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お雑煮を地域別に比較!具材や出汁の特徴やお餅の調理方法も違う?

お雑煮を地域別に比較!具材や出汁の特徴やお餅の調理方法も違う?
投稿日: 2019年1月10日最終更新日: 2020年10月8日

お正月に食べる代表的なメニューであるお雑煮は、地域による違いが大きい食べ物の1つとして、よく地域文化の比較などで取り上げられます。では地域によりお雑煮はどのくらい違うのでしょうか。具材や出汁、お餅の違いなどについて紹介します。

お雑煮とは?見出し

Photo by matsudon,giraffe

お正月にはどんな料理を食べますか?おせち料理を作ったり購入したりして食べたと言う方もいるかもしれませんが、もう1つ外せない料理として挙げられるのがお雑煮です。実はお雑煮は地域によって具材や味、出汁などに違いが見られる料理の1つです。日本各地のお雑煮について紹介します。

お雑煮の由来

Photo by *tomoth

お餅などの具材を入れ、出汁をはった日本料理をなぜお雑煮と呼ぶのでしょうか。実はお雑煮の由来についてはいくつかの説があります。ただ、「雑煮」という言葉が初めて出てくるのは室町時代の本だとされています。

しかし、いわゆるお雑煮の内容のものを食べ始めたのはさらに古く、平安時代に遡ると言われます。そもそも餅はコメを主食とした農耕民族である日本人に取り、特別な日に食べるいわゆる「ハレ」の料理でした。

年神様に備えた野菜や餅などを、その年の最初に汲んだ「若水」で、最初につけた火で煮込んで元旦に食べるもの、それこそが「お雑煮」の始まりでした。なぜ「雜」「煮」なのかというと、色々な具材を煮合わせた「煮雑ぜ」(にまぜ)が語源とされているためです。

お雑煮を食べる意味

Photo by rhosoi

室町時代の本の中に出てくる「雑煮」は武家料理の儀礼料理であり、武士が宴会を開く場合には必ず最初に酒の肴としてお雑煮が出ていたぞうです。それが江戸時代に入ると、一般の人々も餅が食べられるようになったことから一般庶民に広まったとされているようです。

また、民俗学の研究によると、一日は夕方から始まるとする考えがあり、元日は大晦日の夕方から始まると考えるところがありました。ここでは夕方、つまり元日の始まりにお雑煮に入れる具材や餅を神仏に供え、日の出後に下ろして煮て雑煮にしていたそうです。

このように、お雑煮というものは、神仏とともに新たな年を迎えるための大切な料理として、各地域で食べられてきた「ハレの料理」ということが言えるでしょう。

お雑煮の地域差や特徴を徹底比較見出し

Photo by ignat.gorazd

日本にはさまざまな料理がありますが、お雑煮ほど地域によって違う特徴を持つ料理も珍しいかもしれません。共通する点はお餅が入ることではありますが、そのお餅でさえも地域によって違うタイプのお餅が使われるほど、地域による違いが大きいのです。まずは簡単に紹介していきましょう。

お雑煮の地域差①お餅の違い

Photo by surtr

どこのお雑煮でも必ず入るお餅ひとつをとっても、地域により違いが見られます。大きく分けると四角いお餅と丸いお餅、そしてそれを焼いてから入れるか、焼かずに出汁の中で煮るかの4パターンに分かれます。

丸いお餅は「円満」を意味します。一つ一つを手で丸めて作ります。一方、四角いお餅はお餅を平らにのばして切って作ります。一般的には東日本が四角いお餅、西日本が丸いお餅だと言われており、関ヶ原の戦いの影響でこうなったとする説もあります。境目にあたる岐阜県や滋賀県などでは両方が混在しているとも言われます。

