東京大田区にある大森神社
東京大田区にある「大森神社」は、第一京浜と京浜急行の間にある小さな神社です。現在はこぢんまりとした小さな神社ですが、かつては旧東海道の美原通りあたりまで延びる広大な敷地を有する神社でした。大森神社が別名「寄来神社」と呼ばれている理由や、ご祭神や歴史、アクセスなどにスポットを当ててご紹介いたします。
大森神社(大田区)は木の神を祀る神社
大田区の大森神社は、海の側に位置していながら「木の神様」をお祀りしている歴史的にも極めて珍しい神社です。そもそも大森神社の創建された正確な年も不明であることや、現在のような小規模の神社となったのかなど、大森神社にまつわるエピソードはいつまでも尽きることがありません。今でも9月には例祭が行われ多くの人が大森神社を訪れています。
住所:東京都大田区大森北6-32-12 電話番号:03-3761-3909
大森神社(大田区)には別名がある
大田区の大森神社は「寄来神社」(よりきじんじゃ)と呼ばれ、インターネットで検索する場合は「寄来神社」と検索するほうがたくさんの情報が見つけられます。全国には同じ「大森神社」という名前の神社が多数存在しているためだと考えられます。このように現代でも「寄来神社」の名前は広く生かされ続けているといえるのではないでしょうか。
大森神社が寄来神社といわれる理由
大森神社には「寄来神社」という旧社名があり、現在でも「寄来さま」と呼び親しまれています。この「寄来神社」という名前は海岸に流れ着いた1つの神像から由来しています。天正年間の時代金色に輝く神像が海岸に漂着し畏れた村人たちは沖へ戻しました。しかし3度にわたり流れて戻ってきたことで祠を建てお祀りしたのが歴史の始まりと言われています。
神像が何度も「寄り来た」ため祠は「寄来神社」と名付けられました。「寄来」は福が寄り来るとも広く解釈され、旧大森村の美原地域全体の守護神として人々から深く崇敬されたそうです。歴史は進み明治時代の神仏分離令が発布されるころ神祇伯・白川資訓王から大森神社という額面を賜り昭和7年に名前が「寄来神社」から「大森神社」へと変わりました。
大森神社(大田区)のご祭神
大森神社のご祭神は久久能智命(ククノチノミコト)です。日本神話のイザナギとイザナミを両親にもつ、樹木の神様です。海が近い神社である大森神社に、なぜ樹木の神様が祀られたのか歴史の詳細は不明ですが、現在のこじんまりとした姿になる以前、神社の広大な敷地に深い森と家屋を有していたことから由来していると考えられています。
また、一説によると久久能智命は「観賞用の木の神様」ではなく、「建築資材に使われる材木の神様」なのではないか、と考える説もあるようです。大森神社の旧名である「寄来神社」も、木の神様が自らお見えになったことから、創建当初は「寄来神社」ではなく「寄木神社」であったのではないか、とも考えられています。
大森神社(大田区)は珍しい神様のいる神社
久久能智命をお祀りしている神社はとても珍しく、他でお祀りしているのは岡山県の吉備津彦神社と栃木県の一瓶塚稲荷神社がその代表です。また、大田区は神社の多い地域ですが稲荷神社が比較的多く、珍しい久久能智命をお祀りする大田区の大森神社は、パワースポット巡りや御朱印集めスポットとしても隠れた人気の神社になっています。
大森神社のご利益
気になる大森神社のご利益には、木の神様であることから住宅守護・樹木の守護が中心となっています。しかし中には大変ユニークなご利益「リフレッシュ」というものがあります。自然の木々が私たちを癒してくれるように、大森神社の神様のお力にはご神木の大きな木のような「癒し」の効果も備わっているのです。
大森神社(大田区)の歴史
神様が流れ着いたことから生まれた大森神社の正式な創建年代や歴史は不詳です。詳しい歴史が残されているのは神仏分離令以降からです。昭和7年に東京市に編入したのち昭和20年には東京大空襲の攻撃を受け社殿を消失してしまいます。その後社殿が再建されたのは18年後の昭和38年のことです。大森神社は歴史の激動の波に翻弄され続けた神社だったのです。
戦後、さらに土地の開発が進んだ東京では、第1京浜(国道15号)が開通し、かつて旧東海道あたりまで社寺があった大森神社の敷地は、第1京浜の拡張に伴い大きく削られてしまいました。さらに境内の裏には京浜急行が開通したことで大森神社は鉄道と国道に挟まれた「小さな神社」へと徐々に姿を変えていったのです。
大森神社(大田区)の境内の様子
大田区の大森神社は「寄来神社」にまつわる不思議な歴史エピソードがあることから「都会の中のパワースポット」として注目されています。現在の境内の敷地は広くはありませんが、大きな鳥居と小さな鳥居が2体並んでいます。向かって右側の鳥居は本殿へと続き、左側の鳥居の奥には2つの境内社が鎮座しています。
大森神社のすぐ側は京浜急行と第一京浜が通っているため、神社で行き来する電車の音などが聞こえます。しかし境内にはご神木や手水舎など神社らしい佇まいはしっかりと残されていますので、騒音を気にすることなく参拝に集中することができます。社務所にいらっしゃる神主さんやスタッフの方の優しさに癒される人も多いようです。
