ミシシッピ州を観光するなら？旅行前に治安やおすすめスポットをチェック！

アメリカ南部に位置するミシシッピ州には、想像を掻き立てる史跡の数々、ブルースやロックンロール、カントリーといった音楽遺産、そして滔々と流れるミシシッピ川に身体だけでなく魂をも奪われてしまうという魅力溢れる州です。ここではミシシッピ州を旅行の際に便利な、ミシシッピ州の基本情報とおすすめスポットなどをお届けします。

ミシシッピ州は、北にテネシー州、東にアラバマ州、南にルイジアナ州、そして西にミシシッピ川を越えてルイジアナ州及びアーカンソー州と隣接しています。

ミシシッピ川沿いを中心に広がる肥沃な平原一帯は、周辺と隣接する州とともに一年を通して高温低湿の温暖な天候に恵まれており、日本の沖縄に近い気温といえます。ミシシッピ州で雪が降ることや気温が氷点下になることは滅多にありません。

ニューヨークやロスアンジェルス、シカゴといった日本でも馴染みのある都市と違って、ミシシッピ州にある主要都市は日本ではあまり知られていません。

ミシシッピ州最大の都市は、人口約17万人のジャクソンで、かつミシシッピ州の州都です。日本の平均的県庁所在地の都市と比べても圧倒的に少ない人口密度というのが分かります。その他の都市の人口を見ても、10万人以下の人口です。

人口約17万人のミシシッピ州都ジャクソンの中心部には、日本の百万都市と比較しても遜色ない高層ビルが建ち並んでおり、人口の割には大都市の様相を呈しています。

ジャクソンの都市の中心部には、ミシシッピ州の真ん中を南北に走る州間高速道路55号線と東西に走る20号線が交差しており、周辺にある北のメンフィスや東のバーミンガム、南のニューオーリンズ、西のダラスといった人気の観光都市と結ばれています。

アメリカ南部おすすめのビーチ&リゾート、ビロクシは、メキシコ湾沿いに伸びるロングビーチの中心部に位置し、全米3位の規模を誇るカジノやマリンスポーツが楽しめます。

かつては、2005年8月に大型ハリケーンのカトリーナが上陸し街に壊滅的な打撃を与えましたが、現在は、カジノも復活し公園や美術館などが整備され、さらに観光用の大型ホテルも整い、再び静かで美しいビーチリゾートが広がるおすすめの観光地になっています。

ブルースが生まれ、ブルースが育まれた地として有名なクラークスデイルは、テネシー州から車で1時間半の歴史を感じさせるミシシッピ州観光におすすめの町です。

クロスロード伝説の主役ロバート・ジョンソンをはじめ、R&Bの大御所サム・クック、シカゴブルースの父マディ・ウォーターズなど、ゆかりのブルースマンが数多く生まれています。町には何軒ものライブハウスがあり、本物のブルースが楽しめます。

ミシシッピ旅行の際には、ぜひとも押さえておきたいおすすめのインスタ映えするスポットが、クラークスデイルの161号線と49号線が交差する場所にあるクロスロードです。

世界中のブルースマンに多大な影響を及ぼした伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンが、神業ともいわれるギターテクニックを習得しブルースの真髄を得るために、悪魔と契約交わした場所がこのクロスロードといわれています。

生涯で録音したのはたった29曲と別テイクの13テイクだけにもかかわらず伝説のブルースマンと呼ばれたロバート・ジョンソンは、後世に多大な影響を及ぼしています。

代表的なところでは、エリック・クラプトンやローリングストーンズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンなど、超がつくほどの有名アーティストを虜にしてしまったロバート・ジョンソンの功績は計り知れないものがあります。

ミシシッピの歴史は、肥沃な土地の開拓とその労働者である奴隷、そしてそれらの利権を奪い合う戦争の歴史によって街が発展していきました。

一方で、支配者である白人の西洋文化と支配される側である黒人の伝統文化の融合によって、アメリカ独自のブルースやジャズ、ロックンロールといった新たな音楽文化が確立され、ミシシッピ川を北上しアメリカ全土に広がっていきました。

ミシシッピ州の開拓の歴史は、16世紀初めにスペイン人エルナンド・デ・ソトの最初の発見を皮切りに、スペイン人、フランス人、イギリス人による植民地時代が始まりました。