Photo by june29

四角いお餅は将軍が「敵をのす」という意味で「のし」餅を使った、人口が多いため一つずつ丸めるのは大変なのでのし餅を切るようになったなどの説があります。

また、愛媛県や香川県などでは、ふつうの丸いお餅ではなく、中にあんこが入ったお餅を使います。また、お餅の原料は米なので、古くは米が取れなかった山間部や島などで、お餅を使わないお雑煮を作る地域があり、これらの地域では今でもそういったお雑煮が伝統的になっているとのことです。

お雑煮の地域差②味付け・出汁の違い

Photo by toshifukuoka

お雑煮の味付けもまた、地域による違いが大きいものの1つです。大きく分けて醤油を使った澄まし汁タイプのものと、味噌を使ったタイプのものがあります。味噌のタイプにはさらに赤味噌を使うところと、白味噌を使うところがあります。

ちなみに、どちらが歴史的には先かというと、味噌の方です。京都周辺ではこのタイプのお雑煮が食べられています。一方武家が力を握った地域、つまり関東などでは「みそをつける」のを嫌い澄まし汁の出汁で食べるタイプが広まったと言われます。

Photo by Edsel L

このほかにも小豆の汁で煮た、ぜんざいのようなお雑煮を食べる地域などもあり、これらが組み合わされてお雑煮の地域差ができてきています。

また、出汁についても昆布や鰹節、煮干しなど、それぞれの地域で違うものを使いますが、なかには「するめ」を出汁として使うところもあります。するめは縁起物として結納などにも使われるので、その影響もあるのでしょう。

お雑煮の地域差③具材の違い

Photo by whitefield_d

お雑煮に入る具材は、さらに大きな地域差があります。基本的には里芋などのいも類、鶏肉、小松菜などの青菜、ニンジン、かまぼこなどの色がついた具材、香りづけのゆずや三つ葉などが入りますが、具の種類や量は各家庭でも違うというくらいに違いがあります。

たとえば海沿いの地域では、魚やその加工品などが入ります。イクラなどが飾りのように入る場合もあります。一方山に近いところではさまざまな野菜が入るタイプの雑煮が多く食べられています。

関東地域のお雑煮の特徴見出し

Photo by toshifukuoka

それでは、具体的にいくつかの地域をあげて、どのようなお雑煮が食べられているのかについて紹介していきましょう。まずは関東地域で食べられているお雑煮です。おそらく現在では最も広く普及しているのがこの関東地域のタイプのお雑煮ではないでしょうか。こちらもさまざまなアレンジが加えられ、今日に至っています。

味の特徴

Photo by yt_siden

関東地方のお雑煮は、四角いお餅に澄まし汁の出汁をはるタイプです。このタイプのお雑煮は関東だけではなく、東北地方や中部地方などでも食べられています。先ほど述べたように、日本で最も多く食べられているお雑煮がこのタイプと言ってよいでしょう。

お餅は焼いて入れるので、香ばしい風味が加わると言われます。これは四角いお餅はどうしても汁と一緒に煮るとやわらかくなりすぎるので、それを防ぐために焼いてから加えるという方法になったと言われています。

具材の特徴

Photo by Hirotaka Nakajima (nunnun)

関東地方のお雑煮は、具材の種類が多く、どちらかというと具だくさんのタイプが多いと言われます。その中でも入ることが多いのが小松菜(青菜)と鶏肉です。これは武家が多かった関東で「名を取る」(菜を鶏)ということで、大将の首を取って「名を挙げる」という意味を込めたものとされています。

江戸で食べられるお雑煮にはこの他にシイタケやかまぼこ、なると巻きなどを加え、上に小松菜と海苔を乗せます。いわゆる関東のお雑煮と言われて思い浮かべるのがこのタイプでしょう。ただ、具の種類は多いですが、量はそれほど多くはありません。

さらに東京(江戸)では海苔を、千葉県東部では、ハバノリと言われる海苔をかけて食べます。これはどちらも近くに海があり、そこで海苔が採れるためです。

関西地域のお雑煮の特徴見出し

Photo by love.jsc

食文化の違いということでよく取り上げられるお雑煮ですが、関東と関西のお雑煮は大きく違います。関西地域で食べられているお雑煮はお餅の形も、出汁の味もまったく違い、中に入る具材も違うため、関東の方から見るとその違いに驚くほどです。どちらかというと、最初のお雑煮に近いタイプがこちらと言われています。

