野崎島は長崎の無人島
野崎島は、長崎県五島列島にある、ほぼ無人島の島です。野崎島は、五島列島の中でも特にアクセスの方法も限られていますが、古い教会など、歴史的な見どころも多く、観光地として、とても人気のある島です。ほぼ無人島ではありますが、宿泊施設もあり、観光客が宿泊することができます。今回は、そんな長崎の野崎島について、アクセス方法も含めて見どころを紹介します。
長崎・野崎島について
野崎島は、長崎県小値賀町に所属する島です。小値賀町は、小値賀島とその周辺の島々から構成されています。構成する島は、大小合わせて17つ。その中のひとつに、野崎島はあります。この小値賀町を構成する島々は、長崎県の五島列島の北東部に位置しています。昔から船でお互いにアクセスしており、人々は暮らしていました。旧石器時代から戦国時代にかけての遺跡が多く出土しています。
野崎島は手付かずの自然の宝庫
野崎島は、以前は多くの人々が住んできましたが、現在はほぼ無人島です。その為、人間の手が入っていない場所が、島全体に存在しています。手付かずの自然を見ることができる場所が多いです。中には、天然記念物に指定されているカラスバトという鳥も見ることができます。島内は見どころが多いですが、整備されていない場所が多いため、観光散策する際は予め、ツアーガイドの申し込みをしましょう。
世界遺産に野崎島も登録決定
2018年6月に、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産として登録されました。その中のひとつとして、野崎島の関連施設も世界遺産登録がされました。その登録対象とされているのは、島内に現存している旧野首教会だけが対象ではありません。旧集落や、人々が通った道など、島中がその登録の対象とされています。隠れキリシタンの歴史を感じさせる場所がその対象です。
隠れキリシタンの歴史と野崎島
キリスト教が日本にもたらされますが、次第に政治的にキリスト教は弾圧をされることになります。表向きは仏教徒としつつも、代々キリスト教を子孫に伝えていった人々がいました。1644年以降にも、日本国内に司祭がいない状態ながら、キリスト教信者として信仰は続きます。それを潜伏キリシタンと呼びます。そのような人々が野崎島に集まり、信仰は続きました。教会や関連施設や信者の生活を感じさせるものが多く島に残されています。
長崎の野崎島はほぼ無人島
野崎島は、旧石器時代から人々は暮らしており、キリスト教の弾圧以降は潜伏キリシタンの暮らす島として、多くの人々が暮らしてきました。しかしながら、日本が高度成長期に突入すると、状況は一変します。暮らしに現金が必要となり、集団離村が起こります。他とのアクセスが船のみなので、そうならざるを得なかったのです。1980年台には島内の小中学校が廃校となり、1990年台には、すべての住民が島を離れる事態となってしまいました。
野崎島が「ほぼ」無人島の理由
野崎島は、現在はほぼ無人島とされています。完全には無人島ではありません。国勢調査では、2007年から一人だけ、住民として野崎島に登録されています。それは、見どころいっぱいの野崎島の宿泊の観光の為に作られている、野崎島自然学習村の管理人が住んでいるからです。それ以前は、2001年までは沖ノ神島神社の神官が長く一人で暮らしていました。完全に無人島である期間は実は長くなく、島を守り続ける人がいました。
野崎島は島全体が国立公園
自然の多い長崎の野崎島は、一部は平坦な場所がありつつも、全体的には五島列島独特の急陵な地形をしています。その急斜面には、自然の木々が生い茂り、自然に溢れている島となっています。野崎島は、島全体が、西海国立公園の一部として登録されています。西海国立公園のテーマが鳥々の王国とされていますが、野崎島もその通りであり、バードウォッチング目的の観光客も多いです。
原生林が美しい野崎島
西海国立公園として構成している野崎島は、原生林が生い茂っています。特に急斜面は、人々の手が入ることはなく、野生のままの姿を見せてくれます。イスノキやスダジイなどが、原生林として成長しています。見どころが多い原生林ですが、観光などで見る際には、整備されている道路などは一切ありません。好きに歩き回るには、野崎島は向きません。必ず観光向けのガイドツアーに申し込みましょう。
たくさんの鹿がお出迎え
野崎島は、たくさんの野生生物がいますが、特に観光客が目にするのは、島内にたくさんいる鹿でしょう。島のあちこちにいます。特に危害を加えてくることはありません。鹿たちを怖がらせないように、無理に触れ合わないようにしましょう。春先の角が生え変わるシーズンには、島のあちこちに鹿の角が落ちていることがあるようです。
