明神池は不思議な池として話題！塩水湖とは？周辺のおすすめ観光地もご紹介！

山口県萩市にある「明神池」という池をご存じですか？一見どこにでもある普通の池のように見えますが、実はある事が理由で「とても変わった池」として有名な池なのです。今回はその「明神池」を中心に、その周辺にある観光スポットと萩の魅力を紹介します。

明神池が有名な理由、それは「塩水湖である」という事です。見た目は一般的な池そのものですが、実は海と繋がっており淡水と海水が混じりあい、潮の干満によって潮位が変化する不思議な池なのです。ではなぜ明神池は普通の池ではなく塩水湖となったのでしょうか。

明神池は元々海でしたが、「笠山」と言う萩の東部にある火山と陸地との間に砂洲が出来た際に池として取り残されました。しかし完全に海と隔絶された訳ではなく笠山の溶岩の隙間を通じて海と繋がっている為、真水のみの淡水湖ではなく海水が混じった塩水湖になったのです。

明神池では「マダイ」や「ボラ」「イシダイ」「ヒラメ」「エイ」など様々な海の魚が生息し、「天然の水族館」とも呼ばれ親しまれています。実はこれらの魚は自然に繁殖した訳ではありません。昔、地元の漁師達が萩に勧請された厳島神社に豊漁を祈願して奉納した魚が繁殖したものなのです。

これらの魚は現在では観光の目玉になっており、土産物屋で販売されている餌を購入して餌付けをする事が出来ます。今も昔も地元の人に愛され大切にされてきたからこそ「天然の水族館」と呼ばれる程多くの種類の魚を見る事が出来るのでしょう。また、これらの生態系を鑑みて明神池は天然記念物に指定されています。

萩に「厳島神社」があるのは不思議かもしれませんが、実は萩と厳島神社には切っても切れない縁があります。長州藩を治めていた毛利氏ですが、毛利元就の時代は中国地方一帯を治めていました。その毛利元就は厳島神社を篤く信仰しており、2代藩主毛利綱広は萩に元就が信仰していた厳島神社を勧請したのです。

明神池は海と繋がっている為潮の干満によって水位が変化します。この干満こそが塩水湖の特徴とも言え、池の水質を保つのに重要な役割を果たしている現象です。また、干満によって海水の流入や現象が起こり塩分濃度の変化が起こります。塩水湖の水は常に変化し続けているのです。

日本には「明神池」以外にも潮の干満を見る事が出来る塩水湖や汽水湖があります。その一つが東京都の「浜離宮恩賜庭園」です。浜離宮恩賜庭園は江戸時代に作られた庭園で、「潮入の池」と呼ばれる潮の干満を楽しむための池があります。明神池と同じように「ボラ」や「ハゼ」などの海水魚が生息していることで有名です。

また、静岡県にある「浜名湖」も汽水湖として有名です。浜名湖は元々淡水湖でしたが1498年の大地震により海との境にあった砂洲が決壊し汽水湖となりました。名物である「ウナギ」の他にも多くの魚類や甲殻類などが生息しており、潮の干満による潮位の変化もあります。

萩には「明神池」を訪れた後に「絶対足を運んで欲しい」おすすめの観光スポットがあります。それは明神池のすぐそばにある「笠山」と言う山です。とても小さい山でありながら毎年多くの観光客が訪れている自然あふれる観光スポット、「笠山」の魅力をご紹介します。

「笠山」は萩の東部にある標高112mの小さな火山です。一説では「世界最小の火山」とも呼ばれる小さな火山ですが、最後に噴火したのは約1万年ほど前のことで現在は観光地として親しまれています。遊歩道や展望台が整備され、火口内部へ降りる事が出来る事もあり多くの観光客が訪れています。

笠山には「風穴」と呼ばれる風の通り道が多くあり、風穴を通った冷気の影響で「ホソイノデ」などの寒地性の植物を見る事ができます。それとともに「バクチノキ」などの暖地性の植物も見る事ができ、寒地性と暖地性の異なる2つの環境の植物が自生する珍しい場所であると言えます。

笠山を語るにあたり外せないのが「萩・椿まつり」の存在です。笠山には約25000本のヤブツバキの群生林があり、毎年見頃に合わせた時期に「萩・椿まつり」が開催されています。地元名産の販売やフォトコンテスト、群生林の無料案内など催し物がたくさんあるのでおすすめのイベントです。