本殿
朱色の塗りが美しい本殿は、昭和38年に再建された鉄筋コンクリート式の建物です。こじんまりとした造りですが、境内や本殿周りは整備が行き届いて美しい環境が整えられています。周辺は近代的なビルや鉄道が並ぶエリアですが、本殿前のご神木などの緑によって「都会の中のオアシス」として訪れる人の心を癒すスポットになっています。
石灯籠
大森神社の境内には狛犬ではなく立派な灯篭が2体建てられています。青銅製の灯篭は1975年大森魚市場からの奉納によって造られたものです。神社であるのになぜ狛犬がいないのか詳しくは不明ですが、明治まで続いた「神仏習合」の名残によるものではないか、と考えられています。
境内の2つの青銅の灯篭をよく観察してみると、海の近くの神社であるためか灯篭の笠には魚の像がくっついています。実はこの魚の灯篭は昭和50年に「大森魚市場」から寄贈されたものだそうです。現在では大森魚市場があった場所には「区立大森スポーツセンター」が建てられています。
百度石
境内には、寄来神社の時代からの崇敬の深さをうかがわせる百度石が残されています。かつて広々とした敷地を有していた時代、多くの人々がこの百度石に願掛けを行ったと考えられます。百度石が置かれているのは、大鳥居の左側にある手水舎の脇です。パワースポットとして歴史のある大森神社の百度石に、願掛けをしてみてはいかがでしょうか。
大森神社(大田区)の境内社
大森神社の境内には2つの境内社があります。鳥居をくぐって右側に鎮座しているのが「稲荷神社」で宇迦之御魂命・伊弉柵命がお祀りされ、その左側には「椿神社」がありそちらには「猿田彦命」がお祀りされています。ちなみに近くの「蒲田八幡神社」にも椿神社がありますが、双方の椿神社に関係はないそうです。
稲荷神社に鎮座する宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は穀物を守る女性の神様と言われています。一緒にお祭りされている伊弉柵命(イザナミノミコト)はイザナギとともに多くの神々の子を産んだ女神様です。稲荷神社にはお2人の女神様がお祀りされていることになります。
お隣の椿神社にお祀りされている猿田彦命(サルタヒコノミコト)です。猿田彦命はその名のとおり男の神様で、天狗のような大きな鼻と大きな体を持っています。日本神話では地上に降り立つ神様を道案内したことから、現代ではお導きや交通安全などのご利益が得られると伝えられています。
大森神社(大田区)の御朱印
大田区の大森神社では初穂料300円で御朱印を授かることができます。御朱印がいただけるのは境内右手にある社務所です。インターホンを押して御朱印を希望する旨をお伝えすると御朱印を用意してくださいます。御朱印をいただくときは、必ず本殿にご参拝したあとで社務所に立ち寄りましょう。
大森神社の御朱印は、日付の部分以外はスタンプになっています。さらに大森神社の文字の上には2種類の朱印が押され、1つは大森神社の本殿を模したデザインになっています。受付で1つ1つ丁寧に書いていただける御朱印をいただくことで、大森神社のありがたいご利益を確かに受け取ることができそうです。
大森神社(大田区)の参拝時間
大田区の大森神社の拝観・参拝時間はとくに制限がありません。いつ訪れても自由に参拝することができます。拝観料は無料となっていますが、お賽銭などは別途用意しておいてください。駐車場も完備されていますので、マイカーでアクセスすることもできます。御朱印がいただける社務所へは早めの時間に行くことをおすすめします。
大森神社(大田区)のお祭り
大田区の大森神社でも毎年お祭りが開催されています。本祭りの年と陰祭りの年に分かれており、本祭りでは盛大に執り行われます。陰祭りの年は出場する御神輿の数も少なめですが、子ども神輿や山車だけが出場するお祭りとなります。大森神社のお祭りの見どころは各町から出る御神輿にあります。
大田区の大森神社では、毎年9月15日に近い土曜日と日曜日に例大祭というお祭りが開催されます。唐破風軒屋根の勾欄造りの見事な御神輿が2年に1度町中を巡行します。大森神社をいまでも「寄来神社」や「寄来さま」と呼び親しみ続ける氏子の方々の崇敬を受け、守り抜かれるお祭りに一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
このお祭りでは氏子各町の御神輿が登場します。同じ氏子であっても城南神輿と江戸前神輿が混在する珍しいお祭りとなっています。平成14年には大森魚市場から奉納された新しい御神輿もお披露目となりました。露店などが出ないお祭りですが多くの人が参加するお祭りとして受け継がれています。
大森神社(大田区)へのアクセス
大田区の大森神社へのアクセスは、京浜急行電鉄本線「平和島駅」から徒歩7分です。旧東海道からは少しは行った場所に位置していますが、平和島駅から出発して歩いてすぐなので迷うことはなさそうです。平和島駅からのアクセスルートは、品川方面へ200メートル進みます。平和島駅を利用する場合は2番出口を利用するとアクセスに便利です。
東京大田区は神社の宝庫!