その後、この地域はスペイン、フランス、イギリスの各植民地政府が支配することになり、労働力を補うために多くのアフリカ人を奴隷として連れてきました。特にフランスとスペインの統治下においては、自由有色人階級が発展し独自の文化が生まれました。

ミシシッピ州は、約100年近く続いたイギリス本国とアメリカ東部沿岸のイギリス領13植民地とのアメリカ独立戦争の時期を経て、1783年にアメリカ合衆国の領土となります。

その後、ミシシッピ州をはじめとするディープサウスと呼ばれるアメリカ南部地域には、100万人近い黒人奴隷が遠くアフリカ大陸から連れて来られる時期が続きます。そして白人至上主義の下、奴隷法が定められ、自由黒人の権利が制限されていました。

1817年12月10日にミシシッピは、アメリカ合衆国20番目の州となります。主な輸送路として利用されたミシシッピ川沿いに大規模農園が開発され、周辺の街が発展しました。

1850年代の時期は綿花が主流となり、大規模農園の所有者は大量の奴隷労働者によって支えられ裕福な資産家が増えます。1860年の時点で奴隷人口は、州全体の人口約80万人に対して55%になり、未開の地を開拓するため解放奴隷の黒人土地所有者が生まれます。

20世紀の時期を迎え、土地所有者の3分の2はアフリカ系黒人でした。やがて綿花の価格は暴落を続け多くの黒人土地所有者は土地を手放し新たな職を求め移住していきます。

数万人規模のアフリカ系アメリカ人がセントルイスやシカゴ、デトロイト、フィラデルフィア、ニューヨークといった都市へ移住していき、同時期に南部で生まれたブルースやジャズの伝統音楽をアメリカ中へ伝えていき、一大音楽産業の発展に繋がっていきます。

ミシシッピ州は、約300万人の人口でその大多数は、ヨーロッパ系アメリカ人である白人とアフリカ系アメリカ人である黒人によって構成されています。

一時期、南北戦争前から1930年代までは、その比率が白人45%黒人55%だったのに対し、1940年代以降の時期には40万人近いアフリカ系アメリカ人が北部、中西部、西部へ新たな雇用を求め移住したため、現在は白人60%、黒人37%、その他3%となってます。

ミシシッピ州には、音楽の源流となる歴史が存在します。アフリカから奴隷として連れて来られた黒人達が楽器を手にし見様見真似で始めたのがブルースでした。

その後、ブルースはロックンロールやカントリーミュージックとして派生して行き、今日のポピュラー音楽を形作るようになっています。そうした音楽の源流が流れるミシシッピ州には、歴史に名を刻む数々の有名人が生まれています。

キングオブロックンロールとして全世界で有名なエルヴィス・プレスリーは、ミシシッピ州北西部にあるトゥペロという小さな田舎町で生まれ育ちました。

1950年代の世界中の多くの若者を熱狂させ、スーパースターに登り詰めたことからアメリカンドリームの象徴とされ、後世の多くのミュージシャンに多大な影響を及ぼしました。そしてプレスリーの音楽によってロックンロールは一躍メジャーなものになりました。

1950年代から晩年の2000年初めまで活躍したブルース界の巨人といわれるB.B.キングは、ミシシッピ州北西部にあるイッタベーナという街で生まれました。

1951年のR&Bチャート1位を記録した「3 O'clock Blues」をはじめ、多くのミュージシャンが取り上げるスタンダードナンバー「Rock Me Baby」など数多くのヒット曲を生み出し、切れのあるチョーキングギターと力強い歌声が多くのファンを魅了しました。

90年代末から00年代半ばにかけ活躍したアメリカポップシーンを代表する女性シンガー、ブリトニー・スピアーズは、ミシシッピ州南西部にあるマコームで生まれました。

16歳でシングル「Baby One More Time」でデビューし、全世界で915万枚の売上を記録。さらに同名アルバム全世界トータル3000万枚という驚異的な記録を立て一気にスターダムに駆け上がりました。日本へは2002年と2017年に2度来日しています。

フェイス・ヒルは、ミシシッピ州ジャクソン北部リッジランド出身のアメリカを代表する女性カントリーシンガーで、1993年にデビューし現在に至ります。

1993年のデビューシングル「Wild One」がカントリーチャートの1位となり、立て続けにシングルヒット曲を量産。名実共にビッグアーティストの仲間入りを果たしています。伸びのある歌声のフェイス・ヒルのカントリーソングは南部では絶大な人気を誇ります。