予約をしてから野崎島へ行こう
野崎島は、味わいのある旧教会や、原生林、野生の動物など、観光としての見どころがとても多い場所です。宿泊だけではなく、日帰りの観光として、立ち寄りたいと考える人も多くいるでしょう。この野崎島に渡る際には、実は予約が必要となっています。宿泊する際も、日帰りのみの際も、必ず訪問する7日前までに、おぢかアイランドツーリズムに予約をしなければならないルールになっています。
野崎島への予約が必要な理由
なぜ、長崎の野崎島は、日帰りだけの場合にも、7日前までに予約が必要なのでしょうか?それはには、きちんとした安全対策面での理由があります。野崎島は、1日に2便のみの町営のフェリーでのみ渡ることができます。天候が急変し、フェリーが欠航し、ほぼ無人島の野崎島に取り残されてしまうこともあります。もしものときに、天候が良くなるまで島に留まる準備が必要となります。その為に、予約が必須となります。
野崎島へのアクセスその1:まずは小値賀島へ
無人島である長崎の野崎島へ観光や宿泊でアクセスする際には、まずは小値賀島へのアクセスをしなければなりません。なぜならば、野崎島へ行くことができるのは、小値賀島から出ている町営のフェリーのみだからです。ですので、まずは野崎島へ渡るために、小値賀町へのルートを確認していきましょう。小値賀島は空港はありますが、現在は閉鎖されているため、船便のみのアクセスとなります。
佐世保港から小値賀島へのアクセス
野崎島に行くためにまず必要な小値賀島へのアクセスは、佐世保港からの船でのアクセスが一番距離は近いです。フェリーでの場合は、佐世保港から宇久島経由で、小値賀島へ行くことができます。1日2本の定期便が出ています。その他に、乗船時間が短く済むジェットフォイルも、便数はわずかながら定期便が出ているので、そちらもおすすめします。
博多港から小値賀島へのアクセス
博多港からも、小値賀島へアクセスすることが可能です。博多港から五島列島への定期便のフェリーが出港しています。博多港から小値賀島への距離は、なんと約173キロメートルです。23時45分に博多港を出向し、早朝の4時40分に到着をします。定期的に運休日もありますので、予め、太古フェリーのホームページなどで、運航日の確認をしておきましょう。
野崎島へのアクセスその2:小値賀島から野崎島へ
小値賀島へと到着したら、次はいよいよ、見どころいっぱいの野崎島へアクセスしましょう。野崎島へは、1日2便のみの町営の船便を利用します。町営の船は、ハイシーズンの土日祝日には1日3便に増便されることもありますので、チェックしてから行くと良いでしょう。また、運休日もありますので、自分が行きたい日に運行しているかの確認が必要となります。
町営船はまゆうに乗って
教会などが見どころの野崎島は、町営船の船が1日に2往復の便が出ています。小値賀島7時25分発で野崎島8時到着・野崎島8時5分発で小値賀島に帰る便、小値賀島14時半発で野崎島15時5分着と野崎島を15時10分発で小値賀島に帰る便です。午後の便に乗った人は、島に宿泊することになるので、7日前までに予約を必ず入れておきましょう。料金は、片道大人500円、子供250円です。
野崎島に渡る前に必ず知っておくべきこと
野崎島内での移動は徒歩で
野崎島は、原生林などの自然に溢れ、国立公園として島丸ごとが指定されている島です。道などの整備もされていない箇所もあります。島内での移動は、徒歩のみとなります。自転車を持ち込む方もいるかと思いますが、徒歩での移動となりますので注意しましょう。大きな荷物がある場合には、予め頼むと、宿泊施設の車で運んでもらうことができます。
夜間は外出禁止
夜、野生動物を撮影したり、海や教会を見に行きたいと思う方もおられるかもしれません。しかし、野崎島では夜間は外出が禁止されていますので、それはできません。落石の可能性も高い・イノシシなどの野生動物に出会ってしまうなどの危険があります。夜間は、宿泊施設の敷地内のみで行動をしましょう。宿泊施設は野生動物が入ってこられないように、金網で囲まれており、安全です。
店はなく自動販売機は1台のみ
野崎島は無人島です。管理のために住民登録をしている宿泊施設のスタッフはいますが、基本的には無人島と考えていいでしょう。ですので、お店というものがありません。自動販売機も、宿泊施設に1台あるのみです。ですので、食料は、小値賀島などで予め購入をしておきましょう。宿泊する場合も、調味料は用意されていますが、食材は自分たちで調達する事が必要です。
ゴミは持ち帰ろう
