高屋神社に行ってみよう
日本には多くの寺社仏閣があります。その寺社仏閣そのものに歴史があったり、建物などが国宝になっているという点で魅力的なところはもちろん多いのですが、さくらや紅葉などの植物が美しいことで知られたところもあります。その中で香川にある高屋神社は「天空の鳥居」と呼ばれる絶景が有名なのだそうです。そんな高屋神社へのアクセスや絶景の魅力などについて紹介します。
高屋神社とは
高屋神社というのは「稲積神社」(いなづみじんじゃ)、「稲積さん」とも呼ばれる神社です。詳しくは後述しますが、927年に作成された「延喜式」の中の寺社一覧に名前が出てくる「延喜式内社」の一つですから、古い歴史を持つ神社でもあります。
しかしそれ以上に多くの人を引きつけるのは、その絶景です。高屋神社の本宮からは美しい瀬戸内海、そして島々が一望できるとされており、本宮の鳥居は「天空の鳥居」と呼ばれています。高屋神社まで行ったなら、ぜひとも天空の鳥居からの絶景を十分に堪能したいものです。
高屋神社はどこにある?
では、その高屋神社はどこにあるのでしょうか。高屋神社があるのは香川県観音寺市にあります。先ほど、高屋神社を「稲積神社」と呼ぶと述べましたが、高屋神社の本宮があるのは香川県西部にある七宝連山の一つに数えられる稲積山の山頂なのです。稲積山は標高404メートルの山なので、それだけ高いところから絶景を楽しむことができるのです。
高屋神社下宮へのアクセス
それでは、高屋神社へのアクセスについて紹介しましょう。先ほど「高屋神社の本宮」が「稲積山の山頂」にあると述べましたが、高屋神社には下宮(里宮)、中宮、本宮があります。まずは下宮のほうのアクセスから紹介していきます。下宮は電車の最寄り駅から距離があるので、公共交通機関でアクセスする場合は最寄り駅からバスもしくはタクシーを利用します。
高屋神社の最寄り駅はJR「観音寺」駅です。観音寺駅は香川県観音寺市にある予讃線の駅です。観音寺駅は特急も停車する駅なので、タイミングが合うならば特急を使うと時間短縮がはかれます。予讃線は高松から松山を経て宇和島駅までを結ぶルートなので、高松駅で乗り換えるとよいでしょう。また特急「しおかぜ」なら岡山駅から直通で来ることもできます。
観音寺駅からのアクセスですが、高屋神社行きのバスはありません。しかし1日4便あるのりあいバスを利用することができます。これは「観音寺市のりあいバス」というバスで、「五郷高室線」に乗ると、高屋神社の近くまで行くのです。このバスにはバス停がなく、原則としてバスの路線上ならどこでも乗り降りできるので、乗ったら運転手さんに「高屋神社」と言いましょう。そうすると近くでおろしてくれます。
この近くの場所から高屋神社下宮までは徒歩で約10分ほどかかります。本数もそれほど多くないので、電車の時間などで時間がちょうどよくない場合は、タクシーを利用します。観音寺駅から高屋神社下宮までは約4キロ、13分ほどで到着します。時間を確認してアクセスの計画を立てることをおすすめします。
車でアクセスする場合、最寄りICは高松自動車道の「大野原IC」もしくは「さぬき豊中IC」となります。どちらも距離は8キロほどで、所要時間は20分前後見ておくとよいでしょう。駐車場もありますし、春祭りの時などよっぽどのことがない限り混雑などの心配はないようです。
高屋神社本宮へのアクセス
次に本宮へのアクセスですが、本宮は下宮から徒歩で50分ほどかかります。先ほど稲積山の山頂にあると述べた通り、途中は山道で、野生の動物も出るような道となっています。天空の鳥居を見たいという方は本宮まで行く必要があるので、下宮に車を駐車する場合は山道を歩くことができるように歩きやすい靴を履くことを忘れないようにしましょう。
山道を50分も歩くのはちょっとしんどいという場合は、車で本宮にアクセスすることも可能です。実はもともと高屋神社本宮には車などでアクセスすることはできなかったのですが、2009年に香川県三豊市から高屋神社まで林道が開通したため、車で近くまでアクセスできるようになりました。
車でアクセスする場合は、下宮と同じ最寄りICである「大野原IC」もしくは「さぬき豊中IC」からとなります。ICを降りたら三豊市にある「不動の滝カントリーパーク」のほうに向かって進んでいくと、県道49号線沿いなどに「高屋神社本宮」と書かれた看板が見えてきます。これらを見ながらアクセスしましょう。