ミシシッピ州は、開拓の歴史を今も残す古い街並みとアメリカ音楽のルーツとなるブルースとジャズ発祥の地として、アメリカ南部旅行に欠くことのできない観光地です。

ミシシッピ州への旅行の際に押さえておきたい気候やその最適な時期、また現地の物価や治安情報など、日本から旅行で行く場合には、時期を考えて地理的条件や気候の違い、治安など最低限の必須情報として押さえておく必要項目があります。

ミシシッピ州は温暖湿潤気候にあり、長く暑い夏と短く温暖な冬が特徴的です。年間通して観光客はいますが、中でも比較的最適なおすすめの観光シーズンというのがあります。

ミシシッピ州では、日本と同様に夏から秋にかけての季節の変わり目は、大気の状態が不安定でハリケーンが発生しやすく、曇りがちの天気が続く時期が多くなります。また冬場は、南部では稀ですが北部と中部の内陸部で少量の降雪になる場合もあります。

ミシシッピ州を旅行する際に最適な時期は、4月中旬から6月上旬と9月上旬から10月下旬の間が気温も爽やかで比較的過ごしやすく旅行シーズンに適した時期といえます。

ミシシッピ州へ旅行する際には、夏場の蒸し暑い時期や夏場を過ぎてのハリケーンの時期などは、避けた方が無難かもしれません。特に夏真っ盛りの時期は、紫外線も強い上に湿潤気候なのでかなり湿度も高く蒸し暑いという印象を受けます。

アメリカ全体でいえば、物価が高めなのはハワイや西海岸のロサンゼルスやサンフランシスコ、それに東部と五大湖周辺のニューヨークやシカゴなどは物価が高めです。
 

逆に中部や南部は物価が低めの傾向にあり、ミシシッピ州は全米でも物価の安いエリアです。農業を主産業とするミシシッピ州では、物価指数でいえばミシシッピ州の85に対して最も高いハワイは187.7と実に2倍もの物価指数の開きがあります。

ミシシッピ州の治安は、アメリカ都市部の治安と比較すると安全です。ただしアメリカ都市部の治安に比べるという条件つきなので、治安情報には注意を払う必要があります。

カジノやマリンリゾートのビロクシ、時代を感じさせる街並みが続くクラークスデイルやオックスフォードなど、観光旅行地として多くの観光客が訪れることもあり治安の良さを感じますが、都市部と同様に夜間の一人歩きなど治安の悪い場所もあり注意は必要です。

ちなみに2011年のアメリカ連邦捜査局の発表による、強盗、殺人、襲撃事件の件数を偏差値数で治安を表すと、カリフォルニア州がトップで98.7と最も治安が悪く、ミシシッピ州は45.4とアメリカ全州の平均を下回る治安の良さを維持しています。

ただし、あくまでもアメリカ内での治安の平均以下ということなので、日本に比べると十分に治安の差があるのは否めません。外務省などの治安情報に注意しましょう。

アメリカ旅行のハイライトといえば、西海岸や東部ニューヨークや五大湖周辺の大都市が有名ですが、もうひとつのアメリカらしい旅行を堪能できるのがミシシッピ州です。

ミシシッピ州には、大都会にはないアメリカならではの雄大な大自然を背景に、広大な敷地を有効に活用した開拓の歴史を感じさせる施設や家族で楽しめる施設など、見どころある観光地が数多くあります。ここでは、その代表的な観光スポット5選を紹介します。

ビックスバーグは、南北戦争の重要な戦いの名前にもなっており、ビックスバーグ・ナショナル・ミリタリー・パークは、その遺構が残るミシシッピ観光おすすめの公園です。

修復された北軍の小型砲艦や戦火を免れたシャーリーハウス、そして1300以上もの記念碑や墓碑など、南北戦争にまつわる歴史を肌で感じ取ることができます。広大な敷地の公園として整備され、高台からはミシシッピ川を見下ろすことができます。

ハッティーズバーグは、ミシシッピ州南部にある都市で、そこにあるハッティーズバーグ動物園は、4.9haのこじんまりとした広さで豊富な種類の動物に出会えます。

ハッティーズバーグ動物園の園内は、開放的な遊歩道を歩きながら、ちょっと変わったミーアキャットやカピバラ、イグアナ、リマなどの稀少な動物から迫力満点のライオンやヒョウ、ジャガーなどの大型動物までを効率よく見学することができます。