東京大田区には大森神社だけではなく数多くの神社が鎮座しています。特に多いのはご利益が高いといわれる「八幡神社」です。八幡神社は隠れたパワースポットとして知られていますので、大森神社を参拝するときは大田区で神社巡りや御朱印集めを楽しんでみてはいかがでしょうか。ここからは大田区にある神社をご紹介いたします。
磐井神社
大森神社から徒歩数分でアクセスできる神社です。ご祭神には応神天皇や神功皇后、姫大神がお祀りされています。創建時代は古墳時代からといわれており、武蔵野国の中の八幡宮総社だったと伝えられています。やがて江戸入りした徳川幕府により庇護を受け、徳川将軍家もこぞって当社を参拝したと言われる歴史の深い神社です。
蒲田八幡神社
境内に小さな古墳があったことから、古代から人々の信仰を集めていたと思われるとても深い歴史をもつ神社です。蒲田八幡神社のご祭神は応神天皇である「誉田別命」(ホンダワケノミコト)で、勝利や商売繁盛、学問や子育て、厄除け開運に高いご利益を授けてくださるといわれています。大森神社からのアクセスは徒歩で30分ほどかかります。
大森浅間神社
大森浅間神社は、全国にある浅間神社の1つです。江戸時代に広く信仰されていた山嶽信仰にもとづき、東海道の要の地である大森に創建されたと伝えられています。ご祭神は木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ)で、安産や子育て、縁結びにご利益があるといわれています。大森神社からのアクセスは徒歩で約10分程度です。
御嶽神社
天文4年(1535年)から始まったといわれる御嶽神社は、江戸時代を迎えたころ木曽で修行を重ねた修験者・一山行者によって中興されました。天保2年になり現在のような大きな社殿を建立し、御嶽山信者をを中心とした参拝者が増えました。本場である木曽の御嶽山に劣らない強大なパワーを秘めた神社と言われています。
穴森稲荷神社
1804年海が堤防を破壊し、大田区は甚大な被害を受けました。村民たちが堤防の上に稲荷神社を祀ったところたちまち海は静けさをとり戻しました。そのときに建てられたのが「穴森稲荷神社」と伝えられています。「穴森」という名前は堤防に開いた穴から村民を守るという意味が込められているそうです。大森神社からのアクセスは徒歩50分程度です。
新田神社
新田神社のご祭神は、贈従三位左兵衛佐源朝臣・新田義興公です。南朝の忠臣として知られ、後醍醐天皇から「義興」の名前を賜るほどの優れた武将であったと伝えられています。正平3年(1358年)に創建された後、徐々に規模を拡大した新田神社は、江戸の徳川家一族からも篤く信仰されていたといわれています。大森神社からは徒歩1時間程度です。
大森神社(大田区)は神様が寄り来た神社!
大田区の大森神社には不思議な伝説が伝わっていました。神様が寄って来られたことから「寄来神社」と呼ばれていたことは大森神社を知る上で欠かせないエピソードです。さまざまな不思議なご縁で創建された大森神社はパワースポットとしても注目を集めています。東京大田区へお出かけするときは大森神社にアクセスしてみてはいかがでしょうか。
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