高屋神社へアクセスする際の注意
ところで、高屋神社へのアクセスについて、気をつけなければならないことがあります。実はカーナビを利用してアクセスする場合、目的地に到着できないといわれているのです。正確に言うと、カーナビの「高屋神社」は下宮のほうを指すので、天空の鳥居にはたどりつけないのです。
では、カーナビを使う場合はどうしたらいいのでしょうか。すべてのカーナビがそうであるとは言えないのですが、高屋神社の本宮は「稲積神社」と表記されているようです。稲積山のマークの方にある神社が本宮になりますので、本宮に行く時はそれを目印にするとよいかもしれません。また前述したように「不動の滝カントリーパーク」を目指すと迷わず行けるようです。
なお、先ほど下宮と本宮の間は徒歩で50分程度と述べましたが、この道は登山道で、車は走ることができません。車の場合は山を大回りしないといけないので、くれぐれも間違えないように気をつけてアクセスしましょう。
高屋神社の由緒
さて、この高屋神社の由緒について簡単に紹介します。先ほど触れましたが、高屋神社が初めて文書に登場するのは927年に作成された「延喜式神名帳」で「讃岐国刈田郡高屋神社」という名前で出てきます。これはこの時代にあった神社の名前を一覧にしたもので、讃岐国では高屋神社を含めて24の神社の名前がピックアップされています。つまり高屋神社は「延喜式内社讃岐二十四社」の一つに数えられる神社なのです。
このころも含めて、高屋神社は稲積山の山頂に置かれていたのですが、慶長年間(1596年から1615年)にいったん、稲積山の中腹に遷されます。これが現在、中宮とされている地です。そして1603年ごろにそこに神社が造営されました。
さらに宝永年間(1704年から10年)に、高屋神社はさらに山の麓である現在の下宮の場所にさらに遷座されます。しかし里人は遷座による祟りが起こることを恐れたようで、1831年にふたたび現在の本宮があるところに遷され、現在に至っています。江戸時代には「高稲積大明神」とも呼ばれていたそうです。
高屋神社の見どころ
さて、高屋神社の見どころですが、有名な「天空の鳥居」が一番に挙げられます。天空の鳥居は次に詳しく述べるとして、他の見どころについて簡単におさえておきましょう。まず下宮に参拝をしたら、本宮を目指して山を登っていきます。途中にあるのが中宮です。
中宮を過ぎ、山道を抜けると「天空の石段」と呼ばれる石段が目の前にそびえます。石段の数は270段で、傾斜も比較的急なため、その名の通り、まさに「天空」に続いていくように見えてきます。途中には「ゆるぎ岩」という大きな岩もあります。少しきついですが、ここを抜けると絶景はもうすぐです。
ちなみにこの天空の石段のところはあるアニメの聖地ともなっていることから、そのアニメのファンも多くおとずれる場所となっているようです。アニメに興味があるという方も、天空の石段をあがって、ぜひその先に開ける絶景も楽しんでいくことをおすすめします。
高屋神社の絶景はどこで見られる?
さて、天空の石段を登り切ったら、本宮に到着です。まずは参拝をしてから、おもむろに鳥居のほうを振り返ってみましょう。眼下には「絶景」という言葉にぴったりの景色が広がります。天空の鳥居越しに見える絶景と、どこまでも下に見える天空の石段は、まさにフォトジェニックという言葉がぴったりです。
もともと高屋神社の本宮は、香川県の観光客や巡礼の方などもあまり訪れない、ハイカーがたまに来るという程度の場所でした。天空の鳥居の絶景はほとんど知られていなかったのです。ところが2017年ごろからいわゆるSNSで「天空の鳥居」というハッシュタグをつけた投稿が見られるようになり、そこでこの絶景が広く知られるようになりました。
現在では、マスコミのほか、高屋神社がある香川県観音寺市の公式サイトなどでも「天空の鳥居」という言葉が高屋神社のこの絶景をあらわす言葉として使われるようになっており、それを見てさらにこの絶景を見たいという方が訪れるようになっています。
なお、ここでは説明として徒歩で天空の石段をのぼってくるルートを紹介しましたが、もちろん車で本宮の駐車場にアクセスして、この絶景を楽しむことも可能です。駐車場の方に行くと、ベンチなどが用意されているので、座ってお弁当などを食べて休憩しながら景色を楽しむこともできます。ぜひこちらの景色も堪能しましょう。
高屋神社はなぜ絶景が見られる?