アメリカが生んだ20世紀のスーパースター、エルヴィス・プレスリーは、ミシシッピ州トゥペロの街にある2部屋しかない小さな家に、13歳になるまで住んでいました。

「Elvis Presley Birthplace & Museum」には、彼の偉大な功績を称え、この地で過ごした当時の様子が分かる展示品が掲げられています。また近くには、彼がゴスペルに出会い影響を受けたとされるアッセンブリー教会が移転され敷地内に展示されています。

「Elvis Presley Birthplace」から約2.4km離れ歩いて約30分のところにあった「Tupelo Automobile Museum」は貴重なクラシックカー160台が展示されていました。

アパソン、カーターカー、ロージアといった今は亡き幻のメーカーをはじめ、エルヴィスが所有していた1976年式リンカーン・コンチネンタルMkIVなど、マニア垂涎の車が展示されていましたが、残念なことに2019年4月末に閉館となっています。

「ガルフ・アイランズ・ウォーターパーク」は、ビロクシから西へ約30km、ガルフポートから内陸部へ25thストリートを北へ向かい、ルート10を西へ約1.5kmの場所にあります。

「ガルフ・アイランド・ウォーターパーク」には、スライダーやジップライン、流れの穏やかなプールなど、いろんな種類のプールがあり、ビロクシの街と合わせて大人から子供まで楽しめるミシシッピ旅行おすすめの観光スポットです。

ミシシッピ州では、イギリス、フランス、スペインなどの植民地統治時代に入って来たヨーロッパ料理をはじめとする様々なグルメ料理が伝統的に受け継がれています。

フレンチやイタリアン、地中海料理、さらにはアメリカ地方の伝統料理など様々な種類のグルメを楽しめるので、その時々の旅行気分で選ぶことができます。ここでは、地元ミシシッピ州でも人気の高いおすすめのグルメスポット5選を紹介します。

最初に紹介するミシシッピ州おすすめのグルメスポットは、ジャクソンのフローウッドにあるヨーロッパ風アメリカ料理のレストラン「Table 100」です。

パプリカで味付けされた伝統的卵料理から、豚や鶏などの肉料理、海老やカニなどの海鮮料理など、様々なヨーロピアンテイストに味付けされたグルメを味わえます。営業時間は、11時から22時まで、年中無休で営業しています。

次に紹介するミシシッピ州のおすすめグルメスポットは、ジャクソンから南へ車で1時間のコリンスのクールズ通り沿いにあるイタリアンレストラン「Vicari」です。

Vicariとは、18世紀からイタリアモロダルバの町の小さなワイナリーを営む一族の名前です。そこで息づいていたステーキ、シーフードなど美味しいワインと共にイタリアングルメの数々を堪能することができます。営業時間は、11時から22時、定休日は日、月です。

美味しい地中海グルメが堪能できるレストラン「The Manship Wood Fried Kitchen」は、ミシシッピ州ジャクソンのルート55を降り車で北西へ進み約20分の場所にあります。

薪を使い調理されたスペイン、イタリア北部、ギリシャ、レバノンなどの地中海グルメをメインにシェアできるファミリースタイルのサイドディッシュと一緒にアラカルトグルメを提供しています。営業時間は11時から22時、定休日なしです。

ミシシッピ州ビロクシにある「Mary Mahoney's Old French House」は、ジョン・グリシャムのThe Runaway Juryという作品に登場するおすすめの海鮮料理レストランです。

緑に囲まれた、こじんまりとした可愛らしい感じのレストランで、シーフードグルメにこだわっています。営業時間は11時から22時、定休日は日曜。ルート90のビーチ通りから1本市街地に入ったウォーターストリート沿いにあります。

最後に紹介するミシシッピ州のおすすめグルメスポットは、ビロクシのビーチ通りにあるアメリカ地方グルメ料理の瀟洒なレストラン「White Pillars」です。

白亜の宮殿を連想させる外観の「White Pillars」は、シックで落ち着きのある上質なダークブラウンのテーブルセットに心安らぎます。アメリカ伝統の肉料理や海鮮グルメをはじめアジア各国のグルメなども楽しめます。営業時間は11時から22時、定休日は月曜です。

16世紀はじめに始まった開拓の歴史を今に感じさせるミシシッピ州は、その長い歴史の中で西洋文化とアフリカ文化が融合し新たな文化が生き続けています。ミシシッピ州で、広大な平原に広がる大自然と共に最もアメリカらしい旅行を満喫してはいかがでしょう。