おいりはきれい
最近ではSNSが発達し、それぞれの地元でしか知られていないお菓子などが脚光を浴びることが多くなってきました。そんなお菓子の一つに「おいり」というものがあります。おいりと聞いても、おそらく東京などの人はどんなものかわからないのではないでしょうか。そんなおいりというお菓子について紹介します。
おいりとは
おいりというのは最初に述べたようにお菓子です。おいりと言う名前のお菓子そのものは香川県や愛媛県、鳥取県にありますが、いずれも古くから地元の伝統的なお菓子として親しまれてきました。後で紹介しますが、おいりの歴史はなんと戦国時代にまでさかのぼるのです。中でも最も有名なのが香川県のおいりです。
おいりは五色とも七色ともいわれるパステルカラーのカラフルな色がついた、丸い形をしたお菓子です。おいり豆と呼ばれることもあります。作り方についてはあとで紹介しますが、ジャンルとしては和菓子の餅菓子に入るもので、口にいれるとふわっと溶ける食感と、ほんのりした甘さが上品です。
このおいりですが、あるバラエティー番組で有名タレントが紹介したことで、そのかわいらしさから人気に火がつきました。近年では、東京など香川県以外でもスイーツのトッピングに使われるようになり、それにともなってお取り寄せなども人気となっているようです。
おいりはどこのお菓子?
さて、先ほども述べたように、「おいり」と聞いてもわからないという方が多いのではないでしょうか。それもそのはず、おいりというのは前述したように、香川県と愛媛県、鳥取県にあるお菓子なのです。特に香川県の西讃地方と言われる、香川県の西部地域のものが知られています。
他のところにもおいりはある?
前述したように、おいりは他の地域にもあります。愛媛県のおいりはお米をはぜたいわゆる「ポン菓子」のようなタイプで、「パットライス」とも呼ばれています。こちらは愛媛県の西条市以東で親しまれているそうで、香川県でも愛媛県に近いあたりだと、このタイプのものをまぜているところもあるとのことです。
また、鳥取県の「おいり」は因幡地方に伝わるもので、ポン菓子や干した米を水あめで固めたお菓子です。製造過程で米を炒るため「おいり」と呼ばれたとされています。ひな祭りには欠かせないお菓子とされており、古くから親しまれてきました。
おいりの歴史
このようなおいりの歴史ですが、なんと江戸時代よりも前、1587年ごろからの歴史を持ちます。現在の香川県西讃地方は江戸時代に丸亀藩の領地となったところが中心ですが、ここには丸亀城があり、1587年に生駒親正という武将が入りました。
この生駒親正の姫君がお輿入れをすることになった時に、領地の農家の人々が五色の餅花でつくったあられを献上したところ、大変に喜ばれたのだそうです。それ以来、おいりは「お煎りもの」(おいりもの)として香川県西讃地方を中心に、特に結婚式には欠かせないお菓子として親しまれるようになりました。
おいりの作り方
では、おいりはどうやって作るのでしょうか。先ほども述べたように、おいりは餅菓子の一種で、原料はもち米です。もち米を蒸してからついて平らにして天日で干して乾燥させます。それを細かくサイコロ状にカットし、それを煎るとぷくっと丸く膨らみます。それに砂糖を溶かした蜜と色粉でカラフルに色づけがされるのです。
このように作り方を述べると、簡単にできそうなお菓子だと感じる方もいるかもしれません。しかし実はおいりというのはとても手間がかかるお菓子の一つとされています。なぜかというと、天日で干すときに干し方にむらがあったり、乾燥させすぎたりすると、きれいな丸に膨らまなくなるのだそうです。
しかも天日なので時間がかかり、ここだけで数時間から1週間くらいかかります。天気や気温などの状態によって乾燥の状態は刻々と変化するため、ここの見きわめには熟練の技術が必要とされるのです。現在、おいりを作っている店は香川県の西讃地方で8軒ほどあるとのことで、店によってニッキをきかせたものや甘みがつよいものなど、さまざまなタイプがあります。機会があったら食べ比べるのがおすすめです。
おいりはいつ使われる?
