が駐車できる無料の駐車場があります。
群馬・アプトの道のハイキングコース4:旧丸山変電所
アプトの道の起点から20分ほど歩いたところの右手に旧丸山変電所があります。この場所はトロッコ列車の中継点・まるやま駅前に位置するスポットとなります。旧丸山変電所は、昭和45年に横川・軽井沢間の電化に伴って造られた施設で、横川サイドの建物は蓄電室、軽井沢サイドの建物が機械室となっています。
旧丸山変電所は当時の鉄道・電気の最先端技術が導入されて造られた建物ですが、昭和38年の新線開通によりその役目を終えています。そして、平成6年には国の重要文化財に指定され、平成12年に復元工事が実施されています。この変電所は年中無休で見学できますが、内部は公開されておらず外観のみの見学となり、駐車場もありません。
群馬・アプトの道のハイキングコース5:峠の湯
旧丸山変電所から更にアプトの道を先に進むと、トロッコ列車の終点でもあるとうげの湯に到着します。とうげの湯には日帰り温泉峠の湯があります。
この温泉のめがね橋をイメージしたアーチをくぐり館内に入ると、1階、2階とも全面ガラス張りとなっており、妙義や霧積の美しい山並を一望できます。無料の駐車場には乗用車100台、バス14台が駐車できます。
峠の湯の1階にはレストランや売店があり、2階には160名以上の利用者が収容できるリラクゼーションルームがあります。温泉は洋風、和風、2つの大浴場と露天風呂、家族風呂などがあり、泉質は弱アルカリの天然温泉です。
営業時間は午前10時から午後9時までで、休館日は第2、第4火曜日です。3時間までの料金が大人600円、子供400円、障害者300円となっています。
群馬・アプトの道のハイキングコース6:くつろぎの郷
峠の湯に隣接したスポットに貸しコテージのくつろぎの郷があります。このくつろぎの郷はフィンランド風ログハウスのコテージで、4名用から8名用まで全7棟、42名が宿泊できます。風呂はシャワーのみですが隣接の峠の湯を利用すれば問題ありません。逆に峠の湯に宿泊施設が無いため、くつろぎの郷に宿泊すればゆったりと過ごすことができます。
4人部屋、6人部屋、8人部屋がそれぞれ平日は14500円、21500円、24500円、休前日、夏休み等は、16500円、24500円、28500円とリーズナブルな価格になっています。くつろぎの郷にはその他にも体験学習宿や人工芝付きの室内多目的運動場があります。これらの施設は有料で、使用する場合は予約が必要となります。
群馬・アプトの道のハイキングコース7:坂本宿
坂本宿は横川駅から徒歩25分、峠の茶屋から徒歩5分ほどのところにある宿場町で、復元された下木戸は江戸側の入口を示しています。碓氷峠の登り口に宿場が必要となり、江戸期の1625年に、住民が中心となり、坂本宿が造成されました。この場所に本陣や脇本陣、馬宿、旅籠、商店などが並び、賑わいを見せました。
坂本宿の中央には用水が流れていましたが、現在では国道の下に埋まっています。坂本宿の奥の方には刎石山(はねいしやま)という山が見えます。700メートル以上に及ぶ宿場町には370件ほどの家屋があったとされ、現在でも当時の屋号が使われ、昔日の面影が残る宿場町となっています。坂本宿はNHKの人気番組「ブラタモリ」でも取り上げられています。
坂本宿の西の終点を示す上木戸付近には坂本八幡宮があります。平安時代後期に建立されたと云われるこの神社は、現在の場所より北東の高台にあったそうですが、この場所から中山道随一の難所である碓氷峠を登ることから、旅の安全祈願のためこの場所に遷されたそうです。この付近には芭蕉の句碑や北原白秋の歌碑もあります。
群馬・アプトの道のハイキングコース8:碓氷湖
碓氷湖は坂本宿からアプトの道を更に碓氷峠の方向に進んだ第2トンネルのそばにある人造湖です。この湖は、1958年に山の土砂災害を防ぐためのダムとして、中尾川と碓氷川の合流地点を堰き止めて建設された湖で、坂本ダムとも呼ばれています。
山と木々に囲まれた湖の眺めは美しく、特に秋も深まった頃には、湖面に映える紅葉の素晴らしいさまを堪能できます。
碓氷湖の周りには遊歩道があり、その途中にはダムを堰き止めている橋やアーチ式のほほえみ橋、ふれあいトンネルなど、見どころの多いスポットが続き、散策する人々を楽しませてくれます。
また、遊歩道を進むと高野辰之氏の作詞による「紅葉」の歌碑があります。湖の周りは20分ほどで1周できます。横川駅から車で10分ほどの碓氷湖には無料の駐車場もあります。
