愛鷹山は初心者にもおすすめのハイキングスポット！ルートや駐車場情報は？

静岡には自然を満喫できるハイキングスポットがたくさんあります。富士山を間近に望む愛鷹山もその一つ。今回は、静岡にある愛鷹山の見どころや初心者にもおすすめのハイキングルートをご紹介します。登山口周辺の駐車場やアクセス情報など、愛鷹山ハイキングを計画している人はぜひチェックを。

愛鷹山は静岡県の東部、富士山の南隣に位置しています。一般的に愛鷹山というと、いくつもの山がまとまった愛鷹山塊を指すことが多いです。

愛鷹山は日本二百名山の一つで、高山植物や紅葉などの自然を満喫できるハイキングルートがたくさんあり、多くの登山客が訪れています。

ちなみに、お正月の初夢の「一富士二鷹三なすび」は、静岡にある高いものを3つ挙げた言葉という説があるそうです。この2番目に挙げられた「鷹」というのが愛鷹山を指していると言われており、古くから愛鷹山が人々に親しまれてきた山であったことがうかがえます。

愛鷹山塊には全部で9個の山が含まれます。愛鷹山塊の南側に位置するのは、その名を冠した「愛鷹山」です。愛鷹山の標高は1187.5mで、他の愛鷹山塊の山と比べると裾野が大きく広がっていて勾配は緩やかです。

愛鷹山は、かつては「足高山」と表記されていました。そこで、富士山を中心とした静岡の足高山、山梨県の足和田山、箱根の足柄山の3峰は「富士三脚」と呼ばれています。

越前岳は、愛鷹山塊の北西に位置する山です。標高は1504.2mと愛鷹山塊の中では最高峰です。静岡の景勝地として人気の三保の松原からは駿河湾越しに愛鷹山塊が見えますが、越前岳はその一番左側にあります。

越前岳は愛鷹山塊の中でも富士山の眺望が良いことからハイキングに人気があります。登山道もよく整備されています。

愛鷹山塊の北端に位置しているのは黒岳です。標高は1087mで、愛鷹山塊の中では最も富士山に近い山です。富士山を間近に見ながらのハイキングは人気があり、麓から山頂までの距離も短いので初心者にもおすすめの山です。

愛鷹山塊は、大昔に火山活動をしていた成層火山です。その最後の噴火はおよそ10万年前のことで、その際に黒岳の溶岩ドームができたと言われています。

位牌岳は、愛鷹山塊のほぼ中心に位置する山です。標高は1458mで、愛鷹山塊の中で2番目に高い山となっています。位牌岳はその立地と標高から、登山中級者から上級者に好まれる山です。

ちなみに位牌岳という名前は、古代富士王朝の王が葬られた山であることからつけられたそうです。位牌岳の名前の由来は、古史四書の一つ「宮下文書」に記録されているそうです。

愛鷹山は四季を通じて登山が楽しめますが、冬は気温がマイナスになり所によっては積雪もみられるため、初心者がハイキングするには5月から10月頃がおすすめです。

5月下旬から6月にかけては、愛鷹山固有のアシタカツツジの花が見頃を迎えます。アシタカツツジはツツジの中では最大種で、樹高が6mから7mにもなります。アシタカツツジは静岡県裾野市の天然記念物にも指定されています。

5月頃にはアシタカツツジの他に、アセビやミツバツツジが見頃となります。夏にはヤマボウシ、トリカブト、アキノキリンソウなどの高山植物がハイキングルートを彩ります。

秋のハイキングの楽しみと言えば紅葉です。愛鷹山でももちろん紅葉の中のハイキングを楽しむことができます。愛鷹山の紅葉シーズンは、おおむね10月下旬から11月中旬頃となっています。

紅葉が見頃となる秋は日が暮れるのが早くなるため、愛鷹山へ紅葉狩りに行く時は朝からハイキングを始められるように出発しましょう。遅い時間から登山を始めると、下山時に道迷いの危険があります。