さて、このおいりですが、香川県西讃地方では嫁入り道具の一つとして欠かせないものとされています。先ほどおいりの歴史のところで述べたように、おいりはもともと丸亀城主の生駒親正の姫君がお輿入れをしたときに献上されたお菓子であり、現在でも婚礼の時に使われるお菓子として親しまれているのです。
おいりという名前には先ほど述べたように米を火で「煎る」ことのほか、嫁に「入る」の意味がかけられています。おいりを持って嫁ぐことで「心を丸く持って、まめまめしく働きます」という意味が込められているとされており、一部の地域では、婚家先に持っていく着物の数を減らしてでもおいりを持って行かないといけないと言われているほどなのだそうです。
こうして持って行ったおいりは花嫁のお土産として近所の人たちや花嫁を見に来た近所の子どもたちに配られるほか、披露宴の時の引き出物や食事の最後に出されるなど、まさに婚礼と切っても切れない縁のあるものとして使われてきました。
このようにおいりはおめでたい時に使われる「お煎りもの」ということで、近年では出産や初節句、新築祝いなどのおめでたい席でも使われるようになっています。さらに最初のほうで述べたように、テレビなどで取り上げられたことで、「きれいで珍しく、おめでたい」として近年では県外の花嫁さんが引き出物として取り寄せることも見られるようになってきています。
ちなみに、すべてではないようですが、結婚式の時においりとセットにされるもので「ふやき」もあります。ふやきは米粉と砂糖を混ぜて平たい小判型にして、砂糖の蜜を塗ったお菓子ですが、こちらは徳島あたりでやはり婚礼の品として使われることが多いようです。お取り寄せなどの中には、おいりの入った箱にふやきが一緒に入っているものもあります。
おいりの味と食感は?
では、このおいりはどんな味がするものでしょうか。本来のおいりはニッキの味付けがされたものだったと言われていますが、近年は砂糖の味つけのものなども出てきており、バラエティに富んだ味が楽しめるようになっているようです。また、色も本来は婚礼ということで紅白だったのですが、現在では五色、もしくは七色が主流となっています。
また、おいりの食感は、餅を乾燥させた後に煎って膨らませているため、中が空洞になっています。そのため軽い、麩菓子に似た食感が楽しめます。後で紹介しますが、東京などではスイーツなどにトッピングされていることが多く、そうするとアイスクリームなどのクリーミーさとサクサクした食感を楽しむことができるためにおすすめの食べ方となっているようです。
おいりの値段は?
ところで、それだけ製造に手間がかかり、婚礼などの特別な時のお菓子ならば、気になるのは値段です。おいりの値段が高ければ、お取り寄せや、おいりを使っているスイーツなどの値段も高くなってしまうのではと心配になるかもしれません。
おいりの値段は店によって違いがあるのですが、実はさほど高くはありません。だいたい30グラムのパック一つが300円ほどですから、さほど心配しなくてもよいお値段ということが言えそうです。先ほども述べたように、もともとおいりは婚礼の際に近所の人などに配るので、おいりを扱うお店では箱入りのもののほかに袋にパックされたものなども販売しています。
おいりの賞味期限は?