味の特徴

Photo by ivva

関西のお雑煮で大きく違うのがお餅の形です。先ほど述べたように、関西では丸いお餅を使います。近年ではスーパーなどで販売されている鏡餅に、最初から食べやすく個包装になったお餅が入っているものが多くなりましたが、この個包装のお餅も丸いお餅が入れられています。

つまり、関西のお餅はついたお餅を一個ずつ手で丸めて作り、それを出汁で煮て食べるという食べ方をします。基本的には焼いてから入れるということはせず、ゆでて(炊いて)から入れます。

また、出汁の方も関東とはまったく違います。関西のお雑煮は白味噌仕立てなので、汁が真っ白で甘い味になります。それにさまざまな具材やゆでたお餅を入れるため、具材やお餅などが溶け込み、こってりと甘い味わいになります。

具材の特徴

Photo byvarintorn

一般的に関西のお雑煮と言って思い浮かべるのは、京都を中心に食べられているお雑煮です。中の具材もまたお雑煮らしく、それぞれにいわれがあります。

出汁でもある昆布は「よろこんぶ」、親イモ(カシライモ)は出世、子イモは子孫繁栄を意味します。先ほどの関東のお雑煮では「名を取る」というのがありましたが、京都の場合は「頭、つまりかしらになるように」ということでカシライモを入れるのです。さらに根を張って安定するということで大根、開運ということで開きゴボウなども入れられます。

このように、関西のお雑煮もまた、お正月らしく縁起のいいものをいろいろと取り揃えて作るという点で、関東とも通じるものがあります。

北海道地域のお雑煮の特徴見出し

Photo by Adam Chamness

関東や関西のお雑煮に関しては、食文化の違いについて紹介されるものによく出てくるので、聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし北海道のお雑煮について紹介されることはあまりないのではないでしょうか。では、北海道ではどのようなお雑煮を食べているのか紹介します。

味の特徴

Photo by ume-y

なぜ北海道のお雑煮はあまり紹介されないのかというと、実は北海道にはもともとお雑煮を食べる風習はなかったようなのです。明治に入り、日本各地から開拓のために入植が行われると、それぞれの故郷のお雑煮を食べるようになったのが始まりだったそうです。

ですから、もともと北海道では、その家ごとに違ったタイプのお雑煮を食べていたようなのですが、現在では醤油で味をつけた澄まし汁に四角いお餅が入っているお雑煮を食べるところが多くなっていると言われます。どちらかというと、関東のお雑煮に近いタイプと言えるでしょう。

具材の特徴

Photo by *tomoth

北海道のお雑煮も基本的な具材は関東のお雑煮と近いです。鶏肉と野菜が入ります。しかし北海道のお雑煮の具材としてなるほどと感じるのは、イクラが入ることではないでしょうか。

北海道といえば、鮭やイクラはいずれも北海道の名産品であり、代表的な北海道グルメです。この鮭やイクラがお雑煮の具材として使われます。イクラがトッピングされたお雑煮は見た目も豪華で、いかにもお正月のおめでたい雰囲気にぴったりです。

ちなみに、北海道と同様に鮭が名産である新潟でも、お雑煮に鮭やイクラを入れるということです。お雑煮がその地域の名産品や特産品を取り入れるということがよくわかる事例と言えるでしょう。

沖縄地域のお雑煮の特徴見出し

Photo by _temaki_

北海道と同じように、いや北海道以上にお雑煮が紹介されないのが沖縄です。実は沖縄ももともとお雑煮を食べる習慣がなかったそうです。しかし沖縄にはお雑煮のような感じでお正月に食べられる「汁もの」があるのだそうです。どのような「汁もの」なのか、紹介しましょう。