愛鷹山は多彩なハイキングコースが選べて、初心者から上級者まで楽しめる山です。愛鷹山のハイキングコースには、あちこちに見どころもあり登山者を飽きさせません。

緩やかな裾野が広がる愛鷹山の南側には、ファミリーに人気のキャンプ場や広々とした公園があります。長泉町森林公園から愛鷹山を登っていくと、標高846mの地点に「池ノ平展望公園」があります。

池ノ平展望公園には方位盤と30倍望遠鏡が設置されていて、愛鷹山の南側の眺望をたっぷり楽しむことができます。遠くには駿河湾や伊豆半島の絶景が広がります。芝生やベンチもあるのでお弁当を食べるのにおすすめです。

池ノ平展望公園から桃沢に沿ってハイキングコースを進むと、一条の滝が見えてきます。これは「つるべ落としの滝」と呼ばれ、愛鷹山で有名なスポットの一つです。

つるべ落としの滝は落差20mの滝です。雨の少ない季節には滝の水がなくなり流れなくなることから「幻の滝」との異名を持っています。紅葉シーズンには、つるべ落としの滝や桃沢に赤い紅葉が舞い散って美しい光景が見られます。

越前岳の南側ハイキングルート上にある「馬の背見晴台」は、標高1100m付近からの眺望が楽しめる展望台です。馬の背見晴台からは、富士山の頂上から裾野まで遮るもののない絶景が見られます。

馬の背見晴台にはテーブルと椅子が置かれているので、景色を楽しむだけでなくお弁当を食べたり写真を撮ったりするなどハイキングの休憩にもおすすめです。

越前岳の北東にある黒岳も富士山の眺望を楽しむおすすめスポットです。黒岳の山頂付近は平坦になっていて、山頂の手前に「黒岳展望広場」が設けられています。標高は1070mほどです。

黒岳展望広場からは、愛鷹山の麓の集落から富士山の裾野、そして富士山の全容という壮大なスケールの景色が見られます。紅葉シーズンは、紅葉越しの富士山の写真を撮影できる人気の場所となっています。

愛鷹山塊の愛鷹山の頂上には、愛鷹明神と呼ばれる神社が祀られています。創建は奈良時代とも言われる歴史の長い神社で、桃沢神社というのが正式な名称です。山頂にあるのが奥宮、1合目に中宮、麓に下宮があります。

愛鷹明神は馬を愛でる神と言われていて、平安時代には源頼朝公が富士の巻狩りに際して駿馬99頭を奉納したという言い伝えも残っています。

愛鷹山のハイキングルートには分岐がたくさんあり、体力や難易度に応じて様々なコース取りが可能です。登山口も色々な場所にあるので、往路と復路で別々の登山口を利用することもできます。

愛鷹登山口は、愛鷹山の北東、黒岳の東側にあります。国道469号線に「愛鷹登山口」というバス停があり、マイカーでなくてもアクセスが便利です。

愛鷹登山口バス停から看板に沿って進むと「山神社」があります。この鳥居をくぐると本格的な山道となり、いよいよハイキングのスタートとなります。

山神社の鳥居から右へ進むと黒岳や越前岳方面、左へ進むと呼子岳や鋸岳方面です。山神社から黒岳へはおよそ65分、越前岳へはおよそ1時間30分の道のりです。黒岳方面のルートは特に難しい箇所はなく、登山初心者におすすめです。

愛鷹登山口周辺の駐車場は、山神社の前に40台の無料駐車場があります。駐車場内には簡易トイレもあります。

山神社前の無料駐車場へのアクセスは、東名高速道路「裾野IC」から富士方面へ進み、「下和田」交差点を右折して県道24号線経由で国道469号線へ入ります。愛鷹登山口バス停から登山口の案内板に従って進むと駐車場があります。

十里木高原は、富士サファリパークや富士山こどもの国といった静岡の人気観光地のそばにある登山口です。十里木高原は愛鷹登山口と同様、国道469号線沿いにあってバスも運行しています。

十里木高原からは越前岳が最も近い山となります。ハイキングルートのほとんどの場所から富士山を眺めることができ、眺望を楽しみながら飽きずに登山が楽しめます。

ルート上は難所はないので初心者やファミリーに人気です。また、越前岳山頂付近にはアシタカツツジの群生が見られ、見頃となる5月から6月にはたくさんの登山客で賑わいます。