群馬・アプトの道のハイキングコース9:めがね橋
碓氷湖から廃線利用のアプトの道を碓氷峠の方向に10分ほど進んだところにめがね橋があります。めがね橋の正式名称は碓氷第三橋梁と言い、長さ91メートル、高さ31メートルを誇る日本最大の煉瓦造りアーチ橋です。
この橋は明治25年に完成し、アプト式鉄道のハイライト的な存在として脚光を浴びていましたが、昭和38年の新線開通に伴い廃線となりました。
めがね橋は、平成5年には国の重要文化財に指定され、平成13年に廃線を利用した遊歩道「アプトの道」として整備されました。この勇壮でどこか郷愁を誘う橋の上にも遊歩道があり、橋上を歩くことができるようになっています。横川駅から車で10分強のこの橋には、無料の駐車場があり、普通車22台、バス4台ほどが停められます。
群馬・アプトの道のハイキングコース10:トンネル
廃線利用の道・アプトの道の峠の湯付近から熊ノ平までの間には1号トンネルから10号トンネルがあります。碓氷湖付近には2号トンネルがあり、めがね橋は5号トンネルと6号トンネルを結んでいます。トンネルはどれも明治時代に掘られた煉瓦造りのトンネルで、トンネル内は照明があり足元が整備されているため、歩きやすくなっています。
群馬・アプトの道のハイキングコース11:熊ノ平
熊ノ平はめがね橋から車で10分ほど軽井沢方面に進んだ場所にある廃線利用の道・アプトの道の最終地点であり、起点でもあるスポットです。旧熊ノ平駅は、横川と軽井沢を結ぶ中で唯一平坦だった場所で、信越線が単線だった頃に列車の交換が行われたところです。旧熊ノ平駅にあった変電所跡は、シャッターがさび付き窓ガラスが割れ、廃墟と化しています。
旧熊ノ平駅の屋外には単線だった時代の写真が展示されています。また、この場所には逆走事故と崖崩れで遭難した宿舎に住んでいた鉄道員と家族の殉難碑があります。逆走事故は、車両不具合により、停車中だった貨物列車が碓氷峠の急勾配を逆走して乗務員や駅員が数名死亡した悲惨な事故で、殉難碑が当時の事故の大きさを物語っています。
群馬・アプトの道付近のおぎのや
横川駅から徒歩5分ほどの場所にある1885年創業のおぎのやは、「峠の釜めし」として全国的にも良く知られています。横川・軽井沢間が開通してからは、機関車付け替え作業による停車時間内に駅弁を買う人が多く、この線の廃線後も、益子焼の土釜を使用した「峠の釜めし」は、そのユニークな形状も相まって人気が持続しています。
おぎのや本店では600人ほどが収容でき、無料の駐車場には乗用車100台、大型バス20台が駐車可能です。定番である1000円の峠の釜めし以外にも種々の麺類のメニューがあり、昔と変らない手作りの味が人気を集めています。おぎのやは本店の他、ドライブイン横川や横川サービスエリア店など、群馬、長野にまたがり数店の支店が営業しています。
群馬・アプトの道付近の霧積温泉
霧積温泉は群馬と長野の県境にある霧積川の水源近くの山あいに位置する秘湯の温泉です。横川駅から車で北へ走り、勿石山と霧積山を越えて約30分強でアクセスできます。霧積温泉は、軽井沢が発展する前まで避暑地として有名な場所でした。この温泉には、過去には伊東博文や与謝野晶子など数多くの政治家や文化人が訪れています。
霧積温泉は明治43年の山津波により壊滅した後は、金湯館1件のみが営業を続けています。金湯館の象徴とも言うべき水車は樋を伝わる水によって回っており、昔は発電にも利用されたそうです。この宿は森村誠一氏の小説や映画でも知られる「人間の証明」の舞台になった旅館で、山奥の秘湯として隠れフアンの多い温泉です。
金湯館の温泉から湧出する湯の泉質は重炭酸土類を含み、透明無色で肌触りの良い温泉です。この宿の温泉に浸ると、炭酸ガスを含んだ湯の気泡が体にまとわりつき、旅の疲れが癒されます。金湯館は年中無休で営業しており、無料の駐車場があります。また、宿泊者に限りJR横川駅から送迎があります。
群馬・アプトの道をハイキングしよう
アプトの道は、群馬県安中市にある遊歩道で、廃線となった信越本線の横川駅から熊ノ平駅までの約6キロの道が遊歩道として整えられたものです。アプトの道沿いには重要文化財の旧丸山発電所やめがね橋など種々の名所があり見学がてらのハイキングが楽しめます。ここではそんなアプトの道について、駐車場や廃線などの情報を交えながら説明してみました。
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