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台南・祀典武廟を観光しよう
台南中西区にある祀典武廟(すーでんうーみゃお)は中国後漢末期に活躍した三国志でもお馴染みの関羽将軍を祀った寺廟(じびょう)で、関帝朝とも呼ばれています。この寺廟の奥には恋愛の神様として広く知られる月下老人も祀られています。ここではそんな祀典武廟について、アクセスや観光の見所、歴史、月下老人などの情報を交えて紹介します。
台南・祀典武廟へのアクセス
日本の成田から台湾の台南空港へ飛行機でアクセスする場合は、チャイナエアラインなどの直行便を利用すれば4時間ほどで小さな空港・台南国際空港にアクセスできます。台南国際空港から祀典武廟にアクセスするのに最も便利な方法はタクシーによるアクセスです。
台南国際空港から観光名所・祀典武廟までタクシーで約20分ほどでアクセスでき、料金は200元程度とリーズナブルです。ちなみに、2018年11月現在のレートでは、台湾の1元が日本円で3.67円程度ですので、200元は730円前後となります。
台南空港から歴史のある祀典武廟までバスでアクセスする場合は、道路を渡った5番のバス停から台南市バスに乗車し、赤嵌楼(せきかんろう)で下車すればその隣が祀典武廟です。赤嵌楼というのはオランダ人によって築城された有名なお城の旧跡です。バスは18元、日本円で70円前後と安いですが、40分に1本程度と本数が少ないのが難点です。
また、高雄駅から台湾鉄道で台南駅にアクセスする場合は、EASYCARDやiPASSを利用すれば68元のところ61元と、1割も安く乗車できます。高雄駅から台南駅までの所要時間は1時間弱程度となります。台南駅からは徒歩約20分で祀典武廟にアクセスできます。
台南・祀典武廟の歴史
台南は台湾でも最も早く開拓され、国内初の首府が置かれた歴史ある都市で、廟(びょう)の数も1000前後あります。見どころの多い祀典武廟のある中西区は、台南で最も人口が集中している観光の名所で、商店やホテルが立ち並ぶ繁華街です。また、廟の多いことから「衆神の都」とも呼ばれています。
台南の中西区には月下老人を祀る廟も多く、特に、歴史のある大天后宮、祀典武廟、大観音亭、重慶寺の4つの廟は見どころも多く、広く知られています。
赤嵌楼の南側に位置する見どころ満載の観光名所・祀典武廟は、現在ある台湾の武廟の中でも最も古い歴史を持ち、17世紀半ば頃に建てられています。
祀典武廟と大天后宮のある一帯は、かつて鄭成功(ていせいこう)とともに台南へ渡ってきた明王朝の皇族・寧靖王(ねいせいおう)の王府の跡です。
台南・祀典武廟の営業時間
見どころの多い祀典武廟の営業は、早朝の5時から夜の21時までとなっており、1年中無休です。また、拝観料金は無料で、レターセットや線香代の費用も要りません。それで大きなご利益がもらえ、月下老人によって恋愛の悩みを解決してもらえるとなれば、大変親切で有難い廟と言えましょう。
台南・祀典武廟の関羽将軍
観光名所・祀典武廟の武廟に祀られている関羽将軍は、2世紀から3世紀にかけての後漢末期から三国による群雄割拠の時代に、張飛将軍と並び、蜀(しょく)を建国した劉備玄徳(りゅうびげんとく)公の一の家臣として活躍した歴史上でも有名な人物です。
関羽将軍は、百斤の大太刀をふるい、骨に至る大怪我の治療を受けながら将棋を指していたと言われるほどの豪傑で、彼が死んだ時には体に百本もの矢を受けながら、不動の姿で屹立(きつりつ)していたとも伝えられています。
そんな英雄伝説がある一方で、関羽将軍は理財にも秀で、簿記法を発明したことで、商業の神様として台湾の人々から崇敬を受けてきました。見どころに溢れた観光名所・祀典武廟には神格化された関羽将軍が祀られています。
台南・祀典武廟の本殿
台湾で参拝の対象となる場所は廟、宮、寺などで、日本で言う寺社を混ぜ合わせた神仏習合のような施設となります。見どころの多い祀典武廟は、間口こそ狭いですが奥行が長く、廟の中はかなり広く感じられる建物です。門を入り、正面の本殿に進むと、そこには三国志でも知られる関羽将軍を中心に種々の神様が祀られています。
関羽将軍の像は切れ長の目を持ち、武人らしいちょっと怖そうな顔をしています。ここで参拝をしますが、お供えを持っている場合は、まず線香12本を祭壇におきます。祭壇の周りにあるガス式の点火台で線香に火を点けます。
台南・祀典武廟の参拝
参拝する場所は祀典武廟内に6か所ほどあります。まず、天に向かってお参りし、線香に火を点けた後、祭壇前の広場にある天公の香炉に線香3本を立てます。天公とは玉皇大帝(ぎょくこうたいてい)のことで、中国道教における最高神であり、天界または宇宙の支配者です。