十里木高原から越前岳まではおよそ2時間の道のりです。越前岳からさらに尾根伝いにおよそ50分進むと呼子岳へ行くこともできます。

また、バスを利用する人は、十里木高原から越前岳を登り、富士見峠を経由して黒岳へと縦走して愛鷹登山口へ下山するというルートも可能です。

十里木高原の駐車場は国道469号線沿いにあります。駐車場には38台収容でき、料金は無料です。駐車場内にはトイレもあります。

周辺には観光施設が多いこともあり、登山客以外も駐車することがあります。十里木高原からハイキングをスタートする場合には、駐車場へ早めに到着できるようにするのがおすすめです。

「勢子辻登山口」は、越前岳の西側から登るルートの起点になります。周辺に駐車場はなく、アクセスはバスまたは富士宮駅から徒歩となります。

勢子辻からの登山ルートは標識や案内板はあるものの、一部がやや荒れた道となっています。また、ロープ場もあるので初心者は注意が必要です。

勢子辻登山口の近くには、地元の人や登山客に人気のそば屋さん「たぬき」があります。静岡産の桜海老をたっぷり使ったかき揚げの天ぷらそばが人気です。また、鴨にこだわった鴨南蛮もおすすめ。

営業時間は11時から17時までで、毎週金曜と第3木曜が定休日です。愛鷹山ハイキングの帰りに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

つるべ落としの滝を見るなら、愛鷹山の南東にある長泉町森林公園からハイキングを出発するのがおすすめです。このルートは位牌岳に登るのに最も近いルートです。視界が開けた場所からは駿河湾が一望でき、登山の疲れも吹き飛びます。

森林公園を出発しておよそ30分で池ノ平に到着し、そこから山道を進むとつるべ落としの滝です。つるべ落としの滝からは直接位牌岳へと続く道がないので、一旦池ノ平付近まで引き返してハイキングルートへ戻ることになります。

池ノ平から位牌岳まではおよそ2時間30分の道のりです。休憩を含めるとさらに時間を要するので、明るいうちに森林公園へ下山できるように時間に余裕を持って行動しましょう。

長泉町森林公園の駐車場は、50台と広々した無料の駐車場です。駐車場内にはトイレもあります。東名高速道路「長泉沼津」ICから県道87号線のあしたか広域公園方面へ進み、富士エースゴルフクラブ倶楽部の脇を通ると駐車場へアクセスできます。駐車場付近の道路にはゲートがあり、8時から17時まで通行できます。

長泉町森林公園の近くにはもう一つ登山口があります。地元で親しまれている「水神社」で、ここからつるべ落としの滝を見ながら位牌岳へ登ることも可能ですが、西へ進みコルを通って愛鷹山山頂へ向かうのがおすすめのルートです。

水神社からはしばらく林道を通り、桃沢橋を渡って一服峠への分岐を経ると次第に勾配が大きくなってきます。水神社から愛鷹山山頂までの所要時間は早くて2時間です。一部崩落個所があるので、注意して登山しましょう。

水神社の駐車場には登山客も駐車できますが、水神社で祭事がある時には使用できない場合があるので注意が必要です。

収容台数は10台程度で、区画が分かれていないためなるべく詰めて駐車するようにしましょう。なお、トイレはありません。

初心者やファミリーに人気の愛鷹山ですが、愛鷹山は熊の生息地となっているため注意が必要です。特に早朝や夕方の目撃情報が多いため、出発が早すぎたり下山が遅くなってしまったりということがないように、時間に余裕を持った登山計画をしましょう。

また、食べ物を落としたままにしてしまうと熊が拾いに来てしまうため、お弁当や行動食のごみはきちんと持ち帰るように心がけましょう。

静岡県の愛鷹山のハイキングルートをご紹介しました。9つの山が連なった愛鷹山は、多彩なハイキングプランが組めて登山初心者から上級者まで楽しめる山です。間近に見える富士山や駿河湾の絶景、そして季節の草花や紅葉を堪能しながら自然に親しむ愛鷹山ハイキングへ出掛けてみてはいかがでしょうか。