味の特徴

Photo by sun_summer

その「汁もの」は「イナムドゥチ」や「中身汁」と呼ばれるものです。「イナムドゥチ」というのは「猪もどき」という意味であり、イコール豚肉のことをあらわします。かつおでとった出汁をベースにして、そこに豚肉などが入り、味つけは白味噌でします。

「中身汁」というのは何かというと「中身」イコール「豚の内臓」のことをあらわします。こちらはモツなどをかつお出汁の汁で煮たもので、澄まし汁タイプのものということになります。

気になる味の方ですが、「イナムドゥチ」は白味噌仕立ての汁なので甘味が強いそうです。一方、中身汁のほうは澄まし汁なので、比較的あっさりした味のようです。

具材の特徴

Photo by Akamera Photo

このことでわかるように、沖縄でお正月に食べられる汁ものにはお餅が入りません。ですから、一般的にイメージされるお雑煮という面から見ると、必ずしも符合するとは言い切れないのですが、「お正月のお祝いに食べるもの」という意味ではそのカテゴリーに入るという位置づけになりそうです。

ただ、沖縄と同じ文化圏に属しているとされている奄美地方では、比較的お雑煮が普及しているそうです。また、最近では沖縄でもお雑煮を食べる方も出てきているとのことですから、こういった伝統的な食べ物も少しずつ変化して行くのでしょう。

他にもある珍しいお雑煮見出し

Photo by h_okumura

自分の住んでいる土地以外のお雑煮を見ると、その味付けや出汁はもちろん、中の具材にも違いがあり、驚くことが多いのですが、これで驚いていてはいけません。実は日本にはまだまだ珍しいお雑煮があります。その中でも特に珍しいお雑煮を最後に3種類ほど紹介しましょう。

Photo by inazakira

まずは、お餅を何かに「つけて」食べるお雑煮です。お雑煮は出汁に味がついているので、当然お餅にも味がついており、それだけで食べることがほとんどなのですが、中にはお雑煮の中のお餅に別の味をつけて食べるというものもあるのです。

岩手県の三陸地方で食べられるお雑煮は、ふつうの醤油の澄まし汁のタイプのお雑煮なのですが、クルミをすりつぶして作ったタレが一緒に添えられています。このくるみだれをお餅にたっぷりとからめていただきます。澄まし汁の魚の風味とくるみの甘みがまろやかで複雑な味わいを作りだします。

Photo by 4510waza

同様に奈良では、白味噌タイプのお雑煮ですが、きなこがついてきて、このきなこをお餅につけていただきます。こちらも白味噌の甘じょっぱさときなこの甘味が何とも言えずおいしいと評判だそうです。

また、あんこにお餅を入れるのは「ぜんざい」といいますが、このぜんざいタイプのお雑煮は島根や鳥取の一部で食べられています。さらに四国には一見したところはふつうのお雑煮なのですが、お餅の「中」にあんこが入るというお雑煮もあるのだそうです。

Photo by Travel-Picture

最後に紹介するのは徳島県と高知県の県境にある祖谷山という場所の「うちちがえ雑煮」です。このお雑煮はマイモを3つ並べ、その上に大きく切った豆腐を十文字になるように重ねて乗せるというもので、お餅が入りません。

祖谷山はその名の通り山の中で、米が獲れませんでした。そこでこのようなお餅が入らないお雑煮が作られたと言われます。また十文字の豆腐は平家が戦で刀を交えている様子をあらわしていると言われ、「うちちがえ」という名前もそこから来ているそうです。

お雑煮は地域差や特徴があっておもしろい!見出し

Photo by shibainu

お正月に当たり前のように食べるお雑煮ですが、こうして見て行くと日本にはさまざまなお雑煮があることがわかります。最近ではそれぞれのお雑煮のレシピなども手に入りますので、たまにはふだん食べる機会がない他の地域のお雑煮を食べてみるのはいかがでしょうか。きっと面白い体験ができるでしょう。

投稿日: 2019年1月10日最終更新日: 2020年10月8日

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