アレクサンドリア図書館があるエジプトってどんな国?
アレクサンドリア図書館はエジプトに位置していた巨大な図書館でした。歴史の中で何回も襲撃や盗難に会い、過酷な出来事も多かったとされています。
まずはアレクサンドリア図書館があるエジプトという国について、簡単な事柄やおすすめポイントをまとめました。私たち日本人にはあまり馴染みのないエジプトという国はどんなところなのでしょうか。アレクサンドリアは観光におすすめかも気になります。
エジプトには四季がある
エジプトは博物館や美術館など、歴史的な建造物でも有名です。そんなエジプトも実は日本と同じように四季を持っています。日本と同じくらいの暑さで夏は最高気温が35度くらいまであがります。もっと暑いようなイメージを持っている人も多いでしょう。
暑いイメージがあるエジプトですが、気温で見るとそうでもないことが分かります。対して冬は1番気温が落ち込む冬でも最高気温19度、最低気温は9度となっています。これは首都カイロでの平均気温ですが、冬でもかなり暖かいことが分かります。
エジプトには日本と同じように四季がありますが、その四季は日本よりも穏やかと言えます。四季に慣れている日本人にはおすすめできるスポットでしょう。もちろん天候の過酷さを示すのは気温だけではないため、旅行先での注意は必要です。
エジプトでは雨がほぼ降らない
そんなエジプトも、実は雨がほとんど降りません。日本人の我々のイメージに直結する「暑そう」な感じはここから来ているのかもしれません。1年間の降水日数は10-15日ほどと言われています。
日本で1番降水日数の多い秋田県が177日、1番少ない山梨県でも82日あることを考えると驚異的です。砂漠地帯になる理由の1つにこの降水日数、ひいては降水量が関係していることは言うまでもありません。
ピラミッドはこんな都会にあったの?
エジプトと言えばピラミッドというほど、世界的に有名なピラミッドですがこのピラミッドも実は首都カイロからほど近くにあります。車でなんと30分の距離にあるため、カイロに腰を落ち着けて観光したい人にもおすすめのスポットとなっています。
ピラミッドの写真などをネットで見ると、田舎にありそうに感じてしまいますが実はアクセスのよい土地にありました。意外にも思えますが、そもそもピラミッド周辺が古代文明が栄えるに相応しい環境だったことを考えると腑に落ちます。
歴史の観点からもピラミッドが建てられたのは遥か昔のため、当時のエジプト文明人達は現代人の先輩にあたります。彼ら古代人が文明を築いた場所を、人類が代々受け継いでいったと考えれば特別不思議なことではないのかもしれません。
ナイル川のピンチ!
エジプトと言えばピラミッドに次いで話題にあがることの多いのがナイル川です。アフリカでも最大級の河川であり、その知名度も抜群です。そんなナイル川ですが、ナイル川の上流にエチオピアがダムをつくったことも大きな話題になりました。
もちろん自国内にダムをつくることは法律的には問題ではありませんが、ナイル川はエジプトの人達の生活にも深く根付いています。エジプトで使われる水の99%はナイル川からの供給ということで、エジプト住民のライフラインとなっています。
そんな生活に必須の水を他国に抑えられたらたまりません。エジプトと聞くとアレクサンドリア図書館のみならず、ピラミッドや博物館、ナイル川などの名所もあいまって地理的に豊かなイメージがあります。ですが現実的な問題も抱えています。
アレクサンドリア図書館がある街「アレクサンドリア」の街の魅力
今回のメインテーマとなっているアレクサンドリア図書館がある街「アレクサンドリア」はどんな街なのでしょうか。「アレクサンドリア」という名前に聞き覚えがある人は多いかもしれませんが、ハッキリといつどこに建造された都市なのか答えられる人は少ないです。
アレクサンドリアは紀元前332年に当時のアレクサンドロス大王によって建てられました。アレクサンドロス大王も歴史的に非常に有名で、全世界各地に彼の名前にあやかった地名や人命が多くつけられています。英語のアレックスなどもそうです。
アレクサンドロス大王が実行支配をしていたのはごく短期間で、大王の死後支配権を執ったプトレマイオスによって大きく繁栄したと言われています。表記の揺れでアレクサンダー大王と呼ばれることもありますが、同じ人物を指しています。
地中海の真珠とも呼ばれるおすすめの街
アレクサンドリアは地中海の真珠とも呼ばれる街で、古代の時代について詳しく知れる博物館などもあり観光客が訪れるのにはおすすめの街です。カイロに続いてエジプト第二位の経済都市とされており、地中海貿易で栄えました。
一方で学術都市としての一面も持ち合わせており、紀元前の時代からここアレクサンドリアに根を降ろして研究した著名な学者は多くいたと言われています。あの有名なアルキメデスもアレクサンドリアで研究をしていました。
博物館も併設されている新アレクサンドリア図書館
アレクサンドリアには2001年にオープンした新アレクサンドリア図書館があります。こちらの博物館は古代時代のアレクサンドリア図書館をイメージしてつくられており、博物館も併設されており観光にもおすすめです。
こちらは我々がイメージする図書館とほぼ同じですが、博物館があったり無料のツアーガイドがついたりと観光名所であることをアピールしています。古代文明時代の古文書を集めた古文書博物館などがあることも見逃せないおすすめポイントです。
アレクサンドリア図書館とは?