ではなぜ、高屋神社は絶景をこれだけ楽しむことができるのでしょうか。もちろん、ここまで述べてきたように、高屋神社が稲積山の山頂にあるということもあるのですが、鳥居の所から石段の所が断崖のようになっているという点も関係しています。
先ほど、天空の石段を紹介したところで、「急な石段」と述べました。鳥居のところから切り立ったような形になっているため、石段が急であるだけではなく、下のほうまで景色が見えて、瀬戸内海にまで広がる絶景を楽しむことができるのです。
ここからは香川県観音寺市の市街地はもちろんですが、燧灘や有明浜、そして駐車場の方に行くと「父母ヶ浜」(ちちぶがはま)の景色まで一望できます。時間帯によってはさらに美しい景色を楽しむこともできますので、いろいろと見てみるとよいでしょう。
天空の絶景は誰でも楽しめる?
もちろんこの景色を楽しむのに特別な条件はいりません。ただし、先ほども述べましたが、下宮から本宮を徒歩で目指す予定の方は、山を登ったり、急な石段を登ったりする必要があるので、歩きやすい靴を履いたほうがよいでしょう。また車の場合でも、ヒールなどは避けたほうが無難です。
それから、後で詳しく紹介しますが、ちょうど桜の時期に高屋神社では春祭りが行われます。この時期は桜の見頃の時期にかかることもあって、春祭りを楽しむ方と桜を楽しむ方が集まり、多少の混雑が見込まれます。春祭りと共に天空の鳥居を楽しむのはおすすめではありますが、早めに車で移動したほうが無難かもしれません。
高屋神社の春祭りは?
それでは、その高屋神社の春祭りについて紹介しましょう。高屋神社の春祭りは高屋神社の春の例大祭として行われ、毎年4月第2土曜日、日曜日の2日間にわたって行われています。この春祭りは「高屋まつり」という名前で呼ばれています。
高屋神社の春祭りで珍しいと言われるのは、「ちょうさ」の奉納が行われるという点です。香川県内には「ちょうさ祭り」と呼ばれる祭りが何か所もあるのですが、ほとんどのものは秋に行われます。ところが高屋神社の春祭りでは、春祭りなのにちょうさの奉納があります。春祭りで行うのは香川県内でここだけと言われます。
ちょうさというのは太鼓台のことで、高屋神社の春祭りではこのちょうさと獅子舞の奉納が行われます。加えて春祭りなので、桜の花びらの散り方でその年の豊凶を占うということも重要なまつりの意味となっています。下宮で奉納が行われ、その後に本宮にまであがって奉納が行われるとのことです。
高屋神社に御朱印はある?
最後に、御朱印の情報について紹介します。高屋神社の御朱印ですが、高屋神社そのものでいただくことはできません。高屋神社は加麻良神社の宮司がお祀りしているようであり、御朱印も加麻良神社の方でいただくことになりますので、御朱印を集めている方は注意が必要です。
その加麻良神社は、高屋神社と同じく香川県観音寺市にあります。JR観音寺駅の北東にある丸山という山の上に鎮座しています。こちらも高屋神社と同様に讃岐延喜式内二十四社のうちの一つです。加麻良神社は高屋神社の他にも複数の神社をお祀りしているようで、他の御朱印も授与しているとのことです。
高屋神社の周辺観光スポット
では、高屋神社に行ったら足を伸ばしてみたい観光スポットを紹介します。中でもおすすめなのが、先ほど述べた「父母ヶ浜」(ちちぶがはま)です。先ほどここの景色が駐車場から見える絶景であると紹介しましたが、実はこの場所、実際に行っても美しい場所なのです。
この場所は干潮と夕暮れが重なる時間帯に行くと、ウユニ塩湖のような景色が見られると言われ、香川県内でも絶景のフォトスポットとしてよく知られています。時間帯が限られますが、もし合わせられるのであれば行ってみるとよいでしょう。高屋神社からは車で20分ほどのところです。
高屋神社の絶景を楽しもう
高屋神社は本宮まで行くと、「天空の鳥居」と呼ばれる絶景を見ることができます。車でも本宮近くまで行くことができますし、せっかく香川県に観光に来たなら、ぜひともその絶景を楽しんでみたいところです。徒歩で周りの巨石を見ながら歩くもよし、体力と気候に応じて、ぜひ丸ごと楽しんできてください。
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