おいりが香川のお土産としておすすめな点として、値段と共にもう一つ挙げられるのが賞味期限の長さです。もちろん季節によって多少の違いはありますが、おいりの賞味期限は90日から120日、つまり3ヶ月から4ヶ月あるとされています。これだとすぐにお土産を渡せなくても安心できるのではないでしょうか。
このように、おいりは値段の面、賞味期限の面から言っても、おすすめのお土産の一つということが言えます。さらに最初に述べたように、おいりはおめでたいお菓子でもあり、その美しい色合いも人気のお菓子です。どんな方にお土産にしても喜ばれるおすすめ品です。結婚や出産などされた方にお土産にするのであればおいりは一番おすすめのお土産と言えるかもしれません。
おいりのおすすめ食べ方
それでは、おいりをおいしくいただく食べ方について紹介しましょう。まずはそのまま、口にポンと放りこんでみましょう。おいりは食感が軽く、口に入れるとふわっと溶ける食感がなんとも言えません。そのまま食べるのはおすすめ食べ方のナンバーワンです。食べ始めると止まらなくなるそうですから、自分で購入するならちょっと大きめを購入するのがおすすめかもしれません。
そのままでふわっとした食感を楽しんだら、今度はトッピングで楽しんでみましょう。おいりはカラフルなので、アイスクリームなどさまざまなスイーツにトッピングすると、食感の違いを楽しむこともでき、カラフルさでSNS映えもします。
アイスクリームやクリームだけではありません。コーヒーなどに入れると甘みをつけてくれますし、甘い飲み物に加えると水分が少しずつ染み込んで行く口どけを楽しむこともできます。カラフルな色とともにこの口どけの変化を楽しむのもおすすめです。また、香川の地元のほうでは、なんとお茶づけのあられのような形で食べることもあるとのことで、こちらもおすすめの食べ方です。
いずれにしても、おいりそのものは先ほど紹介したように、値段もお手頃ですし、さまざまな容量のものが販売されています。多めの用量のものを購入して、いろんな楽しみ方をするのもおすすめです。ぜひ、お気に入りのおいりの楽しみ方を見つけてみてください。
東京にはおいりはないの?
さて、このように人気のおいりですが、香川まで行くのはちょっと大変、東京あたりで気軽に楽しむ方法があったらうれしいと感じる方も多いのではないでしょうか。お取り寄せの方法などについては後で述べますが、まずは東京でおいりをいただくことができるところを探してみました。
まずは東京でおいりを食べられる店からです。北参道にある「Tea Stand 7」では「ポップティーパフェ」のトッピングにおいりが使われています。紅茶のワッフル、ソフトクリームの上においりをトッピングすることで、カラフルでかわいいスイーツとなっています。
おいりそのものを東京で購入したいという場合は、東京都港区にあるアンテナショップ「香川・愛媛 せとうち旬彩館」に行ってみましょう。ここは香川県と愛媛県の特産品が東京で購入できる店で、おいりはここで購入することができます。他にも香川のうどんや愛媛の柑橘ジュースなど、おいり以外にも東京ではなかなか購入できないものがたくさんあるので、おすすめのお店です。
おいりはお取り寄せができる?
東京に住んでいる方は購入できる店があることがわかりましたが、東京でも香川の近くでもない方でおいりを食べてみたいとなれば、やはりお取り寄せがおすすめの購入方法となります。実はおいりは以前はネットショッピングなどでは扱われておらず、お取り寄せが難しい商品の一つだったのだそうです。
しかし現在では、大手ショッピングモールなどでおいりの通販を扱うようになりました。これらのネットショップでは、プレゼントなどにおすすめの小箱入りタイプの他に、桐箱などに入ったあらたまった贈答品としても使えるタイプも取り扱われています。
また、おいりを製造している店でも、通信販売の形でおいりを販売しているところもあります。こちらではネットショップよりもさらにさまざまなタイプの商品があるため、値段や数量などのニーズに合わせて取り寄せる商品を選ぶことができます。先ほど述べたように、最近では香川県外の婚礼でおいりを使う方も出て来ているので、そういった場合はこちらのお取り寄せのほうがおすすめかもしれません。
おいりは注文しなくても購入できる?
ではおいりはいつでも気軽にお取り寄せができるのでしょうか。おいりは日常的に販売している商品なので、基本的にはお取り寄せを頼めば購入することは可能です。ただ、前述したようにおいりは生産に時間がかかる商品なので、数が多かったりすると時間がかかる可能性があります。
自分で食べたり、ちょっとしたお土産品として必要という場合はいいですが、結婚式の引き出物として使いたいなどという場合は、早めの予約をすることをおすすめします。もともとが婚礼用のお菓子なので、店のほうでそれにふさわしい形で用意してくれるでしょう。
おいりで幸せを味わおう
おいりはさほど値段は高くないのですが、もともとが婚礼用のおめでたいお菓子であり、そのカラフルさとかわいらしさで近年大変人気が高いお菓子です。値段も手ごろで軽く、賞味期限も長い上に縁起物ということで、香川のお土産にはおすすめです。ぜひお友達などにもこの幸せのおすそわけをしてみてはいかがでしょうか。
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