明神池はこの笠山が無ければ存在し得なかった池であるとも言えるので、明神池を観光した際は是非「笠山」や「厳島神社」も一緒に見学する事をおすすめします。夏は風穴で涼しく、冬は美しいたくさんの椿を楽しむことが出来るので季節を問わないおすすめの観光スポットです。

明治維新の舞台となった萩には「明神池」や「笠山」以外にも沢山の志士にまつわるおすすめ観光スポットがあります。どれも彼らが生活した場所や建物がそのまま残っており見所満載ですが、その中でも今回は「これだけは絶対に見て欲しい」おすすめスポットをご紹介します。

萩と言えばこの「松下村塾」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「松下村塾」は幕末の思想家吉田松陰が主宰した私塾で、松陰を祀っている「松陰神社」の中で見る事が出来ます。伊藤博文や高杉晋作など数々の志士を輩出した場所に思いを馳せてみませんか。

松陰神社に行ったら是非見て頂きたいのが「吉田松陰歴史館」と「至誠館」です。「吉田松陰歴史館」は吉田松陰の人生を蝋人形で再現した歴史館で、松陰の一生を分かりやすく説明しています。「至誠館」は松陰神社の宝物殿であり、吉田松陰にまつわる資料が展示されています。

伊藤博文旧宅は初代総理大臣となった伊藤博文が明治元年まで暮らした茅葺（かやぶき）屋根の住宅です。その隣に建つ伊藤博文旧宅は1907年（明治40年）に現在の東京都品川区に建てたものを移築したもので、ボランティアガイドの説明を聞きながら中を見学することが出来ます。

誰もが知る幕末の風雲児、高杉晋作誕生の地は現在個人所有の邸宅ですが見学をする事が可能です。高杉晋作にまつわる資料のほか、自作の句碑や産湯に使われた井戸などが公開されているので高杉晋作の足跡を辿りたいという方にはおすすめのスポットです。（個人所有の邸宅のため不定期で閉館している可能性があります）

「桂小五郎」としても知られる木戸孝允が約20年暮らしていた住居の内部が公開されており、ボランティアガイドの解説を聞きながら見学することが出来ます。中では手習いの書や写真など桂小五郎にまつわる資料を見ることができ、当時の生活や桂小五郎の人生に思いを巡らせるのにピッタリのスポットです。

「藍場川（あいばがわ）」は「歴史的景観保存地区」に指定されている風情溢れる城下町の町並みを見学することが出来るスポットです。町の中に引かれた水路には色鮮やかな錦鯉が放流されており、散歩をしているだけでタイムスリップをしたかのような景色を楽しめます。

萩に来たら是非見て頂きたいのが「萩博物館」です。幕末明治期の資料だけではなく萩の歴史、自然や文化など多岐にわたる展示が魅力的の総合博物館で、史跡が多く残る萩の「萩まちじゅう博物館」と言う取り組みの中心地でもあります。常設展の他企画展も大変魅力的でおすすめです。

もちろん幕末明治期の資料はとても豊富で貴重な展示品の数々を見る事が出来ます。特に高杉晋作に関する資料は多く「高杉晋作資料室」と題して展示スペースが設けられています。展示の他にもミュージアムショップでは数多くの幕末明治の長州藩に関する資料が取り揃えられておりおすすめです。

いかがでしたか。萩の町は歴史の舞台となり、現在に至るまでの貴重な史跡が多く残された観光地です。今回ご紹介した海水魚が泳ぎ潮の干満が見られる「明神池」やおすすめの観光スポットだけでなく、その他にも数えきれないほど多くの見ごたえのあるスポットがあるのです。

萩は「古地図で歩ける町」と言うように幕末期から現在にかけてほとんど変わらない町並みを残しています。その良さを生かし萩博物館が中心となって行っている取り組みが「萩まちじゅう博物館」です。残された史跡などの魅力を再発見し、後世に伝えていこうと言う運動が今も続けられています。

「萩まちじゅう博物館」と謳うように1日ではまわり切れない程の史跡があるので、是非地図を片手に当時の街並みを巡ってみてはいかがでしょうか。幕末明治の志士たちが生まれ、暮らした空気を肌で感じることが出来ますよ。また、町巡りにはレンタル自転車が便利でおすすめです。是非ご活用下さいね。