アレクサンドリア図書館は古代でも最大、最高レベルの図書館だったと言われています。アレクサンドロス大王の名前をとったアレクサンドリア図書館は、前述のプトレマイオス1世によって設立されました。
多くの思想書や学術書がおさめられており、その数は70万から80万巻であったと言われています。当時はまだ現在のような本が一般的ではなかったため、ほとんどが本ではなく巻物のかたちで保管されていました。
世界の歴史でも最も古く最高レベルの叡智集積場所
最古であり最高レベルであったアレクサンドリア図書館は、同時に手荒い手段で情報を集めていたとも言われています。まだ法整備が現在のようにしっかりしていなかった当時、船にまとめられていた当時の本を無理矢理奪い、写本していたとも言われています。
当時のプトレマイオス1世が学術に対して非常に興味を持っていたため、アレクサンドリア図書館の発展もめざましく、また強権的であったと言われています。
ですが基本的には世界中から集められた本に対して対価となる賃金を支払っており、学術研究の発展に大いに寄与しています。アレクサンドリア図書館にしかなかった本、情報は多大で歴史の中で失われたことを嘆く人は大勢います。
アレクサンドリア図書館があるエリアの歴史とは?
アレクサンドリア図書館の歴史はどこから始まったのでしょうか。街としてのアレクサンドリアは当時世界一栄えていたとも言われており、特にオリエント文化の中では圧巻の一言でした。
アレクサンドリア図書館に隣接するかたちで建っていたムセイオンと呼ばれる学術研究所もあったため、学問に興味のある人たちにとっては望ましい環境だったと言われています。
マケドニアのアレクサンドロス大王が征服したのが歴史のスタート
このページの最初の方でも少し触れたとおり、アレクサンドリア地域はアレクサンドロス大王が征服してからその歴史が始まりました。アレクサンドリアは当時から今に続くまでずっと港湾都市としての側面がありました。
港湾都市であったことで、当時このアレクサンドリア港によった船は全部積み荷を検査されたと言います。歴史的、学術的に価値のあるものは指示によって複写されてアレクサンドリア図書館内に保存されました。
船によって世界中の情報を効率的に集め、権力者の指示によって保存が急速に進められたことでアレクサンドリア図書館は当時随一の情報量を持つ巨大図書館にまでのぼりつめたとされています。発展するのによい環境が揃っていました。
アレクサンドリア図書館ではどうやって本を保存していた?