天公の次に本殿の関羽将軍に一礼し、線香1本を立てた後、自分の名前と住所を伝えます。その後は、各神様に1本ずつ線香を立て参拝します。
台南・祀典武廟の廟内
観光名所・祀典武廟の本殿には大きな青龍偃月(えんげつ)刀などの刀が飾られていますが、青龍偃月刀というのは三国志演義の中では使われているものの、歴史的に見て、後漢の頃にはその様式の武器は存在しておらず、関羽将軍が使っていたのは普通の大刀と考えられています。
後殿は関羽将軍の祖先や祖父、父親三代が祀られており、三代庁とも呼ばれています。後殿の左側には観音庁があり、観世音菩薩の化身の一つである観音仏祖他、子授けと安産の神・註生娘娘(にゃんにゃん)、福徳正神などが祀られています。観音庁は月老祠の隣にあります。
観光名所・祀典武廟にはその他にも太歳殿や六和堂、西社など、見どころに溢れています。太歳殿には太歳星君が祀られています。太歳は中国の道教に伝わる仮想の惑星を表し、太歳星君はその惑星が神格化されたものです。もともと太歳星君は災いをもたらすと云われる神ですが、その神を祀ることにより、邪を祓い、福を呼ぶと考えられています。
六和堂には、火徳星君、張仙大帝が祀られています。火徳星君は火を司り、火星を象徴する神様で、張仙大帝は子宝の神として崇敬を集めています。
また、西社には戦隊「五文昌」が祀られており、その内の一神・文衛聖帝は関羽将軍の神名です。すべての神様に参拝した後、本殿の奥に進み、月下老人の祠に行きます。
台南・祀典武廟の月下老人
月下老人は本殿の左手奥にある「月老祠」という小さな部屋に祀られている、身長50センチほどの小さな像です。顔立ちこそ柔和ですが、大きなご利益があるともっぱらの評判です。
月下老人は、商売や理財にご利益がある他、恋愛の神様としても知られています。特に、祀典武廟の月下老人は、縁結びのみでなく、片思いの男女の恋の悩みを聞き、解決してくれるという親切な神様だそうです。
面白いのは、月下老人の左サイドに貼られた多くの写真です。この一連の写真にはすべて、ご利益で結ばれたカップルが写っています。
台南・祀典武廟の月下老人への願い事
月下老人は右手に杖、左手に結ばれる男女の名簿を持っているとのこと、お祈りする際には、住所と名前と願い事を心の中でつぶやき、願い事が聞き入れられたかどうかをポエという木片を投げて確認します。
二枚貝のような形のポエは、盛り上がった面が表、平な面が裏となっており、2つのポエを投げて、表と裏が1つずつ出ればOK、両方が表の場合はNO、両方が裏の場合はもう1度投げることができます。
OKが出たら、月下老人の前にある縁粉というピンクの粉と赤い糸をもらい、その2つを備え付けの赤い封筒に入れます。それを香炉の上で右に3度回してから持ち帰り、毎日身に着けて持ち歩くか枕の下に入れておくと願い事が叶うと言われています。
また、神様宛の郵便ポストも設置されており、備え付けの請願カードに願い事を記入し、ガラス瓶に詰め、壁際にある指定の場所に奉納すれば願い事が叶うと言われています。最後に本殿に備えた金紙と呼ばれる赤や黄色の包み紙を炉で燃やしてお祈りは終了となります。参拝に伴う費用はすべて無料で行うことができます。
更に、差し迫った事情を持つ人向けに、速達を送れるポストも用意されており、観光客や参拝者向けに種々の配慮が成されています。
台南・祀典武廟の梅の古木
月下老人の祠の先に進んだ裏手には小さな庭があります。その場所では池に魚が泳ぎ、寧靖王が植えたとされる梅の木があります。真実かどうか定かではありませんが、何か由緒や歴史のありそうな雰囲気を持つ梅の木です。そして出口の扁額を見上げると「大丈夫」と書かれています。この「大丈夫」には危なげなく立派に育つという意味が込められています。
台南・祀典武廟隣の大天后宮
祀典武廟の隣にある大天后宮(ダーティエンホーゴン)は海の守護神であり万能の女神とされる媽祖(まそ)が祀られています。また、台湾最古の歴史を持つ媽祖廟として知られ、見どころの多いこの大天后宮は国家一級古跡にも認定されています。
大天后宮は、元々明朝時代の寧靖王の邸宅であった場所にありますが、寧靖王がこの邸宅を手放した後、清代の1683年に改築され、大天后宮に改められました。
媽祖は海の事故が起きないよう、航海の安全を守る神様とされていますが、願いを叶える力が強かったため、あらゆる願いを叶えてくれる神様としても崇敬されるようになりました。
台南・祀典武廟隣の大天后宮へのアクセス
大天后宮は祀典武廟から100メートルほどの直近にあるため、祀典武廟へのアクセスと同じ方法となります。台南空港からはタクシーを使えば約20分でアクセスできます。