野崎島は無人島です。もちろん、ゴミの処理施設はありません。ですので、ゴミは自分たちで持ち帰らなければなりません。生ゴミだけは、宿泊施設でしょりしてもらえるということですが、なるべくゴミが出ないような工夫をしていきましょう。ゴミを持ち帰る際は、においが出ないように、密封袋などに入れて持ち帰るのがおすすめです。
野崎島では服装にも注意
野崎島は、港から宿泊施設や、教会などの道は、今でも観光役が利用するので、比較的安全ではありますが、その他のエリアは、手付かずの自然が多いです。人々が多く通る道であると言っても、野生生物や、噛まれたら痛い虫なども多くいますので、服装についても万端の準備が必要となってきます。以下の点に注意をして、服装を整えましょう。
野崎島での理想的な服装
野崎島での服装は、端的に表現すると登山の服装が理想的となります。道は、足場が良いところばかりではないので、足首まで覆う登山靴、ズボンはデニムではなく動きやすい長ズボンで、日よけの帽子は必須、速乾性のある素材の長袖の洋服、重ね着は基本などです。夏でも軽く羽織る上着があると良いでしょう。雨具などの用意も忘れずに持っていきましょう。
野崎島での宿泊や休憩はこちらで
野崎島で、観光客にとってとても大切な施設が、あります。それは、自然学習村です。自然学習村は、島内唯一の宿泊施設であり、休憩施設であり、自動販売機がある場所であり、水洗トイレがある場所でもあります。宿泊客だけではなく、日帰り客も利用することができる、重要な場所です。日帰りの場合、自然学習村の利用料は1000円となります。
宿泊するのも自然学習村で
自然学習村では、宿泊をすることができます。通常期は、一人あたり3500円で宿泊することが可能です。ゴールデンウィークと7月・8月のハイシーズンでは、相部屋が4000円、貸し切り部屋は5000円で一人あたり宿泊することができます。屋外にはテントが常設されており、そこでの宿泊の場合は2000円です。
野崎島の旧野首教会
野崎島に来る人は、殆どの人がこちらを目当てにしていると言っても、過言ではないでしょう。それは、旧野首教会です。野崎島に移り住んだ潜伏キリシタンたちが、貧しいながらもお金を出し合い、明治40年に作りあげたレンガの教会です。本格的なレンガの作りの教会です。一時は650人暮らしたこの島も、高度成長期を期に人々が離れ、昭和46年最後の信者6世帯が離島をし、教会は無人となってしまいました。
文化財としての旧野首教会
最後の住民が離れてからしばらくは荒れ果ててしまいましたが、歴史的に重要であるとされ、長崎県指定有形文化財に指定され、小値賀町によって教会は修復されました。そして、ユネスコの世界遺産の一つとして登録されることになったのです。普段は施錠されていますが、町営船の営業日には管理人が解錠しています。
野崎島の旧集落
野崎島には、一番多いときには、650人もの島民がいました。旧石器時代から戦国時代までの遺跡も多く出土していますが、人が多く定住するようになったのは、江戸時代からです。小値賀島の商人が開拓をし、その後、キリスト教弾圧を逃れるために多くの人々が移住をしてきました。
3つの旧集落
野崎島の集落は、かつては野崎・野首・舟森の3集落がありました。今はもう、人々はおらず、すべてが廃屋になっています。とても危険ですので、廃屋の中にはいるのは禁止されてはいますが、かつて人々が暮らしてきたという印が、確かにそこにはあります。廃屋もまた、島の歴史を伝えていると言えるでしょう。
野崎島の沖ノ神島神社
沖ノ神島神社は、五島列島の中では、現存する神社で、最古のものの1つであるとされています。山の中腹に建てられている神社からは、島を見渡すことができます。隠れキリシタン以外の島民が、この沖ノ神島神社の氏子でした。高度経済成長期に人々が島を離れてからも、2001年までは沖ノ神島神社の神官は野崎島に留まりつづけました。
アドベンチャーツーリズムで行こう
沖ノ神島神社がある場所は、野生のイノシシが出現し、滑落の危険性のある箇所もあります。看板もなく、そうなんの危険性があります。個人で行くのではなく、島へ渡る前におぢかアドベンチャーツーリズムに申込みをしましょう。現地ガイドに案内を頼むのが安心です。そして、遣唐使の安全を祈るために作られたと言われる神社から、海を一望しましょう。
長崎の野崎島で観光や宿泊を楽しもう
今回は、長崎県の野崎島について、紹介しました。ほぼ無人島ではありますが、もともとあった集落や教会などもあり、歴史的な見どころも多い島でした。特に旧野首教会は、観光客にとても人気がある見どころです。アクセス方法は限られてはいますが、ぜひ、この野崎島に宿泊し、歴史と自然を体感しましょう。そして、野崎島ならではの楽しみを得ましょう。
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