最古の図書館と評されることが多いアレクサンドリア図書館ですが、当時から本はあったのでしょうか。学術や文献書が発達していない紀元前300年の時代に、本があることは想像しにくいです。事実、当時は明確には本は存在しませんでした。
どうやって書物を保存していたかというと、パピルスと呼ばれる植物を加工してその上に文字を書いていました。パピルスは紙の大先輩とも言えるもので、英語のペーパーもここからきています。
当時は高級品だった
パピルスはその当時加工にとても時間がかかる上、1枚1枚手でつくらなければならなかったといわれています。すべての工程が終わるまでに2週間ほど要することもあって、古代では高級品であることが分かっています。
パピルスは日本名をカミガヤツリといいますが、あまり聞きなじみがない名前となっています。歴史映画や漫画、ゲームなどでパピルスという名前を目にする方が多いでしょう。古代のイメージがありますが、今でもヨーロッパではパピルスの製造や栽培が行われています。
全ての本の先祖とも考えられるこのパピルスですが、古代エジプト時代の製法を復元し確立させたのは20世紀に入ってからのことでした。アレクサンドリア図書館ではこのパピルスを使いつつも、現在の本とは違う巻物というかたちで書物を保存していました。
アレクサンドリア図書館が有名になった逸話
アレクサンドリア図書館が有名になった理由の1つに、かつての名だたる学者たちがこの図書館で研究していたということがあります。先述のアルキメデスもそうですし、ユークリッド幾何学で有名なエウクレイデス、プトレマイオスやエラトステネスなどもそうでした。
プトレマイオスは天動説を唱えた人物として有名ですし、エラトステネスは地球の直径を計測した人物として知られています。もちろん時代はそれぞれ違うため、一緒に研究していたわけではありません。
ですが後世にも名を残すような大人物がみなこの図書館で研究していたというのは驚くべきことです。世界的に文明は発達していない時代だったため、まさに人類史に残るような研究がここアレクサンドリア図書館では行われていたことが分かります。
偉人たちが集まったアレクサンドリア!
そんな驚くべき天才たちが研究の場所としていたアレクサンドリア図書館は、当時の王朝の庇護の元にありました。船の積み荷を余すことなくチェックして書物を集めたり、図書館に併設された研究機関のムセイオンがここで生きてきます。
各地からの情報を素早く集め、研究できる上研究機関へのアクセスも抜群でした。その結果アレクサンドリア図書館を初めとした地域は栄華を極めようとしていました。プトレマイオス1世の本気ぶりが見て取れます。
アレクサンドリア図書館は焼失したこともある
そんな華々しい歴史を持っているアレクサンドリア図書館ですが、焼失したこともあります。紀元前の遥か昔から争いは絶えず、アレクサンドリア図書館にも幾度となく襲撃の手が伸びました。
正確な回数はわからないものの、焼失した文献が多いことから図書館への攻撃も苛烈だったことが分かっています。常に闘争や戦争と隣り合わせの歴史だったため、安定していた時代の方がむしろ短かったというべきでしょう。
最終的にアレクサンドリア図書館は跡形もなく焼失してしまいます。博物館もある新アレクサンドリア図書館はこういった歴史から、観光のおすすめスポットとして大々的に建て直したまったく別の建造物となっています。
図書館にある貴重な本が燃えてしまったのが残念
そんな歴史の最中、残念なことにアレクサンドリア図書館は完全に失われてしまいます。具体的には図書館自体が火に焼かれてしまいました。パピルスでできていた当時の巻物は燃えやすく、また火事に対する対策も今の図書館とはもちろん比べ物になりません。
この火攻めによって失われた文献も多いといわれています。失われたユークリッドの幾何学原論のように、その原本があれば科学技術は今よりも数百年早く発展したと予測されています。
焼失してしまった原因とは?
燃えてしまった直接の原因にも所説ありますが、最も有力視されているのはキリスト教徒による侵攻です。紀元前のプトレマイオス王朝時代にもカエサルによって図書館の一部が損傷したようですが、後のローマ帝国によって多くが復元されました。
この時点で書物が失われる危険性をローマ帝国は知っていましたし、同時にアレクサンドリア図書館がどれだけ価値のあるものか理解していました。ローマ帝国の元でも、アレクサンドリア図書館とムセイオンは発展を続けていました。
しかしキリスト教の普及に伴い、5世紀には虐殺が行われています。ゲルマン民族のキリスト教徒によってアレクサンドリアの周辺でも虐殺は起こり、このときに図書館は焼け落ちてしまいました。これにより科学技術の発展は最低でも500年は遅れたとみられています。
謎に包まれている部分も多いアレクサンドリア図書館に行ってみたくなりませんか?
エジプトのアレクサンドリアにあるアレクサンドリア図書館についてまとめてきました。新アレクサンドリア図書館の方には博物館も併設され、当時の情報をより詳しく知ることができるようになっておりおすすめです。
残念ながら古代エジプト時代のアレクサンドリア図書館は影も形もなく破壊されてしまいましたが、今でもその片鱗を知ることはできます。むしろ少し隠されていることが、アレクサンドリア図書館をより魅力的にしているのかもしれません。
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