バスでアクセスする場合は、5番のバス停から台南市バスに乗車し、赤嵌楼(せきかんろう)で下車した付近に観光名所・大天后宮があります。電車の場合も、台湾鉄道で高雄駅から台南駅まで行けば、台南駅からは徒歩20分程度でアクセスできます。
永福路と新美街の間に位置する大天后宮は、祀典武廟同様年中無休で、6時から21まで営業しており、拝観料は無料となっています。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の廟内
大天后宮の廟の中に見られる彫刻は当時召し抱えられていた福建の職人によって刻まれており、他の廟では見られない優雅で美しい彫刻が刻まれています。また毎年、農暦の3月23日に媽祖の生誕を祝う祭りが行われ、台湾における重要なイベントの一つになっています。
観光名所・大天后宮には、三川殿、拝殿、正殿、後殿と呼ばれる建築四進があります。三川門の中には「仙女飛天」と呼ばれる木彫りの彫刻があり、三川門を通って廟の中に入ると中央は屋根の無い中庭になっています。両脇には廡廊(ぶろう)という廊下があり、廊下の壁には「節」の字などが書かれた書が掛けられています。
三川門から入り、中庭を抜けたところに拝殿があり、庭を越した先の正殿には媽祖本尊が祀られています。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の正殿
正殿には金色の華やかな祭壇があり、著名な彫刻家によって300年以上も前に刻まれた大きな媽祖像があります。また祭壇の周りにも見事な彫刻が施されています。
媽祖の両脇には「千里眼」と「順風耳」が控えています。もともとこの二人は悪人でしたが、媽祖の感化を受けて更生したそうです。千里眼は千里の先まで見通せる眼力と鋭敏な聴力で媽祖を助けます。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の拝殿
見どころの多い大天后宮の拝殿には1685年に造られた康熙帝(こうきてい)統治時代の石版があります。拝殿は台湾国内でも最大の巻棚式の屋根を備え、建物には龍柱はじめ、石彫りや木彫りの彫刻に溢れ、色絵や廟内にある数多くの文化財は、いずれも芸術的な価値の高いものばかりです。
拝殿には、その他にも100以上の扁額があり、全国最多の数を誇っています。また、日本でも良く知られる月下老人の像も拝殿にあり、多くの参拝者が訪れます。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の三川殿と後殿
観光名所・大天后宮の三川殿では壁や梁(はり)に施された美しい媽祖はじめ、龍など、伝説上の生物の彫刻が見どころの一つとなっています。
後殿は正殿の奥にあります。かつて寧靖王の寝室であった美しい後殿には、媽祖の両親が祀られています。天井には、皇帝とともに自害した側室5人が首を吊ったと言われる梁が残されています。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の参拝
大天后宮で参拝するには、まず受付で許願文に氏名、生年月日、住所などを記入してからお参りを始めます。この廟は府城四大月老の一つとしても有名で、ご利益が大きいと言われるお墨付きの月下老人が拝殿に祀られています。
参拝のやり方は祀典武廟の場合と同じです。まず線香を購入してから正殿に入り、守護神の媽祖の前で自分の名前、生年月日、住所、そして願い事を心の中で言います。その後線香を掲げて3回礼をします。他の神様にも同様の参拝をします。
台南・祀典武廟隣の大天后宮の月下老人
拝殿には月下老人が鎮座していますので、赤い半月型の木片・ポエを両手に挟み、自己紹介をした後に好きな相手とうまく行くように、また素敵な出会いがあるように心の中で願います。その後、木片・ポエを投げ、表と裏が3回連続で出ればOKとなります。何度投げても構わないようですが、確率的には祀典武廟の場合よりむずかしそうです。
それが終わったあとで、箱に入った赤い糸を1本抜き、香炉の煙の上で右に3度回し、それを身に着けて月下老人へのお願い事が終了します。実際にこのお願い事によって良縁に恵まれた人が多いそうです。
台南・祀典武廟隣で参拝しよう
祀典武廟は台湾の台南中西区にある廟で、商売や理財にご利益が大きいと言われる関羽将軍が祀られています。この廟には日本でも良く知られる恋愛の神様・月下老人が鎮座し、多くの人々が訪れます。ここではそんな祀典武廟について、アクセスや歴史、観光の見どころ、月下老人などの情報を取り入れながら説明してみました。
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